if群青×黒子、違う世界の人たち
自分の腕に齧りつく、蝙蝠のキメラの腹を蹴りつける。
少し血を吸われたらしい。
嵐の炎を纏う吸血蝙蝠……だが戦闘力は弱そうだ。
さっきから超音波のごとく、嵐の炎を撒き散らしているが、雨の炎で簡単に相殺できている。
蝙蝠が後退したのを見て、スクアーロは小脇に抱えていた日向を地面に下ろしてやった。
「怪我はねぇなぁ?」
「オレは大丈夫っすけど……先生は!?腕が……噛まれて……!」
「大したことねぇ。良いかぁ、ここはオレが食い止める。今、裏口から沢田達が向かってきている。全力で走って裏口に向かえ。奴らと合流したら、指示に従え」
「は、はい……!!」
スクアーロの出す指示に、素直に頷いた日向が、毅然として仲間達の方へと向き直る。
困惑し、驚愕し、恐怖に呑まれそうになっている彼らに向けて、日向は言った。
「今の化け物、みんな見たな!?簡潔に言うぞ。オレ達は今、命を狙われている!この人は味方だ。この人の指示に従って、今は何も聞かずに逃げてくれ!!」
「日向君……でも……!」
「キャプテンは、何故それを知っているんですか!?」
「オレ達が、あなたの言葉を信じるに足る証拠はないのだよ……!」
だが当然、仲間達は現実を受け止められない様子だった。
命を狙われてるんだから、バカな質問してねぇでさっさと逃げろ、何て言うのはスクアーロ達の言い分でしかない。
混乱した彼らに、直ぐに動けと言うのは少し無茶がある。
だが、一人、日向の言葉に頷くものがいた。
「わかりました、日向さん。みんな、今は彼らの指示に従おう」
「赤司っち!?」
「征ちゃん!でも……!」
「オレ達の命が狙われていると言うことは間違いない。さっきの化け物からは、きっと殺気と呼ばれるような、強い圧力を感じた。そしてその人が、化け物からオレ達を守ってくれたのも、また事実だ」
「そう……よね……。日向君、説明は後から聞くわ。みんな!とにかく今は、逃げるわよ!!」
赤司の言葉に、リコが同意し、彼らの混乱は収まらないながらも、動き始めたのである。
1つ息を吐き、安心する日向。
その背に、大きな声が掛けられた。
「ゔお゙ぉい、早く行けぇ!!次の敵が来たぁ!」
「っ!みんな走れ!!」
正確には、次の敵達、である。
キメラの軍勢が、団子状になって、スクアーロへと迫りつつあった。
しかし先頭の一匹の動きが止まる。
その一匹の足を、固い氷が止めていた。
そして、その一匹を含めた前列のキメラ達が、見えない力で地面に押さえ付けられる。
「大地の重力……シモンか……!」
「すまない、遅れた!!」
「思ってたより強くって……」
現れたのは、鈴木アーデルハイトと、古里炎真で、炎真の姿を見た紫原と氷室の目が見開かれる。
「さ、里ちん……!?」
「古里君……!なんで君がここに……!?」
「ごめんなさい……。後で必ず説明します。だから……逃げて!」
瞬間、炎真の重力操作が発動する。
目の前のキメラ達が数メートル先まで吹っ飛び、壁の一部が崩壊する。
「ワケわかんないけど、逃げよ、室ちん」
「……ああ!」
訳がわからない、紫原のその言葉が、事情を知らない全員の気持ちを代弁していた。
それでも、なんとか走り出す。
そんな彼らを追って、2つの人影が飛び出してきた。
「しし、しっかり走れよパンピー!」
「木吉ってのはあなたかしら~?膝に怪我してるって聞いたんだけどぉ」
「んな……誰だあんたら!?」
青峰の怒声を完璧に無視して、余裕そうな顔で隣を走るのは、ベルフェゴールとルッスーリアである。
ルッスーリアは集団の中から木吉を見付けると、あっという間に彼を肩の上に担ぎ上げ、それでも変わらないペースで走り続ける。
「裏口出るまでは、私達が責任持って護衛するわ!」
「ギャー!!先輩がオカマにー!!」
「失礼ね!誰がオカマよぉ!!」
誰がなんてルッスーリア以外にはいない……いや、実渕もその気があったか。
とにかく騒ぐ火神は日向が黙らせて、彼らは必死に足を動かす。
そして曲がり角を曲がった時……。
「み、みみみみつぅけけったぁぁあ!!!」
「ひっ!!」
「ししっ!!来たなキメラ……っ!?」
出てきたキメラに、ベルが構えた。
しかし彼が戦うより早く、そのキメラは地に伏せる。
それを倒したのは、裏口から迎えに来ていた沢田綱吉一行だった。
「みんな無事だね!?」
「綱吉!?」
「先輩方お疲れさまっす!」
「や、山本君!!」
「黄瀬!極限無事かー!?」
「黄瀬殿、無事で何よりです!」
「さ、笹川先輩ぃ!?バジルっちまで!!」
彼らが通って来ただろう道には、転々と気絶したキメラが倒れており、そして時折壁に埋まっている個体も見受けられる。
走りながらそれらを目にした面々は、唖然としながらもその横を走り抜けていく。
「よし!裏口だ!!」
「全員バスに乗れ!!結局すぐに、ここから脱出するぞ!!」
怒鳴るように出された指示に従い、バスを見た面々は、またも唖然として立ち止まる。
「凪ちゃんまで……!?」
「……さつきちゃん、青峰君、早く!」
「が、γに……白蘭!!」
「お前らもグルだったのか!!」
「グルって……酷いなぁ緑間君♪」
「驚くのは後にして、さっさと乗れ!!」
2台のバスに彼らを押し込み、幻術士達が中に乗り込む。
発車するバスを追い掛け、走ってくるキメラを、γの雷が弾き飛ばした。
ようやく選手達を乗せたバスは、ボンゴレ自警団の基地へと向けて、進み始めたのだった。
少し血を吸われたらしい。
嵐の炎を纏う吸血蝙蝠……だが戦闘力は弱そうだ。
さっきから超音波のごとく、嵐の炎を撒き散らしているが、雨の炎で簡単に相殺できている。
蝙蝠が後退したのを見て、スクアーロは小脇に抱えていた日向を地面に下ろしてやった。
「怪我はねぇなぁ?」
「オレは大丈夫っすけど……先生は!?腕が……噛まれて……!」
「大したことねぇ。良いかぁ、ここはオレが食い止める。今、裏口から沢田達が向かってきている。全力で走って裏口に向かえ。奴らと合流したら、指示に従え」
「は、はい……!!」
スクアーロの出す指示に、素直に頷いた日向が、毅然として仲間達の方へと向き直る。
困惑し、驚愕し、恐怖に呑まれそうになっている彼らに向けて、日向は言った。
「今の化け物、みんな見たな!?簡潔に言うぞ。オレ達は今、命を狙われている!この人は味方だ。この人の指示に従って、今は何も聞かずに逃げてくれ!!」
「日向君……でも……!」
「キャプテンは、何故それを知っているんですか!?」
「オレ達が、あなたの言葉を信じるに足る証拠はないのだよ……!」
だが当然、仲間達は現実を受け止められない様子だった。
命を狙われてるんだから、バカな質問してねぇでさっさと逃げろ、何て言うのはスクアーロ達の言い分でしかない。
混乱した彼らに、直ぐに動けと言うのは少し無茶がある。
だが、一人、日向の言葉に頷くものがいた。
「わかりました、日向さん。みんな、今は彼らの指示に従おう」
「赤司っち!?」
「征ちゃん!でも……!」
「オレ達の命が狙われていると言うことは間違いない。さっきの化け物からは、きっと殺気と呼ばれるような、強い圧力を感じた。そしてその人が、化け物からオレ達を守ってくれたのも、また事実だ」
「そう……よね……。日向君、説明は後から聞くわ。みんな!とにかく今は、逃げるわよ!!」
赤司の言葉に、リコが同意し、彼らの混乱は収まらないながらも、動き始めたのである。
1つ息を吐き、安心する日向。
その背に、大きな声が掛けられた。
「ゔお゙ぉい、早く行けぇ!!次の敵が来たぁ!」
「っ!みんな走れ!!」
正確には、次の敵達、である。
キメラの軍勢が、団子状になって、スクアーロへと迫りつつあった。
しかし先頭の一匹の動きが止まる。
その一匹の足を、固い氷が止めていた。
そして、その一匹を含めた前列のキメラ達が、見えない力で地面に押さえ付けられる。
「大地の重力……シモンか……!」
「すまない、遅れた!!」
「思ってたより強くって……」
現れたのは、鈴木アーデルハイトと、古里炎真で、炎真の姿を見た紫原と氷室の目が見開かれる。
「さ、里ちん……!?」
「古里君……!なんで君がここに……!?」
「ごめんなさい……。後で必ず説明します。だから……逃げて!」
瞬間、炎真の重力操作が発動する。
目の前のキメラ達が数メートル先まで吹っ飛び、壁の一部が崩壊する。
「ワケわかんないけど、逃げよ、室ちん」
「……ああ!」
訳がわからない、紫原のその言葉が、事情を知らない全員の気持ちを代弁していた。
それでも、なんとか走り出す。
そんな彼らを追って、2つの人影が飛び出してきた。
「しし、しっかり走れよパンピー!」
「木吉ってのはあなたかしら~?膝に怪我してるって聞いたんだけどぉ」
「んな……誰だあんたら!?」
青峰の怒声を完璧に無視して、余裕そうな顔で隣を走るのは、ベルフェゴールとルッスーリアである。
ルッスーリアは集団の中から木吉を見付けると、あっという間に彼を肩の上に担ぎ上げ、それでも変わらないペースで走り続ける。
「裏口出るまでは、私達が責任持って護衛するわ!」
「ギャー!!先輩がオカマにー!!」
「失礼ね!誰がオカマよぉ!!」
誰がなんてルッスーリア以外にはいない……いや、実渕もその気があったか。
とにかく騒ぐ火神は日向が黙らせて、彼らは必死に足を動かす。
そして曲がり角を曲がった時……。
「み、みみみみつぅけけったぁぁあ!!!」
「ひっ!!」
「ししっ!!来たなキメラ……っ!?」
出てきたキメラに、ベルが構えた。
しかし彼が戦うより早く、そのキメラは地に伏せる。
それを倒したのは、裏口から迎えに来ていた沢田綱吉一行だった。
「みんな無事だね!?」
「綱吉!?」
「先輩方お疲れさまっす!」
「や、山本君!!」
「黄瀬!極限無事かー!?」
「黄瀬殿、無事で何よりです!」
「さ、笹川先輩ぃ!?バジルっちまで!!」
彼らが通って来ただろう道には、転々と気絶したキメラが倒れており、そして時折壁に埋まっている個体も見受けられる。
走りながらそれらを目にした面々は、唖然としながらもその横を走り抜けていく。
「よし!裏口だ!!」
「全員バスに乗れ!!結局すぐに、ここから脱出するぞ!!」
怒鳴るように出された指示に従い、バスを見た面々は、またも唖然として立ち止まる。
「凪ちゃんまで……!?」
「……さつきちゃん、青峰君、早く!」
「が、γに……白蘭!!」
「お前らもグルだったのか!!」
「グルって……酷いなぁ緑間君♪」
「驚くのは後にして、さっさと乗れ!!」
2台のバスに彼らを押し込み、幻術士達が中に乗り込む。
発車するバスを追い掛け、走ってくるキメラを、γの雷が弾き飛ばした。
ようやく選手達を乗せたバスは、ボンゴレ自警団の基地へと向けて、進み始めたのだった。