if群青×黒子、違う世界の人たち

「……ってなわけなんだけど、皆はどうすればいいと思う?」
「どうすればいい……って言われてもなー」
「極限対処法が思いつかん!」
「あいつらいっぺんシめてやりゃあ良いんじゃないっすか?」
「ピースごっつんこすれば、ミンナ仲良しコヨシでハッピーだヨ☆」
「男なら殴り合いで解決だろー!」
「とりあえず、獄寺君としとぴっちゃんと父さんは口閉じてじっとしてて」

綱吉の問いに対して、それぞれ思い思いに言葉を帰す。
ボンゴレ自警団本部にて、定期的に行われている報告会議の場にいるのは、綱吉、山本、獄寺の並盛トリオ、プラス、笹川了平。
炎真、SHITT-P!、水野のシモン勢。
そして家光、バジルの門外顧問勢だ。
この場にいない者については、仕事か、さもなくばサボりである。

「口閉じちゃっタラ報告できないヨ☆イタリアの報告聞かなくてもイーノ?」
「き、聞くよ!でもその前にこっちの話を……」
「おいおいツナ、そーゆー問題は解決しようと思って出来るもんじゃねーんだ。まずは全部の報告聞いてからでも、遅くはねーだろ?」
「ゔっ……そんなに言うなら、それで良いよ……」

父親の台詞に、返す言葉は見付からず、悔しそうな表情を浮かべた綱吉は、渋々とイタリアの報告を聞く。
イタリアでは、日夜マフィア同士の抗争が続いていた。
もっとも力の強いマフィアだったボンゴレがいなくなり、自らが頂点に立とうとしゃしゃり出てくるマフィアが後を絶たないのだ。
と言っても、もうその頂点争いが始まってからは、一年近くが経っている。
長期化すればするほど、組織としての地力の差が浮き彫りになってくる。
決着がつくまでは、そう長くはないだろう。

「イタリアじゃあ、やっぱりキャバッローネが順調に天辺とりそうだな」
「ボンゴレの領地も取り込んでるシ、あとは文句言ってクル奴ら倒してオワリだヨ☆」
「残ったボンゴレ下部の組織も、それぞれ上手く動いているようです」

ちなみにイタリア戦線へと情報収集に行っていたのは、門外顧問の二人と、SHITT-P!。
彼女は派手な形をして、案外諜報活動に長けているのだ。

「XANXUSはいつも通りだったな」
「ディーノ殿も元気そうでしたよ!」
「そっかぁ、良かった……」

綱吉はそれを聞いて胸を撫で下ろす。
後でスクアーロに伝えてあげなければ。
きっと彼女が一番、気になっていることだろうから。

「……ただ、やはりイエナの野郎は見付からねぇんだよな」
「そっ、か……」
「まっ、オレ達プロが探してんだ!すーぐに見付かるって!」
「気楽で良いよね、父さんは……」
「何をぅ!?」

明るく振る舞う、自らの父に、綱吉は呆れたように息を吐き出す。
息子が沈んでるからって、無駄に明るくするのは、如何なものかと思うのだ。
昔っからの事だから、今さら言ってもどうにもならないかもしれないが。

「……で、報告がこれだけなら、問題はその『保護対象達のメンタルケア』って奴だけだな」
「メンタルケア、なー。やっぱ辛いときはスポーツなのな!」
「野球バカ、それならあいつら、昨日も今日もずっとバスケやってるじゃねーか!!」
「……美味いものでも食わせたら良いんじゃないか?」
「あ、薫の案、良いかも……」
「じゃあ今日は、飛びっきり美味しいもの作るように頼んでおくね!」
「あとは……それぞれに、何か要望がないか聞く、というのは如何でしょう?」
「オレ、後で皆に聞いてみるよ!」
「ピースごっつんこ☆」
「それはもう良いって!」
「極限にボクシングだ!!」
「だからスポーツはもう良いっつってんだろうが、極限バカ!」
「何を言うかタコヘッド!」
「やるかこの芝生メット!果たすぞ!!」
「二人とも落ち着いてー!」

途中からメチャクチャになりはしたものの、とりあえずの案は出揃った。

「んじゃ、細かいケアは潜入してたときの担当ごとにやってく事にして、今日のところはそれで良いだろ!」

家光が簡単に纏めて、会議を閉める。
やっと終わった、と安心し……かけた綱吉だったが、家光の言葉に少し引っ掛かりを感じる。

「父さん、担当ごとって、オレなら洛山、炎真なら陽泉、って事だよね?」
「そーだぞ?」
「……スクアーロの負担大きくない?」
「……そんなことはないだろ」
「いや、でもベルフェゴールと二人で6人って……」
「そんなことはないだろ」
「え、でも……」
「大丈夫大丈夫!」

……何と言うか、本気で。
この二人の仲、最悪だな。
そんなことを思いながら、いまだ任務から帰らないスクアーロに、心の中で合掌したのだった。
56/98ページ
スキ