if群青×黒子、違う世界の人たち
「信じてますから……!黄瀬君!!」
客席の歓声を割って響く声。
福田総合対海常、その試合も、終盤。
灰崎の前に倒れた黄瀬を、珍しく大声を張り上げて、黒子が応援していた。
それに触発されたのかどうなのか知らないが、客席の前列の方から、それ以上に大きな声が響いた。
「黄瀬ー!お前は極限暑い男だろう!!そんなスポーツマンにあるまじき男に負けるお前ではない!極限立ち上がれ!オレもお前を信じているぞー!」
「黄瀬殿ー!拙者も応援しております!死ぬ気で頑張ってください!!」
「うぉぉおおおお!!極限だぁー!!」
そんな騒がしい彼らを見て、誠凛の選手達は少し戸惑っているようだ。
「あれ、黄瀬の友達か何かか?」
「黄瀬君友達いたんですね……」
「ハッ!応援を上んとこの席からする!キタコレ!!」
「キテねーよ」
「元気でいいなぁ!」
「……」
「そーだな、すごく熱い奴らだよな!」
「あの子、外国の子かしら?」
「さあ……。と言うか、二人とも変わった髪色してますね……?」
「それ、黒子(おまえ)がいうか?」
そんな彼らの会話を聞きながら、スクアーロは手に持っていた通信端末を握り締める。
ビキッと音が鳴ったのは気のせいではないだろう。
「先生……あそこの二人ってもしかして、仲間の方、ですか?」
「もしかしなくてもそうだぁ……。くそ、目立つ真似しやがって……!」
遂に、スクアーロの手の中の端末がバキンッと音を立てて壊れる。
訪ねた日向は幸いにも、騒ぐ二人を見ていて気付かなかったので、スクアーロは無言で壊れた破片をポケットに突っ込んで、予備の端末を取り出す。
メールで通信室宛に、彼らを静かにさせるように連絡を入れた。
「……キセキのいる学校、全部にああやってその……自警団?が入り込んでるんですか?」
「あ?当たり前だろうがぁ。そうでもしねぇと、テメーら守りきれねぇだろ」
「頼もしいっつーか、怖いっつーか……」
ボヤく日向は、しかし黒子達の応援で立ち上がった黄瀬に目を奪われた。
黄瀬の使った技、それはキセキの世代の仲間である、緑間真太郎の3Pシュート……。
「ほお、やはりキセキの世代ってのは、一味違うって訳かぁ」
「すげぇ……同じキセキの世代の技までコピーするなんて……」
次々にキセキの世代の技を繰り出し、福田総合を圧倒する。
確かに灰崎という男は強い。
きっと無冠の五将でも叶わないほどに。
だが黄瀬はそれ以上だった。
そして……。
「……」
スクアーロは無言のままメールを打つ。
その内容は、灰崎を大会終了後も保護せずに放置する、というものだった。
と言っても、護衛を付けない訳ではない。
灰崎は間違いなく天才だ。
だからこそ……、
「……良いエサになる」
彼の能力は、バスケ界でも、裏社会でも、きっと嫌悪されるものだ。
だから、敵も恐らく、相当切羽詰まらなければ手を出さない。
奴らが灰崎に手を出そうとしたその時が、勝負になる。
いつの間にか、試合は海常が勝っていて、灰崎の最後の足掻きも虚しく、黄瀬のダンクで試合は幕を閉じた。
「……日向、試合は終わったぁ。帰るぞ」
「え、は……はい」
不穏な空気を纏う灰崎をチラリと見て、スクアーロは誠凛の選手達を急かして席を立つ。
一瞬、海常の応援席を見たときにバジルと目があった。
お互いに軽く頷き合う。
灰崎、あの様子では何をしてくるかわからない。
しかしその後、意外にも黄瀬に灰崎が接触してくることはなかった。
だが単独行動をして、自分から灰崎に会いに行った青峰に対して、骸が考え付く限りの罵詈雑言を吐き出していた。
WC、残りは後2日……。
自警団ボンゴレにとっても重要となる決勝戦の日が、徐々に近付いてきていた。
客席の歓声を割って響く声。
福田総合対海常、その試合も、終盤。
灰崎の前に倒れた黄瀬を、珍しく大声を張り上げて、黒子が応援していた。
それに触発されたのかどうなのか知らないが、客席の前列の方から、それ以上に大きな声が響いた。
「黄瀬ー!お前は極限暑い男だろう!!そんなスポーツマンにあるまじき男に負けるお前ではない!極限立ち上がれ!オレもお前を信じているぞー!」
「黄瀬殿ー!拙者も応援しております!死ぬ気で頑張ってください!!」
「うぉぉおおおお!!極限だぁー!!」
そんな騒がしい彼らを見て、誠凛の選手達は少し戸惑っているようだ。
「あれ、黄瀬の友達か何かか?」
「黄瀬君友達いたんですね……」
「ハッ!応援を上んとこの席からする!キタコレ!!」
「キテねーよ」
「元気でいいなぁ!」
「……」
「そーだな、すごく熱い奴らだよな!」
「あの子、外国の子かしら?」
「さあ……。と言うか、二人とも変わった髪色してますね……?」
「それ、黒子(おまえ)がいうか?」
そんな彼らの会話を聞きながら、スクアーロは手に持っていた通信端末を握り締める。
ビキッと音が鳴ったのは気のせいではないだろう。
「先生……あそこの二人ってもしかして、仲間の方、ですか?」
「もしかしなくてもそうだぁ……。くそ、目立つ真似しやがって……!」
遂に、スクアーロの手の中の端末がバキンッと音を立てて壊れる。
訪ねた日向は幸いにも、騒ぐ二人を見ていて気付かなかったので、スクアーロは無言で壊れた破片をポケットに突っ込んで、予備の端末を取り出す。
メールで通信室宛に、彼らを静かにさせるように連絡を入れた。
「……キセキのいる学校、全部にああやってその……自警団?が入り込んでるんですか?」
「あ?当たり前だろうがぁ。そうでもしねぇと、テメーら守りきれねぇだろ」
「頼もしいっつーか、怖いっつーか……」
ボヤく日向は、しかし黒子達の応援で立ち上がった黄瀬に目を奪われた。
黄瀬の使った技、それはキセキの世代の仲間である、緑間真太郎の3Pシュート……。
「ほお、やはりキセキの世代ってのは、一味違うって訳かぁ」
「すげぇ……同じキセキの世代の技までコピーするなんて……」
次々にキセキの世代の技を繰り出し、福田総合を圧倒する。
確かに灰崎という男は強い。
きっと無冠の五将でも叶わないほどに。
だが黄瀬はそれ以上だった。
そして……。
「……」
スクアーロは無言のままメールを打つ。
その内容は、灰崎を大会終了後も保護せずに放置する、というものだった。
と言っても、護衛を付けない訳ではない。
灰崎は間違いなく天才だ。
だからこそ……、
「……良いエサになる」
彼の能力は、バスケ界でも、裏社会でも、きっと嫌悪されるものだ。
だから、敵も恐らく、相当切羽詰まらなければ手を出さない。
奴らが灰崎に手を出そうとしたその時が、勝負になる。
いつの間にか、試合は海常が勝っていて、灰崎の最後の足掻きも虚しく、黄瀬のダンクで試合は幕を閉じた。
「……日向、試合は終わったぁ。帰るぞ」
「え、は……はい」
不穏な空気を纏う灰崎をチラリと見て、スクアーロは誠凛の選手達を急かして席を立つ。
一瞬、海常の応援席を見たときにバジルと目があった。
お互いに軽く頷き合う。
灰崎、あの様子では何をしてくるかわからない。
しかしその後、意外にも黄瀬に灰崎が接触してくることはなかった。
だが単独行動をして、自分から灰崎に会いに行った青峰に対して、骸が考え付く限りの罵詈雑言を吐き出していた。
WC、残りは後2日……。
自警団ボンゴレにとっても重要となる決勝戦の日が、徐々に近付いてきていた。