鴇様(群青)
任務が達成したという連絡を受けたとき、オレはもうボロボロだった。
始めにやられた肩からは、血が止まらなくなっていたし、その後も幾つも攻撃を食らったから、貧血になって足取りも覚束無い。
だが、それでも何とかベルを連れて敵地を脱け出し、仲間と合流するために連絡を取る。
「……スクアーロ、その、オレ、オレのせいで……」
「……」
傷を負ったのは全て、敵の攻撃からベルを庇うためだった。
別にこいつを恨む気はねぇが、ガキなりに心配して、責任を感じているんだろう。
無用な心配はするな、なんて、言うのは簡単だが、それじゃきっと、どうにもならんだろうな。
だからオレは、別の言葉を口にする。
「己の弱さを悔いる暇があるなら、次のことを考えろぉ」
「え?」
「そして過去の罪を思い返せ。今までしてきたことの何が悪かったのか、何が足りなかったのかを」
「……オレ、今まで自分が悪いことしたって思ったことないよ」
「そりゃあ随分と傲慢な事だぁ」
「……supervia(傲慢)に言われたくねぇし」
「はっ、その通りだなぁ」
言い得て妙、なんて言葉が日本にあったか。
なんとも皮肉な言い様になってしまった。
切れた額からだらだらと血を流しながら、薄く笑ったオレの様子に、ベルは泣き出しそうな、それでいて可笑しそうな顔をしていた。
「まあ、新人ってのは失敗して成長するもんだぁ。今後は、よく気を付ける、ように……」
「うん」
「それとお前、筋は良いから、今後はもう少し考えて、動け……」
「うん……。なあ、スクアーロ?」
「んだぁ?」
「真っ直ぐ歩けてねーけど」
「そんなことねぇ……ぞ……。ぁ……」
「え!?」
ふっと目の前が真っ黒になる。
突然電源が落ちたみたいに、意識が消えて、オレはついに力尽きてぶっ倒れたのだった。
「スクアーロ!?おい!スクアーロってば!!」
最後に、焦ったようなベルの声が、わんわんと耳に響いた。
次にオレが目覚めたのは、翌日の昼間。
ヴァリアー医務室のベッドの上だった。
始めにやられた肩からは、血が止まらなくなっていたし、その後も幾つも攻撃を食らったから、貧血になって足取りも覚束無い。
だが、それでも何とかベルを連れて敵地を脱け出し、仲間と合流するために連絡を取る。
「……スクアーロ、その、オレ、オレのせいで……」
「……」
傷を負ったのは全て、敵の攻撃からベルを庇うためだった。
別にこいつを恨む気はねぇが、ガキなりに心配して、責任を感じているんだろう。
無用な心配はするな、なんて、言うのは簡単だが、それじゃきっと、どうにもならんだろうな。
だからオレは、別の言葉を口にする。
「己の弱さを悔いる暇があるなら、次のことを考えろぉ」
「え?」
「そして過去の罪を思い返せ。今までしてきたことの何が悪かったのか、何が足りなかったのかを」
「……オレ、今まで自分が悪いことしたって思ったことないよ」
「そりゃあ随分と傲慢な事だぁ」
「……supervia(傲慢)に言われたくねぇし」
「はっ、その通りだなぁ」
言い得て妙、なんて言葉が日本にあったか。
なんとも皮肉な言い様になってしまった。
切れた額からだらだらと血を流しながら、薄く笑ったオレの様子に、ベルは泣き出しそうな、それでいて可笑しそうな顔をしていた。
「まあ、新人ってのは失敗して成長するもんだぁ。今後は、よく気を付ける、ように……」
「うん」
「それとお前、筋は良いから、今後はもう少し考えて、動け……」
「うん……。なあ、スクアーロ?」
「んだぁ?」
「真っ直ぐ歩けてねーけど」
「そんなことねぇ……ぞ……。ぁ……」
「え!?」
ふっと目の前が真っ黒になる。
突然電源が落ちたみたいに、意識が消えて、オレはついに力尽きてぶっ倒れたのだった。
「スクアーロ!?おい!スクアーロってば!!」
最後に、焦ったようなベルの声が、わんわんと耳に響いた。
次にオレが目覚めたのは、翌日の昼間。
ヴァリアー医務室のベッドの上だった。