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了見が目を開くとそこにはどこまでも続く漆黒に覆われた無が広がっていた。ここがどこなのか、何故自分がここにいるのか何も分からない。先程まで寝室のベッドで大きく口を開け間の抜けた姿で眠りこけるゆめおの隣に入り眠っていたつもりなのに何故、と少しの間考えてから彼の脳裏に過ったのは新たな敵の存在であった。
もし本当にそうであればここからの脱出方法を考えなければいけないと思考を巡らせ始めた時不意にここから少し離れた場所で光が見えた。罠ではないかと考えながらも了見は今の状況を打開する為に敢えて進む事を選んだ。暫くすると、徐々に視界が開けて行ったかと思えば次の瞬間彼の目に映ったものは彼の恋人であるゆめおと光のイグニスの姿だった。
何故あの2人がここにいるのか、そもそも光のイグニスは消滅した筈なのにと考えていると気付けば彼はリングブレインズでのアバターの姿へと変化していた。そして、極めつけに彼の目の前には光の壁のようなものが行く手を阻んでいる。そこで彼はある事に気付いた、これはあの時の光景だと。
「君は確かリボルバーの恋人らしいね…君を完膚なきまでに叩きのめしたら彼はどんな顔をするだろうか。今から楽しみで仕方ないよ」
「俺は、別段君達に対して恨みや因縁はないけど、リボルバーさんや俺の友達を傷付けるって言うならここで倒させてもらう」
ゆめおと光のイグニスは了見の存在に気付かないままデュエルを始めるのだが、その光景に了見自身見覚えがあった。何故なら、それはかつてイグニス達との戦いの中で見せられたものだからだ。だからこそ彼はこのデュエルの結末を知っている。
「これで君の負けはきまりだ!!」
「…っ、俺の、閃刀姫…が…」
ゆめお自身けしてデュエルは弱い方ではないどころか、最初こそゆめおの方が優勢だった。しかし、この後光のイグニスがゆめおに対して猛攻を仕掛けていき、辛うじて踏み止まろうとした所をイグニスはAIとしての頭脳を駆使して徐々にイニシアチブを獲得していく。
「どうかな?愛する者の為にと言いながら、私に蹂躙されていく気分は!」
「くっ、…」
「リボルバーも本心では君の事を愛していないんじゃないか?君は道具として利用されているだけさ」
「…そ、んなことは…」
そして劣勢に陥っていくゆめおに対してライトニングは了見の事を引き合いに出し精神的な揺さぶりをかける。当然それはライトニングによる嘘なのだがゆめおはその術中にハマっていってしまい、そして最後はモンスターによるダイレクトアタックを受けたことで敗れた。
「ははははは!!リボルバー、どうやら君の王子様とはここでお別れのようだ!!!」
「ゆめお!」
ゆめおが蹂躙していく様を当然了見は黙って見ているだけではなかった。何度もゆめおに向かって言葉を投げかけるものの彼の声はライトニングによる力のせいで遮られてしまう上に光の壁によりゆめおの元へ駆け寄る事も出来ない。彼の声が届くことはなく漸く届いた頃には既にデュエルの勝敗は決していた。
「#dn=1#]!」
デュエルが終わり光の壁が消えた事を確認した後、了見は即座にゆめおの元へ駆け寄るものの目の前のゆめおはダイレクトアタックを受けたことで身体は傷だらけとなっており、呼吸も微かなもので手足の一部はダメージにより消えかかっていた。
「ゆめお!待っていろ、直ぐにバイラ達を呼ぶ!」」
「…リ、ボルバー…さ、…ん…」
「ゆめお、しっかりしろ!」
「…すみません、俺、貴方の役に立てなくて…せめて、ライトニングのデュエルのデータを取れればと思ったんですけど…やっぱり俺ダメだなあ」
「リボルバーさん、こんなな男でごめんなさい」
自分自身のアバターの維持が困難なこの時ですらゆめおの口から出るのは恋人の身を案じる言葉ばかり。それに対して言葉を返そうとした瞬間ゆめおは光の粒子となりライトニングに吸収されていった。この時の事を了見はいまも忘れていない。否忘れられるわけがない。身勝手な思想で人類に脅威をもたらすだけでなく了見にとって唯一の男を奪い去った忌まわしきイグニスの所業を。
だが、それは今となっては過ぎ去った過去の一つであると了見自身きちんと分別を付けているつもりであった。あの後ゆめおとは時間こそかかれども再会する事が出来たし、何より今はもうイグニス達はいない。彼らの消滅により今はネットワークの監視者としての責務を果たしながらも心穏やかな日々を過ごしている…筈なのに。
「…私は恐れているのか?ゆめおが私の前から居なくなることを」
そう呟きを零した直後目に入ってきたのはいつもの寝室の天井であった。そうか、あれはどうやら夢だったのかと分かり、少し安堵した了見であったがその時ある事に気付いた。それは隣で眠る筈のゆめおの姿が無いことであった。
「ゆめお?」
暗闇に向けてその名を呼びかけるも当然返事はない。一体どこに行ったというのだ。普段ならば気にも留めない筈なのにあの夢を見た後故に彼自身過敏になってしまっているのかもしれない。ゆめおがいない、その事に気付いた途端に了見は不安に駆られ始めた。まさか、あの時の様に目の前から居なくなってしまったのではないかと。否、そんな事はない筈だと必死に言い聞かせるものの了見の内に生まれた小さな不安はどんどん大きく膨らんでいく。
「ゆめお、ゆめおどこだ?」
再び呼びかけるもやはり返答はないので探しに行こうと脇のランプに明かりを灯した時、小さく扉が開く音が聞こえた。音のした方向へ視線を向けるとそこにいたのは探し求めていたゆめおの姿があった。
「うわ、びっくりした!どうしたんですか、了見さん」
「お前こそこんな時間に何をしていた」
「え、ちょっとトイレに行ってただけですよ?」
「…そうか、」
驚くゆめおに対して了見はやや語気を荒げながら何処へ行っていたのかと尋ねると、ゆめおから返ってきたのは何とも間の抜けた回答であった故に思わず溜息が出てしまったがそれと同時に安堵したのも事実である。それまで了見の心を占拠していた不安は霧散していった。
「了見さんもトイレですか?」
「違う…少し、良くない夢を見ただけだ」
ベッドの上に座る了見の元に近づいてきたゆめおの胸元に顔を埋めるとゆめおは背中に腕を回して優しく了見を抱き締めた。静かに鼓動する心音に耳を傾けながら、そういえば付き合い始めた当初はこうして抱き締めるのも恥ずかしいと妙に照れて、了見がスキンシップをする度に泡を吹いて倒れかけていたのに時の流れというものは早いなと了見は口元を少しだけ緩ませる。
「了見さん、寝ないんですか?」
「目が覚めてしまったようだからな、少ししてから寝るつもりだ」
「そうですか」
「…」
「…」
「…おい」
「いや、あの、これは生理現象なのでお許しを…」
了見がゆめおの腕の中に身を委ねていた時、ふと固い感触を感じたのでゆめおを軽く睨みつけると気まずそうな声でゆめおは自身の無罪を主張する。
「や〜、あの同人とかだとこういう時、スケベな事をして忘れさせる的な展開が多いのでもしかしてそういう事なのかなーなんて思っ、…て…へへ」
「お前というやつは…」
「すみません…」
「だが、それは悪くないな」
「へ?」
瞬間ゆめおの視界は反転し視線の先にあるのは天井と了見の姿となった。驚くゆめおを他所に了見がゆめおの唇に自身のものを合わせてきたので大人しくそれに従う。
「了見さん、いいんですか?」
「あぁ…お前が、お前自身で、私のこの忌々しい記憶を上書きしてくれ」
その言葉を合図にゆめおは自身の上に覆い被さってきた了見の身体を優しくベッドへ寝かしてから、彼の薄く開かれた唇に己の唇を合わせ口内に舌を侵入させる。上顎や舌先でなぞられ舌を絡め取られる度に了見の身体は快感に打ち震える。もっとして欲しいとゆめおの首元を腕を回すとその意図に気づいたのかゆめおは更に口付けを深くしていく。
「ぁ、…」
「そんな寂しそうな声出さないでくださいよ」
本当はもっとキスをしていたかったが流石に息苦しさには勝てずに了見がゆめおの胸元を叩くと、ゆめおの唇が離れていくのだがその時互いを繋げていた透明な糸が切れてしまったのが何となく寂しく感じた時に思いがけず声に出してしまっていたようで、それを聞いたゆめおが誂う様な言葉を発した後了見首筋に顔を埋め始めた。
「、っ!…ん、ぁ」
「悪い夢なんて忘れるぐらいエッチしましょうね」
「あ、!」
了見の首筋に舌を這わせながら時折甘噛みをしたり肌に吸い付き花びらを咲かせていく。普段は痕を付けられることを嫌がる了見だが、あの夢を見た後なのでゆめおの存在を少しでも感じたくて敢えて止めることはせずゆめおに身を委ねる。
「了見さん、今日は凄い甘えたさんですね」
「う、るさ、…っ!」
「まだキスしかしてないのに、濡れてるし了見さんの雄っぱいも早く触ってほしい〜ってこんなにしちゃって」
「ぁ、…く、ぅ…も、やめ…あ!」
了見の首元に花を咲かせる事に満足したゆめおはツンと上を向いてる胸の飾りを口に含み始めたかと思えば舌先で飴玉の様に転がし始める。その度に了見は漏れそうになる声を必死に押し殺そうとするが飾りを甘噛みされる度に意思と反して媚声が上がる。
「声、我慢しなくてもいいじゃないですか。俺しかいないんだし」
「はぁ、…んん!」
声を出せばお前は直ぐに調子に乗るだろうと窘めようとしたものの、意思とは裏腹に口から漏れ出るのは甘い吐息のみなので却ってゆめおの気を良くするだけである。片方の飾りを舌先で転がしながらもう片方は指先で引っ掻いてやると了見の身体は先程よりも大きく跳ねる。
「了見さん、そろそろ胸だけでイケるんじゃないんですか?」
「なにを言って…ふ、んぅ!」
「了見さんってば素直じゃないんですから〜」
「や、…ぁ!…っ、!〜〜!」
それまで必死に耐えていた了見だったが身体中を駆け巡る快感に抗う事が出来ず、ついに胸への愛撫だけで絶頂を迎えてしまった。荒くなる呼吸を整えようとする了見を他所にゆめおは着ていたシャツを脱ぎ終えるとサイドチェストを開け、引き出しの中からローションと避妊具を取り出す。
「了見さん、大丈夫ですか?」
「…黙れ」
「あ〜全然大丈夫そうですね、じゃあ次は此方でもっと気持ちよくなりましょ」
「っ、…ぅ、」
そう言ってゆめおは了見の入り口にローションを垂らした中指を押し当てゆっくりと侵入し始める。ゆめおとは何度も身体を合わせたものの挿入したての頃はどうしても身体が強張ってしまう。
「は、…ぁ、!ん、…ふ、」
「了見さん、指増やしますよ」
「ひ、!ぐ、ぅ、ん…あ!」
ゆめおの首に腕を回し自身の中を良いところを探る様な指の動きに合わせて身体を跳ねさせる。それと同時にもっと強い快楽を求めしてしまう己の浅ましさに嫌悪してしまいそうになるのだが、それもゆめおにキスをされてしまうと次第にどうでも良くなっていくのだから人の欲とは何とも恐ろしい。
「ゆめお、もう、いい…だから、」
了見なりの精一杯なお強請りに対してゆめおは先程用意しておいた避妊具を手に取り準備を行おうと身体を起こした時、2人の身体が離れてしまった事に対して物寂しさを覚えた了見はまだ快感により力の入らない身体を起こしてからゆめおの首元に腕を回し抱きついた。
「了見さん、もう少し待っててくださいね…って、え!?」
「ぐ、っ…!は、ぁ…!」
了見からの可愛いお強請りを受けたゆめおが何とかゴムを装着しようとしていたのだが、それが焦れったく感じた了見は自らゆめおの太腿に跨り自らの中にゆめおを受け入れ始めた。普段ならば年上らしく余裕の振る舞いを見せるが今は早くゆめおと繋がりたいという想いが先行してしまったようで。
「了見さん、俺まだゴム…っ、ちょっ!了見さん締め付けすぎですって!」
「ぁ、!あぁ、っ、は、ぁ…うるさい、いいから早く私を抱け!」
「は〜??意味わからん可愛すぎるだろ!」
「あ、!…っ、ン!」
了見の煽りを受けたゆめおは細い腰を掴み思い切り突き上げながら律動を開始する。暗がりに互いの吐息と水音が響く事など気にも留めず夢中でセックスに興じる。
「ほら、ここ。了見さん好きですよね?」
「そ、んなの知らん、!」
「了見さんの口は素直じゃないですけど、こっちは正直に教えてくれてますよ。ここが気持ちいい…って!」
「はぁ、!あ、っ!ふ、…ンンン!」
かつて、ハノイの騎士のリーダーとして多くの部下を率いりサイバース世界に対する破壊の限りを尽くした男が、今では自身よりも年下の男に抱かれ媚声をあげている等と一体誰が想像出来るだろうか。
「やば、俺そろそろイキそうです、」
「はぁ…ン…イクなら私の中にだ、せ…っ、」
「まじか!…じゃあ、お言葉に甘えて」
「っ、!〜〜〜!」
了見からのお許しを受けたゆめおはラストスパートだと言わんばかりに了見の身体を数回突き上げた後に、最奥へ向けて己の精を放つと同時に了見もまた絶頂を迎えた。射精した後、自身の身体の上に身を任せてきたゆめおの背中に腕を回すとそれに応えるようにゆめおも了見の身体を強く抱きしめ返してくる。
「そういえば、どういう夢を見たんですか?」
不意にゆめおから夢に関する疑問を投げ掛けられた了見だったが、疑問を呈されるまですっかり夢の事を忘れていた事に気付いた。それどころか先ほどまであった不安感そのものが消えている事も。
「…さぁな」
「えー、何ですかそれは」
「仮にどんな夢であっても、お前が上書きしてくれるのだろう?」
「それは勿論です」
「なら、それでいい」
了見からの曖昧な返答に対し疑問符を浮かべるゆめおの唇にキスを落とすと顔を真っ赤にさせたゆめおが、再度了見の身体をベッドに押し倒してきたので仕方ない奴だと溜息を吐きながらゆめおに身を委ねる事にした。
もし本当にそうであればここからの脱出方法を考えなければいけないと思考を巡らせ始めた時不意にここから少し離れた場所で光が見えた。罠ではないかと考えながらも了見は今の状況を打開する為に敢えて進む事を選んだ。暫くすると、徐々に視界が開けて行ったかと思えば次の瞬間彼の目に映ったものは彼の恋人であるゆめおと光のイグニスの姿だった。
何故あの2人がここにいるのか、そもそも光のイグニスは消滅した筈なのにと考えていると気付けば彼はリングブレインズでのアバターの姿へと変化していた。そして、極めつけに彼の目の前には光の壁のようなものが行く手を阻んでいる。そこで彼はある事に気付いた、これはあの時の光景だと。
「君は確かリボルバーの恋人らしいね…君を完膚なきまでに叩きのめしたら彼はどんな顔をするだろうか。今から楽しみで仕方ないよ」
「俺は、別段君達に対して恨みや因縁はないけど、リボルバーさんや俺の友達を傷付けるって言うならここで倒させてもらう」
ゆめおと光のイグニスは了見の存在に気付かないままデュエルを始めるのだが、その光景に了見自身見覚えがあった。何故なら、それはかつてイグニス達との戦いの中で見せられたものだからだ。だからこそ彼はこのデュエルの結末を知っている。
「これで君の負けはきまりだ!!」
「…っ、俺の、閃刀姫…が…」
ゆめお自身けしてデュエルは弱い方ではないどころか、最初こそゆめおの方が優勢だった。しかし、この後光のイグニスがゆめおに対して猛攻を仕掛けていき、辛うじて踏み止まろうとした所をイグニスはAIとしての頭脳を駆使して徐々にイニシアチブを獲得していく。
「どうかな?愛する者の為にと言いながら、私に蹂躙されていく気分は!」
「くっ、…」
「リボルバーも本心では君の事を愛していないんじゃないか?君は道具として利用されているだけさ」
「…そ、んなことは…」
そして劣勢に陥っていくゆめおに対してライトニングは了見の事を引き合いに出し精神的な揺さぶりをかける。当然それはライトニングによる嘘なのだがゆめおはその術中にハマっていってしまい、そして最後はモンスターによるダイレクトアタックを受けたことで敗れた。
「ははははは!!リボルバー、どうやら君の王子様とはここでお別れのようだ!!!」
「ゆめお!」
ゆめおが蹂躙していく様を当然了見は黙って見ているだけではなかった。何度もゆめおに向かって言葉を投げかけるものの彼の声はライトニングによる力のせいで遮られてしまう上に光の壁によりゆめおの元へ駆け寄る事も出来ない。彼の声が届くことはなく漸く届いた頃には既にデュエルの勝敗は決していた。
「#dn=1#]!」
デュエルが終わり光の壁が消えた事を確認した後、了見は即座にゆめおの元へ駆け寄るものの目の前のゆめおはダイレクトアタックを受けたことで身体は傷だらけとなっており、呼吸も微かなもので手足の一部はダメージにより消えかかっていた。
「ゆめお!待っていろ、直ぐにバイラ達を呼ぶ!」」
「…リ、ボルバー…さ、…ん…」
「ゆめお、しっかりしろ!」
「…すみません、俺、貴方の役に立てなくて…せめて、ライトニングのデュエルのデータを取れればと思ったんですけど…やっぱり俺ダメだなあ」
「リボルバーさん、こんなな男でごめんなさい」
自分自身のアバターの維持が困難なこの時ですらゆめおの口から出るのは恋人の身を案じる言葉ばかり。それに対して言葉を返そうとした瞬間ゆめおは光の粒子となりライトニングに吸収されていった。この時の事を了見はいまも忘れていない。否忘れられるわけがない。身勝手な思想で人類に脅威をもたらすだけでなく了見にとって唯一の男を奪い去った忌まわしきイグニスの所業を。
だが、それは今となっては過ぎ去った過去の一つであると了見自身きちんと分別を付けているつもりであった。あの後ゆめおとは時間こそかかれども再会する事が出来たし、何より今はもうイグニス達はいない。彼らの消滅により今はネットワークの監視者としての責務を果たしながらも心穏やかな日々を過ごしている…筈なのに。
「…私は恐れているのか?ゆめおが私の前から居なくなることを」
そう呟きを零した直後目に入ってきたのはいつもの寝室の天井であった。そうか、あれはどうやら夢だったのかと分かり、少し安堵した了見であったがその時ある事に気付いた。それは隣で眠る筈のゆめおの姿が無いことであった。
「ゆめお?」
暗闇に向けてその名を呼びかけるも当然返事はない。一体どこに行ったというのだ。普段ならば気にも留めない筈なのにあの夢を見た後故に彼自身過敏になってしまっているのかもしれない。ゆめおがいない、その事に気付いた途端に了見は不安に駆られ始めた。まさか、あの時の様に目の前から居なくなってしまったのではないかと。否、そんな事はない筈だと必死に言い聞かせるものの了見の内に生まれた小さな不安はどんどん大きく膨らんでいく。
「ゆめお、ゆめおどこだ?」
再び呼びかけるもやはり返答はないので探しに行こうと脇のランプに明かりを灯した時、小さく扉が開く音が聞こえた。音のした方向へ視線を向けるとそこにいたのは探し求めていたゆめおの姿があった。
「うわ、びっくりした!どうしたんですか、了見さん」
「お前こそこんな時間に何をしていた」
「え、ちょっとトイレに行ってただけですよ?」
「…そうか、」
驚くゆめおに対して了見はやや語気を荒げながら何処へ行っていたのかと尋ねると、ゆめおから返ってきたのは何とも間の抜けた回答であった故に思わず溜息が出てしまったがそれと同時に安堵したのも事実である。それまで了見の心を占拠していた不安は霧散していった。
「了見さんもトイレですか?」
「違う…少し、良くない夢を見ただけだ」
ベッドの上に座る了見の元に近づいてきたゆめおの胸元に顔を埋めるとゆめおは背中に腕を回して優しく了見を抱き締めた。静かに鼓動する心音に耳を傾けながら、そういえば付き合い始めた当初はこうして抱き締めるのも恥ずかしいと妙に照れて、了見がスキンシップをする度に泡を吹いて倒れかけていたのに時の流れというものは早いなと了見は口元を少しだけ緩ませる。
「了見さん、寝ないんですか?」
「目が覚めてしまったようだからな、少ししてから寝るつもりだ」
「そうですか」
「…」
「…」
「…おい」
「いや、あの、これは生理現象なのでお許しを…」
了見がゆめおの腕の中に身を委ねていた時、ふと固い感触を感じたのでゆめおを軽く睨みつけると気まずそうな声でゆめおは自身の無罪を主張する。
「や〜、あの同人とかだとこういう時、スケベな事をして忘れさせる的な展開が多いのでもしかしてそういう事なのかなーなんて思っ、…て…へへ」
「お前というやつは…」
「すみません…」
「だが、それは悪くないな」
「へ?」
瞬間ゆめおの視界は反転し視線の先にあるのは天井と了見の姿となった。驚くゆめおを他所に了見がゆめおの唇に自身のものを合わせてきたので大人しくそれに従う。
「了見さん、いいんですか?」
「あぁ…お前が、お前自身で、私のこの忌々しい記憶を上書きしてくれ」
その言葉を合図にゆめおは自身の上に覆い被さってきた了見の身体を優しくベッドへ寝かしてから、彼の薄く開かれた唇に己の唇を合わせ口内に舌を侵入させる。上顎や舌先でなぞられ舌を絡め取られる度に了見の身体は快感に打ち震える。もっとして欲しいとゆめおの首元を腕を回すとその意図に気づいたのかゆめおは更に口付けを深くしていく。
「ぁ、…」
「そんな寂しそうな声出さないでくださいよ」
本当はもっとキスをしていたかったが流石に息苦しさには勝てずに了見がゆめおの胸元を叩くと、ゆめおの唇が離れていくのだがその時互いを繋げていた透明な糸が切れてしまったのが何となく寂しく感じた時に思いがけず声に出してしまっていたようで、それを聞いたゆめおが誂う様な言葉を発した後了見首筋に顔を埋め始めた。
「、っ!…ん、ぁ」
「悪い夢なんて忘れるぐらいエッチしましょうね」
「あ、!」
了見の首筋に舌を這わせながら時折甘噛みをしたり肌に吸い付き花びらを咲かせていく。普段は痕を付けられることを嫌がる了見だが、あの夢を見た後なのでゆめおの存在を少しでも感じたくて敢えて止めることはせずゆめおに身を委ねる。
「了見さん、今日は凄い甘えたさんですね」
「う、るさ、…っ!」
「まだキスしかしてないのに、濡れてるし了見さんの雄っぱいも早く触ってほしい〜ってこんなにしちゃって」
「ぁ、…く、ぅ…も、やめ…あ!」
了見の首元に花を咲かせる事に満足したゆめおはツンと上を向いてる胸の飾りを口に含み始めたかと思えば舌先で飴玉の様に転がし始める。その度に了見は漏れそうになる声を必死に押し殺そうとするが飾りを甘噛みされる度に意思と反して媚声が上がる。
「声、我慢しなくてもいいじゃないですか。俺しかいないんだし」
「はぁ、…んん!」
声を出せばお前は直ぐに調子に乗るだろうと窘めようとしたものの、意思とは裏腹に口から漏れ出るのは甘い吐息のみなので却ってゆめおの気を良くするだけである。片方の飾りを舌先で転がしながらもう片方は指先で引っ掻いてやると了見の身体は先程よりも大きく跳ねる。
「了見さん、そろそろ胸だけでイケるんじゃないんですか?」
「なにを言って…ふ、んぅ!」
「了見さんってば素直じゃないんですから〜」
「や、…ぁ!…っ、!〜〜!」
それまで必死に耐えていた了見だったが身体中を駆け巡る快感に抗う事が出来ず、ついに胸への愛撫だけで絶頂を迎えてしまった。荒くなる呼吸を整えようとする了見を他所にゆめおは着ていたシャツを脱ぎ終えるとサイドチェストを開け、引き出しの中からローションと避妊具を取り出す。
「了見さん、大丈夫ですか?」
「…黙れ」
「あ〜全然大丈夫そうですね、じゃあ次は此方でもっと気持ちよくなりましょ」
「っ、…ぅ、」
そう言ってゆめおは了見の入り口にローションを垂らした中指を押し当てゆっくりと侵入し始める。ゆめおとは何度も身体を合わせたものの挿入したての頃はどうしても身体が強張ってしまう。
「は、…ぁ、!ん、…ふ、」
「了見さん、指増やしますよ」
「ひ、!ぐ、ぅ、ん…あ!」
ゆめおの首に腕を回し自身の中を良いところを探る様な指の動きに合わせて身体を跳ねさせる。それと同時にもっと強い快楽を求めしてしまう己の浅ましさに嫌悪してしまいそうになるのだが、それもゆめおにキスをされてしまうと次第にどうでも良くなっていくのだから人の欲とは何とも恐ろしい。
「ゆめお、もう、いい…だから、」
了見なりの精一杯なお強請りに対してゆめおは先程用意しておいた避妊具を手に取り準備を行おうと身体を起こした時、2人の身体が離れてしまった事に対して物寂しさを覚えた了見はまだ快感により力の入らない身体を起こしてからゆめおの首元に腕を回し抱きついた。
「了見さん、もう少し待っててくださいね…って、え!?」
「ぐ、っ…!は、ぁ…!」
了見からの可愛いお強請りを受けたゆめおが何とかゴムを装着しようとしていたのだが、それが焦れったく感じた了見は自らゆめおの太腿に跨り自らの中にゆめおを受け入れ始めた。普段ならば年上らしく余裕の振る舞いを見せるが今は早くゆめおと繋がりたいという想いが先行してしまったようで。
「了見さん、俺まだゴム…っ、ちょっ!了見さん締め付けすぎですって!」
「ぁ、!あぁ、っ、は、ぁ…うるさい、いいから早く私を抱け!」
「は〜??意味わからん可愛すぎるだろ!」
「あ、!…っ、ン!」
了見の煽りを受けたゆめおは細い腰を掴み思い切り突き上げながら律動を開始する。暗がりに互いの吐息と水音が響く事など気にも留めず夢中でセックスに興じる。
「ほら、ここ。了見さん好きですよね?」
「そ、んなの知らん、!」
「了見さんの口は素直じゃないですけど、こっちは正直に教えてくれてますよ。ここが気持ちいい…って!」
「はぁ、!あ、っ!ふ、…ンンン!」
かつて、ハノイの騎士のリーダーとして多くの部下を率いりサイバース世界に対する破壊の限りを尽くした男が、今では自身よりも年下の男に抱かれ媚声をあげている等と一体誰が想像出来るだろうか。
「やば、俺そろそろイキそうです、」
「はぁ…ン…イクなら私の中にだ、せ…っ、」
「まじか!…じゃあ、お言葉に甘えて」
「っ、!〜〜〜!」
了見からのお許しを受けたゆめおはラストスパートだと言わんばかりに了見の身体を数回突き上げた後に、最奥へ向けて己の精を放つと同時に了見もまた絶頂を迎えた。射精した後、自身の身体の上に身を任せてきたゆめおの背中に腕を回すとそれに応えるようにゆめおも了見の身体を強く抱きしめ返してくる。
「そういえば、どういう夢を見たんですか?」
不意にゆめおから夢に関する疑問を投げ掛けられた了見だったが、疑問を呈されるまですっかり夢の事を忘れていた事に気付いた。それどころか先ほどまであった不安感そのものが消えている事も。
「…さぁな」
「えー、何ですかそれは」
「仮にどんな夢であっても、お前が上書きしてくれるのだろう?」
「それは勿論です」
「なら、それでいい」
了見からの曖昧な返答に対し疑問符を浮かべるゆめおの唇にキスを落とすと顔を真っ赤にさせたゆめおが、再度了見の身体をベッドに押し倒してきたので仕方ない奴だと溜息を吐きながらゆめおに身を委ねる事にした。
