七夕
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
卓袱台の上には、色とりどりの折り紙が広げられていた。赤、青、黄色。小さな紙片が並ぶだけで、いつもの部屋が少しだけ華やいで見える。
「輪つなぎはね、こうやるの」
すみれは細長く切った折り紙を一枚手に取り、端と端を糊で留めた。
「次は、さっき作った輪の中に通して……」
「……へぇ」
しげるは珍しそうに眺めたあと、同じように折り紙を手に取った。最初のうちは、輪の大きさが揃わなかったり、糊をつけすぎて指先を汚したりしていた。けれど、二つ、三つと作るうちに、次第に手つきは滑らかになっていく。
「上手じゃない」
すみれが言うと、しげるは手元を見たまま答えた。
「何個か作れば、誰でもできますよ」
「ふふ。でも、飲み込みが早いわ」
そう言われて、しげるは少しだけ照れくさそうに鼻をこすった。その仕草がおかしくて、すみれは小さく笑う。吹き流しや星飾り、小さな提灯。気がつけば、卓袱台の上には色鮮やかな飾りがいくつも並んでいた。
「こんなに作ったら、笹が重たくなっちゃうかしら」
「大丈夫でしょう」
「しげるくんが持ってくれるものね」
「……まあ」
素直には認めない返事に、すみれはまた笑った。
二人で庭へ出る。しげるが笹を支え、すみれが一つずつ飾りを結んでいく。風が吹くたび、色紙で作った飾りが揺れ、庭先に小さな夏の彩りを添えていた。
「最後は短冊ね」
すみれは細長い色紙を二枚取り出し、そのうち一本をしげるへ差し出した。
「願い事を書きましょう」
しげるは鉛筆を受け取った。けれど、白い短冊を前にしたまま、しばらく動かない。
「……願い事なんて、ないです」
「そうなの?」
「思いつかない」
すみれは少し考えてから、口を開く。
「難しく考えなくていいのよ」
「……」
「欲しいものでもいいし、将来なりたいものでもいいし」
しげるは黙ったまま、短冊を見つめている。
「元気に過ごせますように、とかでも十分願い事よ」
「……」
「しげるくんが書きたいと思ったことを書けばいいの」
その言葉に、しげるは少しだけ視線を落とした。すみれはそれ以上急かさず、自分の短冊へ願い事を綴る。こつこつと、鉛筆を走らせる音だけが響いた。書き終えると、しげるが顔を上げる。
「すみれさんは、何て書いたんですか?」
「見る?」
すみれは短冊をくるりと裏返した。
そこには、『二人が元気で過ごせますように』という文字と、その下に小さな二人の似顔絵が描かれていた。しげるはしばらく、それを眺めていた。
「……これって、オレ?」
指差したのは、自分の似顔絵だった。
「そう!」
すみれは嬉しそうに頷く。
「隣がわたし。どう? 似てる?」
しげるは少し目を細める。
「ククク……まあ、似てるんじゃないですか」
「もう。ちゃんと褒めてくれてもいいのに」
そんなやり取りを交わしたあと、すみれは立ち上がった。
「私はお茶を淹れてくるわね」
返事を待たず、すみれは台所へ向かった。
「輪つなぎはね、こうやるの」
すみれは細長く切った折り紙を一枚手に取り、端と端を糊で留めた。
「次は、さっき作った輪の中に通して……」
「……へぇ」
しげるは珍しそうに眺めたあと、同じように折り紙を手に取った。最初のうちは、輪の大きさが揃わなかったり、糊をつけすぎて指先を汚したりしていた。けれど、二つ、三つと作るうちに、次第に手つきは滑らかになっていく。
「上手じゃない」
すみれが言うと、しげるは手元を見たまま答えた。
「何個か作れば、誰でもできますよ」
「ふふ。でも、飲み込みが早いわ」
そう言われて、しげるは少しだけ照れくさそうに鼻をこすった。その仕草がおかしくて、すみれは小さく笑う。吹き流しや星飾り、小さな提灯。気がつけば、卓袱台の上には色鮮やかな飾りがいくつも並んでいた。
「こんなに作ったら、笹が重たくなっちゃうかしら」
「大丈夫でしょう」
「しげるくんが持ってくれるものね」
「……まあ」
素直には認めない返事に、すみれはまた笑った。
二人で庭へ出る。しげるが笹を支え、すみれが一つずつ飾りを結んでいく。風が吹くたび、色紙で作った飾りが揺れ、庭先に小さな夏の彩りを添えていた。
「最後は短冊ね」
すみれは細長い色紙を二枚取り出し、そのうち一本をしげるへ差し出した。
「願い事を書きましょう」
しげるは鉛筆を受け取った。けれど、白い短冊を前にしたまま、しばらく動かない。
「……願い事なんて、ないです」
「そうなの?」
「思いつかない」
すみれは少し考えてから、口を開く。
「難しく考えなくていいのよ」
「……」
「欲しいものでもいいし、将来なりたいものでもいいし」
しげるは黙ったまま、短冊を見つめている。
「元気に過ごせますように、とかでも十分願い事よ」
「……」
「しげるくんが書きたいと思ったことを書けばいいの」
その言葉に、しげるは少しだけ視線を落とした。すみれはそれ以上急かさず、自分の短冊へ願い事を綴る。こつこつと、鉛筆を走らせる音だけが響いた。書き終えると、しげるが顔を上げる。
「すみれさんは、何て書いたんですか?」
「見る?」
すみれは短冊をくるりと裏返した。
そこには、『二人が元気で過ごせますように』という文字と、その下に小さな二人の似顔絵が描かれていた。しげるはしばらく、それを眺めていた。
「……これって、オレ?」
指差したのは、自分の似顔絵だった。
「そう!」
すみれは嬉しそうに頷く。
「隣がわたし。どう? 似てる?」
しげるは少し目を細める。
「ククク……まあ、似てるんじゃないですか」
「もう。ちゃんと褒めてくれてもいいのに」
そんなやり取りを交わしたあと、すみれは立ち上がった。
「私はお茶を淹れてくるわね」
返事を待たず、すみれは台所へ向かった。
