夏目鬼灯様その2(群青×)

●第7回戦 スクアーロVSシモン



「なあ、思ったんだけどよぉ、ここっていったいどこだ?」
「え、今さら?」

ボロボロにされた骸が回復するまでの少しの間、スクアーロがぼそりと呟いた言葉に、綱吉は冷えきった視線を送った。
ここがどこかなんて疑問、綱吉としてはとっくの昔に解決不可能な事案として脳の片隅に追いやっていることなのだ。

「いや、この場所は恐らく、骸の創った幻の世界……まあ、云わば精神世界のようなもんなんだろうが、オレが言いたいのはそこじゃねぇ。」
「え?」
「正しく言うなら、今は、『いつ』だ?」
「は?」

スクアーロが言葉を重ねる度に、言いたいことがよくわからなくなる。
つまり、どう言うことなのだろう。

「ここに来るまでの記憶が朧気で、どうにもハッキリとしねぇ……。
お前はどうだ?」
「ん?んー……そう言えば、オレ何してたんだっけ……?」
「そんなことはどうでもいいじゃないですか……、大人の都合ですよ。
いい子は気にしてはいけないことです。」
「うわっ!骸!?大丈夫なの!?」

考え込んでいたスクアーロと、首を傾げる綱吉の間に割って入ってきたのは、またもや六道骸だった。
若干ヘタが萎れて……もとい、髪のキューティクルが痛んでいるようだが、先程よりもだいぶ回復しているようである。

「さて、では次の勝負ですが……。」
「まだ続けるのーっ!?」
「クフフ、当たり前ではありませんか。
まだガットネロは戦えますよ。」
「んな勝手な……。」

当人の都合などはお構いなしに、骸は次の相手を召喚する。
ぶわりと風が広がり、彼らの前に現れたのは、シモンのメンバーだった。

「あ、炎真君!」
「ツナ君?」
「ここはどこなの?」
「結局訳がわからんぞ!」
「お、あそこにいんの六道骸じゃん!」
「それに、スクアーロさんもいるんだな。」
「……ゔぉい、次はコイツらとやれってのかぁ?」
「ええ、そうです。
特別に今回は、スペルビ・スクアーロ全盛期Ver.で戦っていただきましょうか。」
「あ゙ぁ?」

骸が手に持った杖で、地面をトンと軽く叩くと、次の瞬間、スクアーロの輪郭がボヤける。
そして気付けば、彼女の体は14歳頃にまで若返っていた。

「……オレの全盛期14って……。」
「クフフ、しかしリングを使う能力は健在ですよ。」
「チッ……仕方ねぇ、かかってきなシモンファミリー。
オレが全員ぶっ潰してやるぜぇ。」

何だかんだ言いながら、挑戦的に笑ってやる気満々なスクアーロに、シモンファミリーの顔が引き攣っている。
そう言えば、彼らはクロームを誘拐するという前科があったな……。
そんな過去の出来事を思い返しながら、綱吉は思ったのだった。
骸の奴、わりとシモンの皆のことも嫌いなんだな……、と。

「……ん?」

そう言えば、と、綱吉はシモンファミリーをよーく観察してみる。
……どう見てもそこには幻術遣いの加藤ジュリーが立っている。

「骸、オレの目に狂いがなければ、あそこに術士がいるんだけど……。」
「クハハ!あの程度のひよっ子を術士とは言いませんよ!」
「あ……ああ、そう……?」

訂正である。
骸のやつ、『わりと』どころか『かなり』、シモンファミリーのことが嫌いらしい。
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