夏目鬼灯様その2(群青×)

「で、忍者の里でも1回の勝負で終わりなんだ?」
「仕方ないではないですか……。
うちはフガクが家族サービスの日だから戦えないとか言い出すんですもん。」
「もん。とか言ってんなよ気色わりぃ。」
「ほっぺ膨らまさないでよ、気持ち悪いなぁ、もう。」
「あなた達のこと嫌いです。」
「奇遇だな、オレもだぁ。」
「うん、オレも。」

ミナトとの勝負は、惜しくもスクアーロの敗北に終わった。
今までにない拮抗した熱い勝負だった、と綱吉は思う。
世界にはすごい人がいるものだなぁ、などと彼が考えている内に、いつの間にか彼らを取り囲む風景は一変していた。

「え……と、ここは?」
「僕達の職場、自警団フィアンマです。」
「フィアンセ?」
「フィアンマです!」

大きなビルを前にして、綱吉はほぉっと嘆息する。
なんだか自分が生活する世界とはまるで違う場所のように見える。

「ここでは誰と戦うんだぁ?」
「……。」
「骸?どうしたの?」
「僕も、不本意なのです。」
「はぁ?」
「あのババ……もとい、師匠をここに呼ぶなど、一波乱どころか二つ三つ……いや十くらいは波乱が起こりそうな気がしますからね……。」
「な……まさかお前……!」

突然焦った声を出すスクアーロに、綱吉が首をかしげる。
一体どうしたと言うのか。
その答えは、彼らの目の前に現れた。

「ん……?あんたら、こんなところにどうしたんだわさ?」
「ビ、ビスケ……!」
「ロリバb……もとい、ビスケ。
さっきスクアーロが貴女と一度本気で戦ってみたいって言ってました。
負けたら指環をあげるそうです。」
「はあ!?」
「そう?仕方ないわね。
じゃあムクロをシバくついでにあんたも相手してやるわさ!」
「なななんですって!?」

彼らの会話を耳にして、綱吉は即座に事態を察した。
つまり彼らの関係は、自分とリボーンとの関係のようなものなのだろう。
そう理解した途端、綱吉は踵を返して二人に向けて手を上げた。

「じゃっ、二人ともオレはこれでね!」
「なっ……逃げるのですか沢田綱吉!!」
「いや、お前が無理矢理巻き込んだだけだろうがぁ。
さっさと逃げてろ沢田……。
お前殺されるぞ。」
「ありがとうスクアーロ!」

綱吉が逃げ出す。
その直後に、ビスケが動いた。
怪しげな笑い声を上げながら二人に近付く。

「ふふふ……あんたらの指環気になってたのよ……!」
「え゙……僕もですか!?」
「よし、六道……。
……オレ達も逃げるぞ。」
「言われなくても……!」

二人が駆け出す。
その背中をビスケが追う。
こうして、地獄の追いかけっこが始まった。
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