突撃!隣の浮気現場!!
事件は上映終了後に起きた。
……いや、上映中からシャマルがスクアーロにちょっかいを出し、それに対してディーノが米神に血管を浮かべるという事件は起きていたのだが、それはカウントしないとして、とにかく事件は劇場で起きたのだ。
原因はほんの些細な事だった。
「……っと、わるい」
立ち上がったスクアーロと、数少ない観客の肩がぶつかり、スクアーロは直ぐに謝った。
だが相手は、そのまま進もうとしたスクアーロの進路を足で塞ぎ、ジロリと睨み付けた。
「痛ぇなぁオイ、姉ちゃん。軽く謝っただけで終わりか、あ゙あん?」
「……」
睨み付ける男を、スクアーロは無言で見返した。
その肩を抱くようにして、シャマルが男からスクアーロを引き離す。
直後、肩を抱いた手はスクアーロに振り払われたが。
「悪かったなぁ兄ちゃん、うちの連れが。でもよぉ、ちゃんと謝ってんだ。ここは大人しく見逃しちゃくれねぇか?」
「ああ?誰だてめぇはよぉ?オレはこの女と話してんだよ。オッサンは黙って帰んな」
「あ゙ん?誰がオッサンだこのガキ」
男にオッサンと言われてカチンと来たのか、シャマルまでドスを効かせた低い声で威嚇し始め、隣のスクアーロは1つ舌打ちをする。
お前まで熱くなってどうする、というところか。
そしてスクアーロは、彼女らしくもなく強行手段に出た。
すなわち、絡んできた男の顔面を、左手の鋼鉄の拳でぶち抜いたのである。
ごしゃっと痛そうな音がして、男の体が崩れ落ちる。
残っていた客から悲鳴が上がったその時には、スクアーロはシャマルの手を引いて劇場を後にしようとしていた。
その手には、男の物と思われる財布や携帯を持っている。
そしてその顔は恐ろしいほどの笑顔である。
綱吉達は彼らを追い掛けるよりも、男を心配するよりもまず、彼女の行動に首を傾げた。
「なんか……キャラちがくない?」
「今までのどの行動よりも、ぽくないのな。……やっぱ何かあるのかな」
「何かって何だよ?まさかあの鮫野郎、シャマルと何か企んでるって言うのか?」
「……とりあえず外に出た方が良いな。客が警察呼んでる。鉢会う前にオレ達もでるぞ」
「しし、モタモタしてたら、オレ達が捕まるかもな」
「跳ね馬ちゃんの言う通り、早く出た方が良いわねん」
ディーノの言葉に従い、全員揃ってその場を後にする。
その途中、チラリと見えた男の鼻が変な方向にひしゃげているのを見て、ディーノは内心舌を巻く。
その早さも正確さも、鮮やかなお手並みと評せざるを得ないモノだ。
と言うか、躊躇もなく金属の義手を着けている左手で殴ったところに戦慄する。
映画館を出て、また二人の背中を追い始めてもまだ、全員が首を捻っていた。
「普段のスクちゃんなら、相手にもしないような男だったわよねぇ」
「まああの女なら、普通は歯牙にも掛けねぇだろうな」
「やっぱり、なーんかあるよな?ししし」
「……なに、考えてんだろうな」
難しい顔をしたディーノの呟きに同調するように、綱吉は頷く。
彼女達が何をしているのか、何がしたいのか、いまいち考えが掴めない。
深刻な顔で二人の姿を眺めるディーノは、二人の後に続いてショッピングモールへと入っていく。
「……俺がいない間に何かあったのか?」
「ろ、ロマーリオさん!!お帰りなさい!」
「ん?お、昼飯買ってきたぜ?」
合流したロマーリオは状況が掴めず、とりあえず買ってきた昼食を綱吉達に渡し、慌ててディーノの背を追いかけたのだった。
……いや、上映中からシャマルがスクアーロにちょっかいを出し、それに対してディーノが米神に血管を浮かべるという事件は起きていたのだが、それはカウントしないとして、とにかく事件は劇場で起きたのだ。
原因はほんの些細な事だった。
「……っと、わるい」
立ち上がったスクアーロと、数少ない観客の肩がぶつかり、スクアーロは直ぐに謝った。
だが相手は、そのまま進もうとしたスクアーロの進路を足で塞ぎ、ジロリと睨み付けた。
「痛ぇなぁオイ、姉ちゃん。軽く謝っただけで終わりか、あ゙あん?」
「……」
睨み付ける男を、スクアーロは無言で見返した。
その肩を抱くようにして、シャマルが男からスクアーロを引き離す。
直後、肩を抱いた手はスクアーロに振り払われたが。
「悪かったなぁ兄ちゃん、うちの連れが。でもよぉ、ちゃんと謝ってんだ。ここは大人しく見逃しちゃくれねぇか?」
「ああ?誰だてめぇはよぉ?オレはこの女と話してんだよ。オッサンは黙って帰んな」
「あ゙ん?誰がオッサンだこのガキ」
男にオッサンと言われてカチンと来たのか、シャマルまでドスを効かせた低い声で威嚇し始め、隣のスクアーロは1つ舌打ちをする。
お前まで熱くなってどうする、というところか。
そしてスクアーロは、彼女らしくもなく強行手段に出た。
すなわち、絡んできた男の顔面を、左手の鋼鉄の拳でぶち抜いたのである。
ごしゃっと痛そうな音がして、男の体が崩れ落ちる。
残っていた客から悲鳴が上がったその時には、スクアーロはシャマルの手を引いて劇場を後にしようとしていた。
その手には、男の物と思われる財布や携帯を持っている。
そしてその顔は恐ろしいほどの笑顔である。
綱吉達は彼らを追い掛けるよりも、男を心配するよりもまず、彼女の行動に首を傾げた。
「なんか……キャラちがくない?」
「今までのどの行動よりも、ぽくないのな。……やっぱ何かあるのかな」
「何かって何だよ?まさかあの鮫野郎、シャマルと何か企んでるって言うのか?」
「……とりあえず外に出た方が良いな。客が警察呼んでる。鉢会う前にオレ達もでるぞ」
「しし、モタモタしてたら、オレ達が捕まるかもな」
「跳ね馬ちゃんの言う通り、早く出た方が良いわねん」
ディーノの言葉に従い、全員揃ってその場を後にする。
その途中、チラリと見えた男の鼻が変な方向にひしゃげているのを見て、ディーノは内心舌を巻く。
その早さも正確さも、鮮やかなお手並みと評せざるを得ないモノだ。
と言うか、躊躇もなく金属の義手を着けている左手で殴ったところに戦慄する。
映画館を出て、また二人の背中を追い始めてもまだ、全員が首を捻っていた。
「普段のスクちゃんなら、相手にもしないような男だったわよねぇ」
「まああの女なら、普通は歯牙にも掛けねぇだろうな」
「やっぱり、なーんかあるよな?ししし」
「……なに、考えてんだろうな」
難しい顔をしたディーノの呟きに同調するように、綱吉は頷く。
彼女達が何をしているのか、何がしたいのか、いまいち考えが掴めない。
深刻な顔で二人の姿を眺めるディーノは、二人の後に続いてショッピングモールへと入っていく。
「……俺がいない間に何かあったのか?」
「ろ、ロマーリオさん!!お帰りなさい!」
「ん?お、昼飯買ってきたぜ?」
合流したロマーリオは状況が掴めず、とりあえず買ってきた昼食を綱吉達に渡し、慌ててディーノの背を追いかけたのだった。