リング争奪戦
「もう、これが溶けることはない」
ザンザスが、再び凍り付く。
体の芯が冷えていくようだった。
心臓を氷の手に鷲掴みされたような気分。
「ツナの勝ちだ」
勝利の宣言が、頭の中をすり抜けていく。
血が止まっていた唇から、また血が滲み出してきた。
『正義』の名の元に、『ボンゴレ』の名の元に、再びザンザスは封印された。
また、またオレは、アイツを助けられなかったのか。
「XANXUSは……冷凍仮死状態か……」
「ああ、恐らく……″揺りかご″の後、8年間眠っていたのと同じようにな」
「!」
「なるほど、これで話が繋がるな」
「さあ、話してもらうぞ、スクアーロ。8年前の揺りかごであったことを……」
跳ね馬の目が、こちらに向けられた。
オレは緩慢に首を横に振り、素っ気なく答えた。
「XANXUSはあのジジイに凍らされた……。それだけだぁ」
そして、オレは奴を守ることも出来ずに、今と同じように見ていることしか出来なかった。
「ゔお゙ぉい!!オレをここから出せぇ!!」
また、ザンザスはあの氷の世界に閉じ込められて、永遠に時を止めてしまうのか!?
許せない、許すことなど、出来はしない。
オレ達のしてきたことは、紛れもない『悪』かもしれない。
でも、オレ達はオレ達なりに、想いを、信念を持って戦ってきたのだ。
なのにどうして、封印なんて中途半端な結末を選ぶ?
そんなことするくらいなら、始めから、はじめから……
「それはなりません、規定の勝敗条件を満たしておりませんので……」
「うるせぇ!!出せぇ!!」
「やめろスクアーロ!」
手を拘束する布を破ろうと、力を込める。
ミシミシと骨がなる。
なんで、こんなところであいつを助けることも出来ずにいるのだ。
早く、行くんだ。
ザンザスの元へ。
オレの、主の元へ!
今度は、今度こそは、お前のことを助けに行きたいんだ。
ザンザスを封じる氷の足元で、沢田綱吉が力尽き、蹲っているのがわかる。
今なら、まだ間に合うのに!!
ザンザス、お前を助けられるのに!
「今がチャンスね!!」
「!?」
突然現れた、ルッスーリアとレヴィに息を飲む。
すっかり忘れていたが、ナイスタイミング!!
沢田に襲い掛かるルッスーリアとレヴィは幻覚と見破られたが、その幻覚を操っていたマーモンが姿を見せる。
「ムダだ……、XANXUSはもう眠りについた……」
「それはどうかな?むしろ、ボスが時期ボンゴレの後継者になるための、儀式の準備が整ったのさ。ボスは再び復活する」
這いつくばる沢田綱吉に、マーモンが掌を開き、中にあるものを見せた。
「あれは!」
「守護者のリング!!」
「よお゙ぉし!!」
守護者のリング、全てが場に揃った。
あのリングには、零地点突破の氷を溶かす能力がある!!
マーモンの持つ6つのリングと、沢田の持つ大空のリングから、死ぬ気の炎が溢れだす。
これで、ザンザスの封印は溶ける!!
「零地点突破の氷が……!!」
「溶けていく!」
氷が溶け、倒れ混んだザンザスに、マーモンと、大空のリングを回収したベルが駆け寄る。
マーモンが、ザンザスの腰に巻かれたチェーンに守護者のリングを嵌め込み、ベルがザンザスの手を持ち上げる。
ああ、待て!
あのリングを填めるのはまずい!
「!!待て!もうリングはこちらの手に揃った!オレ達の勝ちだぁ!!」
「いいえ、大空のリングは持ち主の指に嵌められて、勝負が決します」
「くっ!ベル!!それを指に嵌めるなぁ!!」
「な、なに言ってんだ?」
「ししっ、本当、何言ってんだし!嵌めるぜボス」
ボンゴレリングが、全て揃ってしまう。
何をしても溶けなかった、あの封印の氷を溶かすほどの力が、ザンザスの体に集う。
―― キュオオオ……
「こ、これは……!!力だ!!!とめどなく力があふれやがる!!!これがボンゴレ後継者の証!!ついに!!ついに叶ったぞ!!」
……なんとも、ない、のか?
オレは氷を溶かすあのリングの力を知っていて、尚且つ、ボンゴレの後継者には血の繋がりが必要なことを知っていた。
だから仮説を立てたのだ。
あの強力なリングの力は、ボンゴレの血統以外の者には、使いこなせないのではないかと。
そしてもし、使いこなせないだけではなく、その強すぎる力が当人に害を及ぼしたら?
……きっとただでは済まない。
「これでオレはボンゴレ10代目に……、っ!!」
次の瞬間、オレの予想が当たってしまった。
「がっ!がはぁ!!」
ザンザスが吐血し、どうと倒れる。
やはり、ダメだった!!
「ベルっ、マーモン!!そのリングを外せぇ!!」
「な、なんで……ボス!!」
「どーしたんだ!?ボス!」
聞こえてねぇのか!?
早く外さねぇと、ザンザスが……!!
「クソッ!!」
暴れて車イスを抜け出そうとするオレを跳ね馬たちが押さえる。
ミリ、ミシっと嫌な音が腕に響いている。
痛みと、音と、他人の手が体に触れる、不快な感覚。
それを掻き分けるようにして、沢田の呟きが耳に入ってきた。
「リングが……XANXUSの血を……拒んだんだ……」
ザンザスが咳き込むように吐血する光景を見ながら、漸く拘束の布を千切り、前に手を伸ばした。
終わってしまったのだと、心の奥のホンのちょっとの冷静な部分が囁いた。
ザンザスが、再び凍り付く。
体の芯が冷えていくようだった。
心臓を氷の手に鷲掴みされたような気分。
「ツナの勝ちだ」
勝利の宣言が、頭の中をすり抜けていく。
血が止まっていた唇から、また血が滲み出してきた。
『正義』の名の元に、『ボンゴレ』の名の元に、再びザンザスは封印された。
また、またオレは、アイツを助けられなかったのか。
「XANXUSは……冷凍仮死状態か……」
「ああ、恐らく……″揺りかご″の後、8年間眠っていたのと同じようにな」
「!」
「なるほど、これで話が繋がるな」
「さあ、話してもらうぞ、スクアーロ。8年前の揺りかごであったことを……」
跳ね馬の目が、こちらに向けられた。
オレは緩慢に首を横に振り、素っ気なく答えた。
「XANXUSはあのジジイに凍らされた……。それだけだぁ」
そして、オレは奴を守ることも出来ずに、今と同じように見ていることしか出来なかった。
「ゔお゙ぉい!!オレをここから出せぇ!!」
また、ザンザスはあの氷の世界に閉じ込められて、永遠に時を止めてしまうのか!?
許せない、許すことなど、出来はしない。
オレ達のしてきたことは、紛れもない『悪』かもしれない。
でも、オレ達はオレ達なりに、想いを、信念を持って戦ってきたのだ。
なのにどうして、封印なんて中途半端な結末を選ぶ?
そんなことするくらいなら、始めから、はじめから……
「それはなりません、規定の勝敗条件を満たしておりませんので……」
「うるせぇ!!出せぇ!!」
「やめろスクアーロ!」
手を拘束する布を破ろうと、力を込める。
ミシミシと骨がなる。
なんで、こんなところであいつを助けることも出来ずにいるのだ。
早く、行くんだ。
ザンザスの元へ。
オレの、主の元へ!
今度は、今度こそは、お前のことを助けに行きたいんだ。
ザンザスを封じる氷の足元で、沢田綱吉が力尽き、蹲っているのがわかる。
今なら、まだ間に合うのに!!
ザンザス、お前を助けられるのに!
「今がチャンスね!!」
「!?」
突然現れた、ルッスーリアとレヴィに息を飲む。
すっかり忘れていたが、ナイスタイミング!!
沢田に襲い掛かるルッスーリアとレヴィは幻覚と見破られたが、その幻覚を操っていたマーモンが姿を見せる。
「ムダだ……、XANXUSはもう眠りについた……」
「それはどうかな?むしろ、ボスが時期ボンゴレの後継者になるための、儀式の準備が整ったのさ。ボスは再び復活する」
這いつくばる沢田綱吉に、マーモンが掌を開き、中にあるものを見せた。
「あれは!」
「守護者のリング!!」
「よお゙ぉし!!」
守護者のリング、全てが場に揃った。
あのリングには、零地点突破の氷を溶かす能力がある!!
マーモンの持つ6つのリングと、沢田の持つ大空のリングから、死ぬ気の炎が溢れだす。
これで、ザンザスの封印は溶ける!!
「零地点突破の氷が……!!」
「溶けていく!」
氷が溶け、倒れ混んだザンザスに、マーモンと、大空のリングを回収したベルが駆け寄る。
マーモンが、ザンザスの腰に巻かれたチェーンに守護者のリングを嵌め込み、ベルがザンザスの手を持ち上げる。
ああ、待て!
あのリングを填めるのはまずい!
「!!待て!もうリングはこちらの手に揃った!オレ達の勝ちだぁ!!」
「いいえ、大空のリングは持ち主の指に嵌められて、勝負が決します」
「くっ!ベル!!それを指に嵌めるなぁ!!」
「な、なに言ってんだ?」
「ししっ、本当、何言ってんだし!嵌めるぜボス」
ボンゴレリングが、全て揃ってしまう。
何をしても溶けなかった、あの封印の氷を溶かすほどの力が、ザンザスの体に集う。
―― キュオオオ……
「こ、これは……!!力だ!!!とめどなく力があふれやがる!!!これがボンゴレ後継者の証!!ついに!!ついに叶ったぞ!!」
……なんとも、ない、のか?
オレは氷を溶かすあのリングの力を知っていて、尚且つ、ボンゴレの後継者には血の繋がりが必要なことを知っていた。
だから仮説を立てたのだ。
あの強力なリングの力は、ボンゴレの血統以外の者には、使いこなせないのではないかと。
そしてもし、使いこなせないだけではなく、その強すぎる力が当人に害を及ぼしたら?
……きっとただでは済まない。
「これでオレはボンゴレ10代目に……、っ!!」
次の瞬間、オレの予想が当たってしまった。
「がっ!がはぁ!!」
ザンザスが吐血し、どうと倒れる。
やはり、ダメだった!!
「ベルっ、マーモン!!そのリングを外せぇ!!」
「な、なんで……ボス!!」
「どーしたんだ!?ボス!」
聞こえてねぇのか!?
早く外さねぇと、ザンザスが……!!
「クソッ!!」
暴れて車イスを抜け出そうとするオレを跳ね馬たちが押さえる。
ミリ、ミシっと嫌な音が腕に響いている。
痛みと、音と、他人の手が体に触れる、不快な感覚。
それを掻き分けるようにして、沢田の呟きが耳に入ってきた。
「リングが……XANXUSの血を……拒んだんだ……」
ザンザスが咳き込むように吐血する光景を見ながら、漸く拘束の布を千切り、前に手を伸ばした。
終わってしまったのだと、心の奥のホンのちょっとの冷静な部分が囁いた。