元カレです
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とある深夜。
うちに遊びにきた津軽さんと、配信されたばかりの恋愛リアリティー番組を観ていた
話題になっている番組だから何となく見始めたんだけど、意外と面白くて
「台本?リアル?すごくロマンチックですね」
夜景を背にした愛の告白は 昔のトレンディドラマみたい…なんて思いつつ挿入歌も相まってキューンとしてしまった
「優衣はどんな告白が好きなの?こういうベタなやつ?」
「ん~、好きな人からされる告白ならどんな言葉でも嬉しいんじゃないですかね?」
「なんか他人事じゃん」
「他人事っていうか…津軽さんから告白されてないな~なんて思って。私から切り出したので」
「ふむふむ、じゃあ 告白されたかったんだ?」
「そんなことないですよ、今付き合ってる事実が大切ですし。好きって言ってもらえるだけで満足かな」
「あー全然ダメ。もっと欲張りなよ」
「はあ…」
「…別れようか」
声の低さと言葉の重さに反応が一瞬遅れた
「!! な、なぜ!?」
捜査で突拍子もない無茶振りをしてくるこの人に慣れた気でいたけど。
…意味が分からない。
「俺に告白させてみせてよ、君ならできるんじゃない?」
「え、いや、別れなくても 言ってくれていいんですよ?」
「自信ない?俺に言わせるの」
(別れたくないけど…こうやって煽って、からかってくるなら)
「…やります」
(やってやろうじゃない!その余裕な顔、崩してやるんだから!)
「そーこなくっちゃ。優衣…、期待してるよ」
「……」
見つめてくる瞳に、少し戸惑ってしまう
「もう、お別れだね」
「…はい…」
「………」
「………」
二人して黙り込み、落ちた沈黙の中、私は既に若干の後悔を感じてしまっていた
(元カレ、か。今夜はお泊まりしてくれると思ってたのに、帰っちゃうのかな?)
しんみりしていると…
「ねえ、元カレにどこまで許したことある?」
「!?急に何を…なにもありませんよ」
「じゃあさ…優衣、悪い子になってみる?」
ぐっと身体を寄せられ耳元で囁かれた誘惑に 心臓が激しく動き始める
「…っ、津軽さん…えっと…」
色気たっぷりで、迫ってくる好きな人の体温に抱きしめられ、スッと真剣な瞳とかち合う
(キス…)
の、流れのはずが その唇は、僅かに触れてこない。
見つめ合うだけでは満足できない、なんて私は本当に悪い子なのかも…
自分から唇をそっと押し当てた
そこにもう、私の返事なんてもう必要ない
唇を割って入ってくる熱さに、甘い期待をしながら背中に腕を回したのだった
スマホのアラームで目を覚ますと、シングルのベッドがやけに広く感じられた
(…津軽さん?)
部屋を見渡して彼の姿はここには無いのだとすぐに悟る
あくまでもゲームは続行中だった
(はぁ、帰っちゃうことないじゃないですか…)
密着して眠ったはずなのに、黙っていなくなるなんて初めてで
(…バカ)
寂しい気持ちと、翻弄される悔しい気持ち
津軽さんは 時々こうして仕掛けてきてマンネリ防止と取れる言動を取ってくる
(べつにマンネリしてるなんて、まっったく思わないんだけどな)
今回はちょっと…告白されてみたい!
そんな気持ちが沸き上がったから。話に乗ったけど…
(告白させられる?あの津軽さんを…。結構、難しくない!?)
元カレ、だなんて…
あまりこのゲームを長引かせなくないので 朝から頭を捻りながら支度をするのだった
とは考えてたものの!
朝から捜査は慌ただしくなる一方だった…
アレから一週間がたった徹夜明けの朝、 仮眠後にシャワー室でサッとシャワーを浴びて課に戻る
「吉川 戻りました」
「おはよーウサ、ちょっとは休めた?」
「はい、ありがとうございます」
ちらほら津軽班のメンバーがいる中で、ツカツカ歩いてきたと思ったら スッと耳元に顔を近づけ
「シャンプー、いつもと違う匂いだね。…いい匂い」
(!! ちょっ、きゅ、急に…)
ずっと仕事モードのみで接してきたし、津軽さんも凛とした仕事モードだったら…突然のカレシの声に心臓がドギマギと焦る
「もうひと踏ん張りだから、頑張ろ」
ちょんっ、と鼻の頭をつつかれる
(うぐっ…)
トキメかされて、純粋に嬉しくなっている自分に、悔しさが後から襲う
デスクに戻り腰をおろすが 自分の顔がニヤけてないか頬を擦っていた
(この後 会議なのに~)
すっかり忘れていたが、"元カレ" に早朝から少しの癒しを貰ってしまったのだった
早朝会議後に現場に出て警察庁に帰ってきたのは夜。
(成果を出せたし、今日は家に帰れる!)
意気揚々と 公安課がある階でエレベーターを降りると廊下で大きな人影
(あ、津軽さん……と、津軽さんの後輩の女性)
津軽さんが班長になるずっと前に、彼女と同じ班で、指導係だったらしい
要するに私と百瀬さんのような直属の先輩後輩の間柄。
笑顔で言葉を交わす二人は時々見る光景で普段なら気に止めない
(津軽さん…リラックスしてるなぁ)
捜査が大きく進んだとはいえ、解決したわけではないのに。
一歩二歩と近づく度に、気を許してる表情が妙に…今日は妙に気になった
他の女性職員より仲が良いのは知っていたのに今日に限って胸がモヤモヤする
(あっ…)
何かに笑った彼女は津軽さん二の腕に触れて、そのまま手を離さない
「ほんっと、おまえ変わんないよな~」
「津軽先輩も!また二人で食事行きましょうよ。いつ空いてますか?」
「今は忙しいから今度ね」
(………。)
横を通りすぎる時に会釈はしたが、話しかけずに課のドアを開けて入った
こんな私がいるんだと20代後半を迎え、初めて知る。私、今ムカついてる…
特に…津軽さんが女性を "おまえ" って言った辺りとか…。
そこに、私とは違うあの二人の距離の近さを実感してムカついた
(……ふう。ダメだよね…こんなことでヤキモチを妬いてちゃ…)
津軽さんがベタベタされてるのは、よく見る光景なのに
社内恋愛、私はできると思ってた。
ヤキモチでムカついてて、寂しくて思う自分がいると知ったのだった
…でも事件が解決したら二人の時間を作って、あの腕に抱き締めて貰えるのは私だから。
「……あっ…」
元カレ、か
だだのゲームだけど、今は元カレという事実に間抜けな声が出た
あれから事件は無事に解決し、班員で順番に休みを取っていた
(明日は私と津軽さんが休みだ!)
帰り支度をしながら考えるのは、もちろん津軽さん。
普段なら、休みの前日からお泊まりして24時間ベッタリ一緒にいるんだけど…
(うーん、なんて言って誘おう?疲れてるだろうから食事はちょっと違うよね)
一応、元カレ、なので
お部屋にお邪魔して良いですか?
と、聞くのは違う。どうしたものかとデスクで知恵を絞っていると
「津軽先輩! 飲みに行きませんか?久しぶりに」
(!! えっ )
颯爽とうちの課に入って来たのは、先日の津軽さんタッチ事件の彼女だった
「どうしたの、急に」
「ほら、積もる話もあるじゃないですか?カワイイ後輩からのお願いです」
「まあ…いいけど」
(え!いいんですか!?…まあ、津軽さんの自由だし?先輩後輩だし?いいんですけど)
出ていく二人を横目で恨めしく見る
ギュッと握った手が心の荒波を表している
(…私の "元カレ" が行ってしまった…)
部屋に帰り時計を見る。帰ってからまだ一時間しか経っていない
スマホを何度 確認しても着信もLINEもない
少しくらい私を構ってほしいと思うのはワガママなんだろうか
もう一度スマホを確認する。最後にLINEしたのは "別れた日" で終わっていた
(………うん、行こう)
ここで考えていても何も始まらない
プライベートで会えなきゃコミュニケーションも取れなくて、告白してもらうなんて夢のまた夢。
軽く身支度をして同じマンションの最上階に向かった
ピンポーン……
(帰ってないか)
合鍵は持ってるけど勝手に入るわけにいかず、ドアに背中を預けしゃがみこんだ
どれくらい時間が経っただろう。長いけど実際は短かったかも知れない
(津軽さん…会いたい)
一言LINEをして今夜会いたいと言えばいいのにできずに胸に切なさだけを抱えていた
エレベーターの音がして顔を上げると
「えっ!?優衣なんでそこにいるの?」
「津軽さん…」
立ち上がると、足が痺れていてよろけてしまうが すぐさま身体を支えられる
「ちょ、大丈夫?いつからいたの?合鍵あるんだから入ってなよ?」
少し焦った様子だけど、だから、その優しさに付け込みたくなる
「だって私は元カノだし…」
「なーに拗ねてんの、ほら中に入ろ」
手を引かれ部屋に入れてもらい、ソファーに二人で座る
「結構、帰ってくるの早かったですね」
「べつにメシ食って来ただけだし、こんなもんでしょ。」
「…仲良いんですね…」
「ふーん。優衣ちゃんは妬いてんの?」
「だって…」
「うん?」
「おまえとか…呼んじゃって…私だって言われたこと…ないのに」
視線は顔を見れず下を向いたまま。メンドクサイ女みたいになってるけど素直に思ったことを漏らしてしまう。
そうさせたのは、津軽さんの声はさっきから優しいから。
「……」
黙り込む津軽さんに不安になり顔を覗き込むと
「おバカさんだね、優衣は。あの子は昔からの後輩だし、繋がり持ってた方が今後も情報もらえるからで、君と同位じゃないだろ?心配しなくていいから」
「…はい」
嬉しかった。欲しい時に、欲しい言葉をくれる。
それが彼氏の津軽さんの温かい優しさ。
それを私だけが知っていたい
なんてまた、ワガママかな
「あの、私…」
「ん?」
「好きです…津軽さんが好きです…」
「優衣…」
「好き、好き!大好きです!恋人になりたいです!」
「っ……、悔しいけど、君の勝ち。…好き好き攻撃とか反則だろ…」
「えっ」
少し照れた様に視線を逸らされたが、すぐに戻して
「でもさ、ちゃんと言わないと終わんないよな、コレ。」
「…と、言いますと?」
距離を縮められ、その整った顔が目の前に
(あれ…耳が赤い…)
「優衣が好き。もう一度ちゃんと彼女になって」
(え。あ、どうしよう、嬉しっ…!)
「お返事は?」
「はい、ありがとうございます」
ちゅっ、自然とお互いに引き寄せられて唇が重なった
「はあ~緊張した。告白なんて生まれて初めてだからさ」
「……本気ですか…?」
「うん」
「つ、津軽さんの初めてを私が...!」
「そんなビックリすること??」
「あ~、録音しておけば良かった!」
「公安刑事がそんな記録スマホに残さないでよ…」
「だって、だって、こんな貴重な機会を!」
「シッ…黙って。それよか俺に告白させた責任、取ってよ?」
ゆっくりとソファーに押し倒される
「あ、あのベッドに…」
「待たない」
「んんっ…」
久しぶりのキスが幸せで、もっと欲しくなって。
「ねえ、」
「はい…」
「おまえが好きだよ」
「!!」
乱されていく服と、されるがままの私。
もう、" 元カレ "ごっこなんて、どうでもいいくらい私はその言葉に全部持っていかれた
うちに遊びにきた津軽さんと、配信されたばかりの恋愛リアリティー番組を観ていた
話題になっている番組だから何となく見始めたんだけど、意外と面白くて
「台本?リアル?すごくロマンチックですね」
夜景を背にした愛の告白は 昔のトレンディドラマみたい…なんて思いつつ挿入歌も相まってキューンとしてしまった
「優衣はどんな告白が好きなの?こういうベタなやつ?」
「ん~、好きな人からされる告白ならどんな言葉でも嬉しいんじゃないですかね?」
「なんか他人事じゃん」
「他人事っていうか…津軽さんから告白されてないな~なんて思って。私から切り出したので」
「ふむふむ、じゃあ 告白されたかったんだ?」
「そんなことないですよ、今付き合ってる事実が大切ですし。好きって言ってもらえるだけで満足かな」
「あー全然ダメ。もっと欲張りなよ」
「はあ…」
「…別れようか」
声の低さと言葉の重さに反応が一瞬遅れた
「!! な、なぜ!?」
捜査で突拍子もない無茶振りをしてくるこの人に慣れた気でいたけど。
…意味が分からない。
「俺に告白させてみせてよ、君ならできるんじゃない?」
「え、いや、別れなくても 言ってくれていいんですよ?」
「自信ない?俺に言わせるの」
(別れたくないけど…こうやって煽って、からかってくるなら)
「…やります」
(やってやろうじゃない!その余裕な顔、崩してやるんだから!)
「そーこなくっちゃ。優衣…、期待してるよ」
「……」
見つめてくる瞳に、少し戸惑ってしまう
「もう、お別れだね」
「…はい…」
「………」
「………」
二人して黙り込み、落ちた沈黙の中、私は既に若干の後悔を感じてしまっていた
(元カレ、か。今夜はお泊まりしてくれると思ってたのに、帰っちゃうのかな?)
しんみりしていると…
「ねえ、元カレにどこまで許したことある?」
「!?急に何を…なにもありませんよ」
「じゃあさ…優衣、悪い子になってみる?」
ぐっと身体を寄せられ耳元で囁かれた誘惑に 心臓が激しく動き始める
「…っ、津軽さん…えっと…」
色気たっぷりで、迫ってくる好きな人の体温に抱きしめられ、スッと真剣な瞳とかち合う
(キス…)
の、流れのはずが その唇は、僅かに触れてこない。
見つめ合うだけでは満足できない、なんて私は本当に悪い子なのかも…
自分から唇をそっと押し当てた
そこにもう、私の返事なんてもう必要ない
唇を割って入ってくる熱さに、甘い期待をしながら背中に腕を回したのだった
スマホのアラームで目を覚ますと、シングルのベッドがやけに広く感じられた
(…津軽さん?)
部屋を見渡して彼の姿はここには無いのだとすぐに悟る
あくまでもゲームは続行中だった
(はぁ、帰っちゃうことないじゃないですか…)
密着して眠ったはずなのに、黙っていなくなるなんて初めてで
(…バカ)
寂しい気持ちと、翻弄される悔しい気持ち
津軽さんは 時々こうして仕掛けてきてマンネリ防止と取れる言動を取ってくる
(べつにマンネリしてるなんて、まっったく思わないんだけどな)
今回はちょっと…告白されてみたい!
そんな気持ちが沸き上がったから。話に乗ったけど…
(告白させられる?あの津軽さんを…。結構、難しくない!?)
元カレ、だなんて…
あまりこのゲームを長引かせなくないので 朝から頭を捻りながら支度をするのだった
とは考えてたものの!
朝から捜査は慌ただしくなる一方だった…
アレから一週間がたった徹夜明けの朝、 仮眠後にシャワー室でサッとシャワーを浴びて課に戻る
「吉川 戻りました」
「おはよーウサ、ちょっとは休めた?」
「はい、ありがとうございます」
ちらほら津軽班のメンバーがいる中で、ツカツカ歩いてきたと思ったら スッと耳元に顔を近づけ
「シャンプー、いつもと違う匂いだね。…いい匂い」
(!! ちょっ、きゅ、急に…)
ずっと仕事モードのみで接してきたし、津軽さんも凛とした仕事モードだったら…突然のカレシの声に心臓がドギマギと焦る
「もうひと踏ん張りだから、頑張ろ」
ちょんっ、と鼻の頭をつつかれる
(うぐっ…)
トキメかされて、純粋に嬉しくなっている自分に、悔しさが後から襲う
デスクに戻り腰をおろすが 自分の顔がニヤけてないか頬を擦っていた
(この後 会議なのに~)
すっかり忘れていたが、"元カレ" に早朝から少しの癒しを貰ってしまったのだった
早朝会議後に現場に出て警察庁に帰ってきたのは夜。
(成果を出せたし、今日は家に帰れる!)
意気揚々と 公安課がある階でエレベーターを降りると廊下で大きな人影
(あ、津軽さん……と、津軽さんの後輩の女性)
津軽さんが班長になるずっと前に、彼女と同じ班で、指導係だったらしい
要するに私と百瀬さんのような直属の先輩後輩の間柄。
笑顔で言葉を交わす二人は時々見る光景で普段なら気に止めない
(津軽さん…リラックスしてるなぁ)
捜査が大きく進んだとはいえ、解決したわけではないのに。
一歩二歩と近づく度に、気を許してる表情が妙に…今日は妙に気になった
他の女性職員より仲が良いのは知っていたのに今日に限って胸がモヤモヤする
(あっ…)
何かに笑った彼女は津軽さん二の腕に触れて、そのまま手を離さない
「ほんっと、おまえ変わんないよな~」
「津軽先輩も!また二人で食事行きましょうよ。いつ空いてますか?」
「今は忙しいから今度ね」
(………。)
横を通りすぎる時に会釈はしたが、話しかけずに課のドアを開けて入った
こんな私がいるんだと20代後半を迎え、初めて知る。私、今ムカついてる…
特に…津軽さんが女性を "おまえ" って言った辺りとか…。
そこに、私とは違うあの二人の距離の近さを実感してムカついた
(……ふう。ダメだよね…こんなことでヤキモチを妬いてちゃ…)
津軽さんがベタベタされてるのは、よく見る光景なのに
社内恋愛、私はできると思ってた。
ヤキモチでムカついてて、寂しくて思う自分がいると知ったのだった
…でも事件が解決したら二人の時間を作って、あの腕に抱き締めて貰えるのは私だから。
「……あっ…」
元カレ、か
だだのゲームだけど、今は元カレという事実に間抜けな声が出た
あれから事件は無事に解決し、班員で順番に休みを取っていた
(明日は私と津軽さんが休みだ!)
帰り支度をしながら考えるのは、もちろん津軽さん。
普段なら、休みの前日からお泊まりして24時間ベッタリ一緒にいるんだけど…
(うーん、なんて言って誘おう?疲れてるだろうから食事はちょっと違うよね)
一応、元カレ、なので
お部屋にお邪魔して良いですか?
と、聞くのは違う。どうしたものかとデスクで知恵を絞っていると
「津軽先輩! 飲みに行きませんか?久しぶりに」
(!! えっ )
颯爽とうちの課に入って来たのは、先日の津軽さんタッチ事件の彼女だった
「どうしたの、急に」
「ほら、積もる話もあるじゃないですか?カワイイ後輩からのお願いです」
「まあ…いいけど」
(え!いいんですか!?…まあ、津軽さんの自由だし?先輩後輩だし?いいんですけど)
出ていく二人を横目で恨めしく見る
ギュッと握った手が心の荒波を表している
(…私の "元カレ" が行ってしまった…)
部屋に帰り時計を見る。帰ってからまだ一時間しか経っていない
スマホを何度 確認しても着信もLINEもない
少しくらい私を構ってほしいと思うのはワガママなんだろうか
もう一度スマホを確認する。最後にLINEしたのは "別れた日" で終わっていた
(………うん、行こう)
ここで考えていても何も始まらない
プライベートで会えなきゃコミュニケーションも取れなくて、告白してもらうなんて夢のまた夢。
軽く身支度をして同じマンションの最上階に向かった
ピンポーン……
(帰ってないか)
合鍵は持ってるけど勝手に入るわけにいかず、ドアに背中を預けしゃがみこんだ
どれくらい時間が経っただろう。長いけど実際は短かったかも知れない
(津軽さん…会いたい)
一言LINEをして今夜会いたいと言えばいいのにできずに胸に切なさだけを抱えていた
エレベーターの音がして顔を上げると
「えっ!?優衣なんでそこにいるの?」
「津軽さん…」
立ち上がると、足が痺れていてよろけてしまうが すぐさま身体を支えられる
「ちょ、大丈夫?いつからいたの?合鍵あるんだから入ってなよ?」
少し焦った様子だけど、だから、その優しさに付け込みたくなる
「だって私は元カノだし…」
「なーに拗ねてんの、ほら中に入ろ」
手を引かれ部屋に入れてもらい、ソファーに二人で座る
「結構、帰ってくるの早かったですね」
「べつにメシ食って来ただけだし、こんなもんでしょ。」
「…仲良いんですね…」
「ふーん。優衣ちゃんは妬いてんの?」
「だって…」
「うん?」
「おまえとか…呼んじゃって…私だって言われたこと…ないのに」
視線は顔を見れず下を向いたまま。メンドクサイ女みたいになってるけど素直に思ったことを漏らしてしまう。
そうさせたのは、津軽さんの声はさっきから優しいから。
「……」
黙り込む津軽さんに不安になり顔を覗き込むと
「おバカさんだね、優衣は。あの子は昔からの後輩だし、繋がり持ってた方が今後も情報もらえるからで、君と同位じゃないだろ?心配しなくていいから」
「…はい」
嬉しかった。欲しい時に、欲しい言葉をくれる。
それが彼氏の津軽さんの温かい優しさ。
それを私だけが知っていたい
なんてまた、ワガママかな
「あの、私…」
「ん?」
「好きです…津軽さんが好きです…」
「優衣…」
「好き、好き!大好きです!恋人になりたいです!」
「っ……、悔しいけど、君の勝ち。…好き好き攻撃とか反則だろ…」
「えっ」
少し照れた様に視線を逸らされたが、すぐに戻して
「でもさ、ちゃんと言わないと終わんないよな、コレ。」
「…と、言いますと?」
距離を縮められ、その整った顔が目の前に
(あれ…耳が赤い…)
「優衣が好き。もう一度ちゃんと彼女になって」
(え。あ、どうしよう、嬉しっ…!)
「お返事は?」
「はい、ありがとうございます」
ちゅっ、自然とお互いに引き寄せられて唇が重なった
「はあ~緊張した。告白なんて生まれて初めてだからさ」
「……本気ですか…?」
「うん」
「つ、津軽さんの初めてを私が...!」
「そんなビックリすること??」
「あ~、録音しておけば良かった!」
「公安刑事がそんな記録スマホに残さないでよ…」
「だって、だって、こんな貴重な機会を!」
「シッ…黙って。それよか俺に告白させた責任、取ってよ?」
ゆっくりとソファーに押し倒される
「あ、あのベッドに…」
「待たない」
「んんっ…」
久しぶりのキスが幸せで、もっと欲しくなって。
「ねえ、」
「はい…」
「おまえが好きだよ」
「!!」
乱されていく服と、されるがままの私。
もう、" 元カレ "ごっこなんて、どうでもいいくらい私はその言葉に全部持っていかれた
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