代理戦争編

「じゃあディーノさんとバジル君のお見舞いに出発!!」
「おお!!」

代理戦争は終結し、怪我人達へのお見舞いの品を揃えて、綱吉一行は病院に向かった。
全員で訪ねるのを遠慮して、まずは綱吉とリボーンだけで見舞うことに決めて、病室に向かう。
間違えて入った病室で、ヴァリアーやミルフィオーレ、黒曜のメンバー、雲雀恭弥に出会った。
その全員とも、何だか覇気が足りていない。
理由は明白だった。

「……マーモン、スクアーロはどうだ?」
「うん……。良くない、よ」

代理戦争で肺を潰され、倒れたスクアーロ。
マーモンの幻術で欠けた部位は補われ、もう立ち上がり動くこともできている、はずだった……。

「相変わらず、昏睡状態が続いてる。理由もわからないまま、むしろ悪化してるくらいさ」
「悪化!?」
「イェーガーに潰された肺だけじゃない。それ以外の臓器まで、異常を来し始めているんだ」

原因不明の昏睡状態が続くまま、既に数日が経っている。
心臓を潰された白蘭は、ピンピンしているというのに、スクアーロだけが意識を取り戻さないままだった。
喧嘩をしながらも、落ち着かない様子の者達。
素直に言うことはなかったが、きっと心配しているのだろう。
そして、彼ら以上にスクアーロの身を案じている者がいた。

「よぉ、ツナ。何してんだ?」
「騒がしいから向かいの部屋から来てみたら、皆さんお揃いで!!」
「あっ、バジル君、ディーノさん!!」

騒ぎを聞きつけ駆け付けたらしい二人。
バジルは綱吉と楽しそうに話を始めたが、ディーノは一言だけ挨拶を交わすと、まっすぐマーモンの元へ向かった。

「なあ、アイツは……」
「ム、変わりないよ。何かあったら伝えるって言っただろ?」
「あ、ああ……そうだな」

しょんぼりと項垂れたディーノを、バジルが遠くから気遣わしそうに見詰めていた。

「ディーノ殿、ずっとあんな感じで……。あまり眠れてもいないようなんです」
「ディーノさん……」

不安げに自分を見る二人に気付いたのか、わざと明るい笑みを張り付けたディーノが何か言おうと口を開いたときだった。

「た、大変です!!隊長が……スクアーロ隊長が!!」
「え……?」
「スクアーロ隊長がいなくなったんです!!」

……新たな波乱が、幕を開けた。
32/32ページ
スキ