タイプはツンデレ後輩
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
大きな事件が片付き、突然 津軽班のおつかれ様会が開かれる事に。
後輩が できた私は 幹事の役割から脱却……出来ていなかった…
昼下がりの公安課
「え~俺、こっちの店がー」
「班長の好きなつまみが少ないから駄目だ。百瀬さんから言われただろ」
「じゃあ、こっち。俺んちに近いから」
「予算がな…それに家に近いかの基準…」
「公安が集まって呑める店すくね~」
黙って聞いていたけど…ずっと揉めてて、予約を入れられなかったり、やはり店決めは大変そう。
私も いつも黒澤さんに頼ってるし…
「二人とも!良かったら私が黒澤さんに良い店ないか聞いて来ようか?もう行く時間でしょ。先輩に任せなさい!」
瀬戸内くんと大石くんは、これから捜査で外に出るから黒澤さんと入れ違いになりそうだし…
店を聞いて予約するくらいなら
「 大丈夫です。先輩にそんなこと…俺たちで探します」
「いや!ここは俺らのセンパイを頼ろう」
先輩…良き響き。うんうん。
「だがな…百瀬さんに頼まれたのは俺たちで…」
「平気だよ、百瀬さんには私から言っておくから。予約出来たら連絡入れるね」
私には弟がいるからか年下の面倒をついついみたくなる
二人を見送り暫くすると、公安課に帰って来た黒澤さんにタイミングを見てコーヒーを淹れ自分用に買ってあったデパ地下のお菓子を持って行く
「黒澤さん、お疲れ様です」
「ややっ!優衣さんから もてなされるとは、何かお願い事ですか?」
「う、分かりますか?ですよね…実は津軽班の飲み会で店選びに苦戦していて…」
「なるほど、優衣さんたちがまだ行ってない店で、良い店ありますよ★」
黒澤さんから教えて貰った店に電話をし、黒澤さんの名前を出すとすんなり予約が出来た
「ありがとうございました!予算内だし、場所も内容も完ぺきです。助かりました」
「それにしても優衣さんが幹事何ですか?後輩の二人かと」
「そうなんですけど、私が首突っ込んじゃって」
「優衣さんはあの二人のお姉さんみたいですね」
「瀬戸内くんなんてお姉さんとは思ってないですよ。山タヌ先輩って、たまに呼ぶんですよ」
自虐的に笑えば、黒澤さんがあっ!と、何か思い出したような顔をして、ちょいちょいっと近づくように手招きされる
(?)
そっと黒澤さんの近くに頭を寄せてみる
「この間、公安課の男性陣に恋愛ゲームで どのキャラが好きかアンケートをとったら」
(!!? そんな中学生男子みたいな…!)
「優衣さんの津軽さんは…」
(私の津軽さんって、なに!!?)
「ツンデレ後輩を選びましたよ」
(そ、そうなの~!?)
「かわいいって。いやがってほしい。 そうですよ」
(ずいぶん前にタイプは無いって言ってけど…ツンデレ後輩が気になったのか…)
「私とは違うようで…。」
「え~そうですか?」
ーーー ー ー
その後、警視庁に書類を届けに行くと
ロビーで津軽さんが 若くて可愛らしい警察官の女の子と話してるのを見かけてしまう
「津軽警視は変な物ばかり食べてないで 私が買ってきた無添加野菜ジュースを飲んでください。私のだけど仕方ないからあげますよ!」
「ありがとう。俺を見かけたから買って追いかけてきたんでしょ?」
「違いますよ!自信過剰です。不健康が気になるだけです」
ほほう。ツンデレ後輩…発見。
立ち止まりガン見してしまったからか、津軽さんと目が合い、ツンデレ後輩と別れこちらに歩いて来た
「ウサってば、見すぎ」
「す、すみません…なんとなく珍しいな…と」
「あの子 面白いんだよね」
「…でしょうね」
(ツンデレ後輩警官に興味を持っていたなんて)
横を歩いて私に着いてくる津軽は機嫌が良い。
(あのツンデレ後輩にからんでもらって嬉しいから?)
「SPの所でしょ?えっと…かつらさん」
「桂木さんです…」
「一緒に行く。嬉しいでしょ」
ずいっと目の前に顔面を近づけられ、良い顔で微笑まれれば…。一緒にいて歩いてるだけで嬉しい気持ちが本音だが、いや今は仕事中…。
津軽さんが 横にくっつくように歩くから 手が何度も触れあって…
仕事じゃなきゃ 手を繋いでる。習慣でうっかり手を繋ぎそうになる
(いやいや!!だから今は仕事中…!)
…イチャイチャ禁止!
「津軽さんに頼まれた用事なのに一緒に来るって…それなら」
「ん~?」
「はい、どーぞ」
自分一人で行ってください。の意味で笑顔で封筒と手土産のお菓子を津軽さんに差し出す
「え~せっかく会ったんだから一緒行こうよ。一緒に居られて嬉しいくせに」
(さっきから一緒、一緒って…もう…津軽さんは私を喜ばせるのが上手い)
「最近は 毎日顔見てるので 別に」
「え、昨日の公休の俺も見てたの?ストーカー?コワっ」
「っ~~!誤解を招く言い方やめてください…」
SPルームに行くため、エレベーターの奥に二人で立った
なんとなく階数を表す数字を見ていると
!!!
(手……)
他の職員から隠れて後ろで手を握られた。少し冷たいけど、私の好きな手
心臓がドキドキ痛い
「ウサさん、顔赤いけど風邪?」
「……いえ、お気になさらず」
手を振りほどけない
いけないって、分かっていても幸せを感じてしまった私の負けだ
(これが…背徳感…かぁ…。)
ーーー ー ー
SPルーム
「お疲れ様です。桂木警部こちらが 昨日 連絡したデータをまとめたものです。」
津軽さんが桂木警部やSPの方々と挨拶をしたあとで頼まれていた書類を渡した
手土産は津軽さんから渡してもらった
広末そら「わ~カヌレだ ありがとうございます!」
藤咲瑞貴「ただいま戻りました」
桂木大地「お疲れ 瑞貴、遅かったが何かあったか?」
藤咲瑞貴「すみません、献血バスがいて、AB型が不足中とあったので」
桂木大地「なるほど、そういうことならいいんだ」
広末そら「瑞貴~津軽警視からお菓子貰ったよ」
藤咲瑞貴「お疲れ様です。頂きます。カヌレだおいしそう」
藤咲瑞貴さん…元アイドル、
何を隠そう私は高校生の頃、藤咲さんファンだったのだ
仕事に影響出ると悪いので誰にも話した事ないけど
広末そら「ねえ、優衣さんって、何型?」
「私はAですよ」
広末そら「あ、じゃあABの瑞貴と相性いいね。今度の捜査、瑞貴と組む?」
「え…」
「残念だけど、ウサはこっちでやることあるから、ほら帰るよ」
「あ、はい、失礼します!」
ーーー ー ー
警察庁へ歩いていると、ふと津軽さんが
「あ、向こうの公園の駐車場にいる」
津軽さんの視線の先にはウサギっぽいキャラクターのバスがあった
「あ~献血バスですね、藤咲さんの言ってた」
「AB型」
「知ってますよ。津軽さんがABなの」
「相性良い部分もあったんだね、俺ら」
「いやいや、価値観が合わないだけで、相性…良いと思ってましたが?」
「どんな所?知りたいな~。あ、昼間からえっちな話はしないでね?」
「別にっ!昼間からじゃなくても、そんな話はしません!」
「ウサはあのアイドル君みたいなのがタイプ?」
「えっと…どうでしょう。SPの皆さん素敵な方々ですが、個人的に どうこう考えたことは 無いですよ」
昔、藤咲さんのアイドル時代は好きだった。いまは何も感じてなくて警察官の先輩として尊敬していて
昔は確かにタイプだったのかも知れないけど
「津軽さんこそっ…」
「ん?」
「タイプって…」
「前は無かったよ」
「それはっ………。いえ、何でもないです。それより夕方からの捜査会議、資料に修正が出たので確認お願いします」
(さっきのツンデレ警官みたいな子なの?)
口には出せなかった。
「あ~それモモから報告もらった」
「…ですか。…さすが百瀬さん」
結局、その後は仕事の話になり私達は公安課に戻った
ーーー ー ー
夜は津軽班の飲み会が開かれ、私は少し離れた席で彼の横顔をチラ見していた
隣は百瀬さんがキープしお世話?をしている
(全然、酔った顔してないな…)
(私は4杯飲んで酔いが回ってきたんだけど)
「吉川先輩、おかわり頼みますか?」
「あ~大石くん 、うん、頼もうかな」
もう一杯カクテルでも…メニューに目をやると、パッと視界からメニューが消え、誰かがドカッと隣に座った
「ウサ、酔ってるでしょ。もう止めときな、君が酔いつぶれても誰も持ち帰ってくれないよ」
「津軽さん…」
「大石、交代しよ、俺の居た席に行って」
「は、はあ。百瀬さんに睨まれてる気がしますが分かりました」
僅かに項垂れながら移動していく大石くんの背中を見守る
(ごめんね、たぶん大石くんじゃなくて私を睨んだだけだから頑張れ!)
「ウ~サ」
「はいっ?」
「酔っぱらわないように(俺の前 以外では)」
口パクで小さく付け加えられた恋人からの心配の言葉に嬉しく恥ずかしい
(私の事見ててくれたんだ、嬉しい)
「まだギリ酔ってないですよ 一応あの日以来、潰れたことないので」
あの日とは配属してまもなくした頃、酔いつぶれて津軽さんのベッドで寝てしまったことがあった
「ウサって小さいけど めちゃめちゃ重いなって思ったんだよね」
「鍛え方が足りませんよ~」
酔いのせいもあり、津軽さんの二の腕で両手で掴みグイグイ引っ張る
「酔っぱらってるし…」
「ははっ…ですね 。お水でも飲もうかな。えっと…」
本当は隣に来てくれたからテンションが上がってしまったんだけど
アルコールのせいにしよう
「はい、どーぞ水」
ピタッ
よく冷えたお冷やのグラスを頬に押し当てられる
「う~、グラスの水滴が めちゃめちゃ顔に付いたんですがっ」
「えっ 口移しで飲ませて?よく上司に頼めるね」
「……。持ってきてくれてたんですか?何か私に押し付けようとしてる面倒事があるとか?」
「疑り深いね~、ほら帰るまでに少しは赤い顔 何とかして。おにぎり、注文してあるから まともな物を食べるように」
「ありがとうございます…」
水を飲むと少しスッキリする
こういう時、津軽さんは大人だなと 年の差を感じる
格好良くてズルい!だから好き…!
あとで…家で会えたら嬉しかったって伝えたいな…
別にツンデレ後輩に津軽さんを取られるとは思ってないけど、ツンケンしてたらホントに…取られちゃったり…
………ん、?……
ちょっと…待って待って………そういう可能性…あるのかな…
忘れてた一つの可能性がやっと浮上する
「ウサ、おにぎりきたよ。あれ顔さっきより赤いし??」
「な、な、何でもないです!」
「?」
「いただきます!」
何度、口答えしても見守ってくれる、頭の中を占領した元凶は
横から優しい眼差しで、見つめてくるだけだった
ーーー ー ー
side 津軽
飲み会のあと同じタクシーで帰宅し 連れ帰った恋人は 何か言いたげに挙動不審だった
「シャワー浴びておいで?」
なぜか スーツの裾を掴んだままくっついて歩くのが カルガモの雛みたいで可愛いいが…
優衣が今日 気になってた事は察しがつく
どんな子がタイプか?
どうせ黒澤に 吹き込まれたんだろう
「シャワー…はい、お借りしたいんですが、その前に聞きたいことがありまして」
「なに?」
ほら、きた
プライベートとなると直球で聞いてきたりするからね
「…津軽さんの好きな女の子のタイプって今日、警視庁で話してた子ですか?」
「!? なに言ってるの?マジで聞いてる?」
なんで?そんな事思ってたの?えぇ?
へんな勘違いさせてたんだ
「黒澤さんから聞きました…ツンデレ後輩がタイプだって」
「うん」
優衣、君のことね。
「恋人は私ですが…あーゆう子が好きなタイプなのかなって動揺したんです」
「ぶー 不正解」
全然なにも彼女に 何の感情もないし。普通の女性警察官の一人で…。
そっか、そっか、あの時には もうヤキモチ妬いてた訳ね
ふぅん、そっか~!
「ですよね!良かった」
喜んじゃって かわいい
「ツンデレ後輩がタイプってゲームの中だけの話ですか?」
「タイプ、タイプって…。俺もともと タイプは無い。あれは…」
ぷっ、笑いそうになる
目を見開いちゃって。キラキラさせちゃって。
"優衣がタイプ" って言って貰えるのを期待してウズウズしてる顔。
正直で、本当に かわいい
「…あの、えっと続きは??」
「教えな~い」
「そんな!」
「言わせようって言うなら、もっと交渉術の技を磨きなさい」
恨めしそうな目を向けて口を尖らせる優衣の あざとさに グッときて、言ってしまいたくなるが何とか耐えた
別に言っても良いんだし、喜ばせたいけど…
ウズウズさせて、妬かせて、頭を俺で一杯にさせる事で 普段は真面目に仕事して 元公安学校組に可愛がられて俺なんて眼中に無いような気がしてしまう時にも
この子は俺に堕ちている
そう思えて。たまに こんなイジワルをしてしまう。
間違った恋愛の仕方かも知れないけど、こんなバカなことが心の安心材料になっていた
「今の津軽さんは意地悪ですね!」
「え、なに宣戦布告?受けてたつよ」
「結構です…シャワー、お借りします」
バスルームに歩きだした優衣は急に立ち止まりくるっと振り返った
「津軽さんっ」
「?」
「…そういう津軽さんも…好きって思っちゃうんです。だからいつか言って貰えたら嬉しいです 」
赤い顔に嘘とか全く見えない
無意識の戦略なのかも知れないし、いや、これは恋…だろ
試してきても、試さなくても、それでも好きだから安心してください
そう言ってくれてるように思う
深いよね、懐がさ。
白旗を挙げたのは言うまでもない 降参だよ。
ーーー ー ー
その後
「はぁ、はぁ…」
「はぁー、あっつ~」
まだ数えるほどしか抱かれてないけど、今夜の津軽さんは凄く優しかった気がする
大事にされてるって こういう時も感じる
息を整えながら照れ臭くなり背中を向けると後ろから抱き締めてくる
(暑いんじゃなかったの?けど終わった後もこうして優しいんだよね…)
くすぐったい気持ちになりながら、津軽さんの抱き締めてくる腕に縋る
「あれ?もう一回する?」
「…もう深夜ですよ?」
「ん~まだヤりたいけど優衣が明日使い物なならなくなったら困るからな」
「そっ、それは…津軽さん変な体勢にさせるから」
「だって優衣 身体、柔らかいじゃん」
「あ、それ、この前、千葉さんたちの前で言いましたよね…ヒヤヒヤしましたよ」
「そ?バレてないでしょ」
「え~千葉さん変な顔してましたよ…」
「他の男の話しは もう終わり」
ちゅっ
「っ…」
「もう一回しよっ?」
「…はい」
「え、優衣さんが素直。気持ちいいの大好きだもんね?」
無邪気な笑顔が眩しいけど、恥ずかしい事を…
「と、取り消しますよ」
毛布を手繰り寄せ、身体を隠そうとすれば手を止められる
「しよ?」
「……」
「優衣のツンデレ可愛いよ。優衣がタイプなんて職場の人間に言えないだろ?」
「……いま…言います~?」
「津軽さんだからね」
嬉しすぎるんですけど…手繰り寄せた毛布で熱くなった顔を隠したが、脇腹をくすぐられ顔を出した
「ね、優衣嬉しい?」
「…うれしく存じます…」
「あははっ なにそれ」
やっぱり何の迷いも不安も無く純粋に笑ってくれる津軽さんが好きだなって思った
私は津軽さんの笑った顔が好きで、隣でその笑顔を見ていきたい。今日も明日も。
私のタイプは津軽さんです。
後輩が できた私は 幹事の役割から脱却……出来ていなかった…
昼下がりの公安課
「え~俺、こっちの店がー」
「班長の好きなつまみが少ないから駄目だ。百瀬さんから言われただろ」
「じゃあ、こっち。俺んちに近いから」
「予算がな…それに家に近いかの基準…」
「公安が集まって呑める店すくね~」
黙って聞いていたけど…ずっと揉めてて、予約を入れられなかったり、やはり店決めは大変そう。
私も いつも黒澤さんに頼ってるし…
「二人とも!良かったら私が黒澤さんに良い店ないか聞いて来ようか?もう行く時間でしょ。先輩に任せなさい!」
瀬戸内くんと大石くんは、これから捜査で外に出るから黒澤さんと入れ違いになりそうだし…
店を聞いて予約するくらいなら
「 大丈夫です。先輩にそんなこと…俺たちで探します」
「いや!ここは俺らのセンパイを頼ろう」
先輩…良き響き。うんうん。
「だがな…百瀬さんに頼まれたのは俺たちで…」
「平気だよ、百瀬さんには私から言っておくから。予約出来たら連絡入れるね」
私には弟がいるからか年下の面倒をついついみたくなる
二人を見送り暫くすると、公安課に帰って来た黒澤さんにタイミングを見てコーヒーを淹れ自分用に買ってあったデパ地下のお菓子を持って行く
「黒澤さん、お疲れ様です」
「ややっ!優衣さんから もてなされるとは、何かお願い事ですか?」
「う、分かりますか?ですよね…実は津軽班の飲み会で店選びに苦戦していて…」
「なるほど、優衣さんたちがまだ行ってない店で、良い店ありますよ★」
黒澤さんから教えて貰った店に電話をし、黒澤さんの名前を出すとすんなり予約が出来た
「ありがとうございました!予算内だし、場所も内容も完ぺきです。助かりました」
「それにしても優衣さんが幹事何ですか?後輩の二人かと」
「そうなんですけど、私が首突っ込んじゃって」
「優衣さんはあの二人のお姉さんみたいですね」
「瀬戸内くんなんてお姉さんとは思ってないですよ。山タヌ先輩って、たまに呼ぶんですよ」
自虐的に笑えば、黒澤さんがあっ!と、何か思い出したような顔をして、ちょいちょいっと近づくように手招きされる
(?)
そっと黒澤さんの近くに頭を寄せてみる
「この間、公安課の男性陣に恋愛ゲームで どのキャラが好きかアンケートをとったら」
(!!? そんな中学生男子みたいな…!)
「優衣さんの津軽さんは…」
(私の津軽さんって、なに!!?)
「ツンデレ後輩を選びましたよ」
(そ、そうなの~!?)
「かわいいって。いやがってほしい。 そうですよ」
(ずいぶん前にタイプは無いって言ってけど…ツンデレ後輩が気になったのか…)
「私とは違うようで…。」
「え~そうですか?」
ーーー ー ー
その後、警視庁に書類を届けに行くと
ロビーで津軽さんが 若くて可愛らしい警察官の女の子と話してるのを見かけてしまう
「津軽警視は変な物ばかり食べてないで 私が買ってきた無添加野菜ジュースを飲んでください。私のだけど仕方ないからあげますよ!」
「ありがとう。俺を見かけたから買って追いかけてきたんでしょ?」
「違いますよ!自信過剰です。不健康が気になるだけです」
ほほう。ツンデレ後輩…発見。
立ち止まりガン見してしまったからか、津軽さんと目が合い、ツンデレ後輩と別れこちらに歩いて来た
「ウサってば、見すぎ」
「す、すみません…なんとなく珍しいな…と」
「あの子 面白いんだよね」
「…でしょうね」
(ツンデレ後輩警官に興味を持っていたなんて)
横を歩いて私に着いてくる津軽は機嫌が良い。
(あのツンデレ後輩にからんでもらって嬉しいから?)
「SPの所でしょ?えっと…かつらさん」
「桂木さんです…」
「一緒に行く。嬉しいでしょ」
ずいっと目の前に顔面を近づけられ、良い顔で微笑まれれば…。一緒にいて歩いてるだけで嬉しい気持ちが本音だが、いや今は仕事中…。
津軽さんが 横にくっつくように歩くから 手が何度も触れあって…
仕事じゃなきゃ 手を繋いでる。習慣でうっかり手を繋ぎそうになる
(いやいや!!だから今は仕事中…!)
…イチャイチャ禁止!
「津軽さんに頼まれた用事なのに一緒に来るって…それなら」
「ん~?」
「はい、どーぞ」
自分一人で行ってください。の意味で笑顔で封筒と手土産のお菓子を津軽さんに差し出す
「え~せっかく会ったんだから一緒行こうよ。一緒に居られて嬉しいくせに」
(さっきから一緒、一緒って…もう…津軽さんは私を喜ばせるのが上手い)
「最近は 毎日顔見てるので 別に」
「え、昨日の公休の俺も見てたの?ストーカー?コワっ」
「っ~~!誤解を招く言い方やめてください…」
SPルームに行くため、エレベーターの奥に二人で立った
なんとなく階数を表す数字を見ていると
!!!
(手……)
他の職員から隠れて後ろで手を握られた。少し冷たいけど、私の好きな手
心臓がドキドキ痛い
「ウサさん、顔赤いけど風邪?」
「……いえ、お気になさらず」
手を振りほどけない
いけないって、分かっていても幸せを感じてしまった私の負けだ
(これが…背徳感…かぁ…。)
ーーー ー ー
SPルーム
「お疲れ様です。桂木警部こちらが 昨日 連絡したデータをまとめたものです。」
津軽さんが桂木警部やSPの方々と挨拶をしたあとで頼まれていた書類を渡した
手土産は津軽さんから渡してもらった
広末そら「わ~カヌレだ ありがとうございます!」
藤咲瑞貴「ただいま戻りました」
桂木大地「お疲れ 瑞貴、遅かったが何かあったか?」
藤咲瑞貴「すみません、献血バスがいて、AB型が不足中とあったので」
桂木大地「なるほど、そういうことならいいんだ」
広末そら「瑞貴~津軽警視からお菓子貰ったよ」
藤咲瑞貴「お疲れ様です。頂きます。カヌレだおいしそう」
藤咲瑞貴さん…元アイドル、
何を隠そう私は高校生の頃、藤咲さんファンだったのだ
仕事に影響出ると悪いので誰にも話した事ないけど
広末そら「ねえ、優衣さんって、何型?」
「私はAですよ」
広末そら「あ、じゃあABの瑞貴と相性いいね。今度の捜査、瑞貴と組む?」
「え…」
「残念だけど、ウサはこっちでやることあるから、ほら帰るよ」
「あ、はい、失礼します!」
ーーー ー ー
警察庁へ歩いていると、ふと津軽さんが
「あ、向こうの公園の駐車場にいる」
津軽さんの視線の先にはウサギっぽいキャラクターのバスがあった
「あ~献血バスですね、藤咲さんの言ってた」
「AB型」
「知ってますよ。津軽さんがABなの」
「相性良い部分もあったんだね、俺ら」
「いやいや、価値観が合わないだけで、相性…良いと思ってましたが?」
「どんな所?知りたいな~。あ、昼間からえっちな話はしないでね?」
「別にっ!昼間からじゃなくても、そんな話はしません!」
「ウサはあのアイドル君みたいなのがタイプ?」
「えっと…どうでしょう。SPの皆さん素敵な方々ですが、個人的に どうこう考えたことは 無いですよ」
昔、藤咲さんのアイドル時代は好きだった。いまは何も感じてなくて警察官の先輩として尊敬していて
昔は確かにタイプだったのかも知れないけど
「津軽さんこそっ…」
「ん?」
「タイプって…」
「前は無かったよ」
「それはっ………。いえ、何でもないです。それより夕方からの捜査会議、資料に修正が出たので確認お願いします」
(さっきのツンデレ警官みたいな子なの?)
口には出せなかった。
「あ~それモモから報告もらった」
「…ですか。…さすが百瀬さん」
結局、その後は仕事の話になり私達は公安課に戻った
ーーー ー ー
夜は津軽班の飲み会が開かれ、私は少し離れた席で彼の横顔をチラ見していた
隣は百瀬さんがキープしお世話?をしている
(全然、酔った顔してないな…)
(私は4杯飲んで酔いが回ってきたんだけど)
「吉川先輩、おかわり頼みますか?」
「あ~大石くん 、うん、頼もうかな」
もう一杯カクテルでも…メニューに目をやると、パッと視界からメニューが消え、誰かがドカッと隣に座った
「ウサ、酔ってるでしょ。もう止めときな、君が酔いつぶれても誰も持ち帰ってくれないよ」
「津軽さん…」
「大石、交代しよ、俺の居た席に行って」
「は、はあ。百瀬さんに睨まれてる気がしますが分かりました」
僅かに項垂れながら移動していく大石くんの背中を見守る
(ごめんね、たぶん大石くんじゃなくて私を睨んだだけだから頑張れ!)
「ウ~サ」
「はいっ?」
「酔っぱらわないように(俺の前 以外では)」
口パクで小さく付け加えられた恋人からの心配の言葉に嬉しく恥ずかしい
(私の事見ててくれたんだ、嬉しい)
「まだギリ酔ってないですよ 一応あの日以来、潰れたことないので」
あの日とは配属してまもなくした頃、酔いつぶれて津軽さんのベッドで寝てしまったことがあった
「ウサって小さいけど めちゃめちゃ重いなって思ったんだよね」
「鍛え方が足りませんよ~」
酔いのせいもあり、津軽さんの二の腕で両手で掴みグイグイ引っ張る
「酔っぱらってるし…」
「ははっ…ですね 。お水でも飲もうかな。えっと…」
本当は隣に来てくれたからテンションが上がってしまったんだけど
アルコールのせいにしよう
「はい、どーぞ水」
ピタッ
よく冷えたお冷やのグラスを頬に押し当てられる
「う~、グラスの水滴が めちゃめちゃ顔に付いたんですがっ」
「えっ 口移しで飲ませて?よく上司に頼めるね」
「……。持ってきてくれてたんですか?何か私に押し付けようとしてる面倒事があるとか?」
「疑り深いね~、ほら帰るまでに少しは赤い顔 何とかして。おにぎり、注文してあるから まともな物を食べるように」
「ありがとうございます…」
水を飲むと少しスッキリする
こういう時、津軽さんは大人だなと 年の差を感じる
格好良くてズルい!だから好き…!
あとで…家で会えたら嬉しかったって伝えたいな…
別にツンデレ後輩に津軽さんを取られるとは思ってないけど、ツンケンしてたらホントに…取られちゃったり…
………ん、?……
ちょっと…待って待って………そういう可能性…あるのかな…
忘れてた一つの可能性がやっと浮上する
「ウサ、おにぎりきたよ。あれ顔さっきより赤いし??」
「な、な、何でもないです!」
「?」
「いただきます!」
何度、口答えしても見守ってくれる、頭の中を占領した元凶は
横から優しい眼差しで、見つめてくるだけだった
ーーー ー ー
side 津軽
飲み会のあと同じタクシーで帰宅し 連れ帰った恋人は 何か言いたげに挙動不審だった
「シャワー浴びておいで?」
なぜか スーツの裾を掴んだままくっついて歩くのが カルガモの雛みたいで可愛いいが…
優衣が今日 気になってた事は察しがつく
どんな子がタイプか?
どうせ黒澤に 吹き込まれたんだろう
「シャワー…はい、お借りしたいんですが、その前に聞きたいことがありまして」
「なに?」
ほら、きた
プライベートとなると直球で聞いてきたりするからね
「…津軽さんの好きな女の子のタイプって今日、警視庁で話してた子ですか?」
「!? なに言ってるの?マジで聞いてる?」
なんで?そんな事思ってたの?えぇ?
へんな勘違いさせてたんだ
「黒澤さんから聞きました…ツンデレ後輩がタイプだって」
「うん」
優衣、君のことね。
「恋人は私ですが…あーゆう子が好きなタイプなのかなって動揺したんです」
「ぶー 不正解」
全然なにも彼女に 何の感情もないし。普通の女性警察官の一人で…。
そっか、そっか、あの時には もうヤキモチ妬いてた訳ね
ふぅん、そっか~!
「ですよね!良かった」
喜んじゃって かわいい
「ツンデレ後輩がタイプってゲームの中だけの話ですか?」
「タイプ、タイプって…。俺もともと タイプは無い。あれは…」
ぷっ、笑いそうになる
目を見開いちゃって。キラキラさせちゃって。
"優衣がタイプ" って言って貰えるのを期待してウズウズしてる顔。
正直で、本当に かわいい
「…あの、えっと続きは??」
「教えな~い」
「そんな!」
「言わせようって言うなら、もっと交渉術の技を磨きなさい」
恨めしそうな目を向けて口を尖らせる優衣の あざとさに グッときて、言ってしまいたくなるが何とか耐えた
別に言っても良いんだし、喜ばせたいけど…
ウズウズさせて、妬かせて、頭を俺で一杯にさせる事で 普段は真面目に仕事して 元公安学校組に可愛がられて俺なんて眼中に無いような気がしてしまう時にも
この子は俺に堕ちている
そう思えて。たまに こんなイジワルをしてしまう。
間違った恋愛の仕方かも知れないけど、こんなバカなことが心の安心材料になっていた
「今の津軽さんは意地悪ですね!」
「え、なに宣戦布告?受けてたつよ」
「結構です…シャワー、お借りします」
バスルームに歩きだした優衣は急に立ち止まりくるっと振り返った
「津軽さんっ」
「?」
「…そういう津軽さんも…好きって思っちゃうんです。だからいつか言って貰えたら嬉しいです 」
赤い顔に嘘とか全く見えない
無意識の戦略なのかも知れないし、いや、これは恋…だろ
試してきても、試さなくても、それでも好きだから安心してください
そう言ってくれてるように思う
深いよね、懐がさ。
白旗を挙げたのは言うまでもない 降参だよ。
ーーー ー ー
その後
「はぁ、はぁ…」
「はぁー、あっつ~」
まだ数えるほどしか抱かれてないけど、今夜の津軽さんは凄く優しかった気がする
大事にされてるって こういう時も感じる
息を整えながら照れ臭くなり背中を向けると後ろから抱き締めてくる
(暑いんじゃなかったの?けど終わった後もこうして優しいんだよね…)
くすぐったい気持ちになりながら、津軽さんの抱き締めてくる腕に縋る
「あれ?もう一回する?」
「…もう深夜ですよ?」
「ん~まだヤりたいけど優衣が明日使い物なならなくなったら困るからな」
「そっ、それは…津軽さん変な体勢にさせるから」
「だって優衣 身体、柔らかいじゃん」
「あ、それ、この前、千葉さんたちの前で言いましたよね…ヒヤヒヤしましたよ」
「そ?バレてないでしょ」
「え~千葉さん変な顔してましたよ…」
「他の男の話しは もう終わり」
ちゅっ
「っ…」
「もう一回しよっ?」
「…はい」
「え、優衣さんが素直。気持ちいいの大好きだもんね?」
無邪気な笑顔が眩しいけど、恥ずかしい事を…
「と、取り消しますよ」
毛布を手繰り寄せ、身体を隠そうとすれば手を止められる
「しよ?」
「……」
「優衣のツンデレ可愛いよ。優衣がタイプなんて職場の人間に言えないだろ?」
「……いま…言います~?」
「津軽さんだからね」
嬉しすぎるんですけど…手繰り寄せた毛布で熱くなった顔を隠したが、脇腹をくすぐられ顔を出した
「ね、優衣嬉しい?」
「…うれしく存じます…」
「あははっ なにそれ」
やっぱり何の迷いも不安も無く純粋に笑ってくれる津軽さんが好きだなって思った
私は津軽さんの笑った顔が好きで、隣でその笑顔を見ていきたい。今日も明日も。
私のタイプは津軽さんです。
1/1ページ