嵐が明けたら
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台風の明けた朝、空気はまだ湿り気を帯びていた。夜を引きずるように垂れ込めていた雲の切れ間から、わずかな朝日がこぼれ落ちる。
道には小さな水たまりが点々と残り、吹き抜ける風が葉に残った雫を揺らし、きらりと光らせる。
薄いニットとジーンズというラフな格好の女、南沢うらら。彼女は買い物袋を腕に下げ、長靴の底でぬかるんだ地面を慎重に踏みしめて歩いていた。
「特売だからって、こんな日に行くものじゃないわね……」
昨夜の激しい雨音が、まだ耳の奥にこびりついている。眠れなかったのは気圧のせいだけではなかった。窓ガラスを叩く雨の音に交じり風の唸る声がふいに、亡き夫の声に似て聞こえたのだ。
どこか遠く、夢と現のあいだのような響きで。
彼女が暮らす長屋は、一棟六戸の平屋建てが二棟向かい合わせになった造りで、さらに同じように向かい合わせの棟がいくつも並ぶ集合住宅だった。
外壁の木板は日に焼け、雨に洗われて灰色がかっており、軒下の古びた表札が時折、風に合わせて微かに揺れる。敷地全体は目線高さの板塀でぐるりと囲われており、雨で濡れた板の隙間には、黄緑色の蔦が何本も張り付いていた。塀の横の出入り口から敷地へと入る。
――こんなに静かなんて、珍しいわ。
うららはそんなことをぼんやりと考えていた。いつもなら洗濯物を干す音や、誰かの呼び声、井戸端会議の笑い声がひとつやふたつ聞こえてくる時間だ。
だが今日は、風に揺れるトタン屋根のかすかな音と、どこかで滴り落ちる水の音しかない。まるで長屋全体が、台風の余韻に息を潜めているかのようだった。
彼女の住まいは長屋の入り口から見て右側の棟のいちばん手前。薄曇りの空の下、そこへ向かって歩きながら、うららは買い物袋を持ち直した。湿った地面を踏むたび、長靴の裏で砂利がこり、と小さく鳴る。引き戸の前へ差しかかったそのとき、ふと視界の端に、何かが映った。
敷地内にある納屋の小さな庇の下。濡れたコンクリートの上に、少年がひとり、丸まっていた。泥にまみれたスニーカー。薄いシャツ。唇は青く、まるで時間ごと置き去りにされたように動かない。
「……ちょっと、あなた……!」
買い物袋を放り出して、うららは駆け寄った。肩をゆすぶると、少年の身体は驚くほど軽い。骨ばった腕や頬は泥で汚れている。触れた手のひらにほとんど温もりが返ってこない。みぞおちのあたりを、冷たいものがきゅっと締めつけた。
「ねぇ、大丈夫? 起きて……!」
少年のまぶたが、ゆっくりと持ち上がった。薄茶色の瞳が、濡れた空のように鈍く光った。掠れた小さな声だが低く落ち着いた調子だった。その目に宿る静けさが、うららの胸を不意にざわつかせた。
「うち、すぐそこなの。……おいで……ね?」
少年は抵抗する気力もないようで、ただ小さくうなずいた。部屋に入ると湿った空気が肌に纏わりつく。こぢんまりとした六畳の居間に、ちゃぶ台が一つ。
障子越しに光が射し込み、埃の粒が金色に舞っている。壁際には小さな氷冷蔵庫。小さな食器棚と三段箪笥と三面鏡の鏡台。そして小さな仏壇。というように、何もかもが小さくまとまっているのが彼女の暮らしの全てだった。
「これで拭いて」
箪笥の一番下の引き出しからまだ傷みのないタオルを引っ張り出し、少年に手渡す。少年は無言のまま腕についた泥をぬぐった。一瞬触れた指先から少年の温度はなく、まだ外の冷たさが立ちのぼっているようだった。
「服も……着替えたほうがいいわね」
今度は箪笥の真ん中の引き出しからTシャツの半袖と半ズボンを取り出し少年の足元へと置く。
「お湯、すぐ用意するわ」
やかんを手に取ると、部屋を出て、向かい合う二棟のあいだにある共同水道へと向かう。柱に釘打ちされた波板の屋根が、ぱたぱたと風に鳴っている。蛇口が二つ並び、その下には四角いコンクリートの流し台。
誰かが朝、顔をすすいだらしい水の跡が、まだ底に薄く残っていた。きゅ、と蛇口をひねる。途端に、細く震えるような水音が静かに広がった。やかんに水が満ちていく音を聞きながら、うららはふと顔を上げた。
目線の先、誰かが取り付けたのだろう、小さな鏡が掛けられていて、そこに自分の姿が映り込む。少年を支えるときについたのだろう、頬が泥で汚れていた。そしてわずかに強張った表情。その目と目が合い、心臓を鷲掴みされたような感覚を覚えた。
――見知らぬ少年を、家に連れ帰ってきてしまった。
そんな現実が、鏡の奥から静かに迫ってくる。昨夜の台風に翻弄されて眠れなかった心が、再びざわついた。
困っていそうだったから。
放っておけなかったから。
それは間違いなく本心だ。けれど“誘拐”なんて言葉が頭をかすめる。ばかばかしい、とすぐ思い直すものの、胸のどこかが落ち着かない。
頬の泥を手で拭い、手を洗う。鏡の中の自分に言い聞かせるように呟く。
「……考えても仕方ないわよ」
やかんを持ち直し、うららは踵を返す。部屋の明かりが摺りガラス越しに柔らかく漏れている。その光に引き寄せられるように、彼女は再び自分の暮らしの場へと歩みを進めた。
うららが部屋に戻ると、ダボダボのTシャツと半ズボンに包まれた少年が、小さな仏壇の前に静かに佇んでいた。白い髪の頭をわずかに下げ、灯りもつけていない仏壇に向かうその姿は、不思議と部屋の空気に溶け込んでいた。
「ごめんね。ちょっと古いやつだけど、それしかないの」
少年はこくりと頷き、静かにちゃぶ台の前に腰を下ろした。うららはコンロでお湯を沸かしながら考えた。
――夫が亡くなって三年。
この部屋では、ずっとひとりきりの時間だけが流れていた。時計の針の音も、窓を叩く雨も、ただ受け止めるだけの日々。だが今は違う。畳の上に、自分以外の体温がある。ちゃぶ台の向こうに、確かに誰かが座っている。
二つの湯のみを並べ、急須に茶葉を入れると、ほのかに香ばしい香りが立った。その瞬間、やかんがピーッと鋭く沸騰を告げる。古い長屋の薄い壁に、その音が少し大げさに響いた。急須にお湯を注ぎ、蒸らしながら思案する。
何か食べさせたほうがいいかしら。
けれど今からご飯を炊いたり味噌汁を作ったりする時間はない。迷った末、うららは冷や飯を茶碗に盛った。出がらしの鰹節と余っていた海苔を刻み、まぶす。
急須から熱いお茶を注ぐと、ふわりと湯気が立ちのぼり、部屋の空気が一気にやわらいだ。鰹節の香りが広がり、少年のこわばった肩が少しだけ緩む。
「どうぞ」
少年はお茶漬けの湯気をじっと見つめていた。湯気の向こうの窓辺には今朝、干したタオル。どこにでもある、小さな生活の風景。だがその中にいる少年だけが、まるで別の世界から来たようだった。
「……もしかして、お腹空いてない?」
「ううん……いただきます」
少年は箸を取り、黙って一口すすった。お茶の熱に頬をわずかに赤らめ、ぽつりとつぶやく。
「うまい」
その一言が、うららの胸にじんと沁みる。たったそれだけなのに、まるで自分の存在を肯定されたような気がした。
「そうだ、名前は?」
うららが問いかけると、少年は食べるのをやめ、真っ直ぐに見据える。
「赤木。……赤木しげる。お姉さんは?」
「私は南沢うらら。……しげる君。いくつ? 学生服着ているから……」
「十三」
うららは思わず目を見開いた。あの落ち着きと目つき、てっきり十六、十七はあると思っていたのに。だが驚きを押し込み、すぐ次の問いを口にする。
「どうして、あんな場所で寝ていたの?」
「いろいろあってね。ただ、すごく眠かったから」
「眠かったからって……ご家族は?」
「さあ。どこにいるんでしょうね」
あまりにも軽い調子の返事。けれどその瞳の奥には、子どもらしさとはかけ離れた、長い闇のような静けさがあった。すみれは一瞬、言葉をなくす。
「次は僕の番ね。南沢さんはいくつなの?」
「……二十八歳」
「結婚は?」
「……してたわ」
「それ、旦那さん?」
しげるの視線の先が仏壇に向いていることに、うららは遅れて気づいた。
「ええ。……三年前に」
「今は一人暮らし?」
「ええ」
「さみしい?」
「寂しくないとは言えないけど、慣れたわ。ご近所さんたちも良くしてくれるしね」
「ふーん」
生意気とも無関心ともつかない声。けれど、そこにわずかな興味の色が混じっているのが分かった。
「……とにかく、今日はゆっくりしなさい。風邪ひいたら大変よ」
「お世話になります」
しげるはふたたびお茶漬けをすする。湯気の向こうに揺れるその横顔は、やはり十三歳には見えなかった。
外では、どこかの小鳥が小さく鳴いた。アパートの木造の廊下を、昼の風がさらりと通り抜け、湿度が高い空気を少しずつ持っていった。
その小さな音のひとつひとつが、すみれにはまるで新しい季節の始まりを告げる合図のように思えた。
道には小さな水たまりが点々と残り、吹き抜ける風が葉に残った雫を揺らし、きらりと光らせる。
薄いニットとジーンズというラフな格好の女、南沢うらら。彼女は買い物袋を腕に下げ、長靴の底でぬかるんだ地面を慎重に踏みしめて歩いていた。
「特売だからって、こんな日に行くものじゃないわね……」
昨夜の激しい雨音が、まだ耳の奥にこびりついている。眠れなかったのは気圧のせいだけではなかった。窓ガラスを叩く雨の音に交じり風の唸る声がふいに、亡き夫の声に似て聞こえたのだ。
どこか遠く、夢と現のあいだのような響きで。
彼女が暮らす長屋は、一棟六戸の平屋建てが二棟向かい合わせになった造りで、さらに同じように向かい合わせの棟がいくつも並ぶ集合住宅だった。
外壁の木板は日に焼け、雨に洗われて灰色がかっており、軒下の古びた表札が時折、風に合わせて微かに揺れる。敷地全体は目線高さの板塀でぐるりと囲われており、雨で濡れた板の隙間には、黄緑色の蔦が何本も張り付いていた。塀の横の出入り口から敷地へと入る。
――こんなに静かなんて、珍しいわ。
うららはそんなことをぼんやりと考えていた。いつもなら洗濯物を干す音や、誰かの呼び声、井戸端会議の笑い声がひとつやふたつ聞こえてくる時間だ。
だが今日は、風に揺れるトタン屋根のかすかな音と、どこかで滴り落ちる水の音しかない。まるで長屋全体が、台風の余韻に息を潜めているかのようだった。
彼女の住まいは長屋の入り口から見て右側の棟のいちばん手前。薄曇りの空の下、そこへ向かって歩きながら、うららは買い物袋を持ち直した。湿った地面を踏むたび、長靴の裏で砂利がこり、と小さく鳴る。引き戸の前へ差しかかったそのとき、ふと視界の端に、何かが映った。
敷地内にある納屋の小さな庇の下。濡れたコンクリートの上に、少年がひとり、丸まっていた。泥にまみれたスニーカー。薄いシャツ。唇は青く、まるで時間ごと置き去りにされたように動かない。
「……ちょっと、あなた……!」
買い物袋を放り出して、うららは駆け寄った。肩をゆすぶると、少年の身体は驚くほど軽い。骨ばった腕や頬は泥で汚れている。触れた手のひらにほとんど温もりが返ってこない。みぞおちのあたりを、冷たいものがきゅっと締めつけた。
「ねぇ、大丈夫? 起きて……!」
少年のまぶたが、ゆっくりと持ち上がった。薄茶色の瞳が、濡れた空のように鈍く光った。掠れた小さな声だが低く落ち着いた調子だった。その目に宿る静けさが、うららの胸を不意にざわつかせた。
「うち、すぐそこなの。……おいで……ね?」
少年は抵抗する気力もないようで、ただ小さくうなずいた。部屋に入ると湿った空気が肌に纏わりつく。こぢんまりとした六畳の居間に、ちゃぶ台が一つ。
障子越しに光が射し込み、埃の粒が金色に舞っている。壁際には小さな氷冷蔵庫。小さな食器棚と三段箪笥と三面鏡の鏡台。そして小さな仏壇。というように、何もかもが小さくまとまっているのが彼女の暮らしの全てだった。
「これで拭いて」
箪笥の一番下の引き出しからまだ傷みのないタオルを引っ張り出し、少年に手渡す。少年は無言のまま腕についた泥をぬぐった。一瞬触れた指先から少年の温度はなく、まだ外の冷たさが立ちのぼっているようだった。
「服も……着替えたほうがいいわね」
今度は箪笥の真ん中の引き出しからTシャツの半袖と半ズボンを取り出し少年の足元へと置く。
「お湯、すぐ用意するわ」
やかんを手に取ると、部屋を出て、向かい合う二棟のあいだにある共同水道へと向かう。柱に釘打ちされた波板の屋根が、ぱたぱたと風に鳴っている。蛇口が二つ並び、その下には四角いコンクリートの流し台。
誰かが朝、顔をすすいだらしい水の跡が、まだ底に薄く残っていた。きゅ、と蛇口をひねる。途端に、細く震えるような水音が静かに広がった。やかんに水が満ちていく音を聞きながら、うららはふと顔を上げた。
目線の先、誰かが取り付けたのだろう、小さな鏡が掛けられていて、そこに自分の姿が映り込む。少年を支えるときについたのだろう、頬が泥で汚れていた。そしてわずかに強張った表情。その目と目が合い、心臓を鷲掴みされたような感覚を覚えた。
――見知らぬ少年を、家に連れ帰ってきてしまった。
そんな現実が、鏡の奥から静かに迫ってくる。昨夜の台風に翻弄されて眠れなかった心が、再びざわついた。
困っていそうだったから。
放っておけなかったから。
それは間違いなく本心だ。けれど“誘拐”なんて言葉が頭をかすめる。ばかばかしい、とすぐ思い直すものの、胸のどこかが落ち着かない。
頬の泥を手で拭い、手を洗う。鏡の中の自分に言い聞かせるように呟く。
「……考えても仕方ないわよ」
やかんを持ち直し、うららは踵を返す。部屋の明かりが摺りガラス越しに柔らかく漏れている。その光に引き寄せられるように、彼女は再び自分の暮らしの場へと歩みを進めた。
うららが部屋に戻ると、ダボダボのTシャツと半ズボンに包まれた少年が、小さな仏壇の前に静かに佇んでいた。白い髪の頭をわずかに下げ、灯りもつけていない仏壇に向かうその姿は、不思議と部屋の空気に溶け込んでいた。
「ごめんね。ちょっと古いやつだけど、それしかないの」
少年はこくりと頷き、静かにちゃぶ台の前に腰を下ろした。うららはコンロでお湯を沸かしながら考えた。
――夫が亡くなって三年。
この部屋では、ずっとひとりきりの時間だけが流れていた。時計の針の音も、窓を叩く雨も、ただ受け止めるだけの日々。だが今は違う。畳の上に、自分以外の体温がある。ちゃぶ台の向こうに、確かに誰かが座っている。
二つの湯のみを並べ、急須に茶葉を入れると、ほのかに香ばしい香りが立った。その瞬間、やかんがピーッと鋭く沸騰を告げる。古い長屋の薄い壁に、その音が少し大げさに響いた。急須にお湯を注ぎ、蒸らしながら思案する。
何か食べさせたほうがいいかしら。
けれど今からご飯を炊いたり味噌汁を作ったりする時間はない。迷った末、うららは冷や飯を茶碗に盛った。出がらしの鰹節と余っていた海苔を刻み、まぶす。
急須から熱いお茶を注ぐと、ふわりと湯気が立ちのぼり、部屋の空気が一気にやわらいだ。鰹節の香りが広がり、少年のこわばった肩が少しだけ緩む。
「どうぞ」
少年はお茶漬けの湯気をじっと見つめていた。湯気の向こうの窓辺には今朝、干したタオル。どこにでもある、小さな生活の風景。だがその中にいる少年だけが、まるで別の世界から来たようだった。
「……もしかして、お腹空いてない?」
「ううん……いただきます」
少年は箸を取り、黙って一口すすった。お茶の熱に頬をわずかに赤らめ、ぽつりとつぶやく。
「うまい」
その一言が、うららの胸にじんと沁みる。たったそれだけなのに、まるで自分の存在を肯定されたような気がした。
「そうだ、名前は?」
うららが問いかけると、少年は食べるのをやめ、真っ直ぐに見据える。
「赤木。……赤木しげる。お姉さんは?」
「私は南沢うらら。……しげる君。いくつ? 学生服着ているから……」
「十三」
うららは思わず目を見開いた。あの落ち着きと目つき、てっきり十六、十七はあると思っていたのに。だが驚きを押し込み、すぐ次の問いを口にする。
「どうして、あんな場所で寝ていたの?」
「いろいろあってね。ただ、すごく眠かったから」
「眠かったからって……ご家族は?」
「さあ。どこにいるんでしょうね」
あまりにも軽い調子の返事。けれどその瞳の奥には、子どもらしさとはかけ離れた、長い闇のような静けさがあった。すみれは一瞬、言葉をなくす。
「次は僕の番ね。南沢さんはいくつなの?」
「……二十八歳」
「結婚は?」
「……してたわ」
「それ、旦那さん?」
しげるの視線の先が仏壇に向いていることに、うららは遅れて気づいた。
「ええ。……三年前に」
「今は一人暮らし?」
「ええ」
「さみしい?」
「寂しくないとは言えないけど、慣れたわ。ご近所さんたちも良くしてくれるしね」
「ふーん」
生意気とも無関心ともつかない声。けれど、そこにわずかな興味の色が混じっているのが分かった。
「……とにかく、今日はゆっくりしなさい。風邪ひいたら大変よ」
「お世話になります」
しげるはふたたびお茶漬けをすする。湯気の向こうに揺れるその横顔は、やはり十三歳には見えなかった。
外では、どこかの小鳥が小さく鳴いた。アパートの木造の廊下を、昼の風がさらりと通り抜け、湿度が高い空気を少しずつ持っていった。
その小さな音のひとつひとつが、すみれにはまるで新しい季節の始まりを告げる合図のように思えた。
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