10年後
「クソッ!!あのヤロー!まだ目が見えねぇ……!」
ザクロは一人、誰もいないボンゴレアジトで座り込んでいた。
スクアーロの閃光弾のせいで、視界がボヤけてしまい、満足に足元も見えないのだ。
これでは敵を追うどころか、この建物から抜け出すことすら危うい。
「あのヤロー、次にあったら絶対に殺してやる!」
手探りで動きながら、なんとかアジトを出るために立ち上がったときだった。
かたんという音と、手に何かが当たった感触に、ザクロは頭にクエスチョンマークを浮かべる。
「なんだこりゃあ?」
四角い機械……何かのリモコンみたいな機械だった。
微かにモヤの晴れてきた視界で、機械の中の画面を見つめる。
目を凝らせば、黒い画面の中を赤い三角形が動いているのがわかる。
三角の下には、「T.SAWADA」と書かれているが、「T.SAWADA」は恐らく沢田綱吉のこと。
つまりこれは……沢田綱吉の居場所を示しているのか!
後から追っていくとか話していたし、これはもう間違いないな、と己の発見に感心して頷くザクロの頭に、先程スクアーロに罠にはめられたという記憶は残っていない。
「そろそろ目も見えるようになってきたし、待ってろよボンゴレ……そしてあのくそヤロー!ぜってーに取っ捕まえて焼き殺してやるぜバーロー!!」
ザクロの頭にユニの確保という考えはない。
頭に血が上り、完全に己の目的を忘れてしまっているようだ。
「行くぜっ!!」
嵐の炎で天井を突き破り、しかしすぐに雨の炎の壁に動きを止められたのだった。
* * *
「ちっ!どんな馬鹿力だクソッ!!」
その頃、スクアーロも同じように悪態をついていた。
敵察知のための炎、バリアの炎、加えて戦いの時に炎を出しきったせいで、ふらふらとなっていたのだった。
更に……、
「腕が動かねぇ……!」
閃光弾が炸裂する寸前、ザクロは斬撃を防ぐために掴んだ剣ごと、スクアーロの腕を捻ったのだ。
その時には逃げることに意識を傾けていたために、たいした痛みは感じなかったが、アジトから抜け出す頃には、痛みは徐々に広がり、額からはじっとりと脂汗をかいていた。
「完璧に折れてやがる……」
手当てをしたかったが、またいつ襲われるともわからない。
とにかく全ては身を隠してからと、スクアーロは折れた腕をぶらりと垂らしたまま、走り続けていた。
「あのまま、もう一つの罠に掛かって、大人しく無人島までいってくれりゃあ良いんだがな……」
どうやらあの機械は罠だったらしい。
ザクロが見事罠に填まったことを知るよしもないスクアーロは、今にも誰かが襲いかかって来るのではないかと神経を尖らせながら並盛の路地裏を走っていったのだった。
ザクロは一人、誰もいないボンゴレアジトで座り込んでいた。
スクアーロの閃光弾のせいで、視界がボヤけてしまい、満足に足元も見えないのだ。
これでは敵を追うどころか、この建物から抜け出すことすら危うい。
「あのヤロー、次にあったら絶対に殺してやる!」
手探りで動きながら、なんとかアジトを出るために立ち上がったときだった。
かたんという音と、手に何かが当たった感触に、ザクロは頭にクエスチョンマークを浮かべる。
「なんだこりゃあ?」
四角い機械……何かのリモコンみたいな機械だった。
微かにモヤの晴れてきた視界で、機械の中の画面を見つめる。
目を凝らせば、黒い画面の中を赤い三角形が動いているのがわかる。
三角の下には、「T.SAWADA」と書かれているが、「T.SAWADA」は恐らく沢田綱吉のこと。
つまりこれは……沢田綱吉の居場所を示しているのか!
後から追っていくとか話していたし、これはもう間違いないな、と己の発見に感心して頷くザクロの頭に、先程スクアーロに罠にはめられたという記憶は残っていない。
「そろそろ目も見えるようになってきたし、待ってろよボンゴレ……そしてあのくそヤロー!ぜってーに取っ捕まえて焼き殺してやるぜバーロー!!」
ザクロの頭にユニの確保という考えはない。
頭に血が上り、完全に己の目的を忘れてしまっているようだ。
「行くぜっ!!」
嵐の炎で天井を突き破り、しかしすぐに雨の炎の壁に動きを止められたのだった。
* * *
「ちっ!どんな馬鹿力だクソッ!!」
その頃、スクアーロも同じように悪態をついていた。
敵察知のための炎、バリアの炎、加えて戦いの時に炎を出しきったせいで、ふらふらとなっていたのだった。
更に……、
「腕が動かねぇ……!」
閃光弾が炸裂する寸前、ザクロは斬撃を防ぐために掴んだ剣ごと、スクアーロの腕を捻ったのだ。
その時には逃げることに意識を傾けていたために、たいした痛みは感じなかったが、アジトから抜け出す頃には、痛みは徐々に広がり、額からはじっとりと脂汗をかいていた。
「完璧に折れてやがる……」
手当てをしたかったが、またいつ襲われるともわからない。
とにかく全ては身を隠してからと、スクアーロは折れた腕をぶらりと垂らしたまま、走り続けていた。
「あのまま、もう一つの罠に掛かって、大人しく無人島までいってくれりゃあ良いんだがな……」
どうやらあの機械は罠だったらしい。
ザクロが見事罠に填まったことを知るよしもないスクアーロは、今にも誰かが襲いかかって来るのではないかと神経を尖らせながら並盛の路地裏を走っていったのだった。