突撃!隣の浮気現場!!
昼食を取った後、二人が向かったのは映画館だった。
詰まらなそうな顔をしているスクアーロの腕を引いて、シャマルが中に入っていく。
二人の入っていった扉の前には、B級恋愛映画のポスターがでかでかと貼られている。
後について入っていった6人は、映画のパンフレットを見て絶句した。
甘い、この映画甘すぎる。
最初から最後まで、恋人同士がとにかくイチャイチャしているだけの、クソつまらない映画である。
シャマルの魂胆が透けて見えるようだ。
むしろ火を見るよりも明らかだ。
スクアーロは面倒くさそうにしながらも抗う気はないようで、シャマルに引かれるままに館内に入って席に座る。
今度は少し近いからか、二人の声が聞こえた。
「……おい」
「ん~?どしたの?オジサンの膝の上座る!?」
「死ね。そうじゃねぇよ。この飲み物とポップコーン、何だよ」
「え?映画館って言えばコーラとポップコーンだろ?オレからのさ・ぁ・び・す♡」
「……頼んでねぇよ」
仏頂面のスクアーロを宥めながら、シャマルがコーラのカップを渡すと、自分も座席に腰を落ち着ける。
軽くため息を吐いたスクアーロは、ポケットから財布を出すと、その中から1000円札を一枚取り、シャマルに渡した。
「……ん」
「ジュース代か?女の子はそんなの気にしねーで良いんだぜ?ほらほらぁ、そんなの仕舞う仕舞う!」
「……でも、」
「貸し借りは嫌か?」
「……まあな」
「なら体で返してくれれば良いと思うぜ!」
「……」
「痛い痛い痛い痛い!!」
無言でアイアンクローを掛けられて、悶絶の声を上げるシャマル。
だが、ディーノはそれを馬鹿にする余裕はなかった。
「うおっ!!」
「ちょっ!ディーノさん足元よく見て!」
「わ、わかってるって……ぎゃっ!」
「何やってんのよアンタ……あん!もう!ちゃんと周りを見なさいよぉ!!」
「わ、わりぃってば……!」
持ち前のへなちょこを発揮している最中のディーノは、階段でこけそうになったり、人にぶつかったりと忙しい。
何とか彼を一番奥の座席に座らせ、綱吉は額の汗を拭った。
1歩歩くだけでも恐怖である。
恐るべし究極のボス体質……。
自分は違くて良かった。
「別に良いだろ~チューするくらい。もうこの際口じゃなくても良いからさぁ……」
「嫌だ」
「ちぇー。……じゃあさ、手ぇ貸して」
「は?」
ニッと笑って言ったシャマルに、不思議そうにしながらもスクアーロは左手を差し出す。
その手を取ったシャマルは、人差し指にそろりと指輪を嵌めた。
「今日だけはオレの女ってことで」
「……捨てるぞ」
「いんだよ別にさ。今日だけの特別、て思うと、そう言うのもアリだろ?」
「……」
嫌そうに顔を歪めて、指に嵌められたリングを眺めたスクアーロは、ため息を吐いて手をさする。
今日は目立つのを恐れてか、普段着けているヴァリアーリングは仕舞っているようで、シャマルの着けたシルバーのリングだけがその指に輝いている。
慣れないリングが気になるのか、頻りに指を気にしているが、それさえもシャマルは嬉しいようだった。
「っーーー!!」
「ディーノさんが息してない!」
「あらん?私が人工呼吸シテあげましょうかぁ?」
「殺す気ですか!?」
「しし、それにしてもマジでスクアーロ、なに考えてんだろな?」
「雰囲気は一日限りの恋人って感じよねぇ?やだわぁ~、私もそんなドキドキするような男と出会えないかしらぁ♡」
「無理だろ」
「無理なのなー」
「ししし、ぜってー無理!」
「ごめんなさい、無理だと思います」
「……無理だな」
「跳ね馬まで揃って何よ!」
ルッスーリアの言葉は、全員に揃って否定される。
そしてその直後、劇場が真っ暗になり、ようやく映画が始まった。
その間中、ずっとディーノはスクアーロのいつもと違う茶色の頭を見詰めていた。
先程までは荒ぶりながらも、そこまで本気で不安に思っていた訳ではない。
だがシャマルに手を握られても、顔をしかめるくらいで何も抵抗をしない彼女に、段々と不安が募ってきていた。
まさか……、いやでも……、
強く握り締められた拳を、隣で綱吉が心配そうに見ていた。
詰まらなそうな顔をしているスクアーロの腕を引いて、シャマルが中に入っていく。
二人の入っていった扉の前には、B級恋愛映画のポスターがでかでかと貼られている。
後について入っていった6人は、映画のパンフレットを見て絶句した。
甘い、この映画甘すぎる。
最初から最後まで、恋人同士がとにかくイチャイチャしているだけの、クソつまらない映画である。
シャマルの魂胆が透けて見えるようだ。
むしろ火を見るよりも明らかだ。
スクアーロは面倒くさそうにしながらも抗う気はないようで、シャマルに引かれるままに館内に入って席に座る。
今度は少し近いからか、二人の声が聞こえた。
「……おい」
「ん~?どしたの?オジサンの膝の上座る!?」
「死ね。そうじゃねぇよ。この飲み物とポップコーン、何だよ」
「え?映画館って言えばコーラとポップコーンだろ?オレからのさ・ぁ・び・す♡」
「……頼んでねぇよ」
仏頂面のスクアーロを宥めながら、シャマルがコーラのカップを渡すと、自分も座席に腰を落ち着ける。
軽くため息を吐いたスクアーロは、ポケットから財布を出すと、その中から1000円札を一枚取り、シャマルに渡した。
「……ん」
「ジュース代か?女の子はそんなの気にしねーで良いんだぜ?ほらほらぁ、そんなの仕舞う仕舞う!」
「……でも、」
「貸し借りは嫌か?」
「……まあな」
「なら体で返してくれれば良いと思うぜ!」
「……」
「痛い痛い痛い痛い!!」
無言でアイアンクローを掛けられて、悶絶の声を上げるシャマル。
だが、ディーノはそれを馬鹿にする余裕はなかった。
「うおっ!!」
「ちょっ!ディーノさん足元よく見て!」
「わ、わかってるって……ぎゃっ!」
「何やってんのよアンタ……あん!もう!ちゃんと周りを見なさいよぉ!!」
「わ、わりぃってば……!」
持ち前のへなちょこを発揮している最中のディーノは、階段でこけそうになったり、人にぶつかったりと忙しい。
何とか彼を一番奥の座席に座らせ、綱吉は額の汗を拭った。
1歩歩くだけでも恐怖である。
恐るべし究極のボス体質……。
自分は違くて良かった。
「別に良いだろ~チューするくらい。もうこの際口じゃなくても良いからさぁ……」
「嫌だ」
「ちぇー。……じゃあさ、手ぇ貸して」
「は?」
ニッと笑って言ったシャマルに、不思議そうにしながらもスクアーロは左手を差し出す。
その手を取ったシャマルは、人差し指にそろりと指輪を嵌めた。
「今日だけはオレの女ってことで」
「……捨てるぞ」
「いんだよ別にさ。今日だけの特別、て思うと、そう言うのもアリだろ?」
「……」
嫌そうに顔を歪めて、指に嵌められたリングを眺めたスクアーロは、ため息を吐いて手をさする。
今日は目立つのを恐れてか、普段着けているヴァリアーリングは仕舞っているようで、シャマルの着けたシルバーのリングだけがその指に輝いている。
慣れないリングが気になるのか、頻りに指を気にしているが、それさえもシャマルは嬉しいようだった。
「っーーー!!」
「ディーノさんが息してない!」
「あらん?私が人工呼吸シテあげましょうかぁ?」
「殺す気ですか!?」
「しし、それにしてもマジでスクアーロ、なに考えてんだろな?」
「雰囲気は一日限りの恋人って感じよねぇ?やだわぁ~、私もそんなドキドキするような男と出会えないかしらぁ♡」
「無理だろ」
「無理なのなー」
「ししし、ぜってー無理!」
「ごめんなさい、無理だと思います」
「……無理だな」
「跳ね馬まで揃って何よ!」
ルッスーリアの言葉は、全員に揃って否定される。
そしてその直後、劇場が真っ暗になり、ようやく映画が始まった。
その間中、ずっとディーノはスクアーロのいつもと違う茶色の頭を見詰めていた。
先程までは荒ぶりながらも、そこまで本気で不安に思っていた訳ではない。
だがシャマルに手を握られても、顔をしかめるくらいで何も抵抗をしない彼女に、段々と不安が募ってきていた。
まさか……、いやでも……、
強く握り締められた拳を、隣で綱吉が心配そうに見ていた。