夏目鬼灯様その2(群青×)
○第1回戦 スクアーロVSキセキの世代
「キッキングというルールがある。」
「知らねぇな。」
「知らぬ存ぜぬで押し通せるほどバスケは甘い世界ではない。」
「だってよぉ。」
「だっても何もない。
さっきのは反則、やり直しだ。」
「えぇー……。」
赤司の指摘に、スクアーロは渋々と言った様子で黙り込む。
知らなかったのは本当らしいが、しかしそれでもルールはルール。
例え不満そうにほっぺを膨らませたってダメなものはダメなのである。
「クフ、それでは試合再開です。」
笛の音が聞こえて、ようやくまた試合が始まった。
スクアーロも流石に、先程よりも慎重になっているらしい。
だが明らかにその表情はイラついている。
先程ぼそりと、『バレーなら大丈夫なのに』と言う呟きが聞こえたが、普通はバレーだろうがバスケだろうが進んで足を使う選手はいないだろう。
さて、キセキの世代チームは、ルール違反ばかりのスクアーロだが、それでもその身体能力は十分に理解している為、今度は黄瀬と青峰のダブルチームでディフェンスするらしい。
「今度こそちゃんとバスケするっスよ!」
「今度こそそのボール取るからな!」
「次こそはゴールするからなぁ!」
ダムッと力強くドリブルをして、慎重に足を踏み出したスクアーロに、真っ先に掛かっていったのは黄瀬だった。
長い腕を伸ばして、ボールを奪い取ろうとする。
残った腕を掲げてそれを防ぎ、スクアーロはゆらりと身を揺らす。
「行くぜぇ……。」
ふっと、黄瀬の視界から一瞬スクアーロの姿が消える。
それはただ身を屈めただけだったのだが、タイミングを見計らい、上手く彼の隙を突いたお陰で、黄瀬に僅かな隙が出来る。
「なっ……!」
腰の辺りを、スクアーロが通り抜ける。
それに反応して手を伸ばそうとするも、突然のことに体がついていかずに、脚が絡まり、もたつく。
スクアーロはその間にゴールに向けて走ろうとするが、横から伸びてきた腕がボールの進路を塞いだ。
咄嗟に体を捻って腕から逃れる。
青峰が彼女の前に立ちはだかっていた。
「どけクソガキぃ!!」
「行かせるかクソ野郎!」
クルリと体を回転させて、スクアーロは青峰に突っ込んでいく。
モタモタしていれば黄瀬が追い付いてくる。
巧みにフェイントを仕掛け、青峰の腕を掻い潜り、ゴールへと駆け出そうとしたときだった。
「甘いぞ、素人。」
「あ゙っ!?」
ばちんっと激しい音がして、ボールが弾き飛ばされた。
赤司のカットだ。
いつの間にか迫ってきていたらしい。
「チッ!二人は囮かぁ!」
飛び付くように、弾き飛ばされたボールを追い掛ける。
地面を蹴った際に、ばきりと音が聞こえた気がして、赤司は地面に目を落とす。
「……。」
木製の床が割れて捲れていたように見えたが、赤司は何も見なかったことにしてボールの飛んだ方向に視線を戻した。
ボールは真っ直ぐに緑間のいる方へと飛び、スクアーロは彼に猛スピードで迫っていく。
緑間は飛んでくるボールに既に手を伸ばしており、受けた瞬間、すぐに3Pシュートを撃つ気だろう。
「させるかぁ!」
「くっ!」
ボールが届くよりも、ほんの一瞬、スクアーロの方が早かった。
スクアーロの指先がボールを弾く、続けて緑間の手がボールを弾く。
ボールはあらぬ方向に飛んでいった。
そして勢いを殺せずに、スクアーロはそのまま緑間に突っ込んでいったのだった。
「いでっ!?」
「がはっ……!は、腹に……!」
頭から緑間にぶつかったスクアーロと、彼女の頭突きを腹にもろに受けてしまった緑間が縺れ合いながら倒れる。
こうなってしまっては、もう試合どころではない。
そして、慌てて駆け寄ったキセキの世代達が見たのは、顔を真っ赤にした緑間と、その体の上に座ってボールの行方を見守るスクアーロだった。
「……!オレの得点!」
「は……?」
呆然とする彼らの後ろで、ボールがゴールに入る音が響いたのだった。
「キッキングというルールがある。」
「知らねぇな。」
「知らぬ存ぜぬで押し通せるほどバスケは甘い世界ではない。」
「だってよぉ。」
「だっても何もない。
さっきのは反則、やり直しだ。」
「えぇー……。」
赤司の指摘に、スクアーロは渋々と言った様子で黙り込む。
知らなかったのは本当らしいが、しかしそれでもルールはルール。
例え不満そうにほっぺを膨らませたってダメなものはダメなのである。
「クフ、それでは試合再開です。」
笛の音が聞こえて、ようやくまた試合が始まった。
スクアーロも流石に、先程よりも慎重になっているらしい。
だが明らかにその表情はイラついている。
先程ぼそりと、『バレーなら大丈夫なのに』と言う呟きが聞こえたが、普通はバレーだろうがバスケだろうが進んで足を使う選手はいないだろう。
さて、キセキの世代チームは、ルール違反ばかりのスクアーロだが、それでもその身体能力は十分に理解している為、今度は黄瀬と青峰のダブルチームでディフェンスするらしい。
「今度こそちゃんとバスケするっスよ!」
「今度こそそのボール取るからな!」
「次こそはゴールするからなぁ!」
ダムッと力強くドリブルをして、慎重に足を踏み出したスクアーロに、真っ先に掛かっていったのは黄瀬だった。
長い腕を伸ばして、ボールを奪い取ろうとする。
残った腕を掲げてそれを防ぎ、スクアーロはゆらりと身を揺らす。
「行くぜぇ……。」
ふっと、黄瀬の視界から一瞬スクアーロの姿が消える。
それはただ身を屈めただけだったのだが、タイミングを見計らい、上手く彼の隙を突いたお陰で、黄瀬に僅かな隙が出来る。
「なっ……!」
腰の辺りを、スクアーロが通り抜ける。
それに反応して手を伸ばそうとするも、突然のことに体がついていかずに、脚が絡まり、もたつく。
スクアーロはその間にゴールに向けて走ろうとするが、横から伸びてきた腕がボールの進路を塞いだ。
咄嗟に体を捻って腕から逃れる。
青峰が彼女の前に立ちはだかっていた。
「どけクソガキぃ!!」
「行かせるかクソ野郎!」
クルリと体を回転させて、スクアーロは青峰に突っ込んでいく。
モタモタしていれば黄瀬が追い付いてくる。
巧みにフェイントを仕掛け、青峰の腕を掻い潜り、ゴールへと駆け出そうとしたときだった。
「甘いぞ、素人。」
「あ゙っ!?」
ばちんっと激しい音がして、ボールが弾き飛ばされた。
赤司のカットだ。
いつの間にか迫ってきていたらしい。
「チッ!二人は囮かぁ!」
飛び付くように、弾き飛ばされたボールを追い掛ける。
地面を蹴った際に、ばきりと音が聞こえた気がして、赤司は地面に目を落とす。
「……。」
木製の床が割れて捲れていたように見えたが、赤司は何も見なかったことにしてボールの飛んだ方向に視線を戻した。
ボールは真っ直ぐに緑間のいる方へと飛び、スクアーロは彼に猛スピードで迫っていく。
緑間は飛んでくるボールに既に手を伸ばしており、受けた瞬間、すぐに3Pシュートを撃つ気だろう。
「させるかぁ!」
「くっ!」
ボールが届くよりも、ほんの一瞬、スクアーロの方が早かった。
スクアーロの指先がボールを弾く、続けて緑間の手がボールを弾く。
ボールはあらぬ方向に飛んでいった。
そして勢いを殺せずに、スクアーロはそのまま緑間に突っ込んでいったのだった。
「いでっ!?」
「がはっ……!は、腹に……!」
頭から緑間にぶつかったスクアーロと、彼女の頭突きを腹にもろに受けてしまった緑間が縺れ合いながら倒れる。
こうなってしまっては、もう試合どころではない。
そして、慌てて駆け寄ったキセキの世代達が見たのは、顔を真っ赤にした緑間と、その体の上に座ってボールの行方を見守るスクアーロだった。
「……!オレの得点!」
「は……?」
呆然とする彼らの後ろで、ボールがゴールに入る音が響いたのだった。