代理戦争編

代理戦争への準備は着々と進んでいる。
新しいヴァリアーリングにも慣れ、人員、武器ともに十分に準備してある。
改めて、この代理戦争についてを考えて、疑問に思ったことをマーモンに訪ねてみた。

「なあ、マーモン。代理戦争ってのはアルコバレーノを一人減らすために行われるんだったよなぁ?」
「そうだよ。どうしたんだい、突然?」

振り向いたマーモンが、怪訝そうに答えた。

「いや……、なんで一人減らそうとしたのかと思ってな」
「そんなこと、僕にわかるわけないじゃないか」
「そこも、不思議なんだよなぁ。お前らがアルコバレーノとして呪いを受けたのは、何百年も前って訳じゃねぇだろ?トゥリニセッテの一角であるボンゴレリングがずっと昔、I世の頃から存在していたのに、そのおしゃぶりがごく最近に出現したって訳でもないだろうし、ならば、お前らの前にアルコバレーノとしてそのおしゃぶりを持ってた奴がいるはずだろぉ」
「ム……、僕はずっとこいつのことを探ってたけど、そんな奴がいたなんて聞いたこともないよ」

ソファーに身を沈めたオレの前に、フワリと浮いてやってきたマーモンは、レモネードを飲みながら首を振って答える。
オレはコーヒーを飲みながら、更に続ける。

「だが、いたはずだ。じゃなきゃ変だろぉ。しかも今まで7人でやってきたのにここに来て急に一人減らすなんて怪しすぎだぁ!7って数字は大空の炎の属性の数だろ?7つってのに意味があるはずなのに、1つ減らすってなぁ納得できねぇ。……この戦いに勝つことで、本当に呪いが解かれるのかぁ?」
「僕たちがまた騙されてるってことかい!?」
「……その可能性もある」

マーモン達アルコバレーノだって、鉄帽子の男の言葉を信じてはいなかっただろうが、この戦いは最後の希望に等しい。
騙されてた、なんて、冗談じゃ済まない。

「しかし、騙すにしてもこの戦いを開くメリットがわからねぇ。何故その男はこんな戦いを開いたんだろうなぁ」
「さあ……、それこそ予想もつかないよ」
「だいたい、アルコバレーノの強さをはかるのに代理を立てるってのもわからねぇ。そんなもんでわかんのは人脈程度だろぉ」

強い奴をたくさん集めて、そいつらが醜く争うのを見て楽しむ、なんて悪趣味のために集められたなんてことはないだろうし。

「ま、こんだけ強い奴らが集められたんなら、全員使って地球の1個2個救うことはできそうだがな」
「そんなことのために、こんな回りくどいことすると思うかい?」
「これっぽっちも思わねぇな」

マーモンのために勝ってやりたいと思いはするが、勝って厄介ごとに巻き込まれるのは、嫌だなぁ。

「考えても、わからないよ」
「情報不足にもほどが、」
「カスザメ」

オレの言葉を遮った低い声、そして後頭部への衝撃とガラスの割れる音。
……ザンザス。

「いってぇ!!」
「酒だ」
「ゔお゙ぉい!!口で言えぇ!!」
「ボスだもん、仕方ないよ」
「ぐっ……」

ボスだもん、で納得できてしまう、とは。
この戦いも、これくらい簡単に納得できる説明がつけば良いのにな。
考えるのは一時中断して、オレは酒を用意しに立ち上がった。
そして時間は過ぎ、代理戦争、1日目となった。
10/32ページ
スキ