夏目鬼灯様その2(群青×)

「くっ……!
結局ヴァリアー幹部は全員XANXUSに殺られて戦闘不能じゃないですか……!」
「どうやら、こっちに連れてこられたときに肉を落としたXANXUSが相当暴れたみたいだね……。」
「まあコイツらになら、何とか勝ててただろうけどな。」

悔しそうに言う骸の前には、三人の亡骸……もとい、気絶したヴァリアー幹部達が倒れて呻いていた。
全ての原因は、始めにXANXUSを連れてきた骸である。

「……どうする?叩き起こして戦うかぁ?」
「スクアーロって鬼畜なの?」
「まあな……。」
「なんでちょっと照れてるの!?」
「なるほど、良いアイデアですね。
では全員を起こして第2回戦、スクアーロVSヴァリアー幹部で行ってみましょう。」
「まさかの全員ーっ!!」



●2回戦 スクアーロVSヴァリアー



「アジト……食事……ボス……。
うっ、頭が……!!」
「ベルフェゴールが復活!
遅れてルッスーリアやレヴィ・ア・タンも復活した模様です。
それでは始めましょう!
第2回戦、スクアーロVSヴァリアー!!
解説は引き続き沢田綱吉さんにお願いします。」
「あぁ、もう何でも良いや……。」
「なに諦めてやがる沢田ぁ!」

ベルフェゴールが起き上がったとき、目の前には何故か剣を構えたスクアーロがおり、そして遠くの方でマイクに向かって何やら喋っている六道骸と沢田綱吉がいた。
彼の回りには、先程共にXANXUSに倒された同僚達が倒れている。

「ぅう~……ここどこなのぉ?」
「ぐぅ……ボスは一体どこに……。」

混乱した様子の仲間達に、同情するような表情を浮かべたスクアーロが、言いづらそうに声をかけた。

「良いかテメーらぁ、よく聞け。」
「しし、なんだよいきなり。
つーかマジでここどこ?」
「……オレも知らねぇ。
知らねぇが、どうやらオレと戦えば元いた場所に帰れるらしいぜぇ。」
「…………は?」
「ど、どういうことなのかしら?」
「だから、とりあえず戦え。」
「わ、訳がわからんぞ!」
「オレも訳がわからねぇがそう言うことなんだよ!」

そう、彼らには、ただ戦う以外に選択肢はないのだ。
これ以上は問答無用と、剣を構えたスクアーロに対して、ヴァリアー幹部達の顔から血の気がなくなっていく。
彼らの頭を過るのは、かつてスクアーロの魂の欠片と戦ったときの記憶である。

「いやいやいやいや待て待て待て待てスクアーロ少し落ち着いて話し合うところから始めるべきだ!」
「し、ししし……、雷親父の言うことに同意すんのは癪だけど、ちょっと落ち着けってスクアーロ!」
「そうよぉ!いきなりバトルってちょっと乱暴すぎるわぁ!」

必死に止めようとするヴァリアー幹部、しかし無情にも、火の着いたスクアーロを止めることはできず、彼らの目前には剣の切っ先が迫っていた。

「あーっとぉ!先制攻撃はスクアーロです!
ボスには全く攻撃をしなかったスクアーロですが、同僚達には容赦がありません!」
「アイツXANXUSのこと大好きだからなー。
まあヴァリアーの人達には1秒でも長く耐えて欲しいですよねー。」

綱吉は完全にツッコミを放棄し、骸の実況にやる気無さげに答えている。
スクアーロの初撃をギリギリで避けたヴァリアー達は、次々と繰り出される攻撃を必死に捌いていた。

「ベ、ベルちゃん!」
「わかってるっての!」

ルッスーリアがスクアーロを引き付けている内に、ベルが彼女から距離をとって攻撃を始める。
しかし彼のナイフが突き刺さったのは床……ここは一面真っ白で床も天井も区別がつかないがとにかく床だった。

「スクアーロ氏素早く避ける!
次の標的はベルフェゴールのようです!」
「あめぇぞベル!!」
「ギャー!!来たー!」

素早く攻撃を回避したスクアーロは、ベルとの距離を一気に詰めた。
ルッスーリアが後を追うが、その脚が不意に何かに引っ掛かる。

「イヤァァアア!ワイヤァァアア!!」
「新種の動物の鳴き声が聞こえましたね。」

どうでも良さげに言う綱吉の解説を横に、ルッスーリアの体はワイヤーで拘束され、そしてスクアーロの目の前にいたベルは必死で応戦していたが、雨の炎に捕まり、あっという間に戦闘不能にされる。
物凄い快進撃。
しかしスクアーロはある人物の存在を忘れていた。

「ふっふっふ……甘いのは貴様だ!
喰らえ、レヴィボルタ!!」
「なに……!?」

宙に開いたパラボラの輪の中、ちょうど中央に当たる位置に、スクアーロは誘導されていたのだ。
パラボラが雷の炎を纏う。
そしてその次の瞬間……!

「な、なんと言うことでしょう!
パラボラがなんと一瞬!一瞬にして塵になりました!」
「おー、どうやらリングアニマルがパラボラを吹っ飛ばしたようですね。」

パラボラの広がる空に、二羽の鳥が飛んでいる。
スクアーロのリングアニマル、コルヴォとファルコだ。
コルヴォの霧の炎で姿を隠し、ファルコがパラボラに嵐の炎を当てたらしい。

「パラボラはアンテナ部分に炎を集める代わりに、裏ががら空きになる!
甘いのはやはり、テメーらだったようだなレヴィ!!」
「ぐ、くそ……!くそぉ!!」

あっという間にレヴィに迫ったスクアーロが、その巨体を巻き上げるような斬撃を食らわせる。
スクアーロVSヴァリアー。
その結果は、3対1であったにも関わらずスクアーロの圧勝に終わったのであった。
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