一人占め
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今が一番幸せで、今の関係が一番ドキドキして、今はこれで満足してる
──そう思ってた。
お昼、津軽さんに言われてレモンコーヒーを淹れに来たのに、命令した張本人が給湯室に現れた
「ねえ、ウサ あしたの夜空けといてね」
「はい?あしたの夜、ですか?」
明日は日曜日。
(ん~、捜査に出る?それとも…あれっ?私なにか約束事でもしてたっけ?突然なんだろう?)
「俺 明日は休日出勤だから、夜からならいいよ」
「はい??だから なにがいいよ なんですか」
「デートしてあげるって言ってんの」
「え、あ…。って言うか、私の都合は聞いてくれないんですか?」
「どうせ、俺が構ってあげなきゃ録りためたドラマ見たりグータラして過ごすんでしょ。構ってあげる」
「っ…。まあ、いいですけど。何処に行くんですか?」
「イルミネーション。なんか表参道でイベントやってるんだって」
「……。」
リア充デート!!! う、嬉しい…!
「 なに、気に入らない訳?」
「そんな!まさか!嬉しいです」
「そ。じゃあ仕事終わる頃に連絡する。マンションの前まで車で迎えに行くから」
「はい…」
作り終えたレモンコーヒーのマグカップを片手に、給湯室を出ていく津軽さんを見送る
真っ赤であろう頬が、どうしても緩んでしまう!
(う~~、まだ仕事残ってるのに!こんなにドキドキさせてー!)
私たちは、俗にいう両片思いから脱して
付き合って───
…いない。
お互いに恐らく好きだと知っているのに、恋人じゃないという状態。
今はこのままで。と私が言ったんだけど 定期的にイチャイチャしてきたりデートに連れ出されたり…
心臓が持たない!
自惚れちゃうよね、もっと惚れちゃうよね
困る…ほんと。
津軽さんって…結構、プライベートは積極的に来てくれるんだな…
私が津軽さんを意識し出した頃は、全然 押したら引いちゃう人だったから…。
なんて言うか、私のコトを好きになってくれたんだなと思うと本当に…感慨深い。
暫くすると津軽さんと百瀬さんは捜査に出てしまい、私は調査書の作成をしていた。
資料室から戻ってくると、さっきまで無かった津軽さんのデスクに紙袋が置いてあり付箋が付いてるのが分かった
(ん、なんだろ?ちょっと気になるけど見るわけには…)
「優衣さん、気になってますね」
「ひっ」
隣から唐突に声をかけられて妙な声が出る
湧いて出てくる黒澤さん…!
くっ、目敏い…!
「 私は別に…」
「総務の子が置いて行きましたよ。お土産だとか。あまり津軽さんと接点ないと思ってたのに、さすが守備範囲が広いですね」
聞いてもないのに名前まで教えられ、カワイイし今度合コンに誘おうかなとか言いながら去っていく
う~ん、いつも津軽さんを囲ってる女子の中に彼女はいない。
どちらかと言うと 色々な意味で 我の強い警察庁の中では 大人しそうな雰囲気の人だから…
彼女が?
意外で…
ちょっと本気度が気になってしまう
私が気にした所で、なんだけど。
もともと津軽さんは 私一人のものになる人じゃない。
分かってたこと。気にしない、気にしない…うん、気にしたら負け
ーーーーーーー ー ー
ほぼ定時で退庁して、最寄り駅のスーパーに寄り道
(あっ。コレ…津軽さん、食べるかな?)
私には縁の無い妙な珍味を、惣菜コーナーで見つけてしまうのは、津軽さんが好きな人で特別な存在だから。
(よし、会えるか分からないけど、後でお部屋に届けよう!)
買い物カゴにそっと入れて、会うための きっかけを手に入れた事に 浮き足立ちながらスーパーを出た
(少ししたらお裾分けありますってLINEしてみよう)
ソワソワしながらマンションの方に歩き出すと
!?
「え… 」
(なんで津軽さん…と、例のお土産を持ってきた総務の女性が?)
目の前を並んで歩いている二人に衝撃を受けて立ち止まった
昼過ぎから姿を見かけてないと思ったら、まさかの女連れ
(ま、まぁ、津軽さんだしデートってことかな…なんか納得いかない…けど)
行く方向が一緒のようで、仕方なく後ろの方を歩く
マンションの方向。
………。
あ、まさか津軽さんの部屋に行く、なんてないよね?
モヤモヤしながら歩くこと数十秒。
「じゃあ、私こっちなので」
「うん。これ、ありがとうね」
お土産の紙袋に視線をやったあと、彼女に微笑みかけた
(なんだ…部屋に行くわけじゃないんだ)
軽く手を振り二人は別れたが、津軽さんに見つからないように暫くお店の影に隠れ じっとして待つことにした
「ウサちゃん、なーにやってんのかな?」
「ふぁっ!?」
「ふぁって な~によ、それで隠れたつもり?」
「津軽さん、お、お疲れ様です」
「おつかれ。で?なんで隠れたの?」
「隠れてません!休んでただけです!」
さっき買ったスーパーのお惣菜や野菜など入ったエコバッグを胸に抱き急いで歩き出した
「なに買ったの?今日の夕飯?」
「…そう、ですけど」
「持つよ。牛乳入ってるし重いでしょ」
ひょいっと荷物を奪われる
仕事中は もっともっと重いのも 下っ端の私が持つのに、今はこんな優しくされたら…。
最近の私は気持ちがジェットコースターみたいになる
ドキドキして、楽しくて、登ったり
下がったり…。
黙って横を並んで歩く
つい さっきまでは他の女性がいた、津軽さんの隣…。
いつもなら嬉しいはずの、隣。
「ウサ、これから夕飯なんでしょ?俺もまだだよ」
「え、デートで食べて来たんじゃないんですか?」
「俺が? …ははぁ~ん、ウサ大人しいなと思ったら妬いてるんだー」
「妬いてるとかじゃなくて...全然。だって…だって…」
「ぷっ、だって って子どもみたいに」
「……。」
「怖い怖い!睨まないでよ」
「馬鹿にしてる…」
「彼女となんでもないよ。駅で降りたら会って、そこまで一緒に帰っただけ。」
「じゃあ、その袋は?」
「これ?前に傘貸したことがあって、お礼だって。新婚さんでさ、旦那さんと温泉行ったらしいよ」
(な!!えー 人妻だったの…!?)
「安心した?」
翻弄されてしまった気まずさ、恥ずかしさで悔し紛れにキッと睨み返せば
(あっ…)
見上げた隣の津軽さんとバッチリ目が合う
凄く優しい瞳だった
からかってたクセに…なんで そんな優しい目で見てくるの
「…食べますか?ウチで」
「いいよ 何作る~?」
ニコニコ楽しそうな顔をされれば、さっきまでのモヤモヤが消えてしまって、また今日も気持ちが絆されてしまう
(本当にズルい人…)
「いろいろ買ったね、牛乳、キャベツ、豚肉…」
がさがさエコバッグを覗かれる
「あっ、ちょっと勝手に見ないで」
「ん?コレ…」
(み、見られてしまった…!津軽さん用の珍味なお惣菜!)
「ウサがコレ食べんの?だんだん俺好みの味覚になってきた?」
「さあ?味覚は天と地の差がありますが」
「で?」
「……た、食べるかなって。お届けに行こうと思ったんです…。」
「そっか…ありがと。一緒にコレ食べよ」
「はい」
この前までは 炭酸おしるこ飲みませんか?って言っても断られてたのに…
一緒に夕食をウチで食べるんだから、なんだか、なんだか幸せ…
ーーーーーー ー ー
いったん自分の部屋に帰って部屋着で我が家に現れた津軽さんに 、付き合ってるみたいでドキドキしてしまい、また幸せを感じてしまった
「じゃあ、また明日ね」
「………」
すぐに作れる回鍋肉とサラダ、レンチンご飯さえ、二人で食べるとすごく美味しかった…
あっと言う間に夕飯は終わり、バラエティー番組を一つ見終わると津軽さんは帰ると立ち上がった
まだ一緒にいたい!
口には出せない。けど…もしも、
口にしたらどうなるんだろう
私たちは、きっと付き合っちゃいけない。今は…
多分、お互いに好き…だと分かっただけでも、奇跡だし、それだけで幸せって、毎日思ってるはずなのに。
名残惜しいな…すっごく。
もし付き合ってたら、もっと一緒にいられるのかな
寂しい。
「………」
悶々と考え無言になること数秒。
「明日のデート、早めに迎えに来れるよーに頑張るからそんな顔しない」
ぐしゃぐしゃと、乱雑に頭を撫でられはっとした
「ちょっ…!ボサボサになりますー」
「今はこのままって君が言ったんでしょーが」
「…ですね」
ボサボサになった髪を、直すように優しく撫でられる
「んじゃ、おやすみ」
「あっ…明日楽しみにしてます」
「ん。お洒落しておいで」
髪の毛から今度はさらっと頬を撫でた
ガチャン…
重たいドアが閉まり、離れがたくて その場に立ち尽くす
(これで付き合って無いとか…。恋って、こんなにときめくものだっけ!?)
撫でられた髪の毛の感触がまだある。少しだけ息が苦しい。それは津軽さんが本当に好きだから。
(あ!今から服選んでおこう、それとも日中買いに行っちゃう?あとネイルしなきゃっ!半身浴とパックの準備も!)
明日に向けてアレコレ準備を開始する
だって好きな人とデートに浮き足立つのは仕方ない
明日の夜も、津軽さんを一人占めさせてください
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