代理戦争編
怪我人達を病室に押し込み、マーモンがアルコバレーノの会合に呼び出されて出掛けるのを見送ったスクアーロは、椅子に浅く腰かけて武器を磨いていた。
仲間達が散々休むように言ったのだが、どうにもそんな気分に慣れず、その上寝転がると背中が酷く痛むため、眠らずに動き続けていたのだった。
丁寧に武器を扱うスクアーロの横では、ザンザスがブランデーを煽っている。
ザンザスも寝る気はないようで、ただ淡々と瓶の中の酒を消費している。
スクアーロが折り畳み式の槍を手に取ったときだった。
突然、空いていた窓から突風が吹き込む。
ハッとして身構え、スクアーロは叫んだ。
「ゔお゙ぉい!!てめえどこから!!」
「一人で何しに来た、カス」
風と共に、部屋に侵入してきた人物に、スクアーロは敵意を、ザンザスは冷静に質問を投げ掛けた。
「XANXUS、力を貸してくれ」
そう話し、ザンザスと視線を交わしたのは、沢田綱吉であった。
ゆったりとソファーに腰掛け、沢田綱吉に視線を向けたまま、ザンザスは返答する。
「話せ」
スクアーロは、ザンザスに敵対の意思がないことを、わかってもなお納得がいかない顔のまま、渋々とザンザスの後ろに控える。
「さっきの戦闘のあと、バミューダと接触した」
「なに……!?」
「そこで聞かされたんだ。バミューダ達、復讐者の正体と、アルコバレーノのこと、この代理戦争の思惑を……」
アルコバレーノ……虹の赤ん坊達は、世界を支える秘宝である、7つのおしゃぶりを守るために、チェッカーフェイスが創り出した人柱だった。
その時代、世界最強の7人を選び、彼らに呪いをかけて、その命と引き替えにおしゃぶりの輝きを守らせる。
だがアルコバレーノ達の命も永遠ではない。
いつかは赤ん坊になるという呪いに耐えきれなくなり、おしゃぶりにも悪影響が出始める。
そうなったとき、チェッカーフェイスはアルコバレーノの世代交代を行うのだ。
時には仕事の依頼を通して、時には代理戦争を使って。
「そして交代してアルコバレーノの任を終えた7人は、お払い箱となってほとんどが死んでいく。だけど、一部の抵抗したアルコバレーノ達は、今もまだ、生きている」
「まさか……!」
「復讐者達は、かつてのアルコバレーノの、成れの果てだったんだ」
アルコバレーノが、今の7人だけでないことは想像していたが、まさかかつてのアルコバレーノが復讐者として生きていたとは、流石の彼らでも考えが及ばなかったらしい。
ザンザスに目で続きを促され、綱吉は1つ頷き、話を続けた。
「最初の復讐者、バミューダは、第8属性の炎……夜の炎をおしゃぶりに注ぎ込むことで何とか死を免れた。だからアイツは透明なおしゃぶりを着けていたんだ。そしてアイツらは、今回の代理戦争で優勝し、その後現れたチェッカーフェイスを殺し復讐を遂げようと企んでいる。リボーンも、その復讐に参加するように勧誘されたんだ」
「……で、テメーはどうする気だ」
「オレは、他にも方法があると思ってるんだ。バミューダがおしゃぶりに夜の炎を注入して生き残った……。なら、それぞれのおしゃぶりに合った正しい炎を注入すれば、世代交代を終わってもリボーン達は死ぬことはないんじゃないかと考えたんだ」
空になったコップにもう一度水を注ぐように、中身を抜かれたおしゃぶりに、炎を満たせば、なるほど確かに、彼らが死ぬことはないかもしれない。
「この事はタルボじいさんに相談して、考えてもらってる。でも、例えこの方法が上手くいくとしても、バミューダ達は復讐を遂げない限り止まらない。もしチェッカーフェイスが倒されたらアルコバレーノはみんな死んでしまう。だからバミューダを倒して、オレ達が優勝しないといけないんだ!その為に、力を貸してほしい。詳しい話は、あとで、オレの家でみんな集まってからしようと思って……」
「わかった」
「……え?」
「日が明けたら、テメーの家に行く」
「ほ、本当か!?ありがとう!!」
それじゃあ、まだやることがあるから。
そう言って、綱吉は入ってきた窓から飛び出していった。
大嫌いな沢田綱吉の提案に、簡単に頷いたザンザス。
どうやら今は、沢田綱吉よりも復讐者達にお冠らしい。
「まだ時じゃねえ……つってたのは、こういうことだったのかぁ」
多くの事が、明らかになった。
再び武器の手入れに戻り、物思いに沈んでいくスクアーロを一瞥したザンザスは、寝る、と一言だけ言って、自室へと戻っていった。
手を動かしながら、思考を巡らせるスクアーロは、一睡もすることなく、やがて朝を迎えたのだった。
仲間達が散々休むように言ったのだが、どうにもそんな気分に慣れず、その上寝転がると背中が酷く痛むため、眠らずに動き続けていたのだった。
丁寧に武器を扱うスクアーロの横では、ザンザスがブランデーを煽っている。
ザンザスも寝る気はないようで、ただ淡々と瓶の中の酒を消費している。
スクアーロが折り畳み式の槍を手に取ったときだった。
突然、空いていた窓から突風が吹き込む。
ハッとして身構え、スクアーロは叫んだ。
「ゔお゙ぉい!!てめえどこから!!」
「一人で何しに来た、カス」
風と共に、部屋に侵入してきた人物に、スクアーロは敵意を、ザンザスは冷静に質問を投げ掛けた。
「XANXUS、力を貸してくれ」
そう話し、ザンザスと視線を交わしたのは、沢田綱吉であった。
ゆったりとソファーに腰掛け、沢田綱吉に視線を向けたまま、ザンザスは返答する。
「話せ」
スクアーロは、ザンザスに敵対の意思がないことを、わかってもなお納得がいかない顔のまま、渋々とザンザスの後ろに控える。
「さっきの戦闘のあと、バミューダと接触した」
「なに……!?」
「そこで聞かされたんだ。バミューダ達、復讐者の正体と、アルコバレーノのこと、この代理戦争の思惑を……」
アルコバレーノ……虹の赤ん坊達は、世界を支える秘宝である、7つのおしゃぶりを守るために、チェッカーフェイスが創り出した人柱だった。
その時代、世界最強の7人を選び、彼らに呪いをかけて、その命と引き替えにおしゃぶりの輝きを守らせる。
だがアルコバレーノ達の命も永遠ではない。
いつかは赤ん坊になるという呪いに耐えきれなくなり、おしゃぶりにも悪影響が出始める。
そうなったとき、チェッカーフェイスはアルコバレーノの世代交代を行うのだ。
時には仕事の依頼を通して、時には代理戦争を使って。
「そして交代してアルコバレーノの任を終えた7人は、お払い箱となってほとんどが死んでいく。だけど、一部の抵抗したアルコバレーノ達は、今もまだ、生きている」
「まさか……!」
「復讐者達は、かつてのアルコバレーノの、成れの果てだったんだ」
アルコバレーノが、今の7人だけでないことは想像していたが、まさかかつてのアルコバレーノが復讐者として生きていたとは、流石の彼らでも考えが及ばなかったらしい。
ザンザスに目で続きを促され、綱吉は1つ頷き、話を続けた。
「最初の復讐者、バミューダは、第8属性の炎……夜の炎をおしゃぶりに注ぎ込むことで何とか死を免れた。だからアイツは透明なおしゃぶりを着けていたんだ。そしてアイツらは、今回の代理戦争で優勝し、その後現れたチェッカーフェイスを殺し復讐を遂げようと企んでいる。リボーンも、その復讐に参加するように勧誘されたんだ」
「……で、テメーはどうする気だ」
「オレは、他にも方法があると思ってるんだ。バミューダがおしゃぶりに夜の炎を注入して生き残った……。なら、それぞれのおしゃぶりに合った正しい炎を注入すれば、世代交代を終わってもリボーン達は死ぬことはないんじゃないかと考えたんだ」
空になったコップにもう一度水を注ぐように、中身を抜かれたおしゃぶりに、炎を満たせば、なるほど確かに、彼らが死ぬことはないかもしれない。
「この事はタルボじいさんに相談して、考えてもらってる。でも、例えこの方法が上手くいくとしても、バミューダ達は復讐を遂げない限り止まらない。もしチェッカーフェイスが倒されたらアルコバレーノはみんな死んでしまう。だからバミューダを倒して、オレ達が優勝しないといけないんだ!その為に、力を貸してほしい。詳しい話は、あとで、オレの家でみんな集まってからしようと思って……」
「わかった」
「……え?」
「日が明けたら、テメーの家に行く」
「ほ、本当か!?ありがとう!!」
それじゃあ、まだやることがあるから。
そう言って、綱吉は入ってきた窓から飛び出していった。
大嫌いな沢田綱吉の提案に、簡単に頷いたザンザス。
どうやら今は、沢田綱吉よりも復讐者達にお冠らしい。
「まだ時じゃねえ……つってたのは、こういうことだったのかぁ」
多くの事が、明らかになった。
再び武器の手入れに戻り、物思いに沈んでいくスクアーロを一瞥したザンザスは、寝る、と一言だけ言って、自室へと戻っていった。
手を動かしながら、思考を巡らせるスクアーロは、一睡もすることなく、やがて朝を迎えたのだった。