夏目鬼灯様その2(群青×)

●第7回戦 スクアーロVSシモン2



「お゙らお゙らぁ!首落ちて死ねぇ!!」
「洒落にならないよ!」

剣を振り回しながら、縦横無尽に駆けるスクアーロに、シモンファミリーは終始翻弄されっぱなしのようだった。
以前魂の状態の彼女と戦ったときとは違い、相手は炎を扱う上に自分達の戦い方は知られているのだから、例えシモンと言えどもすんなりと勝つのは難しいだろう。
しかもスクアーロ、何故だかわからないが絶好調である。
大方骸が何かしらしたのだろうが、あっちへこっちへと飛び回って攻撃をする彼女に、シモンファミリーはひどく苦戦しているようだった。

「どうしたシモンファミリー!
そんな柔な攻撃じゃあ、オレの心臓には届かねぇぞぉ!」
「何その漫画のキャラみたいな死亡フラグの立て方!」

叫びながら、息をつく間もないほどに激しい攻撃を繰り返すスクアーロ。
平面的な移動だけでなく、上下に動いたり、思わぬところで思わぬ攻撃に転じてくる為、シモンは攻撃の隙が見出せないらしい。

「わぁ!?」
「炎真!クソ……、私のダイアモンドキャッスルで……!!」
「待てアーデル……」
「きゃあ!?」
「アーデル!うおっと!?」
「ジュリー!!ぐあっ!?」

次から次へと攻撃を食らっていくシモンのメンバー達に、綱吉は心の中で合掌をする。
一人一人いなくなっていく……もとい、戦闘不能になっていく様子は、さながらホラー映画か何かのようだ。
今回の戦いばかりは、同情を禁じ得ない。
そして最後の一人に残ったのは、意外や意外、砂の幻術遣い、加藤ジュリーであった。

「うぁちゃー……皆やられちゃったわけぇ?
オレちんボッチかよ……。」
「はっ!テメーとはちょっと因縁あるからなぁ……。
たっぷり楽しませてもらうぜぇ……!」
「ちょっ……因縁あんのはオレちんじゃなくてデーモン……ぎゃー!?」
「逃げんじゃねぇぞチャラ男がぁ!!」

幻術で攻撃をする間もない。
とにかく早く、激しい攻撃に、ジュリーは防戦一方だ。
彼の幻術は、構築を終えるよりも前に破壊されてしまう。
「勝負あり、ですかね」と呟く骸の声に、しかし綱吉は冷静に首を横に振ったのだった。

「これが殺し合いならわからなかったけど、これは試合だからね。」
「は?」
「まだ死んでないから、いくらでも立ち上がれるんだよ、って話。」

ハッとした骸が、戦場に視線を巡らす。
次の瞬間、スクアーロの低い呻き声が耳に届き、続けて炎真の落ち着いた声が響いたのだった。

「僕はまだ、戦えるよ、スクアーロさん。」
「ぐ……く、そ……!」
「え、炎真……助けるの遅い……。」

重力で押し潰されたスクアーロと、スクアーロに追い回されて精魂尽き果てたジュリーが倒れ、最後に戦場に残ったのは、シモンファミリー頭領、古里炎真だった。
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