夏目鬼灯様(群青おまけ)
「……へぇ、意外だなぁ。
ディーノクンって、素手でも結構強いんだ。
知らなかったよ♪」
「あのリボーンおじさまの弟子ですもの。」
「ああ、そりゃそうだね。」
そんなこともあった、なんて具合に話したら、白蘭には少し意外そうな顔をされた。
まあでも、アイツとオレが本気で戦うことは確かに珍しかったし、無理もない、のかもしれない。
「なんか、こうやって昔のことを話すのって新鮮で楽しいね。」
ポツリと、白蘭が溢した。
そう言えば、自分達が転生を始めた後のことを話すことは多かったが、その前の話をすることは少なかったと思う。
何となく、互いに躊躇いを感じていた。
地雷を踏んでしまうような、タブーに触れてしまうような、そんな気持ちがどこかしらにあったのだ。
「折角だから、もうちょっと昔話でもしてのんびりしようか♪」
白蘭の言葉にユニが大きく頷いて賛同する。
「はい!
私スクアーロさんと恋ばなしてみたかったんです!」
「え、ボクは?」
「……そうだなぁ。
ユニの話も聞いてみたい。」
「ねぇ、ボクは?」
タイミング良く、翌日は休みで、オレ達は夜が更けるまで語り尽くした。
ここに骸もいればなぁ、なんて思った。
機が来たその時には、一刻でも早く、迎えにいってやろう。
例え奴が嫌がったって、力尽くで連れて帰るのだ。
「……いつか、全員でこうしてお話がしたいですね……。」
ユニがそう言った。
オレは頬を緩めて頷いた。
「そうだなぁ、全員が揃えるように、頑張ろうぜぇ。」
「はい!」
「まずは骸クンからだね♪」
オレの頷きに返してくれるように、ユニと白蘭は笑みを深めたのだった。
「……クフ、何故でしょうか。」
「どうかしましたか?六道さん。」
「いいえ、なんでもありませんよ。」
近くにいた男にそう返して、骸は瞳を伏せて考え込んだ。
「何故……。」
最後、跳ね馬ディーノを持ち出したのは、何てことのない気紛れだった。
奴に精神的なダメージを食らわせてやろうと言う、骸なりの心ばかりの嫌がらせである。
だがまさか、自分の力が弾かれるとは思わなかった。
何者の仕業なのだろう。
相手の持つ力が霊圧であろうと、念であろうと何であろうと、自分よりも高い生命エネルギーを持っていることに間違いはない。
「まったく、何度生まれ変わっても運の良いやつですね……。」
はあ、と深く溜め息を吐いて、骸は手元の仕事に視線を戻したのであった。
「それにしても、なんだか寒気が……」
「具合悪いんですか、六道さん?」
「大丈夫ですってば。」
そう返して、筆をとった骸は、直後盛大なくしゃみをしたのだった。
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