ゴーラッシュ!!(フェイザーのみ)
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俺は昔から年上の人ばかり好きになっていた。初恋は小学校生の頃の同じ登校班の班長の女の子。同級生と比べて落ち着きがあって優しくて周囲に気配りができ手足が長く顔も整っている正に美少女と呼べる存在であった。学校のマドンナとして男女共に人気だった彼女は不思議といつも俺の事を気に掛けてくれていた。
子どもながらにもしかして俺に気があるのではなんて考えていたが、少しして彼女は中学1年生の幼馴染と付き合ってると知り俺の初恋はあっけなく終わりを迎えた。ちなみに、これは後から聞いた話なのだが俺を気に掛けてくれたのは飼っている犬に似ているからという理由だったらしい。
その後も中学高校と進級してもやっぱり好きになるのは先輩が多かった。同じ部活の先輩、バイト先の先輩と。いつか、自分もお付き合いするのならば年上の落ち着いた雰囲気の美人がいいとぼんやり考えていたら気付けば俺は青年と呼ばれる年齢を迎えていた。このまま彼女がいないまま人生を終えてしまうのではという焦りが見え始めた俺の前に1人の青年が現れた。
「ゆめお、君のことが好きだ。私と付き合ってほしい」
相手は、何と俺が所属するMIKの総帥の竜宮フェイザー様であった。俺とフェイザー様は業務上関わりがあるだけでプライベート的な付き合いは何も無い。会話だって仕事の事でしか話したことがないしその回数だって片手で数えられるレベルだ。困惑しながらも何の冗談かと問えば「私は本気だ」と一言返ってきた。普段関わりのない上司というか組織のトップから話があるから執務室に来るようにと呼出されたので、てっきり宇宙の僻地への異動か最悪クビを宣告されるのではと身構えていた分呆気に取られてしまった。
「え、話ってこれ?」
「そうだが?」
「まじか…」
突然上司に呼び出されたかと思ったら告白された。そんな漫画やラノベみたいなことが起きるなんて夢にも思わなかった。しかも相手はお金持ちの御曹司で、宇宙ドラゴンの血を引くハーフで、デュエルの実力も申し分ない美青年。
「あの、…まぁ気持ちは嬉しいんですけど…」
「…駄目なのか?」
「…流石に宇宙小学6年生とは…年齢差があるし」
「…」
正直、男ではあるが総帥の見た目はめちゃくちゃ好みである。初恋のあの子の様に手足が長く身長も高く顔立ちも怖いぐらいに整っている。正に「美青年」という呼び名に相応しい。しかし、この人は宇宙小学6年生である。なんだよその見た目で宇宙小学6年生って。明らかに無理があるだろ。そりゃあ宇宙人の年齢と人間の年齢は単位が違うのかもしれないけどさ。年上好きとしては年下は…だし、そもそも20代半ばである俺とでは年の差がありすぎる。俺がお巡りさんに逮捕されてしまう。
「確かに私は宇宙小学6年生ではあるが、それは地球人のものとは異なる」
「いや、でもまだ未成年ですよね?」
「…それ、は…そうだが」
「気持ちはめちゃくちゃ嬉しいんですけど…すみません」
「…っ、ゆめお!」
総帥は何も言わず俯いてしまった。どうしよう上司を振ってしまった。気まずいなんてもんじゃないので俺は逃げるように執務室を出ようとした時、泣きそうな声でフェイザー様が俺の名前を呼ぶから思わず足を止めてしまった時背中に衝撃を感じた。振り返ると総帥が俺の背中に縋り付くように抱きついてきた。どうしようかと考えた時、微かに総帥の身体が震えていることに気付く。
「総、帥…?あの、」
「…君が年上の女性を好きなのは知っている。それに私は男だ…それでも君が好きなんだ」
「総帥…」
「ゆめお、私では駄目か…?」
俺のことを想って涙を流してくれる姿を見て自分の好みがどうとか言える筈もなく…俺は騒がしい自分の心を必死に落ち着かせながら総帥の身体を強く抱きしめてしまった…案外年下というのも悪くないかもしれない。