10年後
「今日は終わりだぁ!」
「うぃっす、師匠!!」
終わりを告げ、山本を部屋に戻す。
恐らく一度戻ってから、風呂にでも行くのだろう。
オレも部屋を軽く片してから、自室に向かう。
うっすら汗ばんだ体をシャワーで流す。
しかし、そのまま寝る訳にはいかない。
オレにはやらなければならないことがある、のだ。
「と、その前にだ」
服を着替えて食堂に向かう。
予想が外れることを願ったが、残念ながら的中……。
食堂には日付を越しているにも関わらず、煌々と灯りが点っていた。
「まだいたのか跳ね馬ぁ」
「うっ、その言い方はないだろー!」
「思ったことを言ったまでだぁ」
「余計にひでーじゃねーか……」
少し肌寒い食堂のなかで、苦く笑ったディーノは、立ち上がり近付いてきた。
「どうした」
「別に……。スクアーロが無理してねーかなー、って思ってさ。その様子だと、無茶しようとしてたみたいだな」
その言葉に鼻を鳴らす。
無茶って程じゃない。
ちょっと睡眠時間を削るだけの話である。
「目、逸らしたな?」
「逸らしてねーよ……」
「じゃあ、ちゃんとこっち見ろよ」
イラつく奴だ。
ぎろっと睨み付けると、相変わらずヘラヘラした笑みを浮かべながら、そんなに怒るなよ、などと言ってくる。
にょいーっと、頬を引っ張った。
よく伸びるそれに、少しだけ気分がよくなる。
「ひてーよひゅくはーお!」
「何言ってんのかわかんねーなぁ?」
「いっ!いてーよスクアーロ!!」
「そうか。ざまぁみろ」
「ひっでー!」
頬を真っ赤に腫らした様子がおかしくて、クツクツ笑うとムッとされた。
お互いに、大人げがねぇ。
「……なあ、スクアーロ。あんま無理すんなよ……」
不意に、肩を捕まれる。
いつの間にやら、壁に追い詰められていた。
しょげた犬みてぇな目で訴えかける跳ね馬に抵抗するように、逸らさずに見詰め返した。
「今、やんねーでどうする」
「一人でやることねーだろ!」
「他に誰かやる奴がいるのか?」
「……オレが、」
「お前には家庭教師の役目があるんじゃなかったか?」
「なら毒サソリやリボーンや……ジャンニーニだっているだろう!なんでお前ばっかり!!」
「オレじゃなきゃできねーことがあるからだ。……いいか、跳ね馬ぁ。オレは、後悔したくねぇ。少しでも良い結果が出るように、例え無駄でも構わねーから、布石を敷いておきてーんだ」
「だが、よぉ……」
どれだけオレの主張を言ったって、こいつが納得することはないことを知ってる。
反対に、こいつに何を言われたところで、オレも納得しないし、『無理』ってのをやめもしねーだろう。
だからこそ、オレはにーっこりと、笑った。
「まぁ、安心しろぉ。今日はお前がいるからなぁ」
「え、え?な、な何だよ……、大人しく寝るのか?ならオレとベッドに」
「ドカスがぁ!!てめーにゃ今日の分の仕事手伝ってもらうぜぇ!」
「えー!!!」
オレも疲れてるんだよ、寝よーぜとブー垂れる跳ね馬に道具を押し付け、上機嫌で外に出た。
どうせ言うほど疲れちゃいねーんだから、少し付き合わせたっていいだろう。
ああ、今日は少しは眠れそうだ。
「うぃっす、師匠!!」
終わりを告げ、山本を部屋に戻す。
恐らく一度戻ってから、風呂にでも行くのだろう。
オレも部屋を軽く片してから、自室に向かう。
うっすら汗ばんだ体をシャワーで流す。
しかし、そのまま寝る訳にはいかない。
オレにはやらなければならないことがある、のだ。
「と、その前にだ」
服を着替えて食堂に向かう。
予想が外れることを願ったが、残念ながら的中……。
食堂には日付を越しているにも関わらず、煌々と灯りが点っていた。
「まだいたのか跳ね馬ぁ」
「うっ、その言い方はないだろー!」
「思ったことを言ったまでだぁ」
「余計にひでーじゃねーか……」
少し肌寒い食堂のなかで、苦く笑ったディーノは、立ち上がり近付いてきた。
「どうした」
「別に……。スクアーロが無理してねーかなー、って思ってさ。その様子だと、無茶しようとしてたみたいだな」
その言葉に鼻を鳴らす。
無茶って程じゃない。
ちょっと睡眠時間を削るだけの話である。
「目、逸らしたな?」
「逸らしてねーよ……」
「じゃあ、ちゃんとこっち見ろよ」
イラつく奴だ。
ぎろっと睨み付けると、相変わらずヘラヘラした笑みを浮かべながら、そんなに怒るなよ、などと言ってくる。
にょいーっと、頬を引っ張った。
よく伸びるそれに、少しだけ気分がよくなる。
「ひてーよひゅくはーお!」
「何言ってんのかわかんねーなぁ?」
「いっ!いてーよスクアーロ!!」
「そうか。ざまぁみろ」
「ひっでー!」
頬を真っ赤に腫らした様子がおかしくて、クツクツ笑うとムッとされた。
お互いに、大人げがねぇ。
「……なあ、スクアーロ。あんま無理すんなよ……」
不意に、肩を捕まれる。
いつの間にやら、壁に追い詰められていた。
しょげた犬みてぇな目で訴えかける跳ね馬に抵抗するように、逸らさずに見詰め返した。
「今、やんねーでどうする」
「一人でやることねーだろ!」
「他に誰かやる奴がいるのか?」
「……オレが、」
「お前には家庭教師の役目があるんじゃなかったか?」
「なら毒サソリやリボーンや……ジャンニーニだっているだろう!なんでお前ばっかり!!」
「オレじゃなきゃできねーことがあるからだ。……いいか、跳ね馬ぁ。オレは、後悔したくねぇ。少しでも良い結果が出るように、例え無駄でも構わねーから、布石を敷いておきてーんだ」
「だが、よぉ……」
どれだけオレの主張を言ったって、こいつが納得することはないことを知ってる。
反対に、こいつに何を言われたところで、オレも納得しないし、『無理』ってのをやめもしねーだろう。
だからこそ、オレはにーっこりと、笑った。
「まぁ、安心しろぉ。今日はお前がいるからなぁ」
「え、え?な、な何だよ……、大人しく寝るのか?ならオレとベッドに」
「ドカスがぁ!!てめーにゃ今日の分の仕事手伝ってもらうぜぇ!」
「えー!!!」
オレも疲れてるんだよ、寝よーぜとブー垂れる跳ね馬に道具を押し付け、上機嫌で外に出た。
どうせ言うほど疲れちゃいねーんだから、少し付き合わせたっていいだろう。
ああ、今日は少しは眠れそうだ。