夏目鬼灯様その2(群青×)

ボロボロになったヴァリアー幹部陣が帰った後、骸は大きくため息を吐いた。

「まったく……、せっかくのチャンスだったと言うのに、ヴァリアーの腑抜けどもめ……。
そこはもっと奴を苦しめなければ……。」
「アイツらが100%の体力精神力だったなら、あんなに簡単にやられたりはしなかっただろうなぁ。」
「くっ!始めにXANXUSを呼んでしまった自分が恨めしいです!!」

例えヴァリアーの作戦隊長、ボンゴレの掃除屋と言えども、全力の彼らが相手だったなら、もっと苦戦していたことであろう。

「……で、オレはまだ帰れねぇのかぁ?」
「クフフ、全員と戦うまで帰れま10ですよ。
ただ人数が相当ですので、巻きで行きましょう、巻きで。」
「うわぁ、雑……。」

疲れた顔の綱吉を無視し、骸は次の相手を呼んだのだった。


●第3回戦 スクアーロVS柿本千種


「殺っておしまいなさい千種!」
「……めんどい。」

すたん、と綺麗に着地をした千種は、どうやら一瞬にして事態を把握したらしい。
すぐにダルそうに呟いた彼に、スクアーロは気さくに声をかけた。

「お゙、柿本かぁ。
テメーとやりあうのは初めてだなぁ。」
「……そう。
じゃ、始めようか。」

千種が先に飛び出し、ヘッジホッグがスクアーロの首を狙う。
それを首を傾けることで避けたスクアーロは、ヘッジホッグが毒針を出すよりも早くヘッジホッグの紐を掴み、地面に向けて引き下ろした。

「っ!」

バランスを崩す前に千種は武器を手放したが、彼の一瞬の隙をついて背後に回ったスクアーロが、彼の首に手を当てた。

「勝負あり、だなぁ。」
「……チッ。」

流石はヴァリアー最速だ、勝てっこない、そもそも骸様は何がしたいのだ、そんな色んな感情を込めて、一つ舌打ちをした千種の体は、骸が唐突に投げた赤と白のボールに吸い込まれて消えた。

「……ええ!?なに今のぉ!?」
「千種……よくやりましたよ。
後はゆっくり休んでいて下さい。」
「ねぇ骸なに今の!?
モン○ターボール!?
モンス○ーボールなの!?」
「次は君に決めました!
いけ!犬!」
「やっぱりモ○スターボールなの!?」

綱吉はようやくツッコミの仕事を思い出したらしい。
しかしやはりと言うか何と言うのか、彼渾身のツッコミは無視されて、新たなポケ○ン……もとい、城島犬が姿を現したのだった。



●第4回戦 スクアーロVS城島犬



「んあ?こころこ?」
「次はテメーかぁ。」
「あん?……あ!テメー白髪頭!
なんれこんなとこいんだびょん!」
「オレが知りてぇ……。」
「はあ?」

突然訳のわからない場所に放り出され、そして敵と認識している人物を前にして、犬は一瞬混乱した。
だがそれは本当に一瞬のこと。
バカと名高い彼の脳ミソは、『殺してから考えれば良いか』という至極単純な結論を弾き出した。

「へへーん!どーゆー事らかわっかんねーけろ、とりあえずお前の首取って持って帰るびょん!」
「悪いが、それはさせらんねぇなぁ!」

二人同時に飛び出す。
そして自らの懐に手を突っ込んだスクアーロは、犬の後方に向けて掴んだものを思いっきり放り投げた。

「ゔお゙らぁ!テメーの好物のガムだぁ!!」
「ヒャッフー!」
「けぇぇえええん!!!」
「……えーと、スクアーロの勝ち?」

もしゃもしゃとガムを食べる犬は、骸にたっぷりお仕置きを受けた後、しょんぼりと肩を落として帰っていったのだった。



●第5回戦 スクアーロVSクローム髑髏



次に骸が呼んだのは、彼の妹分、もう一人の彼とも言える人物、クロームだった。

「クローム!」
「ボス?」
「クフフ、クローム、何をするべきか、わかりますね?」
「……?」
「おバカ、アイツを倒すのです!」
「え?」

コテリ、と可愛らしく首を傾げたクロームに、骸は頭を抱える。
優秀な術士で、従順な良い駒ではあるのだが、どうにも天然なのが玉に瑕なのだ。

「次はクロームかぁ?」
「あ、こんにちは……。」
「お゙ー。
なんか、オレ達戦わなきゃならねぇみたいなんだが……。」
「どうして?」
「さあ……。」
「……?」

話が進まない。
骸が更に頭を抱えたところで、クロームの姿が掻き消えた。

「もうっ!クロームは戦い向きではありませんでした!」
「わかってるなら初めから呼ばなきゃ良いのに……。」
「うるさいですよ沢田綱吉!!
フランの奴は僕の幻術に抵抗してなかなか来ませんし……!
もう術士はここには呼びません!!」

そんなことで、第5回戦、スクアーロVSクローム戦は、無効試合となったのだった……。
ちなみに……

「あれ?MMって人は呼ばないの?」
「彼女の実力じゃあ、確実に即殺されますからね……。」
「ああ、まあ……。」

ビアンキに負けてたもんな、などと綱吉にまで思われてしまったMMが、どこかの高級品店でくしゃみをしていたとか。
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