心の距離
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カラン。
彼女出ていった扉がゆっくりと閉まった。一度静まり返った店内には、薄く煙のにじむランプの明かりだけが揺れていた。
安岡と南郷は、気まずそうに互いの顔を見合わせる。対してしげるはソファに腰を深く沈め、さきほどまでの険しい眼差しを、まるで面倒な騒ぎが去ったとばかりに伏せた。
灰皿の中で吸い差しのタバコがじりりと燃える音がした。安岡が、肘をつきながらにやりと笑い、煙を吐き出す。
「……で。ありゃ誰なんだ? ずいぶんと必死だったじゃねえか」
南郷も、さっきまでおろおろしていた大柄な体を少し縮めるようにして言う。
「赤木のこと、すごい心配してたな。あんな勢いで飛び込んできた人、初めて見たぞ」
しげるはわずかに笑い、グラスの縁を指先でコツ、と叩いた。
「別に。今、厄介になってる人です」
南郷が目を丸くする。
「……なら、本当の親戚なんだな?」
「いや? 赤の他人ですよ」
あっさり。それがどれだけ異様な言葉か分かっていない様子で、しげるは肩をすくめた。安岡は「ほ~」と低く唸り、煙草を指で弾いた。
「見ず知らずの、しかもあんなキレイな人に世話になってるとは……お前も隅に置けないな、赤木」
その軽口に、南郷が「おい安岡さん!」と焦ったように小声で叱る。しげるは反応しない。
ただ、無表情のままゆっくりと視線を上げ、二人を見据えた。その目は十三歳とは思えない冷静さと、妙な深さを湛えている。
「……手、出さないでくださいよ」
安岡と南郷が目を丸く互いを見合わせる。しげるは、ふっと空気を切るようにして姿勢を正した。
「では、話を戻しましょう」
彼女出ていった扉がゆっくりと閉まった。一度静まり返った店内には、薄く煙のにじむランプの明かりだけが揺れていた。
安岡と南郷は、気まずそうに互いの顔を見合わせる。対してしげるはソファに腰を深く沈め、さきほどまでの険しい眼差しを、まるで面倒な騒ぎが去ったとばかりに伏せた。
灰皿の中で吸い差しのタバコがじりりと燃える音がした。安岡が、肘をつきながらにやりと笑い、煙を吐き出す。
「……で。ありゃ誰なんだ? ずいぶんと必死だったじゃねえか」
南郷も、さっきまでおろおろしていた大柄な体を少し縮めるようにして言う。
「赤木のこと、すごい心配してたな。あんな勢いで飛び込んできた人、初めて見たぞ」
しげるはわずかに笑い、グラスの縁を指先でコツ、と叩いた。
「別に。今、厄介になってる人です」
南郷が目を丸くする。
「……なら、本当の親戚なんだな?」
「いや? 赤の他人ですよ」
あっさり。それがどれだけ異様な言葉か分かっていない様子で、しげるは肩をすくめた。安岡は「ほ~」と低く唸り、煙草を指で弾いた。
「見ず知らずの、しかもあんなキレイな人に世話になってるとは……お前も隅に置けないな、赤木」
その軽口に、南郷が「おい安岡さん!」と焦ったように小声で叱る。しげるは反応しない。
ただ、無表情のままゆっくりと視線を上げ、二人を見据えた。その目は十三歳とは思えない冷静さと、妙な深さを湛えている。
「……手、出さないでくださいよ」
安岡と南郷が目を丸く互いを見合わせる。しげるは、ふっと空気を切るようにして姿勢を正した。
「では、話を戻しましょう」
