会いに行くじゃなくてもっと単純なコト
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今夜、優衣は残業中だ
後輩にでも任せれば?と言っても、少しだけ残業させてください!と聞かなかった
つい先日、沖縄旅行で2人して連休を取ったから、仕事を頑張り 巻き返したいんだろう。
真面目な子…
そんな所も好きなんだけど。
ウチの公安課のドア前に来ると何やらぶつぶつと喋る声が聞こえる…?
声は優衣だった
『できるできる、頑張れっ私』
………。
…ぶっ…!ちょ、なに言ってんの?あの子…オモシロ…
課内を覗けば小さな背中がぽつんと見える
足音を消して近づけば…
「…津軽さん?」
!!
え…なんで気づいた!?モモ以外にありえないだろ
「お疲れ様です!」
「おつかれ~ アイメイク崩しながら頑張ってるね」
「えぇ?そうですか?」
目の下を軽く撫でてみると、びくっと照れくさそうに視線をずらした
「ねえ、今なんで俺が来たの気づいたの?野生動物の勘?」
「え~と…何でしょう、…空気?…気配?あっ匂いですかね」
「そっか匂い~ モモに似てきたね」
「今の話、絶対に百瀬さんに言わないで下さいよ!?蹴りを入れられるんで」
「モモはそんな事しないって。それより終わった?自分に頑張れって言ってたけど?」
「き、聞いてたんですか…書類整理はさっき終わりましたよ、お腹が空いていて…家まで頑張ろうって意味でして」
「またお腹グーグー鳴らしてた訳ね、じゃあ俺も優衣の家で食べよう」
「はい!うちにスンドゥブの材料あります」
「すっかり俺好みの物を冷蔵庫に入れとくようになったね、感心感心」
「あ、津軽さんの冷蔵庫にある、茹でるだけのうどん入れません?」
「いいね~デスソース入れようね」
「それは津軽さんの取り皿に」
仕度の終わった優衣の謎にパンパンな鞄を持つ
「あっ 自分で…」
「って言うか 行ったり来たり大変じゃない?」
「じゃあ、うちの冷凍ご飯チンして おじや…とか」
「そーじゃなくて、一緒に住めば バタバタしなくて済むじゃん?」
「………」
少し前から そう思ってた
言い出せずに、やっと今、話の流れで優衣に提案したのだが…
真顔でじっと見てくるだけで、本気で言ってるのか?からかってるのか?考えていると分かる
「おじやも美味しいよね、やっぱデスソースが合うじゃん?」
「………帰りましょうか、あ、鞄は自分で持ちますから」
やっぱ…返事聞きたくない
話を流したのが答えなんだろう。
焦りすぎたか……はあ…
鞄を奪い返した優衣が、公安課の照明を消しドアを閉めた
ちらほらと すれ違う、警察庁職員に挨拶をし俺の車までたどり着く
言葉少なだった優衣は さっきの質問を気にしてるんだろう
車に乗り込み、空気を変える話題を振ろうと優衣の顔を見ると
「総務にはなんと!!?」
バタンと 助手席のドアを閉めた途端、優衣のドでかい声に ギョッとする
「住所が同じってなんて説明すれば!?」
かなり食いぎみで鼻息荒く顔を接近させてくる
「津軽さんの顔のファンが大勢いるのに騒ぎになるのでは!?」
「こ、怖いって~、それに顔のファンって…」
「だって!!」
「うーん…そうだね~ 例えば 優衣の部屋は物置代わりで、契約したままにして ウチで一緒に暮らすとか?」
本当は2人で暮らす部屋を探したいが、今は正直、現実的でない。
家賃は勿体無いが 優衣といる時間を少しでも欲しい。
寝顔を見るだけでもいいし 毎日、目を覚ましたら一番に見るのが優衣なら幸せだし安心する。
大事な子を近くで見守っていたい
仕事がら不規則で会えない日は必ずあるが今よりはずっと近くに感じられる
家族みたいに…もっと…生活の大事な一部に君がなってほしい
なんて…
そんな話を直接 この興奮している子に話せばいいのだが 重たいと思われるのが怖くて、さらっとしか言えない
「家賃が勿体無い気もしますが…」
やっぱ引っ掛かるか…この話は無し…かな
「津軽さんとケンカした時に逃げ場にできて部屋を残しておくのはアリですね!」
「…いいの?」
「え?もしかして、からかってました?」
「違うけどさ……」
八の字になった困り眉で 俺を見上げて不安げな瞳を向けられれば…
心の中、全部なんて話せないけど、けど言え!自分!
「…練習も必要でしょ か…ぞくになる」
「なんか、なん、…あぁ、なんて言えば…」
!!?
嫌だった??そ、そうか?
「あの、喜んでお受けします!…ありがとうございます」
はにかんだ笑顔は、いつもの素の優衣だ
喜んでくれてる??よね?
ずいぶん心拍数が上がったが…やっぱり言葉にしないと分かんないもんだなー
しみじみ思うし、言葉がスルスル出ずに恥ずかしかったが、それも この子だからでイヤ気持ちじゃない
ただ、カッコ悪いって思われてないのか
カッコ悪い、ダサいは…俺は…嫌だ
「津軽さんって…いちいち格好いいです」
「え!?そう?」
「ズルいですよ、ほんとに!すぐドキドキさせるし、言って欲しい言葉をくれるし、照れて可愛いし」
「…そっか」
良かった。この子は こういう子だった。いつだって
「私も早く津軽さんをビックリ、ドッキリさせられるように頑張りますね!」
………。
ニッコリ笑う君に他意はない。この子はこういう子だ。
「今すでにビックリ、ドッキリしてるよ?」
「えっ 本当ですか??」
笑う俺に、優衣も笑う
喜んでくれてる、と分かればホッとする
車のエンジンをかけ、浮かれる2人が向かう先は同じマンション
近い未来に、君の部屋を解約できる日を願って。
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