if群青×黒子、違う世界の人たち
「黒子っちー!」
「あれ、黄瀬君?」
裏口に向かっていた誠凛メンバーは、背後から掛けられた声に驚いて振り返る。
黒子の元に転げるように駆け寄ってきたのは、海常バスケ部エースの黄瀬涼太である。
「誠凛さん優勝おめでとっス!」
「ありがとうございます。それより、黄瀬君はこんなところでどうしたんですか?」
「友達に呼ばれたんス!誠凛はチームのレギュラー全員揃って、どうしたんスか?」
「僕達は新任の先生に呼ばれて。まさかここで、君と会うとは思いませんでした」
黒子の言う通り、誠凛のメンバーも驚いているようで、興味深そうに黄瀬の話を聞いている。
そんな彼らに、更に声が掛けられた。
「……奇遇だな、オレもまさか、お前達に会うとは思わなかった」
「誠凛さんちっす!黄瀬もさっきぶりだなー」
「緑間君、高尾君も?」
「オレ達もダチに呼ばれたんだ。何か、話があるから大至急裏口に来てくれってさ」
「まったく、面倒くさいのだよ」
現れたのは緑間と高尾で、相変わらず冷たい態度の緑間の言葉をフォローするように、隣に立つ高尾が喋りまくる。
一気に賑やかになった廊下の先頭で、日向はそわそわと足踏みをする。
「お前らも呼ばれてるなら、早く行った方が良いんじゃねぇのか?」
「あ、そっスね!!」
「そう言えばキャプテン、僕達はどんな用事で呼ばれているんですか?」
「え……?あ、ああ、オレ達も話があるって言われてんだよ」
そう言えば、呼び出しの理由など何も考えていなかった日向は、しどろもどろになりながら答える。
リコが眉をひそめたのを見て、慌てて目を逸らして裏口に足を向ける。
挙動不審な日向を、同学年の者達はだいぶ訝しんでいるようだった。
早めに彼らと合流しなければ、そう思う日向を邪魔するかのように、新たな仲間が現れる。
「あれー、みどちんに黄瀬ちんじゃん。あ、黒ちんもいたの?ちっちゃくて気付かなかったー」
「喧嘩売ってんですか紫原君」
「ちょっと落ち着けって黒子」
「止めないでください伊月先輩、僕にもプライドと言うものがあります」
「なあ、本当にオレも呼ばれてんのか?面倒くせーし早く帰りてぇんだけど」
「本当に呼ばれてるってば!それよりテツくーん!優勝おめでとう!」
「皆元気だな!」
「なに呑気なこと言ってんのよテッペイ!このままじゃ収集つかないわよ」
「……キセキの皆に、そのチームメイト達まで、どうしたんだ?」
「あ、赤司!それに洛山のメンバーも……!何でここに?」
次々と集まってくるメンバーに、全員の無事を安心しながらも、日向は焦る。
こんなに固まってるところを敵に見付かったりしたら、逃げ切れるのだろうか。
とにかく早く、裏口まで行かなければ。
そう思って、全員を誘導しようと口を開いたその時、突然異変は訪れた。
「ん……あ、あれ?」
「電気、消えましたね」
「く、くく黒子冷静だな……!」
「な、何だだだこここれ!?」
「火神君も青峰君もビビりすぎです」
「停電か?」
「いや、向こうの方は灯りが見えるぞ」
突然、彼らの真上にあった蛍光灯が、点滅を繰り返して消える。
呑気に停電の心配をする者達の中で、日向だけが、サッと顔色を変えた。
来たんだ、敵が……!
慌てて日向は叫ぶ。
「おい!裏口から外に出るぞ!」
「え……、何で?」
「電球が切れただけでしょう。そう心配することは……」
「良いからとにかく走れってのダァホ!っあぁ……来たっ!!」
「日向君……?」
全員が日向の方を向いていたため、始めにその存在に気が付いたのは日向だった。
灯りのなくなった廊下の奥、曲がり角から覗き込むようにして、一対の瞳が見えていた。
瞳だけがやたらと光って見えている。
しかしそれが、人の顔と獣の牙を持ち合わせている事はすぐにわかった。
日向の視線に気付いたのだろう、それは曲がり角からその姿を現すと、物凄いスピードで迫ってきた。
「……っ!!」
「あ、あぶねぇ……!!」
日向の次に、特別視野が広い、赤司、高尾、伊月が気付いたようだった。
しかし彼らは突然のことに固まることしか出来ず、ただ呆然とそれを見ている。
日向は咄嗟に、一番それに近い場所にいた、赤司の腕を引き寄せる。
引き換えに、自分がそれと対面することになった。
迫る牙と、狂暴な瞳の光が近付いてくるのが、酷くゆっくりに見える。
殺される、そう思って目を閉じた日向の体を、何かが乱暴に掴んだ。
痛みはない。
代わりに、ぶっきらぼうだが、暖かみのある声が聞こえた。
「よくやった、日向。もう大丈夫だ、安心しろぉ」
日向を右腕に抱えて、左腕をそれに噛ませることで守ったその人は、今、日向が一番会いたかった人。
「せ……せんせい!!」
アルノルド……もとい、スクアーロが、彼らを守るように、凛と立っていた。
「あれ、黄瀬君?」
裏口に向かっていた誠凛メンバーは、背後から掛けられた声に驚いて振り返る。
黒子の元に転げるように駆け寄ってきたのは、海常バスケ部エースの黄瀬涼太である。
「誠凛さん優勝おめでとっス!」
「ありがとうございます。それより、黄瀬君はこんなところでどうしたんですか?」
「友達に呼ばれたんス!誠凛はチームのレギュラー全員揃って、どうしたんスか?」
「僕達は新任の先生に呼ばれて。まさかここで、君と会うとは思いませんでした」
黒子の言う通り、誠凛のメンバーも驚いているようで、興味深そうに黄瀬の話を聞いている。
そんな彼らに、更に声が掛けられた。
「……奇遇だな、オレもまさか、お前達に会うとは思わなかった」
「誠凛さんちっす!黄瀬もさっきぶりだなー」
「緑間君、高尾君も?」
「オレ達もダチに呼ばれたんだ。何か、話があるから大至急裏口に来てくれってさ」
「まったく、面倒くさいのだよ」
現れたのは緑間と高尾で、相変わらず冷たい態度の緑間の言葉をフォローするように、隣に立つ高尾が喋りまくる。
一気に賑やかになった廊下の先頭で、日向はそわそわと足踏みをする。
「お前らも呼ばれてるなら、早く行った方が良いんじゃねぇのか?」
「あ、そっスね!!」
「そう言えばキャプテン、僕達はどんな用事で呼ばれているんですか?」
「え……?あ、ああ、オレ達も話があるって言われてんだよ」
そう言えば、呼び出しの理由など何も考えていなかった日向は、しどろもどろになりながら答える。
リコが眉をひそめたのを見て、慌てて目を逸らして裏口に足を向ける。
挙動不審な日向を、同学年の者達はだいぶ訝しんでいるようだった。
早めに彼らと合流しなければ、そう思う日向を邪魔するかのように、新たな仲間が現れる。
「あれー、みどちんに黄瀬ちんじゃん。あ、黒ちんもいたの?ちっちゃくて気付かなかったー」
「喧嘩売ってんですか紫原君」
「ちょっと落ち着けって黒子」
「止めないでください伊月先輩、僕にもプライドと言うものがあります」
「なあ、本当にオレも呼ばれてんのか?面倒くせーし早く帰りてぇんだけど」
「本当に呼ばれてるってば!それよりテツくーん!優勝おめでとう!」
「皆元気だな!」
「なに呑気なこと言ってんのよテッペイ!このままじゃ収集つかないわよ」
「……キセキの皆に、そのチームメイト達まで、どうしたんだ?」
「あ、赤司!それに洛山のメンバーも……!何でここに?」
次々と集まってくるメンバーに、全員の無事を安心しながらも、日向は焦る。
こんなに固まってるところを敵に見付かったりしたら、逃げ切れるのだろうか。
とにかく早く、裏口まで行かなければ。
そう思って、全員を誘導しようと口を開いたその時、突然異変は訪れた。
「ん……あ、あれ?」
「電気、消えましたね」
「く、くく黒子冷静だな……!」
「な、何だだだこここれ!?」
「火神君も青峰君もビビりすぎです」
「停電か?」
「いや、向こうの方は灯りが見えるぞ」
突然、彼らの真上にあった蛍光灯が、点滅を繰り返して消える。
呑気に停電の心配をする者達の中で、日向だけが、サッと顔色を変えた。
来たんだ、敵が……!
慌てて日向は叫ぶ。
「おい!裏口から外に出るぞ!」
「え……、何で?」
「電球が切れただけでしょう。そう心配することは……」
「良いからとにかく走れってのダァホ!っあぁ……来たっ!!」
「日向君……?」
全員が日向の方を向いていたため、始めにその存在に気が付いたのは日向だった。
灯りのなくなった廊下の奥、曲がり角から覗き込むようにして、一対の瞳が見えていた。
瞳だけがやたらと光って見えている。
しかしそれが、人の顔と獣の牙を持ち合わせている事はすぐにわかった。
日向の視線に気付いたのだろう、それは曲がり角からその姿を現すと、物凄いスピードで迫ってきた。
「……っ!!」
「あ、あぶねぇ……!!」
日向の次に、特別視野が広い、赤司、高尾、伊月が気付いたようだった。
しかし彼らは突然のことに固まることしか出来ず、ただ呆然とそれを見ている。
日向は咄嗟に、一番それに近い場所にいた、赤司の腕を引き寄せる。
引き換えに、自分がそれと対面することになった。
迫る牙と、狂暴な瞳の光が近付いてくるのが、酷くゆっくりに見える。
殺される、そう思って目を閉じた日向の体を、何かが乱暴に掴んだ。
痛みはない。
代わりに、ぶっきらぼうだが、暖かみのある声が聞こえた。
「よくやった、日向。もう大丈夫だ、安心しろぉ」
日向を右腕に抱えて、左腕をそれに噛ませることで守ったその人は、今、日向が一番会いたかった人。
「せ……せんせい!!」
アルノルド……もとい、スクアーロが、彼らを守るように、凛と立っていた。