ホワイトデー
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ガラガラ、と戸が開く音がした。
「おかえり」
うららはいつものように声をかける。けれど、いつもなら続いて聞こえてくるはずの「ただいま」が返ってこない。
どうしたのかしら、と首をかしげて顔を上げると、しげるが玄関先に立っていた。何も言わないまま、こちらへ小さな袋を差し出してくる。袋にはピンクのリボンがきれいに結ばれていた。
「なに、これ?」
そう言いながら受け取ると、袋はカサッと小さな音を立てて手の中に収まる。
「今日、何の日か知ってる?」
しげるは視線を少し下に落としたまま、ぼそりとつぶやいた。
何だったかしら、と頭の中で日付を思い浮かべる。
今日はたしか、十四日。
……ホワイトデー。
もしかして。
「いいの? 私がもらっちゃって」
「そのために作った」
「しげるくんが作った!?」
驚きのあまり、思わず声が大きくなってしまう。
慌てて口元を手で押さえると、しげるが少しだけ眉を動かした。
「そんなに変?」
「いや……変じゃないけど」
うららは思わず笑ってしまう。
「南郷さんが、手作りがいいって言ったんだけど」
大柄な男が、真面目な顔で「手作りがいい」と少年に勧めている姿を想像する。
その光景がおかしくて、うららの口元は自然と緩んだ。
「南郷さんと一緒に作ったの?」
しげるは小さく、こくりと頷いた。
袋にはピンクのリボンが蝶々結びにされている。
うららはそれをそっとほどき、袋の口を開いた。
中には、少しいびつながらも可愛らしい丸いチョコレートがいくつか入っている。ココアパウダーをまとったトリュフで、袋を開けた瞬間、ふわりと甘い香りが漂った。
「すごい! これ、しげるくんが作ったの!?」
また、しげるはこくりと頷く。
「いただきます」
うららは一つつまみ上げ、そのまま口に入れた。
ふわりと柔らかく崩れて、甘さが舌に広がる。
「ん〜! ……ゴホッ」
次の瞬間、ココアパウダーが喉に張り付いてしまい、思いきりむせてしまった。
しげるは慌てて台所へ向かい、コップに水を注いで戻ってくる。
「はい」
差し出された水を、ごくごくと飲むと、喉に張り付いていた粉がようやく流れていった。
「……次は、もう少し上手く作ります」
しげるが少しだけ気まずそうに言う。
「そんなことないわ」
うららは笑って首を振った。
「とっても美味しい」
そう言って、袋の中からもう一つチョコを取り出す。少しいびつな形が、どこか愛嬌があってとても可愛らしい。
しげるは何も言わなかったが、さっきよりほんの少しだけ肩の力が抜けているように見えた。
もう一つチョコを口に入れると、さっきよりも少しだけ甘く感じた。
「おかえり」
うららはいつものように声をかける。けれど、いつもなら続いて聞こえてくるはずの「ただいま」が返ってこない。
どうしたのかしら、と首をかしげて顔を上げると、しげるが玄関先に立っていた。何も言わないまま、こちらへ小さな袋を差し出してくる。袋にはピンクのリボンがきれいに結ばれていた。
「なに、これ?」
そう言いながら受け取ると、袋はカサッと小さな音を立てて手の中に収まる。
「今日、何の日か知ってる?」
しげるは視線を少し下に落としたまま、ぼそりとつぶやいた。
何だったかしら、と頭の中で日付を思い浮かべる。
今日はたしか、十四日。
……ホワイトデー。
もしかして。
「いいの? 私がもらっちゃって」
「そのために作った」
「しげるくんが作った!?」
驚きのあまり、思わず声が大きくなってしまう。
慌てて口元を手で押さえると、しげるが少しだけ眉を動かした。
「そんなに変?」
「いや……変じゃないけど」
うららは思わず笑ってしまう。
「南郷さんが、手作りがいいって言ったんだけど」
大柄な男が、真面目な顔で「手作りがいい」と少年に勧めている姿を想像する。
その光景がおかしくて、うららの口元は自然と緩んだ。
「南郷さんと一緒に作ったの?」
しげるは小さく、こくりと頷いた。
袋にはピンクのリボンが蝶々結びにされている。
うららはそれをそっとほどき、袋の口を開いた。
中には、少しいびつながらも可愛らしい丸いチョコレートがいくつか入っている。ココアパウダーをまとったトリュフで、袋を開けた瞬間、ふわりと甘い香りが漂った。
「すごい! これ、しげるくんが作ったの!?」
また、しげるはこくりと頷く。
「いただきます」
うららは一つつまみ上げ、そのまま口に入れた。
ふわりと柔らかく崩れて、甘さが舌に広がる。
「ん〜! ……ゴホッ」
次の瞬間、ココアパウダーが喉に張り付いてしまい、思いきりむせてしまった。
しげるは慌てて台所へ向かい、コップに水を注いで戻ってくる。
「はい」
差し出された水を、ごくごくと飲むと、喉に張り付いていた粉がようやく流れていった。
「……次は、もう少し上手く作ります」
しげるが少しだけ気まずそうに言う。
「そんなことないわ」
うららは笑って首を振った。
「とっても美味しい」
そう言って、袋の中からもう一つチョコを取り出す。少しいびつな形が、どこか愛嬌があってとても可愛らしい。
しげるは何も言わなかったが、さっきよりほんの少しだけ肩の力が抜けているように見えた。
もう一つチョコを口に入れると、さっきよりも少しだけ甘く感じた。
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