10年後
「いやぁっ!」
京子の悲鳴をバックに、オレは駆けていた。
空から落ちてくる人影を、地面に落ちるギリギリのところで、滑り込んで受け止める。
腹の傷が酷く痛んだが、この程度、腕を切り落としやがったスクアーロの傷と比べたら、全然大したこと、ない。
「スクアーロ!おい、スクアーロ!!」
落ちてくる最中に気を失ったのか、瞼は堅く閉じられたまま。
スクアーロの顔は元々白いのに、更に白く染まって、色を失っている。
とにかく、一刻も早く出血を止めなくては。
オレの大空の炎で、傷口を焼いて止血する。
腕の中で、スクアーロが身動ぎをした。
* * *
あたたかい。
自分の体を、暖かな何かが包んでいる。
起きなければ。
脳の奥で、急かす声がある。
でも体が重たくて、この暖かな何かに包まれて、もう少しだけ、眠っていたい。
―― ゴンッ
「さっさと起きろ、カスザメ」
「いっ……たぁ!……ここは?」
「スクアーロ!大丈夫かっ!?」
目を開けると、目の前には蒼白な顔で覗き込む跳ね馬の顔。
ちょっと離れたところには、XANXUSの広い背中。
その向こうで、白蘭と沢田が向かい合っていた。
「ったく、とんでもねー無茶しやがって!!オレが受け止めなかったらどうなってたか……!」
「……受け止めてくれただろぉ?」
「そりゃ!結果的にはそうだけど!!」
向こうで、白蘭と沢田が向かい合っている。
お互いが胸の前に手を突き出して、全力の必殺技を放つ。
「もし落ちてたらって……考えなかったのかよ?」
凄まじい炎がぶつかり合っている。
それにも関わらず、オレたちのところには余り衝撃波がこなかった。
空気が、パチパチと赤や橙の火花を散らして、とても幻想的で、美しかった。
「落ちる前に、目配せしただろ」
沢田の美しいオレンジ色の炎が、全てを塗り潰すように視界一杯に広がる。
白蘭の姿は、もうどこにも見えない。
「あんなんで普通わかんねーだろ!」
炎と、土煙が晴れる。
向こうで、沢田が一人で、立っていた。
「わかんなくても、信じてた……」
白蘭はいない、どこにもいない。
この勝負は、オレたちの、勝ちだ……。
そう確信した途端に、強烈な眠気を感じ、瞼を閉じる。
ディーノの腕の中は、とても、とても暖かくて……。
「え、ちょっ!スクアーロお前ほんとメチャクチャな……って、寝ちまったのか!?」
慌てて、オレを抱きかかえて走り出した跳ね馬の腕の中で、安らかな寝息を立てながら、眠りについた。
向こうで、沢田と仲間達が、寄り添っていた。
京子の悲鳴をバックに、オレは駆けていた。
空から落ちてくる人影を、地面に落ちるギリギリのところで、滑り込んで受け止める。
腹の傷が酷く痛んだが、この程度、腕を切り落としやがったスクアーロの傷と比べたら、全然大したこと、ない。
「スクアーロ!おい、スクアーロ!!」
落ちてくる最中に気を失ったのか、瞼は堅く閉じられたまま。
スクアーロの顔は元々白いのに、更に白く染まって、色を失っている。
とにかく、一刻も早く出血を止めなくては。
オレの大空の炎で、傷口を焼いて止血する。
腕の中で、スクアーロが身動ぎをした。
* * *
あたたかい。
自分の体を、暖かな何かが包んでいる。
起きなければ。
脳の奥で、急かす声がある。
でも体が重たくて、この暖かな何かに包まれて、もう少しだけ、眠っていたい。
―― ゴンッ
「さっさと起きろ、カスザメ」
「いっ……たぁ!……ここは?」
「スクアーロ!大丈夫かっ!?」
目を開けると、目の前には蒼白な顔で覗き込む跳ね馬の顔。
ちょっと離れたところには、XANXUSの広い背中。
その向こうで、白蘭と沢田が向かい合っていた。
「ったく、とんでもねー無茶しやがって!!オレが受け止めなかったらどうなってたか……!」
「……受け止めてくれただろぉ?」
「そりゃ!結果的にはそうだけど!!」
向こうで、白蘭と沢田が向かい合っている。
お互いが胸の前に手を突き出して、全力の必殺技を放つ。
「もし落ちてたらって……考えなかったのかよ?」
凄まじい炎がぶつかり合っている。
それにも関わらず、オレたちのところには余り衝撃波がこなかった。
空気が、パチパチと赤や橙の火花を散らして、とても幻想的で、美しかった。
「落ちる前に、目配せしただろ」
沢田の美しいオレンジ色の炎が、全てを塗り潰すように視界一杯に広がる。
白蘭の姿は、もうどこにも見えない。
「あんなんで普通わかんねーだろ!」
炎と、土煙が晴れる。
向こうで、沢田が一人で、立っていた。
「わかんなくても、信じてた……」
白蘭はいない、どこにもいない。
この勝負は、オレたちの、勝ちだ……。
そう確信した途端に、強烈な眠気を感じ、瞼を閉じる。
ディーノの腕の中は、とても、とても暖かくて……。
「え、ちょっ!スクアーロお前ほんとメチャクチャな……って、寝ちまったのか!?」
慌てて、オレを抱きかかえて走り出した跳ね馬の腕の中で、安らかな寝息を立てながら、眠りについた。
向こうで、沢田と仲間達が、寄り添っていた。