『あ……！』

翌日、綱吉の家の前で、図ったように顔を合わせた者達は、ハッと顔を引き攣らせた。

「な、何でテメーらがここにいやがる？」

スクアーロ達ヴァリアーは、XANXUSの『沢田を殴りに行くぞ』の鶴の一声でここを訪れていた。

「わっ、偶然だねぇ♪まさかみんな一緒に集まるなんて♪」

白蘭達は何やら色々と怪しげなグッズを持って、綱吉宅に遊びに来ていた。

「あ……僕達、邪魔かな……？」

控え目な炎真達は、綱吉に忘れ物を返したり、了平と戦ったりするために訪れていた。

「クフフ、僕の獲物がこんなにも都合よく一所に集まるとは……」

骸達はスクアーロ他を狙ってこの場所にたどり着いたらしい。

「今日は随分客が多いんだなツナ！」
「うわーっ！何これ!?」
「あ、スクアーロ！」
「チッ！ウゼー奴らがゾロゾロと!!果たすぞオラ！」
「ぬおー！極限たくさんだぞ！」
「やっぱり楽しそうなことになったな」

既に沢田家に着いていたディーノと、綱吉達10代目ファミリーを押し退けるようにして、客人達は図々しく家の中へと上がっていったのであった。


　＊　＊　＊


「まあ！今日は随分いっぱいお客さんが来たのね！」
「あ、あははは……」

居間に所狭しと並んだ客人達を見て、沢田奈々は嬉しそうに綱吉に話し掛けた。
綱吉は乾いた笑い声で返す。
母にはわからないのだろうか。
ピリピリとした緊張感に満ちた客人達のこの様子が……。
せっせとお茶を出しながら、愛想よく笑う奈々に、客人はそれぞれの反応を返している。
愛想の良い笑いを返したり、無関心だったり、居心地悪そうにしていたり、丁寧に礼を言ったり。
そして最後にスクアーロの前に湯飲みを置いた奈々は、嬉しそうに彼女に話し掛けた。

「スクアーロちゃん、久しぶりねぇ。元気だったかしら？」
「え、ああ……まあそこそこ」

おどおどと答えたスクアーロと奈々の言葉に、数人がプッと噴き出す。
裏社会では鬼か何かのように恐れられている剣帝相手に、ちゃん付けで親しそうに話し掛けている様子や、それに対して戸惑う彼女の様子は確かに、普段からは想像できないし、ちょっと笑える。

「あ、そうそう！ちょうど良かったわぁ。スクアーロちゃんにあげたいものがあったの！」
「は？」
「こっちに来てちょうだい？」
「ちょっ!!母さん！そんなの良いから向こう行っててよ！」
「あら、良いじゃないちょっとくらい♪」
「いや、ちょ……！」
「うﾞぉお!?」

にこにこと笑いながら、奈々は困った様子のスクアーロをズルズルと引きずっていく。
あっという間に見えなくなった二人に、綱吉は呆然と呟いたのだった。

「母さん強……」

知らないとはいえ、最強の暗殺部隊の作戦隊長をあんなにも易々と引きずっていくなんて、早々出来ることではない。
しかしいったい、スクアーロにプレゼントとは何のことなのだろうか。
答えはすぐに目の前に現れることになる。