帰郷

ユ「姫様 夕食の支度で参りました。
開けてもよろしいですか?」

ユクラの声掛けで起きたフェイン
フ『本当に夕食まで寝てしまっていましたわ…』
「えぇ」

ユ「失礼いたします。寝ていらしたのですね
やはりお疲れのようでございますね…」

フ「えぇまあ。久しぶりの我が家で安心して…」

ユ「今夜は早めにゆっくりと寝てくださいませ
明日からはデビュタントの準備もございますから」

フ「そうしますわ さぁ着替えなくてはね
入ってちょうだい」
その合図で2人の侍女が入ってきて、夕食のための着替えをした

ユ「旦那様も奥様も久しぶりのご夕食を楽しみにしておいでです
さぁ参りましょう」

フ「えぇ」
『食事のために着替えて、常に乳母や侍女がいて…
こんな日時も本当に久しぶりだわ』
そんなことを考えているとダイニングに到着した

父「おぉ来たか。さぁこちらに来なさい
フェインの好きなものをたくさん用意させたよ。」

フ「ありがとう存じます
まぁ…これは大変でございましたでしょう!」
そこにはクジャクや綿あめなど上級貴族しか食べられないものが多くあった

フ「綿あめはまた食べたいと思っていましたの、本当に嬉しいですわ」
父「はは、フェインのしてきた苦労に比べればなんということはないよ。
さあ美味しいものも食べながら、旅の話を聞かせておくれ。」

フ「ええ。最初はダンケルンに行って…」
手紙に書いたことなども話しながら、楽しい晩餐が過ぎていったのだったーー
その日の夜、早めにお風呂も終えて1人になると一族の姿に変えた

フ『バタバタしていて、ゆっくり考えられなかったけれど本当に一族になったのよね…』
フ「どうしたものかしら…」
『私はこれまで教団の立場でのお話をずっと聞いてきましたから…
でも確かに一族の方々も正しいのではどう思うこともありましたし、それにルル=ベル様のこともありますわ

キャメロット嬢やアピスと同じ家族になれたのは嬉しいですけれど、皆さんのことはどうするべきなのかしら?
スパイになれることはなれますけど、皆さんには言えませんし…
イノセンスだってどうすればよいものか……
この世界の真実を知った私はどうするべきかーーー

どちらにもそれぞれの〝正義〟がありますし、どちらも正解でもありますし
アレンさんみたいな人ばかりでしたらまだよかったのかもしれませんけれど…』
ぐるぐると考える

フ『一族の方にしても、他のご家族の方が許してくださるか分かりませんし
でも…キャメロット嬢や他の方たちがあのように苦しんだりなさる姿は見たくないですわ メモリーとしても…!
あ、そうだわ』

フ「ひとまず今は、伯爵様にご連絡しなくてはね」
ネグリジェから着替えて銀色のネックレスで連絡をする
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