突撃!隣の浮気現場!!
「日本の警察に頼まれて、犯罪組織を潰したぁ!?」
「お゙う、ボンゴレは昔から警察組織との関わりが深くてなぁ。手に負えない犯罪者が出たときには、頼まれて潰すこともたまにあるんだよ。まあ、恩を売っときゃあ、こっちも後々の為になるしなぁ。今回の奴らは数が少ないせいか、コロコロと拠点を変える上に、見付けても炎で返り討ちにされるってんで、オレが呼ばれたんだぁ」
人のいない路地を抜け、小さな公園に辿り着いた彼らは、スクアーロから詳しい話を聞き、唖然とした。
まさかそんな経緯があったとは……。
「で、でも何でシャマルと組んで動いてたんだ!?別にアイツらを潰すのにシャマルと組む必要はないだろ!?」
「ああ、それは……」
ディーノに問い質され、スクアーロは少し言い淀む。
だが直ぐに、シャマルと組んだ理由を白状した。
「継承式が行われる前に、山本が負傷しただろう?」
「え?オレ?」
「白蘭に治してもらう前に、こいつにも診てもらったんだぁ。その時に成り行きで、今度暇があったらお茶くらい付き合ってやるって言っちまってなぁ」
「はあ!?」
「で、催促の電話がしつこくてな。でも暇はねぇし、仕方ねぇから仕事手伝わせる代わりに、デートしても良いって言った」
「オレが前日までに売人の居場所見付けて~、で今日デートで色々回りながらソイツらを潰しつつ、元締めの居場所を探して全部捕まえて、警察に引き渡してから、二人でホテルに行くっつー寸法よ」
「ホテルには行かねぇが、まあ大方そんなところだぁ。部下が調べるより早くに調べがついたし、二人だけだから敵の警戒も低かったみたいで良かったぜ」
お陰で仕事も少し減ったと嬉しそうなスクアーロに、ディーノは頭を抱えたくなった。
だからって!だからってデートはない!
「て言うか、いつからオレ達の事に気付いてたの!?」
「イタリアを発った時からだな」
「一番初めからじゃん!!」
そんな初っぱなから気付かれていたことが相当ショックだったのか、ルッスーリアとベルが頭を抱えて項垂れている。
「ちなみに、お前らと別にオレ達の跡をつけていた部下が、今頃奴らの回収をしてるだろうな。まあ仕事も終わったし、テメーらもさっさと帰るんだなぁ」
「うん、もう早く帰りたい。何だったんだろ、今日1日……」
最後に綱吉が、ため息を吐いて額を押さえる。
結局、二人に振り回されるだけ振り回されて終わっただけ……。
まあ、スクアーロが二股かけてた訳じゃないってわかった分だけ、良かったかな。
綱吉は無理矢理自分を納得させると、獄寺と山本に声を掛けた。
「……帰ろっか」
「はい!こんな奴ら放って早く帰りましょう!」
「そうだな!誰も怪我しなかったし、めでたしめでたしなのなー」
山本だけとてもポジティブだ。
肩を落とす綱吉を挟んで、山本と獄寺、3人が揃って帰っていくのを見送り、そしてルッスーリアとベルも歩き出す。
「マジ無駄足じゃん。しし、王子やけ食いしにいくからお金出せよ、スクアーロぉ」
「本当よぉ!勘繰っちゃって損した気分だわ~!」
「勝手についてきたのに、結局オレに金をせびるのかテメーら」
スクアーロはひくりと口元をひきつらせてそう言うが、結局は財布から何枚かお札を取り出すと、ベルにそれを手渡した。
「は?スクアーロは来ねぇの?」
「……先行ってろぉ」
「しし、ま、良いや。後から来いよなー」
「じゃあ私達、先に行ってるわねん」
二人もまた、綱吉達を追うように歩き去っていった。
残ったのはシャマルにスクアーロ、キャバッローネ主従二人である。
スクアーロはシャマルに向き直ると、ヒラヒラと手を振って言った。
「じゃあお疲れさん。もう終わったから帰って良いぜ」
「いやいやぁ、まだこれからが本番だろ?」
「さっさと帰れ」
「もう少しオジサンを労る気持ちも必要だと思う!」
早く帰れと、スクアーロはナイフを構える。
シャマルはしょんぼりと項垂れる。
「はあ……ま、本物には勝てねぇよな。スクアーロちゃん、また遊ぼーな~」
「もう遊ばねぇよカス!」
「あ、それとよぉ」
チラリとディーノを見ながら、シャマルは最後にイタズラっぽく笑いながら、スクアーロに耳打ちをした。
「彼氏の事は、ちゃんと大事にしてやれよな?」
「っ……!」
「んじゃ、またねん♪」
「っ!?」
軽快に言って、シャマルは去り際にスクアーロの頬に唇を触れさせて、あっという間に去っていった。
固まったスクアーロと、ディーノが我に返ったときには、もう影も形も残っていなかったのだった。
「なっ……」
「あ……アイツ何して……!」
何が起こったのか、ようやく把握したディーノが追いかけようとすると、スクアーロは慌ててそれを止めた。
「なんで止めるんだよ!?」
「今日は仕事手伝ってもらったんだ。見逃してやれ」
「……本当に、仕事手伝ってもらっただけかよ」
「あ?」
「オレには何にも言わないで、シャマルとデートして楽しかったかよ?指輪とかピアスとかプレゼントしてもらって……良かったじゃねぇか。そんなにシャマルの方が良いなら、オレに構ってないでアイツを追いかければ……」
「何ふざけたこと言ってやがる、このカス!」
「ふげっ!?」
拗ねたようなディーノの言葉。
それに返ってきたのは、情け容赦のない膝蹴りだった。
踞るディーノを見て、ロマーリオは思わず自分の腹を押さえる。
見ているだけで痛そうだ。
蹴られたのが自分じゃなくてよかった。
「誰があんなオッサン追いかけるか!だいたいアクセサリーとかもらったって嬉しくねぇし、それにっ、お前に言わなかったのは、その……」
「な、なんだよ……?」
「シャマルに、聞きたい事が、あったからで……」
「聞きたい事?」
「っ……!」
スクアーロは顔を背けると、ぎゅっと拳を作る。
それにしても、シャマルの扱いが酷すぎる。
今更な事ではあるが。
スクアーロは暫く躊躇うように、視線を左右に泳がせていたが、ようやく心の準備が整ったのか、ディーノに顔を向けて、大きく口を開いた。
「お、オレを!」
「スクアーロを?」
「な、名前で、呼べ!」
「……名前?」
「ゔ……ぐ、シャマルに、恋人同士なら、名前で呼べって、言われた!呼べ!」
「ぅえええ!?」
一周回って吹っ切れたのだろうか、スクアーロは呼べ呼べと怒ったように言いながらディーノに迫る。
ロマーリオは端からその光景を見つつ、顎に手を当てて考えていた。
なるほど、これがツンギレか。
どちらかというと、デレキレな気がするが。
「す、すぺるび?」
「っ……!」
「これで良いのか?」
「っこれは、お前に、やる」
「え?箱?」
「やる!受け取れ!」
「はっ、はいぃ!!」
もはや自棄だ。
バシッとディーノに小さな箱を投げ付けると、怒ったようにどこかに歩いていってしまった。
……いや、直ぐに道を引き返してくる。
「その……不安にさせたのは、悪かった」
「え、」
「さっさと行くぞカス!」
「うぉおおぅ!?」
ズルズルとディーノを引きずっていくスクアーロを、ロマーリオはため息を吐いて追い掛けていったのだった。
「お゙う、ボンゴレは昔から警察組織との関わりが深くてなぁ。手に負えない犯罪者が出たときには、頼まれて潰すこともたまにあるんだよ。まあ、恩を売っときゃあ、こっちも後々の為になるしなぁ。今回の奴らは数が少ないせいか、コロコロと拠点を変える上に、見付けても炎で返り討ちにされるってんで、オレが呼ばれたんだぁ」
人のいない路地を抜け、小さな公園に辿り着いた彼らは、スクアーロから詳しい話を聞き、唖然とした。
まさかそんな経緯があったとは……。
「で、でも何でシャマルと組んで動いてたんだ!?別にアイツらを潰すのにシャマルと組む必要はないだろ!?」
「ああ、それは……」
ディーノに問い質され、スクアーロは少し言い淀む。
だが直ぐに、シャマルと組んだ理由を白状した。
「継承式が行われる前に、山本が負傷しただろう?」
「え?オレ?」
「白蘭に治してもらう前に、こいつにも診てもらったんだぁ。その時に成り行きで、今度暇があったらお茶くらい付き合ってやるって言っちまってなぁ」
「はあ!?」
「で、催促の電話がしつこくてな。でも暇はねぇし、仕方ねぇから仕事手伝わせる代わりに、デートしても良いって言った」
「オレが前日までに売人の居場所見付けて~、で今日デートで色々回りながらソイツらを潰しつつ、元締めの居場所を探して全部捕まえて、警察に引き渡してから、二人でホテルに行くっつー寸法よ」
「ホテルには行かねぇが、まあ大方そんなところだぁ。部下が調べるより早くに調べがついたし、二人だけだから敵の警戒も低かったみたいで良かったぜ」
お陰で仕事も少し減ったと嬉しそうなスクアーロに、ディーノは頭を抱えたくなった。
だからって!だからってデートはない!
「て言うか、いつからオレ達の事に気付いてたの!?」
「イタリアを発った時からだな」
「一番初めからじゃん!!」
そんな初っぱなから気付かれていたことが相当ショックだったのか、ルッスーリアとベルが頭を抱えて項垂れている。
「ちなみに、お前らと別にオレ達の跡をつけていた部下が、今頃奴らの回収をしてるだろうな。まあ仕事も終わったし、テメーらもさっさと帰るんだなぁ」
「うん、もう早く帰りたい。何だったんだろ、今日1日……」
最後に綱吉が、ため息を吐いて額を押さえる。
結局、二人に振り回されるだけ振り回されて終わっただけ……。
まあ、スクアーロが二股かけてた訳じゃないってわかった分だけ、良かったかな。
綱吉は無理矢理自分を納得させると、獄寺と山本に声を掛けた。
「……帰ろっか」
「はい!こんな奴ら放って早く帰りましょう!」
「そうだな!誰も怪我しなかったし、めでたしめでたしなのなー」
山本だけとてもポジティブだ。
肩を落とす綱吉を挟んで、山本と獄寺、3人が揃って帰っていくのを見送り、そしてルッスーリアとベルも歩き出す。
「マジ無駄足じゃん。しし、王子やけ食いしにいくからお金出せよ、スクアーロぉ」
「本当よぉ!勘繰っちゃって損した気分だわ~!」
「勝手についてきたのに、結局オレに金をせびるのかテメーら」
スクアーロはひくりと口元をひきつらせてそう言うが、結局は財布から何枚かお札を取り出すと、ベルにそれを手渡した。
「は?スクアーロは来ねぇの?」
「……先行ってろぉ」
「しし、ま、良いや。後から来いよなー」
「じゃあ私達、先に行ってるわねん」
二人もまた、綱吉達を追うように歩き去っていった。
残ったのはシャマルにスクアーロ、キャバッローネ主従二人である。
スクアーロはシャマルに向き直ると、ヒラヒラと手を振って言った。
「じゃあお疲れさん。もう終わったから帰って良いぜ」
「いやいやぁ、まだこれからが本番だろ?」
「さっさと帰れ」
「もう少しオジサンを労る気持ちも必要だと思う!」
早く帰れと、スクアーロはナイフを構える。
シャマルはしょんぼりと項垂れる。
「はあ……ま、本物には勝てねぇよな。スクアーロちゃん、また遊ぼーな~」
「もう遊ばねぇよカス!」
「あ、それとよぉ」
チラリとディーノを見ながら、シャマルは最後にイタズラっぽく笑いながら、スクアーロに耳打ちをした。
「彼氏の事は、ちゃんと大事にしてやれよな?」
「っ……!」
「んじゃ、またねん♪」
「っ!?」
軽快に言って、シャマルは去り際にスクアーロの頬に唇を触れさせて、あっという間に去っていった。
固まったスクアーロと、ディーノが我に返ったときには、もう影も形も残っていなかったのだった。
「なっ……」
「あ……アイツ何して……!」
何が起こったのか、ようやく把握したディーノが追いかけようとすると、スクアーロは慌ててそれを止めた。
「なんで止めるんだよ!?」
「今日は仕事手伝ってもらったんだ。見逃してやれ」
「……本当に、仕事手伝ってもらっただけかよ」
「あ?」
「オレには何にも言わないで、シャマルとデートして楽しかったかよ?指輪とかピアスとかプレゼントしてもらって……良かったじゃねぇか。そんなにシャマルの方が良いなら、オレに構ってないでアイツを追いかければ……」
「何ふざけたこと言ってやがる、このカス!」
「ふげっ!?」
拗ねたようなディーノの言葉。
それに返ってきたのは、情け容赦のない膝蹴りだった。
踞るディーノを見て、ロマーリオは思わず自分の腹を押さえる。
見ているだけで痛そうだ。
蹴られたのが自分じゃなくてよかった。
「誰があんなオッサン追いかけるか!だいたいアクセサリーとかもらったって嬉しくねぇし、それにっ、お前に言わなかったのは、その……」
「な、なんだよ……?」
「シャマルに、聞きたい事が、あったからで……」
「聞きたい事?」
「っ……!」
スクアーロは顔を背けると、ぎゅっと拳を作る。
それにしても、シャマルの扱いが酷すぎる。
今更な事ではあるが。
スクアーロは暫く躊躇うように、視線を左右に泳がせていたが、ようやく心の準備が整ったのか、ディーノに顔を向けて、大きく口を開いた。
「お、オレを!」
「スクアーロを?」
「な、名前で、呼べ!」
「……名前?」
「ゔ……ぐ、シャマルに、恋人同士なら、名前で呼べって、言われた!呼べ!」
「ぅえええ!?」
一周回って吹っ切れたのだろうか、スクアーロは呼べ呼べと怒ったように言いながらディーノに迫る。
ロマーリオは端からその光景を見つつ、顎に手を当てて考えていた。
なるほど、これがツンギレか。
どちらかというと、デレキレな気がするが。
「す、すぺるび?」
「っ……!」
「これで良いのか?」
「っこれは、お前に、やる」
「え?箱?」
「やる!受け取れ!」
「はっ、はいぃ!!」
もはや自棄だ。
バシッとディーノに小さな箱を投げ付けると、怒ったようにどこかに歩いていってしまった。
……いや、直ぐに道を引き返してくる。
「その……不安にさせたのは、悪かった」
「え、」
「さっさと行くぞカス!」
「うぉおおぅ!?」
ズルズルとディーノを引きずっていくスクアーロを、ロマーリオはため息を吐いて追い掛けていったのだった。