継承式編
「ヤッホー、スクアーロちゃん♪」
「……」
ドアを開けたオレを、朗らかに出迎えたのは、真っ白な塊だった。
その周りを守るように真6弔花が囲んでいる……ってことは、あの塊は白蘭なのか。
「スクアーロちゃんもマシマロ食べる?オイシーよ♪」
「……いらねぇ」
「えー、こんなにオイシーのにね。ね、ブルーベル?」
「にゅにゅっ!おいしくてもアイツにはあげないもーんだ!」
「意地悪しちゃダメだよブルーベル♪はい、スクアーロちゃん、あーん!」
「いや、だからいらねぇ」
白い塊……マシュマロに埋もれた白蘭から、マシュマロを1つ差し出された。
その腕を脇に避けて、拒否の意を示すと、残念そうに腕が引っ込められた。
「3日間眠り続けた割りには元気そうだなぁ。医者からも問題ねぇと言われた」
「うん、だろうね」
「なぜ、昏睡状態に陥っていたんだぁ?」
「ふふ、ヒミツだよ♪」
しーっと唇に人差し指を当てて微笑む白蘭に、思わず額に青筋を浮かべてしまう。
いやいや、待て待て、落ち着けオレよ。
ここでキレてちゃ話が進まねぇ。
1つ深呼吸をして気持ちを落ち着ける。
白蘭が昏睡していた理由は、是非とも知りたいところだが、この様子じゃあ答えてくれそうもない。
何だかんだではぐらかされるのがオチだろう。
では、もう1つ気になっていることを聞こうか。
「……ゔお゙ぉい、白蘭。テメー、ユニやアリア……大空のアルコバレーノについて何か知らねぇかぁ?」
「……僕達は未来の記憶を受け取ってすぐに、ここにつれて来られたんじゃないか。僕達は何にも知らないよ」
「そうかぁ?ルッスーリアもマーモンも、探しているが、尻尾すら掴めねぇ。……何も、知らねぇんだな?」
「……」
オレの問いに、白蘭はにこやかに笑うだけで、口を開かない。
何かを知ってはいるが、答える気はないってことか。
舌打ちをして、オレは部屋を出るために踵を返した。
「あれ?もういいのかい?」
「いくら聞いたところで答える気はねえだろ。それに、大空のアルコバレーノが姿をくらますのなら、それなりの理由があるはずだぁ」
「それだけ?」
「……沢田綱吉の10代目継承が決まった。その事で忙しくて時間がねぇ」
「あー!なるほどね♪相変わらず忙しいんだねえ。スクアーロちゃんは♪」
クスクスと笑って言う白蘭に、オレはもう一度振り向き、その胸ぐらを掴んだ。
我慢がならない。
慌てて飛び出してきたザクロが、叫びながらオレの腕を掴む。
「テメーバーロー!!何しやがんだ!?」
「白蘭……、テメーが黙り決めようが隠し事しようが、オレはてめぇを責めたりはしねぇ。だが、次にオレをそのふざけた呼び方で呼んでみろ。……殺すぞ」
「……ふふ♪それは困ったなぁ。許してよ、『スクアーロクン』?」
「ちっ……」
掴んでいた服を離す。
そのまま早足で、部屋を出た。
背後で交わされる会話など微塵も知らずに。
「その人を知りたければ その人が何に対して怒りを感じるかを知れ……だね!」
「それは、白蘭様の信条ですか?」
「んーん。知らないの桔梗?ハンターハンターの名言だよ♪」
「そうでしたか」
「スクアーロクンは、女の子扱いされるのが一番嫌なんだね」
「にゅー?でも女の子なんでしょ?」
「『彼』にとっては、スペルビ・スクアーロであることは強い男であることなんだよ。そしてスペルビ・スクアーロでいることこそが、彼にとっての生き甲斐、生きるための道標なんだろうね」
「……なんで、んなメンドーな生き方をしてるんすかね」
「『スペルビ・スクアーロ』という名こそが、あの子をこの世へと留めるための楔なのさ」
それだけではない。
『スペルビ・スクアーロ』という名、『XANXUS』という主。
それがあの子をこの世へと引き留める。
「なぜ、そこまでわかるのです?」
「ユニちゃん曰く、僕らは似ているらしいからね」
だから、君のことが気になるんだよ、スクアーロちゃん。
ドアの向こうに消えていった、他世界の彼より少し小さな背中。
君はこれから、どんな道を歩いて行くのかな。
じっくりと、見物させてね、スクアーロちゃん……。
「……」
ドアを開けたオレを、朗らかに出迎えたのは、真っ白な塊だった。
その周りを守るように真6弔花が囲んでいる……ってことは、あの塊は白蘭なのか。
「スクアーロちゃんもマシマロ食べる?オイシーよ♪」
「……いらねぇ」
「えー、こんなにオイシーのにね。ね、ブルーベル?」
「にゅにゅっ!おいしくてもアイツにはあげないもーんだ!」
「意地悪しちゃダメだよブルーベル♪はい、スクアーロちゃん、あーん!」
「いや、だからいらねぇ」
白い塊……マシュマロに埋もれた白蘭から、マシュマロを1つ差し出された。
その腕を脇に避けて、拒否の意を示すと、残念そうに腕が引っ込められた。
「3日間眠り続けた割りには元気そうだなぁ。医者からも問題ねぇと言われた」
「うん、だろうね」
「なぜ、昏睡状態に陥っていたんだぁ?」
「ふふ、ヒミツだよ♪」
しーっと唇に人差し指を当てて微笑む白蘭に、思わず額に青筋を浮かべてしまう。
いやいや、待て待て、落ち着けオレよ。
ここでキレてちゃ話が進まねぇ。
1つ深呼吸をして気持ちを落ち着ける。
白蘭が昏睡していた理由は、是非とも知りたいところだが、この様子じゃあ答えてくれそうもない。
何だかんだではぐらかされるのがオチだろう。
では、もう1つ気になっていることを聞こうか。
「……ゔお゙ぉい、白蘭。テメー、ユニやアリア……大空のアルコバレーノについて何か知らねぇかぁ?」
「……僕達は未来の記憶を受け取ってすぐに、ここにつれて来られたんじゃないか。僕達は何にも知らないよ」
「そうかぁ?ルッスーリアもマーモンも、探しているが、尻尾すら掴めねぇ。……何も、知らねぇんだな?」
「……」
オレの問いに、白蘭はにこやかに笑うだけで、口を開かない。
何かを知ってはいるが、答える気はないってことか。
舌打ちをして、オレは部屋を出るために踵を返した。
「あれ?もういいのかい?」
「いくら聞いたところで答える気はねえだろ。それに、大空のアルコバレーノが姿をくらますのなら、それなりの理由があるはずだぁ」
「それだけ?」
「……沢田綱吉の10代目継承が決まった。その事で忙しくて時間がねぇ」
「あー!なるほどね♪相変わらず忙しいんだねえ。スクアーロちゃんは♪」
クスクスと笑って言う白蘭に、オレはもう一度振り向き、その胸ぐらを掴んだ。
我慢がならない。
慌てて飛び出してきたザクロが、叫びながらオレの腕を掴む。
「テメーバーロー!!何しやがんだ!?」
「白蘭……、テメーが黙り決めようが隠し事しようが、オレはてめぇを責めたりはしねぇ。だが、次にオレをそのふざけた呼び方で呼んでみろ。……殺すぞ」
「……ふふ♪それは困ったなぁ。許してよ、『スクアーロクン』?」
「ちっ……」
掴んでいた服を離す。
そのまま早足で、部屋を出た。
背後で交わされる会話など微塵も知らずに。
「その人を知りたければ その人が何に対して怒りを感じるかを知れ……だね!」
「それは、白蘭様の信条ですか?」
「んーん。知らないの桔梗?ハンターハンターの名言だよ♪」
「そうでしたか」
「スクアーロクンは、女の子扱いされるのが一番嫌なんだね」
「にゅー?でも女の子なんでしょ?」
「『彼』にとっては、スペルビ・スクアーロであることは強い男であることなんだよ。そしてスペルビ・スクアーロでいることこそが、彼にとっての生き甲斐、生きるための道標なんだろうね」
「……なんで、んなメンドーな生き方をしてるんすかね」
「『スペルビ・スクアーロ』という名こそが、あの子をこの世へと留めるための楔なのさ」
それだけではない。
『スペルビ・スクアーロ』という名、『XANXUS』という主。
それがあの子をこの世へと引き留める。
「なぜ、そこまでわかるのです?」
「ユニちゃん曰く、僕らは似ているらしいからね」
だから、君のことが気になるんだよ、スクアーロちゃん。
ドアの向こうに消えていった、他世界の彼より少し小さな背中。
君はこれから、どんな道を歩いて行くのかな。
じっくりと、見物させてね、スクアーロちゃん……。