if群青×黒子、違う世界の人たち
「……何なんだよ、この状況……」
「カアー……」
「お前慰めてくれんのか……?カラスの癖に良い奴だなお前」
「クァー」
肩に乗ったカラスに虚ろな瞳で話し掛けながら、日向順平は部屋の隅に蹲っていた。
自分達の使っていたロッカールームとは別の、少し小さい更衣室。
その更衣室とその出入口から見える廊下には、ザアザアと雨が降り続けていた。
「この雨、不思議だな。オレのいるところにだけ、ピンポイントで降ってない……」
「カア!」
「お前何か知ってるのかぁ?……ってカラスに聞いてもわかんねぇよな。オレ何やってんだろ……」
「カア……」
彼を置いていったまま、この雨を降らせている人物は帰ってこない。
いつも以上に時間が過ぎるのが長く感じ、日向は何度もため息を吐く。
心配そうに覗き込むカラスの嘴を軽く撫でてやり、日向は首を伸ばして出入口を覗いた。
「あの人、どこまで行ったんだ?つか、あの化け物にやられてたりとか……しないよなぁ?」
「カア!カアー!」
「うわっ!?ちょ……怒ってんのか!?」
カラスに頭を突かれ、日向はむくれながらイライラと立ち上がる。
出入口から顔を出して、通路を見渡したが誰もおらず、また元の位置に戻る。
ふと携帯を見ると、カントクからメールが入っていた。
「先帰ってる……か。普段なら待っててくれたって良いのに、って思うけど、こんな状況だと助かるな……」
「……」
「……ん?どうしたんだカラス?」
「……カ」
突然、今までずっと相槌を打ち続けていたカラスの声が聞こえなくなった。
問い掛けてみると、カラスは短く鳴いて通路を見ている。
日向は疑問に思いながら通路を覗こうとしたが、カラスはその髪を軽く引っ張って止めた。
「クァ」
「な、なんだ……?こっちにいれば良いのか?」
「カ」
カラスに引かれるままに、日向は部屋の隅に座り込む。
そして日向が座ったその直後、カラスは藍色の炎を纏って、それをまるで盾のように日向の周りに広げた。
「なっ!なんだコ……っ!?」
「カァ、」
日向の声を遮るようにカラスが鳴いた瞬間、廊下から黒いブーツの足が覗いた。
「っ……!」
日向は口を手で塞いで息を殺す。
現れたのは身の丈2メートル程もある大男だった。
そう言えば、あの人は茶色の革靴だった、と日向は思い出し、顔を青くする。
敵はあの化け物だけじゃなかった。
恐ろしさに息が止まりそうだったが、敵がキョロキョロと部屋を探し始めたのを見て、ハッとする。
敵はどうも日向の存在に気付いていないらしく、日向と目が合うことはない。
だが何度か日向のいる場所を見回した男は、ゆっくりと日向のいる場所で視線を止めた。
そしておもむろに片足を上げると、日向の真横の壁に降り下ろした。
「うわぁ!!」
「チッ、少しズレたか……」
飛び退いた日向を追って、男はもう一度足を上げる。
カラスはまた炎の盾を出すが、彼一人の力で日向を守りきる事は難しい。
殺される、そう思って日向は目を閉じて腕で顔を覆った。
そして聞こえた鈍い音、何かが倒れる重い音……だが一向に来ない衝撃に、日向は恐る恐る顔を上げた。
「遅くなったなぁ」
「せ、先生……!」
そこにいたのは倒れている大男と、その側頭部を足で踏みつけにしているあの人だった。
「カアー……」
「お前慰めてくれんのか……?カラスの癖に良い奴だなお前」
「クァー」
肩に乗ったカラスに虚ろな瞳で話し掛けながら、日向順平は部屋の隅に蹲っていた。
自分達の使っていたロッカールームとは別の、少し小さい更衣室。
その更衣室とその出入口から見える廊下には、ザアザアと雨が降り続けていた。
「この雨、不思議だな。オレのいるところにだけ、ピンポイントで降ってない……」
「カア!」
「お前何か知ってるのかぁ?……ってカラスに聞いてもわかんねぇよな。オレ何やってんだろ……」
「カア……」
彼を置いていったまま、この雨を降らせている人物は帰ってこない。
いつも以上に時間が過ぎるのが長く感じ、日向は何度もため息を吐く。
心配そうに覗き込むカラスの嘴を軽く撫でてやり、日向は首を伸ばして出入口を覗いた。
「あの人、どこまで行ったんだ?つか、あの化け物にやられてたりとか……しないよなぁ?」
「カア!カアー!」
「うわっ!?ちょ……怒ってんのか!?」
カラスに頭を突かれ、日向はむくれながらイライラと立ち上がる。
出入口から顔を出して、通路を見渡したが誰もおらず、また元の位置に戻る。
ふと携帯を見ると、カントクからメールが入っていた。
「先帰ってる……か。普段なら待っててくれたって良いのに、って思うけど、こんな状況だと助かるな……」
「……」
「……ん?どうしたんだカラス?」
「……カ」
突然、今までずっと相槌を打ち続けていたカラスの声が聞こえなくなった。
問い掛けてみると、カラスは短く鳴いて通路を見ている。
日向は疑問に思いながら通路を覗こうとしたが、カラスはその髪を軽く引っ張って止めた。
「クァ」
「な、なんだ……?こっちにいれば良いのか?」
「カ」
カラスに引かれるままに、日向は部屋の隅に座り込む。
そして日向が座ったその直後、カラスは藍色の炎を纏って、それをまるで盾のように日向の周りに広げた。
「なっ!なんだコ……っ!?」
「カァ、」
日向の声を遮るようにカラスが鳴いた瞬間、廊下から黒いブーツの足が覗いた。
「っ……!」
日向は口を手で塞いで息を殺す。
現れたのは身の丈2メートル程もある大男だった。
そう言えば、あの人は茶色の革靴だった、と日向は思い出し、顔を青くする。
敵はあの化け物だけじゃなかった。
恐ろしさに息が止まりそうだったが、敵がキョロキョロと部屋を探し始めたのを見て、ハッとする。
敵はどうも日向の存在に気付いていないらしく、日向と目が合うことはない。
だが何度か日向のいる場所を見回した男は、ゆっくりと日向のいる場所で視線を止めた。
そしておもむろに片足を上げると、日向の真横の壁に降り下ろした。
「うわぁ!!」
「チッ、少しズレたか……」
飛び退いた日向を追って、男はもう一度足を上げる。
カラスはまた炎の盾を出すが、彼一人の力で日向を守りきる事は難しい。
殺される、そう思って日向は目を閉じて腕で顔を覆った。
そして聞こえた鈍い音、何かが倒れる重い音……だが一向に来ない衝撃に、日向は恐る恐る顔を上げた。
「遅くなったなぁ」
「せ、先生……!」
そこにいたのは倒れている大男と、その側頭部を足で踏みつけにしているあの人だった。