鮫、帰らず
「ど、どう言うことなのな?スクアーロの、中身を探す……?いや、それよりもスクアーロが歪み?もうわけわかんねーのな……!」
混乱したように、鸚鵡返しに言った山本に、チェッカーフェイスは優しく微笑んだ。
雰囲気は生徒に質問をされた教師だ。
「さっき言っただろう?『原因さえ取り除いてやれば、体の傷を治すことなんて他愛もないことだ』ってね」
「そ、そうだよ!その原因ってなんなの!?」
「ズバリ言おう。その原因とは、この子の魂、そのモノさ」
「た、魂……!?」
「ってオイ!!あんたさっき『原因を取り除いた』って……!!」
「ああ、彼女の傷が治らなかったのは、さっき話した転生者の魂に引きずられていたことが原因だったからね。魂と身体を分けてやれば、身体の傷は簡単に癒せる」
「んじゃあ、その、今そこにある身体の中には魂がねーってこと?」
「そう、つまり中身がないってことだよ」
先程、チェッカーフェイスの言った「中身を探してもらいたい」という言葉はつまり、自分が2つに分けた体と魂の内、魂の方を探してもらいたい、と、そういうことらしい。
だがそこで、一つ疑問が浮かんでくる。
「お前が分けた魂なのに、元に戻せねぇのか?」
「動物の入った檻の扉を開けて逃がすのは簡単だが、逃げた動物を連れ戻すのは困難だろう?そう言うことさ。安心しなさい。この子の魂は、この屋敷の敷地内に留めてあるから」
分かりやすいような分かり難いような、そんな理屈を述べたチェッカーフェイスは、近くのソファーにストンと座り込んで足を組む。
「今、この子の魂は6つに別れてこの屋敷をさ迷っている。君達が、時間までに見付けて連れ戻してくれたなら、この子はもう一度、この目を開くことが出来るだろう」
「た、魂を見付けて連れ戻すなんてどうやって……!?」
「さあね。何せ私も、初めての試みだから」
「そんな……っ」
抗議の声を上げた綱吉を、だが大きな音が遮った。
壁が壊れるのではないかというほどの力で、拳を叩き付けたディーノは、据わった目を爛々と耀かせて1つだけ訊ねた。
「……その魂ってのを見付けて連れ戻せば、スクアーロは助かるんだよな?」
「そうだね」
「……わかった」
「ディーノさん!どこにっ!?」
踵を返したディーノが、ドアノブに手を掛け出ていこうとするのを、綱吉が呼び止める。
ディーノは振り向かないまま答えた。
「探すんだ。もう、時間もないみたいだしな。……チェッカーフェイス、オレにはスクアーロを助ける方法なんてわからねえ。だから、仕方なくテメーを信じる。でももし、テメーの言葉が嘘で、スクアーロが助からなかったときは、オレはお前を、命を懸けて、殺す……」
途中からチェッカーフェイスに向けられた言葉に、当のチェッカーフェイスは肩をすくめて飄々と受け流す。
「殺せるものなら、是非ともそうしてくれたまえ。それとこれは一つ忠告だが、魂というのは心の剥き出しになった姿だ。その殺気はしまっていった方が良い。逃げられてしまうよ」
チェッカーフェイスの忠告を聞いたディーノは、返事を返さずに部屋を出ていった。
その後をロマーリオが続く。
一拍置いて、残った者達も、慌てたように部屋を出ていった。
―― タイムリミットまで、残り80分……。
混乱したように、鸚鵡返しに言った山本に、チェッカーフェイスは優しく微笑んだ。
雰囲気は生徒に質問をされた教師だ。
「さっき言っただろう?『原因さえ取り除いてやれば、体の傷を治すことなんて他愛もないことだ』ってね」
「そ、そうだよ!その原因ってなんなの!?」
「ズバリ言おう。その原因とは、この子の魂、そのモノさ」
「た、魂……!?」
「ってオイ!!あんたさっき『原因を取り除いた』って……!!」
「ああ、彼女の傷が治らなかったのは、さっき話した転生者の魂に引きずられていたことが原因だったからね。魂と身体を分けてやれば、身体の傷は簡単に癒せる」
「んじゃあ、その、今そこにある身体の中には魂がねーってこと?」
「そう、つまり中身がないってことだよ」
先程、チェッカーフェイスの言った「中身を探してもらいたい」という言葉はつまり、自分が2つに分けた体と魂の内、魂の方を探してもらいたい、と、そういうことらしい。
だがそこで、一つ疑問が浮かんでくる。
「お前が分けた魂なのに、元に戻せねぇのか?」
「動物の入った檻の扉を開けて逃がすのは簡単だが、逃げた動物を連れ戻すのは困難だろう?そう言うことさ。安心しなさい。この子の魂は、この屋敷の敷地内に留めてあるから」
分かりやすいような分かり難いような、そんな理屈を述べたチェッカーフェイスは、近くのソファーにストンと座り込んで足を組む。
「今、この子の魂は6つに別れてこの屋敷をさ迷っている。君達が、時間までに見付けて連れ戻してくれたなら、この子はもう一度、この目を開くことが出来るだろう」
「た、魂を見付けて連れ戻すなんてどうやって……!?」
「さあね。何せ私も、初めての試みだから」
「そんな……っ」
抗議の声を上げた綱吉を、だが大きな音が遮った。
壁が壊れるのではないかというほどの力で、拳を叩き付けたディーノは、据わった目を爛々と耀かせて1つだけ訊ねた。
「……その魂ってのを見付けて連れ戻せば、スクアーロは助かるんだよな?」
「そうだね」
「……わかった」
「ディーノさん!どこにっ!?」
踵を返したディーノが、ドアノブに手を掛け出ていこうとするのを、綱吉が呼び止める。
ディーノは振り向かないまま答えた。
「探すんだ。もう、時間もないみたいだしな。……チェッカーフェイス、オレにはスクアーロを助ける方法なんてわからねえ。だから、仕方なくテメーを信じる。でももし、テメーの言葉が嘘で、スクアーロが助からなかったときは、オレはお前を、命を懸けて、殺す……」
途中からチェッカーフェイスに向けられた言葉に、当のチェッカーフェイスは肩をすくめて飄々と受け流す。
「殺せるものなら、是非ともそうしてくれたまえ。それとこれは一つ忠告だが、魂というのは心の剥き出しになった姿だ。その殺気はしまっていった方が良い。逃げられてしまうよ」
チェッカーフェイスの忠告を聞いたディーノは、返事を返さずに部屋を出ていった。
その後をロマーリオが続く。
一拍置いて、残った者達も、慌てたように部屋を出ていった。
―― タイムリミットまで、残り80分……。