if群青×黒子、違う世界の人たち
「あの、」
「お疲れ様、だな、クローム」
「!あの、鮫の人も、お疲れ様です」
温泉に入りにいく桐皇バスケ部の一行と離れ、クロームが会いに行ったのは、現在誠凛高校の教師に化けているスクアーロだった。
たたっと寄ってきたクロームの頭を撫でて労ると、クロームからも手が伸びてくる。
スクアーロは、少し身を屈めてその手を受け入れた。
「……敵、いた?」
「いや、今日はいないな。今さっき、敵のアジトの一つを見付けた。レヴィと門外顧問グループが向かっている。そのせいで敵が少ないのかもしれねぇ」
「そうなの?」
クロームは表情の変化に乏しいが、それでもわかるくらい、その情報には驚いた様子だった。
余計な情報を与えて味方を混乱させる必要はない、と、スクアーロ達はアジトの情報は話していなかったのだ。
「もしかしたら、関東圏外の高校が狙われるかもしれねぇが、向こうも準備は万端に整えている。雲雀も出るそうだから、安心しろ」
「……うん」
スクアーロに言われ頷いたクロームは、少しだけ桐皇バスケ部の報告をする。
骸はどうやら、隠れて着いてきているらしいが、どこにいるのかは不明、との事だった。
「まぁ、どうせその内出てくるだろぉ。……構えとかねぇとな」
「……?」
骸の事だから、スクアーロに対して何をして来るのかは想像がつかない。
首をかしげるクロームに、スクアーロは首を横に振る。
「いや、何でもねぇよ。友達待ってんだろ?早く戻ってやれ」
「っ!はい!」
ぽむぽむ、と頭を撫で、それを受けたクロームは、桃井が待っているであろう露天風呂に向かって走っていった。
スクアーロはそのままそこに留まる。
温泉に入る気がないので暇なのだ。
そしてそんな彼女の背後に立つ者がいた。
「クフフ、全く、フランは愚か、クロームまでもを手懐けるなど、とんだ誑しですね。スペルビ・スクアーロ」
「……骸、お前ちゃんと仕事してるか?」
「してますよ!あなた方と同じ仕事と言うのは気に食いませんが、仕事は仕事。受けたまでには、キチンと遂行致します。クフフ、それとも僕が仕事場にいるのは気に食いませんか?」
「まさか。お前と仕事ができて嬉しいよ。……初めて遇ったときからは、考えも付かなかったからな」
「…………ふん」
「一々突っ掛かってくるのはうぜぇけどな。暇なのかテメーは?」
「暇じゃありませんよ!クフ、やはりあなたはムカつきますね、ガットネロ……!……僕はまた潜みますよ。仕事外で会ったときには、覚悟をしていてくださいね」
「はっ!待っててやるよ」
悪役さながらに笑いながら消えた骸に対して、スクアーロはふんっと鼻を鳴らした。
また彼に狙われるのは面倒だけれども、あの時の少年が元気に殺しに来てくれる、と言うのは、嬉し……いや、複雑だ……。
うぅむ、と、考え込んで、そのままベンチに座って10分程。
見知った人々の気配を察知したスクアーロは、スッと立ち上がった。
「……皆さん、早かったですね!」
「アル先生、もしかしてここで待ってたんですか?」
「オレ達てっきり先生も来るもんだと思ってたんですけど……」
「いや、オレは……温泉って何か苦手で」
「あ、そっか。外国の人って確か、そう言う文化ないんだったよね!!」
「でもイタリア……古代ローマでは温泉文化ありましたよね?」
「その、体に大きな傷があって、あまり見られたくないんですよね」
「あ、そうだったのか……ですか」
駆け寄ってきた部員達に、入れない理由を説明すると、彼らは申し訳なさそうな顔をして、それ以上は聞かなかった。
……スクアーロは別に嘘はついてない。
体に大きな傷があることは間違いないし、見られたくないのも本当である。
……ただ、性別の事について話していないと言うだけで。
と言うか、ずっと思っていたのだが火神の敬語って変、だよな。
と、スクアーロは唐突に思ってほんの少し首を傾げた。
日本語は確かに難しいけど、下手すぎじゃねぇか?
「……あ、そうだ。折角の温泉ですし、皆で牛乳でも飲みましょう!温泉に入ったら牛乳って聞きました。オレが奢りますよ」
「えぇ!?そんな、悪いですよ!休日に付き合わせてしまって、バスを出してもらった上に、そんな……」
「子供がそんなこと気にしたらダメですよ、相田さん。素直に奢られてください!」
にかっと笑ったスクアーロに、彼らは流されて頷く。
彼らが売店の売り子に注文するのを聞きながら、スクアーロは財布を開く。
温泉の後にはマル秘ドッキリ、リコパパ特訓が待ち構えているのだったか。
近くに良い感じの自然が広がっているわけだし、そこも使うのだとしたら、結構護衛が大変そうだな。
今日、明日が休みで、その間はずっと特訓をするのだろうから、そうなるとこの2日間の護衛はかなりハードになるかもしれない。
今後の任務を憂うスクアーロの元に、敵アジトに向かったレヴィと家光から連絡が入るのは、それから30分後の事であった……。
「お疲れ様、だな、クローム」
「!あの、鮫の人も、お疲れ様です」
温泉に入りにいく桐皇バスケ部の一行と離れ、クロームが会いに行ったのは、現在誠凛高校の教師に化けているスクアーロだった。
たたっと寄ってきたクロームの頭を撫でて労ると、クロームからも手が伸びてくる。
スクアーロは、少し身を屈めてその手を受け入れた。
「……敵、いた?」
「いや、今日はいないな。今さっき、敵のアジトの一つを見付けた。レヴィと門外顧問グループが向かっている。そのせいで敵が少ないのかもしれねぇ」
「そうなの?」
クロームは表情の変化に乏しいが、それでもわかるくらい、その情報には驚いた様子だった。
余計な情報を与えて味方を混乱させる必要はない、と、スクアーロ達はアジトの情報は話していなかったのだ。
「もしかしたら、関東圏外の高校が狙われるかもしれねぇが、向こうも準備は万端に整えている。雲雀も出るそうだから、安心しろ」
「……うん」
スクアーロに言われ頷いたクロームは、少しだけ桐皇バスケ部の報告をする。
骸はどうやら、隠れて着いてきているらしいが、どこにいるのかは不明、との事だった。
「まぁ、どうせその内出てくるだろぉ。……構えとかねぇとな」
「……?」
骸の事だから、スクアーロに対して何をして来るのかは想像がつかない。
首をかしげるクロームに、スクアーロは首を横に振る。
「いや、何でもねぇよ。友達待ってんだろ?早く戻ってやれ」
「っ!はい!」
ぽむぽむ、と頭を撫で、それを受けたクロームは、桃井が待っているであろう露天風呂に向かって走っていった。
スクアーロはそのままそこに留まる。
温泉に入る気がないので暇なのだ。
そしてそんな彼女の背後に立つ者がいた。
「クフフ、全く、フランは愚か、クロームまでもを手懐けるなど、とんだ誑しですね。スペルビ・スクアーロ」
「……骸、お前ちゃんと仕事してるか?」
「してますよ!あなた方と同じ仕事と言うのは気に食いませんが、仕事は仕事。受けたまでには、キチンと遂行致します。クフフ、それとも僕が仕事場にいるのは気に食いませんか?」
「まさか。お前と仕事ができて嬉しいよ。……初めて遇ったときからは、考えも付かなかったからな」
「…………ふん」
「一々突っ掛かってくるのはうぜぇけどな。暇なのかテメーは?」
「暇じゃありませんよ!クフ、やはりあなたはムカつきますね、ガットネロ……!……僕はまた潜みますよ。仕事外で会ったときには、覚悟をしていてくださいね」
「はっ!待っててやるよ」
悪役さながらに笑いながら消えた骸に対して、スクアーロはふんっと鼻を鳴らした。
また彼に狙われるのは面倒だけれども、あの時の少年が元気に殺しに来てくれる、と言うのは、嬉し……いや、複雑だ……。
うぅむ、と、考え込んで、そのままベンチに座って10分程。
見知った人々の気配を察知したスクアーロは、スッと立ち上がった。
「……皆さん、早かったですね!」
「アル先生、もしかしてここで待ってたんですか?」
「オレ達てっきり先生も来るもんだと思ってたんですけど……」
「いや、オレは……温泉って何か苦手で」
「あ、そっか。外国の人って確か、そう言う文化ないんだったよね!!」
「でもイタリア……古代ローマでは温泉文化ありましたよね?」
「その、体に大きな傷があって、あまり見られたくないんですよね」
「あ、そうだったのか……ですか」
駆け寄ってきた部員達に、入れない理由を説明すると、彼らは申し訳なさそうな顔をして、それ以上は聞かなかった。
……スクアーロは別に嘘はついてない。
体に大きな傷があることは間違いないし、見られたくないのも本当である。
……ただ、性別の事について話していないと言うだけで。
と言うか、ずっと思っていたのだが火神の敬語って変、だよな。
と、スクアーロは唐突に思ってほんの少し首を傾げた。
日本語は確かに難しいけど、下手すぎじゃねぇか?
「……あ、そうだ。折角の温泉ですし、皆で牛乳でも飲みましょう!温泉に入ったら牛乳って聞きました。オレが奢りますよ」
「えぇ!?そんな、悪いですよ!休日に付き合わせてしまって、バスを出してもらった上に、そんな……」
「子供がそんなこと気にしたらダメですよ、相田さん。素直に奢られてください!」
にかっと笑ったスクアーロに、彼らは流されて頷く。
彼らが売店の売り子に注文するのを聞きながら、スクアーロは財布を開く。
温泉の後にはマル秘ドッキリ、リコパパ特訓が待ち構えているのだったか。
近くに良い感じの自然が広がっているわけだし、そこも使うのだとしたら、結構護衛が大変そうだな。
今日、明日が休みで、その間はずっと特訓をするのだろうから、そうなるとこの2日間の護衛はかなりハードになるかもしれない。
今後の任務を憂うスクアーロの元に、敵アジトに向かったレヴィと家光から連絡が入るのは、それから30分後の事であった……。