帰郷

フ「ありがとう存じます、キャメロット外務大臣
それにしても素晴らしいやり込め方でしたわ…
感嘆しました、私も見習わなくては…」
踊りながらそんな会話をする

シェ「このくらいは簡単ですよ
ロードのお願いだったので当然のことをしたまでです」

フ「まあ、キャメロット嬢が?」

シェ「王女の陰口を言っている者達を懲らしめてきてもいいかと聞かれましてね
騒ぎを起こしてはいけませんから、代わりに
手が出やすいのが少し悩ましいですが、そんなところも可愛いものです」

フ「ふふ。後ほどお礼に伺わなくてはなりませんね」

ちなみにやり込めたというのはどういうことなのかというと、
この時代外務大臣は、次期総理大臣というほど重要で高い身分

そんな外務大臣様が王女に跪かずともダンスに誘っても良いのに、跪いたということで周囲のフェインへの認識は
「重要人物として扱うに相応しい人」へと一変する

それと同時に「さっき陰口を言っていた奴らは、跪いた外務大臣様の陰口を言っていたに等しい」ということと、
「外務大臣様さえ跪くような重要人物に対して、陰口を言ったらどうなるか分かっているのか」
という二重の意味を持った牽制になるのだ

しかしいくら10cm超えのヒールを履いているとはいえ身長差ばかりはどうしようもない
フェインも難なく華麗に踊っている、ただ身長が外務大臣様の胸元ほどなのだ

「ああして並んでおられると華奢なところがより目立つな」
「妖精のようですね」
「良い表現ね
昔新聞に“神の寵愛を受けた愛娘”と載りましたよね?
そこから通り名を“神の寵愛を受けた妖精”とお呼びするのはどうかしら?」
「ええ、良いと思いますわ」

曲が終わる時には、ご令嬢様の近くになるように移動した外務大臣様とフェインがお辞儀をしてダンスを終えた

ロ「フェイン、素敵だったよぉ〜!お父様もありがとぉ」
シェ「ロードが僕にお礼ッ…!グフッ」
嬉しさで鼻血が出る外務大臣様

ロ「フェイン気にしなくていいからねぇ」
フ「え、えぇ…キャメロット外務大臣から聞きましたわ
私のことで怒ってくださったと。ありがとう存じました」
ロ「当然!お礼言われることなんてしてないよぉ」
フ「まぁ、ふふ…
それにしても相変わらず人気ですわね、卿は」
女性に囲まれている様子を見て言う

ロ「ほんとにね〜 フェインも人気みたいだけど」
フェインの後ろに並んだ男性陣を見ながら仰せになる

フ「!忘れてしまっていましたわ… ではいってきますわね」
ロ「いってらっしゃ〜い」
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