継承式編
継承式まで後2日。
沢田家には、ボンゴレ10代目ファミリーとシモンファミリーの数人が集まり、話し合いをしていた。
ギーグファミリーのことも話し合われている。
シモンファミリーの鈴木アーデルハイトが犯人について尋ねていたが、特別に不審な様子はない。
スクアーロは沢田家の近くに潜み、盗聴器から聞こえてくる音に耳を済ませていた。
沢田家の中に入る気は毛頭ない。
シモンファミリーがいるし、何よりアルコバレーノであるリボーンと関わりたくなかったからだ。
だが昨日と違い、今日はシモンからあの嫌な気配を感じない。
今ここにいない奴が、昨日の気配の正体なのだろうか。
しばらくすると、話し合いを終えて沢田とリボーン以外の全員が出てくる。
少し間を置いて、沢田とリボーンも家を出てきた。
外には9代目の守護者がいる。
これから9代目に会いに行くのだろう。
沢田については、特に張り付いている必要もない。
シモンファミリーもボンゴレファミリーも、それぞれに別れていく。
スクアーロはひとまず、獄寺のあとを追い、接触することにした。
彼らの会話の内容を聞いていた盗聴器は、獄寺の服に仕掛けてあったからだ。
スレ違い様によろけるフリをして接触する。
素早く襟から盗聴器を剥がして回収した。
「おい!気を付けろっ!!」
「わ、わわっ!ごめんなさい!!」
「ちっ!!」
……獄寺、チョロいなぁ。
こっそりそんなことを思いながらさっさとその場を去る。
ちなみに今のスクアーロの見た目は、目深に帽子を被った、どこにでもいそうな男である。
下手な幻術は見破られる可能性が高いため、カツラや付け髭などで変装している。
このあとはシモンについて調べるつもりだが……。
一人で7人を見張るには手が足りない。
そんなときに役に立つのがこれ!と某テレビショッピングの社長がイメージの中に現れるが、それはひとまず置いておいて。
スクアーロは持っていた大きな箱の中から、7羽の烏を放つ。
烏の首には、目立たないように小型のカメラが取り付けられている。
それぞれ、スクアーロ自らが手塩にかけて育てた、偵察専用の烏である。
カメラの内容は後で確認できる。
烏が飛んでいったのを確認したスクアーロは、アパートの部屋に戻り、シモンファミリーについての調査を再開することにした。
今までにわかったことは、昔、初代ボンゴレと初代シモンとが友人同士だったこと。
更にシモンは自分からファミリーを縮小したこと。
……これくらいである。
あとは初代ボンゴレの遺品の中に、シモンと交わした手紙があったが……。
そこに記されていた島は、地図には存在していないし、何より実際に部下と行ってみたが、発見することは叶わなかった。
しかし、それはあの嫌な気配を感じた日より前のことで……。
あの気配を感じてからは、その島について、ある予感が過っている。
……オレ達は騙されたのではないか。
あるものをないとし、ないものをあるとする。
向こうのファミリーに、幻術師がいるのではないか。
本当は、島は存在するのに、オレの目に見えなかっただけだったのではないか。
一度疑心暗鬼に陥ると、全てが疑わしく思えてくる。
ボンゴレに残されていたシモンの記録も、本当かどうかわからない。
シモンの記録は、わざと消されたかのように、ほとんどの記録が抹消されていた。
2つのファミリーの間には、何か、他の人間に知られたくない、何かがあったのではないか。
しかし、全て考えすぎなのではないかとも思えてきてしまう。
「ちっ……」
いくら調べても、何も出てこない。
その事に苛立ち、舌打ちをする。
ぐうっと背伸びしたあと、今度はシモンファミリーの個人の経歴について調べ始めた。
シモンの全容は、なかなか掴めない……。
* * *
――偵察烏の映像より
「……アーデルハイト?僕」
「そちらの様子はどう?」
「頼みがあるんだ。アーデルハイトは反対だろうけど、やっぱりツナ君は悪い人には見えないよ」
「……そう、わかったわ。そこまで言うのなら、彼を試しなさい。皆には黙っていてあげる。ただし、忘れてはいけないわ。ボンゴレの″罪″を」
それを聞いたアクーラは、宵闇に紛れ、動き出した。
沢田家には、ボンゴレ10代目ファミリーとシモンファミリーの数人が集まり、話し合いをしていた。
ギーグファミリーのことも話し合われている。
シモンファミリーの鈴木アーデルハイトが犯人について尋ねていたが、特別に不審な様子はない。
スクアーロは沢田家の近くに潜み、盗聴器から聞こえてくる音に耳を済ませていた。
沢田家の中に入る気は毛頭ない。
シモンファミリーがいるし、何よりアルコバレーノであるリボーンと関わりたくなかったからだ。
だが昨日と違い、今日はシモンからあの嫌な気配を感じない。
今ここにいない奴が、昨日の気配の正体なのだろうか。
しばらくすると、話し合いを終えて沢田とリボーン以外の全員が出てくる。
少し間を置いて、沢田とリボーンも家を出てきた。
外には9代目の守護者がいる。
これから9代目に会いに行くのだろう。
沢田については、特に張り付いている必要もない。
シモンファミリーもボンゴレファミリーも、それぞれに別れていく。
スクアーロはひとまず、獄寺のあとを追い、接触することにした。
彼らの会話の内容を聞いていた盗聴器は、獄寺の服に仕掛けてあったからだ。
スレ違い様によろけるフリをして接触する。
素早く襟から盗聴器を剥がして回収した。
「おい!気を付けろっ!!」
「わ、わわっ!ごめんなさい!!」
「ちっ!!」
……獄寺、チョロいなぁ。
こっそりそんなことを思いながらさっさとその場を去る。
ちなみに今のスクアーロの見た目は、目深に帽子を被った、どこにでもいそうな男である。
下手な幻術は見破られる可能性が高いため、カツラや付け髭などで変装している。
このあとはシモンについて調べるつもりだが……。
一人で7人を見張るには手が足りない。
そんなときに役に立つのがこれ!と某テレビショッピングの社長がイメージの中に現れるが、それはひとまず置いておいて。
スクアーロは持っていた大きな箱の中から、7羽の烏を放つ。
烏の首には、目立たないように小型のカメラが取り付けられている。
それぞれ、スクアーロ自らが手塩にかけて育てた、偵察専用の烏である。
カメラの内容は後で確認できる。
烏が飛んでいったのを確認したスクアーロは、アパートの部屋に戻り、シモンファミリーについての調査を再開することにした。
今までにわかったことは、昔、初代ボンゴレと初代シモンとが友人同士だったこと。
更にシモンは自分からファミリーを縮小したこと。
……これくらいである。
あとは初代ボンゴレの遺品の中に、シモンと交わした手紙があったが……。
そこに記されていた島は、地図には存在していないし、何より実際に部下と行ってみたが、発見することは叶わなかった。
しかし、それはあの嫌な気配を感じた日より前のことで……。
あの気配を感じてからは、その島について、ある予感が過っている。
……オレ達は騙されたのではないか。
あるものをないとし、ないものをあるとする。
向こうのファミリーに、幻術師がいるのではないか。
本当は、島は存在するのに、オレの目に見えなかっただけだったのではないか。
一度疑心暗鬼に陥ると、全てが疑わしく思えてくる。
ボンゴレに残されていたシモンの記録も、本当かどうかわからない。
シモンの記録は、わざと消されたかのように、ほとんどの記録が抹消されていた。
2つのファミリーの間には、何か、他の人間に知られたくない、何かがあったのではないか。
しかし、全て考えすぎなのではないかとも思えてきてしまう。
「ちっ……」
いくら調べても、何も出てこない。
その事に苛立ち、舌打ちをする。
ぐうっと背伸びしたあと、今度はシモンファミリーの個人の経歴について調べ始めた。
シモンの全容は、なかなか掴めない……。
* * *
――偵察烏の映像より
「……アーデルハイト?僕」
「そちらの様子はどう?」
「頼みがあるんだ。アーデルハイトは反対だろうけど、やっぱりツナ君は悪い人には見えないよ」
「……そう、わかったわ。そこまで言うのなら、彼を試しなさい。皆には黙っていてあげる。ただし、忘れてはいけないわ。ボンゴレの″罪″を」
それを聞いたアクーラは、宵闇に紛れ、動き出した。