翡翠色のきみ
名前
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コンコン
大きく頑丈な扉を叩く音がした。中からはすぐ「どうぞ」と優しい女性の声がする。扉を叩いた人物は、そっと見た目の割に軽い扉を押し開いた。
目の前に立つのはピンク色を長く伸ばし、薄紫色の優しげな瞳の持ち主。ユーフェミア・リ・ブリタニアその人だ。
「サラ!よかった!聞こえたのね?」
ユーフェミアは、入ってきた人物に駆け寄ってくる。サラは、うんよく聞こえたよ。と微笑みを返した。
最近になって手に入れたこのギアスは、未だにその力の全容を把握出来ていない。なので、力を使うことの出来る条件やギアス発動後の自身の変化、身体能力などを検証する必要があったのだ。朝早くにアリエス宮から離れ、ユーフェミアから犬笛を吹いてもらい、何処まで聞き取る事が出来るのか実験したのだ。
「明日もお願いしていい?もう少し距離を伸ばしてみたいの」
明日は数キロ先まで離れてみようと思ってから、ん?とサラは首を傾げた。
「どうしたの?」
急に考え込んだサラにユーフェミアが声をかける。
「さっき、ユフィが笛吹いてくれた時に側に人がいたんだけど…その人、音が聞こえた途端耳を抑えてたんだよね……」
「え?!まさか、犬笛の音が聞こえてたって事?」
「うーん…普通の人間には聞こえないはずなんだけど…」
犬笛は16000Hzから22000Hzの音を出せるが、人間の耳は20000Hzの音までしか聞き取ることができない。なので聞こえない…はずなのである。
「その方……人間じゃないのかしら?」
ユーフェミアも唸りながら、ポツリとこぼす。
ここで悩んでいても仕方ないので、まぁいいか。とサラは考えるのをやめ、ユーフェミアにお茶にしようと声をかけた。人間じゃないかもしれない彼のことは、また会えたら考えようとユーフェミアと共に結論を出したのだ。
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