if群青×黒子、違う世界の人たち

ウィンターカップ、全ての試合が、終わった。
誠凛高校バスケ部、創部2年目の新星が、長らく王者として君臨してきた洛山を下しての勝利。
勝った選手達は涙を流して喜び合い、負けた選手達もまた、お互いを称え合い涙を流す。
たくさんの事があった。
辛いこと、苦しいこと、そして嬉しいこと。
今、大会を終えた彼らは、再び同じ場所に立っている。
てんでバラバラな場所に立って、別々の方向を向いていた彼らはもういない。
黒子のバスケが、彼らを変えた。

「なあ、カントク、木吉、伊月、黒子、火神、ちょっといいか?」
「なに?どうしたのよ突然」

表彰式が終わった後、ロッカールームから出ようとしていたチームメイトを、日向が呼び止めた。
怪訝そうな顔で振り向く彼らに、日向は言いづらそうな顔をして話す。

「実はアル先生に呼ばれてんだよ」
「……アル先生に?でも先生、今日来てなかったわよね?」
「あー、いや……今はいるみたいだし……とにかく早く行こうぜ」
「え?オレ達も呼ばれてるのか?」
「ああ、裏口に来てくれって」

歯切れの悪い日向に、チームメイト達は首を傾げながらも着いていく。
そして時を同じくして、首を傾げながら歩き出した者達がいた。

「あれ?バジルっちからメール?」
「どうした黄瀬ー」
「なんか友達に呼ばれたんで、ちょっと出てくるっス!」

「あ、大ちゃん、凪ちゃんからメール!すぐに会場の裏口に来てって!」
「はあ?オレもかよ?」
「うん、早く行こ!」

「お、メール?」
「……オレにも来たのだよ」
「今すぐ裏口に来い……って、何の用だ?」

「室ちーん、里ちんからメール来たー?」
「古里君からは来てないけど、ジュリーから来たよ」
「ふーん、めんどーだけど、行こー」

「……綱吉からメールだ。今日の出場メンバー全員で、すぐに裏口に来てほしいと」
「あら、何の用かしら?」
「綱吉ってあのちっこいのだろ?」
「そう言えば今日、見掛けなかったよね?」
「……小さすぎて見付けられなかったんじゃねぇのか?」
「とにかく、行ってみましょうか」

それぞれがそれぞれ、裏口へと向かう。
そして彼らを誘い出した者達が動き始める。

「良い、みんな?」
「もちっすよ、沢田さん!」
「準備OKなのなツナ!」
「極限バッチリだ!」
「いつでも行けます、沢田殿!」
「結局任せろ沢田!」
「いつでも行けるんだな。な、ランボさん?」
「もちろんだもんね!」

裏口から会場に入ってすぐの通路では、綱吉達が声を掛け合う。

「ゔお゙ぉい!テメーらぁ、死ぬんじゃねぇぞぉ!!」
「しし、ったりめーじゃん!」
「んふふ、楽しみねん♪」
「が、頑張ります……」
「炎真!あなたももっと気合いを入れなさい!」
「アーデルは、気合い入りすぎじゃないのか……?」

ヴァリアーシモンの連合チームは、裏口に向かう長い通路の奥に潜んでいた。
熱く燃えるアーデルハイトを、水野が引き気味に宥めている。

「さーてっ、僕達は移動用バスでお留守番かぁ♪」
「ダルいこと言ってんじゃねぇぜ白蘭。こっちにも敵は来るだろうからな」
「γの兄貴の言う通りだぜ!」
「あんた達気合い入りすぎ!もっとにゅにゅーって、力抜いちゃいなさいよ!!」
「ハハン、力が入っていては出来ることも出来なくなりますよ」
「カッタリーことは、適度に力抜いてやんのがちょーど良いんだよバーロー」
「で、でも、僕ちん緊張してきた……!」
「クフフ、馬鹿どもは放っておいて、僕達は僕達の仕事をしますよ」
「はい、骸様」
「任せてくらさい骸さん!」
「……めんどい」
「お前ら本当自由だな……」

太猿が呆れるのも無理はない。
裏口の外では、2台のバスとそれを囲むように立つ個性豊かな面子が揃っていた。

「……敵、遅いね」
「ヒバリ!テキマダ!マダ!!」
「キミ、静かに待てないの?」
「ミードリタナービクー♪」
「……まあ、別に良いけど」

遠くの樹上で、騒ぐ面々を眺めながらため息を付き、『群れすぎ』と呟くのは雲雀恭弥だった。
表彰式終了から、30分が経った。
裏口へと向かう少年達を追って、キメラが動き始めた。
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