翡翠色のきみ
名前
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「え?ルルーシュも出るの?」
心底驚いたのか昼ごはんのお弁当を食べていたスザクは、箸を止めて同じく隣でお弁当を食べるルルーシュを見やる。ルルーシュも口元をもぐもぐと動かし、細い喉をごくんと鳴らすと未だ箸を止めているスザクに視線を動かした。
「ああ、昨日電話が来てな。元々出るつもりではいたから、特に支障はないが」
「ていうか君ナイトメア操縦出来るの?」
単純に思ったことを言えば、流石にカチンときたのかルルーシュは眉間に皺を寄せた。
「……皇族なら皆教わるんだ。ナナリーだって出来るぞ」
「ナナリーも?」
先ほどからスザクは驚いてばかりだ。開いた口が塞がらないとはこの事だろう。
「お前も出るんだろう?昨夜、ロイドと話したが逸材だそうじゃないか」
「そんなこと…ないけど…」
返答に困り、曖昧に笑う。お弁当を食べ終わったルルーシュは、そうだと思い出したように提案してきた。
「お前、放課後時間あるか?」
「大丈夫だけど…」
今日は特に何もなかった筈だ。緊急の用事があれば、セシルさんから連絡が来る筈。
「ナイトメアの試作品があるんだ。そのテスト操縦に付き合ってくれないか?」
「へ?」
生徒会の買い物だろうかと思ったが、まさかの返答に間が抜けた返事をしてしまう。
「君って…何者?」
「なんだお前、俺が皇族出身のただの学生だと思っていたのか」
いやこの学園に皇族が通ってる時点で普通ではないが、ナイトメアのテスト操縦って…
「俺はKMFの開発も手がけてるんだ。ああ、お前の所の特派とは違うがな。俺はアリエス宮内にある開発部で……って、聞いてるのか?」
ルルーシュの発言に、スザクは今度こそ開いた口が塞がらなかった。
ーーーー
「う、わぁ……」
自分が普段いる場所とはまた違った広大な開発部が、アリエス宮内の地下にあった。ここは、限られた人しか入ることが出来ないので当然スザクも入るのは初めてだ。ナイトオブラウンズのKMFがズラリと並び、その姿は圧巻だった。その中をルルーシュは、ナイトオブラウンズの機体には目もくれずスタスタと歩いていく。迷子にならないようにスザクもついて行くが、ついつい機体に目が行ってしまう。
「スザク、こっちだ」
「あ、うん」
ルルーシュが指し示した方へ視線を向ければ、まだ塗装もされていない真っ白な機体が佇んでいた。機体には様々なコードが繋がれており、機体の足元で二人の研究員らしき人が話し合いをしている。
「ルルーシュ殿下!お疲れ様です」
「ああ、御苦労。順調か?」
研究員の一人がルルーシュとスザクの二人に気づき、サッと敬礼をする。もう一人も敬礼し、資料だろうか?数枚の紙をルルーシュに渡した。
「……ふむ。あとはテストだけか」
「はい。それで…もしかして枢木准尉が?」
紙をペラペラとめくったルルーシュは、研究員の言葉に、ああと頷いた。
「こいつ程適任者はいないだろう」
含み笑いを向けられ、スザクは眉を顰める。
「ルルーシュ、どういう事?この機体のデバイザーは…」
スザクは目の前に佇む機体に視線を送る。そのKMFは、今まで見てきたKMFと比べるとかなり小型で完全なる人型だった。スザクも初めて見るその機体は、人間が筋肉を動かすように滑らかな動きをするらしい。ということはかなり機動性が高い。
「お前、人間離れした動きをするだろう?KMFの操縦技術も高いと聞いたからな。適任だと思ったんだ」
「人間離れって…酷いな」
「このKMFのデバイザーは、なかなか時間を取ることが出来なくてな。お前がいてくれて助かった」
ルルーシュがそこまで話したところで、やっほお〜と間延びした女の人の声がした。
「ルルーシュ殿下、お待ちしてました」
「ラクシャータか。テスト操縦のパイロットを連れてきたから、直ぐに始めよう」
「はあい。ロイドのとこのデバイザーね。はじめまして、KMF技術開発担当の責任者ラクシャータ・チャウラーよ。よろしくね」
「あ、はじめまして。枢木スザクです」
煙管を指に挟んだまま、ラクシャータはスザクにお辞儀をした。つられてスザクもお辞儀を返す。
「あの機体は異質だから、最初戸惑うと思うけど動かしたいように動かしてみてね」
そういうとラクシャータは、スザクにKMF操縦用のパイロットスーツを渡した。藍色のスーツを着て、ルルーシュについて操縦席付近まで歩いていく。
「お前が普段乗っているナイトメアとは完全に別の物と考えてくれて構わない。このナイトメアはパイロットと機体を繋いで操縦するんだ。コックピット内は広く感じると思うが…」
「なんか緊張してきた…」
「ふっ、まぁ壊すなとは言わないが後で感想を聞かせくれ」
ルルーシュはそういうとコックピットの扉を閉めた。コックピット内は思った以上に広くて、何より立つことが出来るくらい高さがあった。しばらくすると通信回線が入って画面にルルーシュが映る。
『スザク、足元に足を合わせる場所があるんだが分かるか?』
そう言われ足元を見れば、成る程確かに人の足をかたどったような模様が二つある。そこに両足を合わせれば四方からコードが伸びてきて、腕・肩・腰・足へと自動で繋がれる。
『よし、ここまではスムーズにいったな。ではスザク、腕と足を動かしてくれ』
自分が普段乗っているナイトメアは、レバーやペダル、ボタンなどを駆使して操縦するがこのナイトメアはそうではない。動かすって言ったって…どうすれば…と思ったスザクだが、徐ろにコードが繋がれた腕を動かせばナイトメアの腕が動いた。
「え、」
というスザクの呟きは、誰の耳にも入らなかった。そのまま足をあげたり、屈んでみたり、両腕を伸ばしてみたりと色んな動きをコックピット内でするが、真っ白なナイトメアも同じ動きをした事に無言になってしまうスザク。
『ふむ、なかなかいいな。よし、では次だスザク。お前に向けて発砲するから避けれるだけ避けろ』
「は?え、ちょっとルルーシュ」
最後まで言わない内に、前方に第四世代KMFであるグラスゴーが姿を現した。その腕にはマシンガンらしきもの。そしてスザクの返事を待たずに発砲したのだ。
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