10年後

ユニ――アルコバレーノのボスであるユニが、ミルフィオーレを抜け、ボンゴレへと助力を求めてきた。
それも白蘭の集めた4つのアルコバレーノのおしゃぶりと共に。

「もうあなたには、私達の魂を預けるわけにはいきません」
「♪なーに勝手なこと言ってんの?それ持って逃げるんなら、世界の果てまで追いかけて奪うだけだよ」

白蘭がユニへと手を伸ばす。
マズイ、このままじゃまたユニが……!
オレが鞭を構えて飛び出すその直前に、一発の銃声が響き、白蘭の手を阻んだ。

「リボーン!!」
「おじさま!」
「図に乗んなよ白蘭。てめーが誰でどんな状況だろうと、アルコバレーノのボスに手を出すんなら、オレが黙っちゃいねーぞ」
「え――――!?あの娘アルコバレーノのボスなの――!!」

っと――、流石だなリボーン。
だが白蘭の顔が苦く歪む。

「ナイト気取りかい?″最強の赤ん坊(アルコバレーノ)″リボーン」
「白蘭様、ご安心ください。ユニ様は我々がすぐにお連れします」

そう進言した桔梗と、トリカブト、ザクロが空へと飛び上がる。
桔梗の植物を使った攻撃が迫てきた。
だが、

――ビュッ ドガガ!!

「ゔお゙ぉいっ!!てめーの相手はオレだぁ!」

スクアーロの仕込み火薬が攻撃を防ぎ、相手に隙が出来た。
恭弥が隣でスクアーロの腕を不機嫌そうにトンファーで突っついてるせいで、あんまかっこついてないけどな。
ユニを守るのなら、ここで戦うのはかなり不利になる。
怪我人も、非戦闘員も多すぎる。
相手のフィールドだし、一度退くのが得策だ。
恐らく、スクアーロは足止めのために出てきたのだろう。
一瞬目が合う。
……オーケー。
ユニ達はオレに任せろ。

「くるんだ!!オレたちと一緒に!!」

ツナの一言で、場が動き始める。

「白蘭様、ユニ様を連れ戻すための攻撃許可を」
「……うん」

ミルフィオーレファミリーからの攻撃の意思を確認した瞬間に、スクアーロが動き始める。
大量の火薬と、匣兵器が真6弔花を襲った。

「そうはさせねぇぞぉ!!」
「スクアーロ!!」
「スクアーロは時間をかせぐ気だ。ツナ、ここはいったん退いて態勢を立て直した方がいい!」

ここに来たときに使った転送装置があるはず、というユニの言葉に従って、オレたちは転送装置へと駆けていった。


 * * *


「はっ!ここを通りたけりゃオレを倒して行けぇ!!」
「ちょっと、僕の獲物だって言ってるでしょ」
「ゔお゙ぉい!!一人で、全部相手する気かぁ!?」
「うるせぇぞテメーら!!コイツらはオレが足止めする!!」
「ハハン、揉めてる暇がありますか?」
「ゔおっ!?」

真6弔花の前に立ちはだかったのは、オレと雲雀恭弥と獄寺隼人。
言っちゃ難だが相性が悪すぎる。
さっきから口論が絶えねえんだが。
オレにどうしろっつーんだ!

「ちっ!沢田たちはもう転送装置についたな!?ゔお゙ぉい雲雀恭弥!!テメーの針ネズミで足止めしろ!!」
「仕方ないね」

時期を見計らって、アーロに乗る。
獄寺と雲雀もその背に乗せて、退却を始めた。
だがそう易々と逃してくれる相手じゃあねぇ。
オレは奴らを迎え撃つために、保存用の匣を開けた。

「ってお前っ!!それライフルじゃ……!」
「どいてろぉ!!」

嵐の炎を蓄積した特別製のライフルをぶちかまして、敵を牽制する。
その内に雲雀な針ネズミが展開し、真6弔花の行く手を塞いだ。

「よし!これで時間が稼げる!!」
「真6弔花だけならなぁ……!」
「なにっ!?」

まだ遠いが、白蘭がこちらに向かって来ているのがわかる。
なんて執念だ……。
アーロがスピードを上げた。
逃げ切れるか……。
激突に近い形で、アーロは基地に到着した。
アーロから飛び降りた獄寺やヒバリが、直ぐ様転送装置へと駆け寄っていくが、ギリギリ間に合わねーかぁ!?

「お前たちは先に行け。今度はオレが時間をかせぐ」

沢田の前に立って、武器を構えた跳ね馬の隣に着地する。
雲雀と獄寺は、既に基地前に到着していた。
後は沢田とクロームだけだ。

「おいおい、スクアーロ。お前も一緒に行って良いんだぜ?」
「お前一人で白蘭止められやしねぇだろぉ?オレが手伝ってやんだから感謝しろヘタレ馬ぁ」
「ひっでーの!」

ふざけあいながら、仕込みワイヤーを袖口から出し、雨の炎を纏わせながらビルとビルの合間に広げる。
高く、広く、隙間なく。
しかし繰り広げられたワイヤーの網は、白蘭の一撃に破られる。
くそ……こんな小細工じゃ通用しねぇってかよ……。

「誰が相手だろうと僕を止めることはできないよ!」

ちっ、真っ向からぶつかるしかねぇか!

「――クフフフフ…、それはどうでしょうねえ」

白蘭とぶつかる直前、背後から追い抜いた声に瞠目した。
幻と現の狭間のような脳に響く声。
その声が実体を伴い、姿を現した。

「クフフフ」

特徴的な笑い声の後、地面から火柱が噴き出し、白蘭を飲み込んだ。

「お久しぶりです、沢田綱吉」

さらりと挨拶を交わした六道骸が視線をこちらに向けた。

「お久しぶりです……、″ガットネロ″。また、ボンゴレに手を貸しているのですね」
「……」
「ガットネロ……?」

また、懐かしい上に、嫌な名前を出してくれたものだ。

「あなたを助ける形になるのは、些か不本意ではありますが、仕方がありませんね」
「……」

相も変わらず、ひねくれていて、掴めない。
オレのことを嫌っているのなら、見放しちまえば良いのに……。
もっと憎めば良いのにな。

「ったく、不器用同士話したところで埒があかねぇな……」

苦笑で言ったディーノの声にハッとする。
あ゙ーくそ、考え込んでる場合じゃねぇ!!

「ツナ!ここは骸にまかせた方がよさそうだ」
「でも……骸様!」
「……骸!!また会えるのか!?」
「当然です。僕以外の人間に世界を取られるのは面白くありませんからね」

クフフと笑んだ骸は続ける。

「いいですか?沢田綱吉。絶対に、大空のアルコバレーノ、ユニを、白蘭に渡してはいけない」

沢田にそう言い含めた六道の胸を白蘭の手が貫く。

「……、早く転送装置に炎を注げ!」
「わ、わかった……!クローム!み、みんな!!」

沢田の声を合図に、全員がリングに炎を灯す。

「――ありがとう、六道骸」
「!……クフ、相も変わらず、お人好しな方ですね」

そうしてオレたちは、並盛に戻った。
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