10年後

戦いが終わり、オレ達は二手に分かれて入江とスパナの手当てをしに行く。
リボーン達が入江の方に、オレ達はスパナの方に。

「……っと、よし。ここから入れそうだなぁ」
「スパナ、生きてるっ!?」
「……スクアーロに、毒サソリか?なんとか生きてるみたいだ」

瓦礫を退けて、脱出ルートを作りながら、無線から聞こえてくる入江の声に耳を傾ける。
かつて10年バズーカに被弾して、未来へ飛んだこと。
タイムトラベルを繰り返すうちに、白蘭のとある能力を目覚めさせてしまったこと。
未来の白蘭によって過去の白蘭までその能力に目覚めてしまったこと。
そして、その能力とは。

「パラレルワールド全ての知識を持つ、だと……?」

しかも白蘭を倒せる可能性を持つのはこの世界だけ。
なのに、

『なのに…負けちゃった……。そんな大きな意味や想いがあるなんて知らずに……』
『そ、君たちの負け♪』

オレ達は負け、白蘭達は勝った。
それが全てである。

「スパナ、一先ず大きな傷は手当てする。安心しろぉ!どれも大した傷じゃねぇ!!」
「……うちはともかく、ボンゴレたちは無事なのか」
「大事ない」

今はまだ。
そんな言葉を辛うじて飲み込み、患部に雨の炎を当てながら止血する。
耳は、無線の向こうに傾けたままだ。

『大学時代、僕とあなたがやった最後のチョイスで僕が勝った……。だが支払うものがなくなったあなたはこう言った。

「次にチョイスで遊ぶ時はハンデとして正チャンの好きな条件を何でものんであげるよ」

……今それを執行します。僕はチョイスの再戦を希望する!!』
『……うーん、悪いけど、そんな話覚えてないなぁ』

そんな話、白蘭が受けるはずがねーだろう。
こうなったら、その約束を盾にボンゴレリングの譲渡を拒むしかねぇな。

『ない話は受けられないよ。ミルフィオーレのボスとして正式に、お断り♪』
『私は反対です。白蘭。ミルフィオーレのブラックスペルのボスである私にも、決定権の半分はあるはずです』

突然飛び込んできた声に、目を見開いた。
この声は……!

『ユニ……貴様……!』

アルコバレーノのボス、ユニ……!!
毒サソリと、後から来た山本にスパナを任せ、剣を構えながら奴らがいる場所に向かった。
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