モテ期の憂鬱
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『人生にはモテ期が3回やってくる』
2人でレモンコーヒーを飲みながら、買ってきたファッション誌の特集を見ていた
確かにどこかで聞いたことのある言葉で…
「らしいですよ 津軽さんはー…」
「生まれた時からモテ期継続中」
涼しい顔で当たり前みたいに言うから、私が馬鹿だった…と、また雑誌に目を落とした
顔、良いからね!
……。それに生きるために女の子に取り入って生きて来たり時期もある
好きな子と付き合って心が舞い上がったり、ドキドキしたり、切なくなったり、満たされたり。
そんな経験出来てたのかな?
モテ期の出会いはきっかけに過ぎず、少しでも幸せを感じられる好きな子に出会えていたのだろうか
口振りから、あえて本気にならないようにしたようだったけど。
その頃に、私が会いたかったな
「…。金髪ヤンキーの津軽さんでも出会えてたらきっと好きになってアピールしてました…と思います」
「どうしたの、急に」
「珍味な飲み物でも、一緒に飲みませんか?って勇気を出してたと思います」
「ふぅ~ん、…俺も…きっと……。」
小声でよく聞き取れず、
「…津軽さん?」
「優衣のモテ期は?どんなだったか聞きたいな~」
「いや、人に話せるほどの事は…」
ぱっと浮かんだのは、上京して大学に通ってる時、ハジメと付き合う前…かな。
デートに誘われたり告白されたり…
親元を離れて環境が変わり、私も どこか浮かれていたのかも。結局はハジメに惹かれて大学時代はずっと付き合ってたんだよね
「な~~に 遠い目してんの」
「うぐっ!」
「フグの口の刑」
片手で両頬を潰されれば、口が前に突き出す
ぐっ…津軽さん手、大きいな…指も長いし…
少し痛いけど、変な顔で恥ずかしいけど、こんな事でも ときめいて好きだと思ってしまう
ぱっと手を離され解放された頬をさする
「私にモテ期があったかは ともかく、好きな人と両思いで付き合えるのが一番です。ねっ?」
「…まぁ~ね」
私の部屋で夕食を食べて、久しぶりに ゆっくり過ごしてたのに余計な話題を振ってしまった…
津軽さんは お付き合いの期間が長くなってきても基本ヤキモチ妬きだ
私の好きな大きいな手に触れると手を握ってくれる
好きになってもらって本当に良かった
諦めないで本当に良かった
「そうえば…津軽さんって私のどこが好きなんですか?好きになった瞬間とか…」
「突然なに?いつも言ってるじゃん」
「聞いてませんが!?私が諦めの悪いプラス思考だからかなって漠然と思ってたんですけど」
「毎日 言ってて気づかないなんて…ショック…帰ろうかな」
「えっ?あ、ごめんなさい!でも、だって…」
たまには言って欲しかったけど 私を好きでいてくれてる気持ちは毎日感じてる
だから
拗ねた顔の津軽さんの腰にガバッと抱きついた
「か、帰らないでくれます…よね?」
「…帰んないよ。バカ」
「良かった〜!じゃあ、そろそろお風呂にお湯ためるんで津軽さん、先に入ってくださいね」
ーーー―ー ー ー
サイド津軽
一緒に居られる嬉しさを隠さず、鼻歌を歌いながら 風呂場に消えていく優衣が好き
天然あざとく、上目遣いで抱きついてくる優衣が好き
俺が毎日キミを好きでいる、その気持ちを感じてくれてる優衣が好き
粘り強くて前向きな優衣が好き
自分を好きになった瞬間を知りたがる優衣が好き
俺の手が好きな優衣が好き
ヤキモチ妬いても嫌な顔せず軌道修正する優衣が好き
フグの口の顔が可愛い優衣が好き
イタズラにも ときめいてくれる優衣が好き
ヤンキーの俺でも好きになって付き合いたかったと言ってくれる優衣が好き
俺の過去を優しく見守ってくれる優衣が好き
一緒にレモンコーヒーを飲んでくれる優衣が好き
美味しい夕食を作ってくれる優衣が好き
優衣も俺の事が、好きなんだと自信を持たせてくれた優衣が好きだ
ーーーー ー ー
「もう少し待ってくださいね、お湯が溜まるまで」
「…一緒に入る?」
「え…う〜ん、恥ずかしいので またの機会に!」
「この前ホテルのシャワー、一緒に浴びたじゃん、 鏡の前でさ…」
「津軽さん!!わ、私は知りません。記憶にありません」
「………。」
「な、何ですか…」
「……もう好きじゃ無くなった?またモテ期が来たら俺と別れる気なんだ。フラれるんだ はぁ…」
「なんと極端な!別れたくないですよ。 もう…タオル巻いて良いなら入ります」
「タオル取って良いなら入るよ」
「はいっ!?」
「ホントは好きだもんね?」
「タオルは巻きますからね」
「アロマキャンドルとか無いの」
「そんなロマンチックなものありませんよ」
話を聞かないモードに入ってるこの人にかける言葉は無いのだ
でも私を好きなんだなと思えばカレシとのお風呂も………。
ーーー―ー ー ー
翌日
「おはよー」
「おはよう鳴子」
警察庁のロビーで鳴子に声をかけられ並んで歩く
「優衣って好きな人いないよね?」
「うん、まあ、どうして?唐突に…」
「実は刑事課でお世話になった方が優衣を紹介して欲しいって…」
「えぇ?本当に?なんでだろ」
裏があるとか?刑事課の方が?そう思うのは公安の悪いクセか
「あ、人間性は信頼出来るよ。だから優衣に紹介できるんじゃん。可愛くて真面目に仕事に取り組んでて気になったみたいだよ」
鳴子の紹介だし、どうしよう… でも…
「ごめん、せっかくだけど仕事を頑張りたいから、やめておきたいかな」
「ううん、それならいいよ!でも毎日イケメンに囲まれて、その現状で満たされてないか心配だよ。特にあの津軽警視が上司だもんね。いつも笑顔だし優しいよね」
「いやいや、鳴子!騙されてる!それにイケメンなんて私の仕事には何の役に立ってないよ。ニコニコしながら溜めておいた書類仕事を一気にやらせるんだよ。ニコニコ笑顔の裏に何を隠されているか…」
津軽さんの名前が出て、動揺したから冗談交じりに話をするが
「………」
「…?鳴子…」
?「ニコニコ」
「な、鳴子…後ろから…声が…」
「ニコニコ笑顔の優しい津軽さんだよ。鳴子ちゃん、先に行ってて。うちの反省会するから」
「ごめん…優衣…」
申し訳なさそうに去って行くと隣に津軽さんが来て2人で歩き出す
「一体、どこから聞いてたんですか…?」
「割りと最初から?俺、浮気された事ないから一瞬、新鮮な気持ちになったよ」
「全く浮気の前段階ですが…。すみません、悪口みたいになって」
と言うか悪口だよね…
「いーよ。怒ってないし全然。寧ろご褒美がウサのデスクに山積みだから楽しみにしていてね?」
「!……ははっ…嬉しいなぁ」
ため込まないで…私のお願いは何故か いつも聞いてくれない
でも良かった 怒ってないし。優しい彼氏なのかも。
うんうん…。
ーーー ー ー
お昼休み
腕時計の針が12時を指す。
(ふぅー、津軽さんは百瀬さんと捜査に出てるし食堂に食べに行こう)
最近は三人で食堂に行くことも多かったので少し寂しく思いながら食堂に行くと
「吉川!ここ空いてるよ、おいでよ」
「あ、有坂君久しぶりだね」
有坂君は公安学校での同級生、競争意識の強い生徒の中でも人当たりの良い人だった
しばらく他愛もない話をしていたが
「吉川は相変わらずだよな」
「それってどーゆー?」
「活躍してるしメシも大盛りだし」
「こ、これは…食堂安いからで…」
「でも、すげー綺麗になったよな」
「えっ…?あー、よく言われるの!20代後半は色気が出てくるのかな。なんちゃって」
そんな事言う人じゃない有坂君に言われると照れる。真に受けるわけにいかず、ふざけて返すと
「なぁ、吉川 近い内に二人で食事に行かないか?」
箸で摘まんだトンカツがポロっと落ちる
で、で、デートのお誘い??突然の事に頭がついていかない。深い意味なく言ってる?
あ、…有坂君は表情が少し固く耳が赤くなっていて、深い意味はない説は捨てる…
「…。ありがとう。でも私、好きながいて…その人に誤解されたくないから…」
彼氏とは言えないけど、それくらいは言っていいよね。
「…そーか…残念、でも何人かでなら、また誘っていいだろ?」
「…うん、気持ちは変わらないけど…」
「そっか、吉川ぶれないからな~」
ーーー ー ー
数日後
「おはようございます!」
公安課に入ると、東雲さんと話をしてる人物にギョッとする
「宮山くんだ…」
「ウサの後輩じゃん」
「ひっ」
「おはよ」
「おはようございます。ちょっと用事を思い出したので、科捜研に行ってきます」
「なんで?アレ昼過ぎ無いと結果出ないよ」
「あぁ~そうでした、時間あるし ちょっとお茶
淹れに給湯室に行くので腕をお離しください」
事件が起きる前に!私を後ろから抱き締める、この班長の腕を振り払おうと頑張るが
「キョドキョドしちゃって、どーしたの?ここに居ずらい理由でもある?」
「違います!」
「吉川先輩」
き、来てしまった…。
「久しぶりだね、宮山くん大阪に配属になったんだって?」
お願い!余計な事は言わないでね!私は眼力と最大限のテレパシーで訴える
なんだかんだ、常識と正義感のあるこの宮山くんを信じる
「はい、そうです…でも」
じ~と私と津軽さんを見る
一切の力を緩めない津軽さんの腕の中
銀室の人間じゃなければ、班長と その直属の部下のこんなスキンシップは怪しい…以外に無いだろう
「津軽警視、離してあげてください」
班員 ザワッ--
班長のオモチャ吉川優衣が銀室では普通。
時々、石神さんが注意をしてくれる位で宮山くんの言葉に周りに緊張が走った
なんと言いこの場を治めるか頭をフル回転させていると
「ごめん…」
力が解けた腕の中か出ると
意外にも謝り自分のデスクに行ってしまう
わ、わざとらしく…
「宮山くん、うちの班長は距離感が変な人だから気にしないで」
「そうですか。それより、俺 今日から数日はこっちに居るんで今夜、飲みに行きませんか?」
「ん~…?」
ふと横を見ると
「修羅場ですね」
嬉しそうな黒澤さんが動画をまわしていた
いつから!?
「あ、えっとlineするね、暫くは忙しいから難しいと思うけど」
「まあ、そう言わないで来てください。色々、色々積もる話もあるじゃないですか」
久しぶりに見た裏がある爽やかな顔にギクッとしながら、生返事をするしかなかった
ーーー ー ー
宮山くんが去った後、津軽さんと百瀬さんは捜査に出てしまった
昼休みもほとんど取れずアレコレ仕事をこなし、デスクで後藤さんに貰ったカロリーブロックを食べていた
頭が痛い。まさか宮山くんが現れるなんて。
公安学校時代に東雲さんの言い付けで新人指導で宮山くんとペアを組んでいた
一緒に勉強や捜査をする内に距離が縮まり、なんと宮山くんに告白をされた
あの時の私は…色々あり、宮山くんを恋愛対象に思えなくて断ったんだけど。
『人の気持ちは変わりますから。必ず』
最後に宮山くんに会った時に言われた言葉を、思い出していた
まさか今でも私を…なんて無いよね?
それにしても、津軽さん 絶対に知ってる態度だった
私と宮山くんが公安学校時代に付き合ってると噂されてた事。
一度、ちゃんと話をした方がいいのかな
一年以上も前の話。宮山くんの気持ちも変わってるかも知れないし。
決意をし宮山くんにlineを送った
ーーーー ー ー
都内の居酒屋
「久しぶりの再開なのに居酒屋じゃ雰囲気出ないんですが?」
「いや、私達にどんな雰囲気がいるの?安くて美味しいんだよ」
あえてお洒落なお店を選択せず、宮山くんを夕食に誘った。
二人きりは、本来は避けたかった。津軽さん嫌がるし、私も津軽さんを好きになってからは初めてで。
早く話をして帰らなきゃ…
ビールを一杯飲んだあと、本題に移る
「吉川先輩は、彼氏はできましたか?」
「うん、いるよ」
「朝の…?」
「違うけど…凄く大切な人なんだよね」
津軽さんを彼氏、とは言えないけど それ以外は真摯に話そうと決めて来た
「へぇ~惚気か」
グイッと残りのビールをあおって飲んだ宮山くんの横顔は、あの頃よりずっと大人の男になっていて こんな人が私を好きになってくれた頃を不思議に感じていた
「宮山くんは…?」
「…聞くか?アンタが…」
「ごめん…。アンタ呼ばわり久しぶり…」
「やっぱさー、無理やり忘れようとしたんだけど、なんか違うんだよな。本気の相手なんて…そう簡単には出来ないっつーの」
「タイミングだからね…」
「うわっ先輩づら。」
「出会えるよ。宮山くんも いつか必ず」
「……最後に口説いていい?」
「だっ、だめ!」
「…だよなー、朝の吉川先輩の顔みて、もう無理なんだって…分かったから」
「…そっか」
分かっちゃう位、顔に出てるか私は。
「それに あの後…」
「うん?」
「いや、何でもない。オススメ何?」
「よし、食べよう!ここの唐揚げおいしいよ、ビールも頼もう」
「切り替え、はやっ」
「安心したらお腹空いちゃって」
気まずさは少し残ったけど、ずっと気になってた事が終結して、ほっとした気持ちが大きかった。
私を好きになってくれた事、ありがとうね…。
心の中で呟いた
ーーーー ー ー
ううっ、ちょっと酔っ払った…飲み過ぎた
千鳥足になってしまい電車はあったが、タクシーで帰宅中
ブルっ
line?
『これから帰るよ』
『優衣はウチ?』
津軽さんからのメッセージに動揺したのは、後ろめたいことをしたから。男性と二人きりでアルコールなんて逆の立場なら嫌だ
『私も帰宅中です』
『 疲れたので早めに寝ます』
こう送れば、今夜は会うことは無いだろう
既読はついたが返信はなかった
ほどなくマンションに着き、部屋の前に向かうと
「おかえり~」
「あ、あ、こんばんは~…です」
「来ると思わなかった顔だね」
「そんな、ことは…」
ヤバい、ビールくさいよね私?
何も突っ込まないで欲しい!お願い!
「……。」
「…あの…上がります?」
「帰って欲しそうな顔してるけど?」
「一緒に居たいですよ!」
一緒に居たいに決まってる
もう正直に話した方が傷つけないのかな
ドアを開け、招き入れる
ドアが閉まると同時に抱きしめられた
「あの……」
ぎゅうっ
少し痛いくらいに抱きしめられる
私のバカっ
津軽さんの優しさに甘えてバレたとしても、私なら許してもらえる
そんな過信の結果が大切な人を不安にさせた
この人は実は繊細すぎて、実は考えするくらい考えてる人、分かってたのに
何度でも好きを伝えます。不安になったら言ってくださいと言ったのは最近の事なのに…
しばらく沈黙が流れた後、部屋に上がってもらった
「…ごめんなさい」
「再開して気持ちが揺れた?」
「まったく!一切!微塵も揺れないです!」
「本当に?」
「心配させてごめんなさい…ちゃんと決着ついて、終わりましたから。私が好きなのは津軽さんだけです」
「……はぁ、優衣のモテ期、これで終わってくれないと精神的にくる」
「?モテ期、言われてみれば。って言うか…」
「刑事課、公安学校の同期、後輩」
「!?なぜ同期まで…」
「俺の人脈甘く見ない方がいいよ」
「…恐れ入りました」
「危険分子の芽はつんだから」
「そうなんですか??」
いつの間に!な、何をしたんだろう…
「宮山にもね。俺の子だからって言っておいたから。それでも、ふたりで飲みに行くとは」
不貞腐れる態度で済ませてくれるのは、私を信じてくれてる証拠でもあり、こんな状況でも嬉しいなと思う
「本当にすみません、一年苦楽を共にした後輩でもあったので…」
「許してあげるよ。優しいカレシだからね」
「ありがとうございます」
「モテ期に浮かれた優衣さんは、どうやって傷ついた俺を癒してくれるの?」
「浮かれてはいないですが…あ、また膝枕で寝ますか?」
「千鳥足で帰って来た子にさせられないでしょ。」
「じゃあ、添い寝します。津軽さんが寝るまで、頭撫でてます」
「……悪くないかも」
「じゃあ、シャワー浴びましょう!…あ、いや一緒にじゃないですよ!?」
「誰もそんな事は言ってないけど」
ーーー ー ー
side津軽
寝るまで頭を撫でてます。なんて宣言した この子は先に眠ってしまった
変わりに俺が優衣の髪をそっと撫でていた
優衣は地味にモテる。愛想が良くて、顔も可愛いし、気が利くし。
警察庁では俺がちょっかいを出しまくってるから何とか虫除け出来ていた
もしも、今 結婚したらこんな心配しなくなるのか?
………ちょっと待て、何を考えてるんだ
取られたくないから今すぐ結婚とか…バカか
結婚…現実味はないけど おじいちゃんとおばあちゃんになるまで…か。
一生一緒に居れたらいいな…なんて夢みたいな話だけど
ぐっすり眠るプニっとした頬を撫でた
「んっ…つがっ…さ…」
君なら現実にしちゃうんだろうな
「寝込み襲うぞ…」
なーんて。朝起きたらキスしよう
優衣の はにかんだ顔、好きだから。
モテ期に翻ろうされながらも、優衣の寝顔も はにかみ顔も俺を癒すのだった
2人でレモンコーヒーを飲みながら、買ってきたファッション誌の特集を見ていた
確かにどこかで聞いたことのある言葉で…
「らしいですよ 津軽さんはー…」
「生まれた時からモテ期継続中」
涼しい顔で当たり前みたいに言うから、私が馬鹿だった…と、また雑誌に目を落とした
顔、良いからね!
……。それに生きるために女の子に取り入って生きて来たり時期もある
好きな子と付き合って心が舞い上がったり、ドキドキしたり、切なくなったり、満たされたり。
そんな経験出来てたのかな?
モテ期の出会いはきっかけに過ぎず、少しでも幸せを感じられる好きな子に出会えていたのだろうか
口振りから、あえて本気にならないようにしたようだったけど。
その頃に、私が会いたかったな
「…。金髪ヤンキーの津軽さんでも出会えてたらきっと好きになってアピールしてました…と思います」
「どうしたの、急に」
「珍味な飲み物でも、一緒に飲みませんか?って勇気を出してたと思います」
「ふぅ~ん、…俺も…きっと……。」
小声でよく聞き取れず、
「…津軽さん?」
「優衣のモテ期は?どんなだったか聞きたいな~」
「いや、人に話せるほどの事は…」
ぱっと浮かんだのは、上京して大学に通ってる時、ハジメと付き合う前…かな。
デートに誘われたり告白されたり…
親元を離れて環境が変わり、私も どこか浮かれていたのかも。結局はハジメに惹かれて大学時代はずっと付き合ってたんだよね
「な~~に 遠い目してんの」
「うぐっ!」
「フグの口の刑」
片手で両頬を潰されれば、口が前に突き出す
ぐっ…津軽さん手、大きいな…指も長いし…
少し痛いけど、変な顔で恥ずかしいけど、こんな事でも ときめいて好きだと思ってしまう
ぱっと手を離され解放された頬をさする
「私にモテ期があったかは ともかく、好きな人と両思いで付き合えるのが一番です。ねっ?」
「…まぁ~ね」
私の部屋で夕食を食べて、久しぶりに ゆっくり過ごしてたのに余計な話題を振ってしまった…
津軽さんは お付き合いの期間が長くなってきても基本ヤキモチ妬きだ
私の好きな大きいな手に触れると手を握ってくれる
好きになってもらって本当に良かった
諦めないで本当に良かった
「そうえば…津軽さんって私のどこが好きなんですか?好きになった瞬間とか…」
「突然なに?いつも言ってるじゃん」
「聞いてませんが!?私が諦めの悪いプラス思考だからかなって漠然と思ってたんですけど」
「毎日 言ってて気づかないなんて…ショック…帰ろうかな」
「えっ?あ、ごめんなさい!でも、だって…」
たまには言って欲しかったけど 私を好きでいてくれてる気持ちは毎日感じてる
だから
拗ねた顔の津軽さんの腰にガバッと抱きついた
「か、帰らないでくれます…よね?」
「…帰んないよ。バカ」
「良かった〜!じゃあ、そろそろお風呂にお湯ためるんで津軽さん、先に入ってくださいね」
ーーー―ー ー ー
サイド津軽
一緒に居られる嬉しさを隠さず、鼻歌を歌いながら 風呂場に消えていく優衣が好き
天然あざとく、上目遣いで抱きついてくる優衣が好き
俺が毎日キミを好きでいる、その気持ちを感じてくれてる優衣が好き
粘り強くて前向きな優衣が好き
自分を好きになった瞬間を知りたがる優衣が好き
俺の手が好きな優衣が好き
ヤキモチ妬いても嫌な顔せず軌道修正する優衣が好き
フグの口の顔が可愛い優衣が好き
イタズラにも ときめいてくれる優衣が好き
ヤンキーの俺でも好きになって付き合いたかったと言ってくれる優衣が好き
俺の過去を優しく見守ってくれる優衣が好き
一緒にレモンコーヒーを飲んでくれる優衣が好き
美味しい夕食を作ってくれる優衣が好き
優衣も俺の事が、好きなんだと自信を持たせてくれた優衣が好きだ
ーーーー ー ー
「もう少し待ってくださいね、お湯が溜まるまで」
「…一緒に入る?」
「え…う〜ん、恥ずかしいので またの機会に!」
「この前ホテルのシャワー、一緒に浴びたじゃん、 鏡の前でさ…」
「津軽さん!!わ、私は知りません。記憶にありません」
「………。」
「な、何ですか…」
「……もう好きじゃ無くなった?またモテ期が来たら俺と別れる気なんだ。フラれるんだ はぁ…」
「なんと極端な!別れたくないですよ。 もう…タオル巻いて良いなら入ります」
「タオル取って良いなら入るよ」
「はいっ!?」
「ホントは好きだもんね?」
「タオルは巻きますからね」
「アロマキャンドルとか無いの」
「そんなロマンチックなものありませんよ」
話を聞かないモードに入ってるこの人にかける言葉は無いのだ
でも私を好きなんだなと思えばカレシとのお風呂も………。
ーーー―ー ー ー
翌日
「おはよー」
「おはよう鳴子」
警察庁のロビーで鳴子に声をかけられ並んで歩く
「優衣って好きな人いないよね?」
「うん、まあ、どうして?唐突に…」
「実は刑事課でお世話になった方が優衣を紹介して欲しいって…」
「えぇ?本当に?なんでだろ」
裏があるとか?刑事課の方が?そう思うのは公安の悪いクセか
「あ、人間性は信頼出来るよ。だから優衣に紹介できるんじゃん。可愛くて真面目に仕事に取り組んでて気になったみたいだよ」
鳴子の紹介だし、どうしよう… でも…
「ごめん、せっかくだけど仕事を頑張りたいから、やめておきたいかな」
「ううん、それならいいよ!でも毎日イケメンに囲まれて、その現状で満たされてないか心配だよ。特にあの津軽警視が上司だもんね。いつも笑顔だし優しいよね」
「いやいや、鳴子!騙されてる!それにイケメンなんて私の仕事には何の役に立ってないよ。ニコニコしながら溜めておいた書類仕事を一気にやらせるんだよ。ニコニコ笑顔の裏に何を隠されているか…」
津軽さんの名前が出て、動揺したから冗談交じりに話をするが
「………」
「…?鳴子…」
?「ニコニコ」
「な、鳴子…後ろから…声が…」
「ニコニコ笑顔の優しい津軽さんだよ。鳴子ちゃん、先に行ってて。うちの反省会するから」
「ごめん…優衣…」
申し訳なさそうに去って行くと隣に津軽さんが来て2人で歩き出す
「一体、どこから聞いてたんですか…?」
「割りと最初から?俺、浮気された事ないから一瞬、新鮮な気持ちになったよ」
「全く浮気の前段階ですが…。すみません、悪口みたいになって」
と言うか悪口だよね…
「いーよ。怒ってないし全然。寧ろご褒美がウサのデスクに山積みだから楽しみにしていてね?」
「!……ははっ…嬉しいなぁ」
ため込まないで…私のお願いは何故か いつも聞いてくれない
でも良かった 怒ってないし。優しい彼氏なのかも。
うんうん…。
ーーー ー ー
お昼休み
腕時計の針が12時を指す。
(ふぅー、津軽さんは百瀬さんと捜査に出てるし食堂に食べに行こう)
最近は三人で食堂に行くことも多かったので少し寂しく思いながら食堂に行くと
「吉川!ここ空いてるよ、おいでよ」
「あ、有坂君久しぶりだね」
有坂君は公安学校での同級生、競争意識の強い生徒の中でも人当たりの良い人だった
しばらく他愛もない話をしていたが
「吉川は相変わらずだよな」
「それってどーゆー?」
「活躍してるしメシも大盛りだし」
「こ、これは…食堂安いからで…」
「でも、すげー綺麗になったよな」
「えっ…?あー、よく言われるの!20代後半は色気が出てくるのかな。なんちゃって」
そんな事言う人じゃない有坂君に言われると照れる。真に受けるわけにいかず、ふざけて返すと
「なぁ、吉川 近い内に二人で食事に行かないか?」
箸で摘まんだトンカツがポロっと落ちる
で、で、デートのお誘い??突然の事に頭がついていかない。深い意味なく言ってる?
あ、…有坂君は表情が少し固く耳が赤くなっていて、深い意味はない説は捨てる…
「…。ありがとう。でも私、好きながいて…その人に誤解されたくないから…」
彼氏とは言えないけど、それくらいは言っていいよね。
「…そーか…残念、でも何人かでなら、また誘っていいだろ?」
「…うん、気持ちは変わらないけど…」
「そっか、吉川ぶれないからな~」
ーーー ー ー
数日後
「おはようございます!」
公安課に入ると、東雲さんと話をしてる人物にギョッとする
「宮山くんだ…」
「ウサの後輩じゃん」
「ひっ」
「おはよ」
「おはようございます。ちょっと用事を思い出したので、科捜研に行ってきます」
「なんで?アレ昼過ぎ無いと結果出ないよ」
「あぁ~そうでした、時間あるし ちょっとお茶
淹れに給湯室に行くので腕をお離しください」
事件が起きる前に!私を後ろから抱き締める、この班長の腕を振り払おうと頑張るが
「キョドキョドしちゃって、どーしたの?ここに居ずらい理由でもある?」
「違います!」
「吉川先輩」
き、来てしまった…。
「久しぶりだね、宮山くん大阪に配属になったんだって?」
お願い!余計な事は言わないでね!私は眼力と最大限のテレパシーで訴える
なんだかんだ、常識と正義感のあるこの宮山くんを信じる
「はい、そうです…でも」
じ~と私と津軽さんを見る
一切の力を緩めない津軽さんの腕の中
銀室の人間じゃなければ、班長と その直属の部下のこんなスキンシップは怪しい…以外に無いだろう
「津軽警視、離してあげてください」
班員 ザワッ--
班長のオモチャ吉川優衣が銀室では普通。
時々、石神さんが注意をしてくれる位で宮山くんの言葉に周りに緊張が走った
なんと言いこの場を治めるか頭をフル回転させていると
「ごめん…」
力が解けた腕の中か出ると
意外にも謝り自分のデスクに行ってしまう
わ、わざとらしく…
「宮山くん、うちの班長は距離感が変な人だから気にしないで」
「そうですか。それより、俺 今日から数日はこっちに居るんで今夜、飲みに行きませんか?」
「ん~…?」
ふと横を見ると
「修羅場ですね」
嬉しそうな黒澤さんが動画をまわしていた
いつから!?
「あ、えっとlineするね、暫くは忙しいから難しいと思うけど」
「まあ、そう言わないで来てください。色々、色々積もる話もあるじゃないですか」
久しぶりに見た裏がある爽やかな顔にギクッとしながら、生返事をするしかなかった
ーーー ー ー
宮山くんが去った後、津軽さんと百瀬さんは捜査に出てしまった
昼休みもほとんど取れずアレコレ仕事をこなし、デスクで後藤さんに貰ったカロリーブロックを食べていた
頭が痛い。まさか宮山くんが現れるなんて。
公安学校時代に東雲さんの言い付けで新人指導で宮山くんとペアを組んでいた
一緒に勉強や捜査をする内に距離が縮まり、なんと宮山くんに告白をされた
あの時の私は…色々あり、宮山くんを恋愛対象に思えなくて断ったんだけど。
『人の気持ちは変わりますから。必ず』
最後に宮山くんに会った時に言われた言葉を、思い出していた
まさか今でも私を…なんて無いよね?
それにしても、津軽さん 絶対に知ってる態度だった
私と宮山くんが公安学校時代に付き合ってると噂されてた事。
一度、ちゃんと話をした方がいいのかな
一年以上も前の話。宮山くんの気持ちも変わってるかも知れないし。
決意をし宮山くんにlineを送った
ーーーー ー ー
都内の居酒屋
「久しぶりの再開なのに居酒屋じゃ雰囲気出ないんですが?」
「いや、私達にどんな雰囲気がいるの?安くて美味しいんだよ」
あえてお洒落なお店を選択せず、宮山くんを夕食に誘った。
二人きりは、本来は避けたかった。津軽さん嫌がるし、私も津軽さんを好きになってからは初めてで。
早く話をして帰らなきゃ…
ビールを一杯飲んだあと、本題に移る
「吉川先輩は、彼氏はできましたか?」
「うん、いるよ」
「朝の…?」
「違うけど…凄く大切な人なんだよね」
津軽さんを彼氏、とは言えないけど それ以外は真摯に話そうと決めて来た
「へぇ~惚気か」
グイッと残りのビールをあおって飲んだ宮山くんの横顔は、あの頃よりずっと大人の男になっていて こんな人が私を好きになってくれた頃を不思議に感じていた
「宮山くんは…?」
「…聞くか?アンタが…」
「ごめん…。アンタ呼ばわり久しぶり…」
「やっぱさー、無理やり忘れようとしたんだけど、なんか違うんだよな。本気の相手なんて…そう簡単には出来ないっつーの」
「タイミングだからね…」
「うわっ先輩づら。」
「出会えるよ。宮山くんも いつか必ず」
「……最後に口説いていい?」
「だっ、だめ!」
「…だよなー、朝の吉川先輩の顔みて、もう無理なんだって…分かったから」
「…そっか」
分かっちゃう位、顔に出てるか私は。
「それに あの後…」
「うん?」
「いや、何でもない。オススメ何?」
「よし、食べよう!ここの唐揚げおいしいよ、ビールも頼もう」
「切り替え、はやっ」
「安心したらお腹空いちゃって」
気まずさは少し残ったけど、ずっと気になってた事が終結して、ほっとした気持ちが大きかった。
私を好きになってくれた事、ありがとうね…。
心の中で呟いた
ーーーー ー ー
ううっ、ちょっと酔っ払った…飲み過ぎた
千鳥足になってしまい電車はあったが、タクシーで帰宅中
ブルっ
line?
『これから帰るよ』
『優衣はウチ?』
津軽さんからのメッセージに動揺したのは、後ろめたいことをしたから。男性と二人きりでアルコールなんて逆の立場なら嫌だ
『私も帰宅中です』
『 疲れたので早めに寝ます』
こう送れば、今夜は会うことは無いだろう
既読はついたが返信はなかった
ほどなくマンションに着き、部屋の前に向かうと
「おかえり~」
「あ、あ、こんばんは~…です」
「来ると思わなかった顔だね」
「そんな、ことは…」
ヤバい、ビールくさいよね私?
何も突っ込まないで欲しい!お願い!
「……。」
「…あの…上がります?」
「帰って欲しそうな顔してるけど?」
「一緒に居たいですよ!」
一緒に居たいに決まってる
もう正直に話した方が傷つけないのかな
ドアを開け、招き入れる
ドアが閉まると同時に抱きしめられた
「あの……」
ぎゅうっ
少し痛いくらいに抱きしめられる
私のバカっ
津軽さんの優しさに甘えてバレたとしても、私なら許してもらえる
そんな過信の結果が大切な人を不安にさせた
この人は実は繊細すぎて、実は考えするくらい考えてる人、分かってたのに
何度でも好きを伝えます。不安になったら言ってくださいと言ったのは最近の事なのに…
しばらく沈黙が流れた後、部屋に上がってもらった
「…ごめんなさい」
「再開して気持ちが揺れた?」
「まったく!一切!微塵も揺れないです!」
「本当に?」
「心配させてごめんなさい…ちゃんと決着ついて、終わりましたから。私が好きなのは津軽さんだけです」
「……はぁ、優衣のモテ期、これで終わってくれないと精神的にくる」
「?モテ期、言われてみれば。って言うか…」
「刑事課、公安学校の同期、後輩」
「!?なぜ同期まで…」
「俺の人脈甘く見ない方がいいよ」
「…恐れ入りました」
「危険分子の芽はつんだから」
「そうなんですか??」
いつの間に!な、何をしたんだろう…
「宮山にもね。俺の子だからって言っておいたから。それでも、ふたりで飲みに行くとは」
不貞腐れる態度で済ませてくれるのは、私を信じてくれてる証拠でもあり、こんな状況でも嬉しいなと思う
「本当にすみません、一年苦楽を共にした後輩でもあったので…」
「許してあげるよ。優しいカレシだからね」
「ありがとうございます」
「モテ期に浮かれた優衣さんは、どうやって傷ついた俺を癒してくれるの?」
「浮かれてはいないですが…あ、また膝枕で寝ますか?」
「千鳥足で帰って来た子にさせられないでしょ。」
「じゃあ、添い寝します。津軽さんが寝るまで、頭撫でてます」
「……悪くないかも」
「じゃあ、シャワー浴びましょう!…あ、いや一緒にじゃないですよ!?」
「誰もそんな事は言ってないけど」
ーーー ー ー
side津軽
寝るまで頭を撫でてます。なんて宣言した この子は先に眠ってしまった
変わりに俺が優衣の髪をそっと撫でていた
優衣は地味にモテる。愛想が良くて、顔も可愛いし、気が利くし。
警察庁では俺がちょっかいを出しまくってるから何とか虫除け出来ていた
もしも、今 結婚したらこんな心配しなくなるのか?
………ちょっと待て、何を考えてるんだ
取られたくないから今すぐ結婚とか…バカか
結婚…現実味はないけど おじいちゃんとおばあちゃんになるまで…か。
一生一緒に居れたらいいな…なんて夢みたいな話だけど
ぐっすり眠るプニっとした頬を撫でた
「んっ…つがっ…さ…」
君なら現実にしちゃうんだろうな
「寝込み襲うぞ…」
なーんて。朝起きたらキスしよう
優衣の はにかんだ顔、好きだから。
モテ期に翻ろうされながらも、優衣の寝顔も はにかみ顔も俺を癒すのだった
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