お礼とそして、
「あなた、弱くなったね」
「は?」
コンクリートの壁を破壊するという、刺激的な登場をした雲雀は、不機嫌そうな顔でディーノを見下ろし、吐き捨てるように言った。
「直前になっても、僕が側に来てることに、気付かなかった。これを弱くなったと言わないで何て言うの?あと、僕の並盛で如何わしい事、しないでよね」
「それは……たまたまだ!それに別に如何わしい事とかしてねーよ!」
果敢に言い返すも、雲雀の言う通り、彼の攻撃に気付かなかったのは紛れもない事実で、スクアーロが気付かなければディーノは、コンクリートを破壊するほどの威力の攻撃を後頭部に食らっていたかもしれない。
「あなたが弱くなったことは、紛れもない事実だよ」
「ちょっと待て雲雀ぃ!」
だが、ディーノを見おろす……いや、見下す雲雀に待ったを掛けたのはスクアーロであった。
ムスッとした顔で雲雀を睨んで、口を開く。
「こいつは別に弱くねぇよ」
「……何を根拠に?」
「こいつは、弱いんじゃなくてへなちょこなだけだぁ」
「んなーっ!?」
「……まあ、今日はあのオジサンがいないし、それも一理あるかもね」
「恭弥もっ!?」
雲雀もディーノの面倒な体質を知っていたのか、スクアーロの言葉になるほど、とばかりに頷く。
ディーノだけが、一人納得のいかない顔をしている。
だが事実なのだ。
ここに綱吉がいても、大きく首を振って納得していた事だろう。
「まあ、弱くなったって言ったことは撤回してあげる。でも如何わしい事しようとしてたのは、間違いないでしょ」
「あ゙あ?」
「ワオ、自覚がないのかい?あなたがそこの壁に押し付けられて、強引にキスされそうになってたじゃない」
「え……あっ……!」
雲雀は自分の破壊した壁を指差して、ジトッとスクアーロを睨む。
睨まれた本人は、ついさっきの事を思い出したのか、ぶわりと顔を赤く染めた。
「そ、そんなこと……!」
「するならホテルにでも行ってよね。まあ、この並盛にラブホテルなんてモノはないけどね」
「ラ、ラブホ……って……!オレはそんなところ行かねぇ!」
「別にキスくらい良いだろ?その後如何わしい事するかどうかはまた別の話だし」
「い、いかがわ……!」
さらっと言ったディーノに、スクアーロは裏切られたような気持ちで詰め寄る。
「おま、お前何しようとしてたんだよ!!」
「キスだけだぜ?」
「ほ、本当に!?」
「……たぶん」
「っ!?」
真っ赤になってディーノに縋るスクアーロは、信じてたのに、と円らな瞳で語っている。
思わず顔を逸らしたディーノに、雲雀が馬鹿にしたように鼻を鳴らした。
「どうせ、あわよくば、とか思ってたんでしょ」
「思ってねー!思ってねーよ!」
「跳ね馬……?」
「ちょっ……そんな目で見んなって!本当だよ!」
「嘘だね。今ここで咬み殺してあげるよ」
「なにっ!?ちょっ、ちょっと待て恭弥!!」
「待たない」
「ってスクアーロ!?なんでオレの事羽交い締めにしてんだよ!!」
「変態、バカ、……お前なんか嫌いだ!」
「は、はあ!?」
背中に張り付くようにしてディーノを羽交い締めにしたスクアーロは、彼の首に顔を埋めるようにしてそう言った。
その声に、ディーノが振り返ろうとし、その横っ面を、雲雀のトンファーが張り飛ばしたのだった……。
「……あなた、何しに並盛に来たのか知らないけど、僕に用があるなら、まずはその義手、使いこなせるようにしてよね。腕を失ったあなたが、どんな強さを手に入れるのか、楽しみにしててあげる」
「……そん時には、テメーのことをぼこぼこにしてやるよ」
「まさか、僕があなたを咬み殺すんだよ」
またね、と言い残し、雲雀は背中を向けて去っていった。
* * *
「いっ……ててて……」
「……ざまあねーな」
「ひっでーなー……」
地面に尻餅をついて頬を押さえたディーノは、痛みで涙目になった瞳をスクアーロに向けた。
ディーノと視線を合わせるためにしゃがんだ彼女は、気まずそうに目を伏せる。
「何も、押さえ付けることねーだろ」
「……だって」
「後さ、あの嫌いって言ったの、なんだよ。そんなにオレにキスされそうになったの嫌だったのか?」
そうだったら流石に凹む。
そう言うディーノに対して、スクアーロは膝を抱えて俯き、小さな声で答えた。
「そういうことじゃ、ねえ」
「じゃー、何が嫌いなんだよ」
「……別に」
「別に、じゃねーっての」
チラッと、ほんの少し目を上げてディーノの様子を伺ったスクアーロは、話しづらそうに口を開いたり閉じたりしながら、一言ずつ区切るように話始めた。
「お前は……あの、オレと、したいの、か?」
「へ?」
「……い、如何わしい事、したいのか?」
真っ赤な顔で言った彼女に、ディーノは度肝を抜かれた。
そんなこと聞くのか!?と、聞きたいのを押さえて、とりあえずは聞かれたことに答える。
「えーっと……、出来ることなら?」
「っ!でも……!」
「でも?」
「胸、小さいしっ」
「知ってる」
「傷だらけで……」
「むしろソソる」
「……そう言うの、したことない、し」
「オレが初めてになれるんだな」
「~っ!」
嬉しそうなディーノとは対極に、スクアーロは耳まで赤くして声も出ない。
赤くなりすぎて蒸気でも出るんじゃないのか、という様子だった。
「このっ……この、バカ!」
「へ!?」
「ドカス!」
「なんでだ!?」
唐突にスクアーロはそう言うと、ガバッと立ち上がり、駆け出した。
慌ててディーノが後を追おうとしたが……
「て、速っ!!」
あっという間に見えなくなったのだった。
「は?」
コンクリートの壁を破壊するという、刺激的な登場をした雲雀は、不機嫌そうな顔でディーノを見下ろし、吐き捨てるように言った。
「直前になっても、僕が側に来てることに、気付かなかった。これを弱くなったと言わないで何て言うの?あと、僕の並盛で如何わしい事、しないでよね」
「それは……たまたまだ!それに別に如何わしい事とかしてねーよ!」
果敢に言い返すも、雲雀の言う通り、彼の攻撃に気付かなかったのは紛れもない事実で、スクアーロが気付かなければディーノは、コンクリートを破壊するほどの威力の攻撃を後頭部に食らっていたかもしれない。
「あなたが弱くなったことは、紛れもない事実だよ」
「ちょっと待て雲雀ぃ!」
だが、ディーノを見おろす……いや、見下す雲雀に待ったを掛けたのはスクアーロであった。
ムスッとした顔で雲雀を睨んで、口を開く。
「こいつは別に弱くねぇよ」
「……何を根拠に?」
「こいつは、弱いんじゃなくてへなちょこなだけだぁ」
「んなーっ!?」
「……まあ、今日はあのオジサンがいないし、それも一理あるかもね」
「恭弥もっ!?」
雲雀もディーノの面倒な体質を知っていたのか、スクアーロの言葉になるほど、とばかりに頷く。
ディーノだけが、一人納得のいかない顔をしている。
だが事実なのだ。
ここに綱吉がいても、大きく首を振って納得していた事だろう。
「まあ、弱くなったって言ったことは撤回してあげる。でも如何わしい事しようとしてたのは、間違いないでしょ」
「あ゙あ?」
「ワオ、自覚がないのかい?あなたがそこの壁に押し付けられて、強引にキスされそうになってたじゃない」
「え……あっ……!」
雲雀は自分の破壊した壁を指差して、ジトッとスクアーロを睨む。
睨まれた本人は、ついさっきの事を思い出したのか、ぶわりと顔を赤く染めた。
「そ、そんなこと……!」
「するならホテルにでも行ってよね。まあ、この並盛にラブホテルなんてモノはないけどね」
「ラ、ラブホ……って……!オレはそんなところ行かねぇ!」
「別にキスくらい良いだろ?その後如何わしい事するかどうかはまた別の話だし」
「い、いかがわ……!」
さらっと言ったディーノに、スクアーロは裏切られたような気持ちで詰め寄る。
「おま、お前何しようとしてたんだよ!!」
「キスだけだぜ?」
「ほ、本当に!?」
「……たぶん」
「っ!?」
真っ赤になってディーノに縋るスクアーロは、信じてたのに、と円らな瞳で語っている。
思わず顔を逸らしたディーノに、雲雀が馬鹿にしたように鼻を鳴らした。
「どうせ、あわよくば、とか思ってたんでしょ」
「思ってねー!思ってねーよ!」
「跳ね馬……?」
「ちょっ……そんな目で見んなって!本当だよ!」
「嘘だね。今ここで咬み殺してあげるよ」
「なにっ!?ちょっ、ちょっと待て恭弥!!」
「待たない」
「ってスクアーロ!?なんでオレの事羽交い締めにしてんだよ!!」
「変態、バカ、……お前なんか嫌いだ!」
「は、はあ!?」
背中に張り付くようにしてディーノを羽交い締めにしたスクアーロは、彼の首に顔を埋めるようにしてそう言った。
その声に、ディーノが振り返ろうとし、その横っ面を、雲雀のトンファーが張り飛ばしたのだった……。
「……あなた、何しに並盛に来たのか知らないけど、僕に用があるなら、まずはその義手、使いこなせるようにしてよね。腕を失ったあなたが、どんな強さを手に入れるのか、楽しみにしててあげる」
「……そん時には、テメーのことをぼこぼこにしてやるよ」
「まさか、僕があなたを咬み殺すんだよ」
またね、と言い残し、雲雀は背中を向けて去っていった。
* * *
「いっ……ててて……」
「……ざまあねーな」
「ひっでーなー……」
地面に尻餅をついて頬を押さえたディーノは、痛みで涙目になった瞳をスクアーロに向けた。
ディーノと視線を合わせるためにしゃがんだ彼女は、気まずそうに目を伏せる。
「何も、押さえ付けることねーだろ」
「……だって」
「後さ、あの嫌いって言ったの、なんだよ。そんなにオレにキスされそうになったの嫌だったのか?」
そうだったら流石に凹む。
そう言うディーノに対して、スクアーロは膝を抱えて俯き、小さな声で答えた。
「そういうことじゃ、ねえ」
「じゃー、何が嫌いなんだよ」
「……別に」
「別に、じゃねーっての」
チラッと、ほんの少し目を上げてディーノの様子を伺ったスクアーロは、話しづらそうに口を開いたり閉じたりしながら、一言ずつ区切るように話始めた。
「お前は……あの、オレと、したいの、か?」
「へ?」
「……い、如何わしい事、したいのか?」
真っ赤な顔で言った彼女に、ディーノは度肝を抜かれた。
そんなこと聞くのか!?と、聞きたいのを押さえて、とりあえずは聞かれたことに答える。
「えーっと……、出来ることなら?」
「っ!でも……!」
「でも?」
「胸、小さいしっ」
「知ってる」
「傷だらけで……」
「むしろソソる」
「……そう言うの、したことない、し」
「オレが初めてになれるんだな」
「~っ!」
嬉しそうなディーノとは対極に、スクアーロは耳まで赤くして声も出ない。
赤くなりすぎて蒸気でも出るんじゃないのか、という様子だった。
「このっ……この、バカ!」
「へ!?」
「ドカス!」
「なんでだ!?」
唐突にスクアーロはそう言うと、ガバッと立ち上がり、駆け出した。
慌ててディーノが後を追おうとしたが……
「て、速っ!!」
あっという間に見えなくなったのだった。