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日本有数の大企業である海馬コーポレーションの若き社長の海馬瀬人には、同性の恋人がいる。名をゆめおといい、多少顔が良い事と優しさしか取り柄のない一般人である。一応デュエリストではあるが大した強さではない。
2人が出会ったのは、まだ瀬人と木馬が養護施設にいる頃だ。当時、まだ大学生であったゆめおが授業の一環で施設のボランティアにゆめおが参加したのだが、その施設こそ海馬兄弟がいる施設であった。元々子ども好きでお人好しな性格のゆめおは、直ぐに子ども達の人気者になった。そして、その善性故にゆめおは瀬人からも好かれるようになった。
最初のきっかけはゆめおからだった。他の子ども達と距離を置く兄弟の事が何となく気になり、二人に話しかけた。最初こそ警戒心むき出しであった兄弟も、次第にゆめおに対して少しずつ懐いていった。そんな中、瀬人はゆめおに対して恋心を抱き始めた。ずっとゆめおといたい、他の奴らなんて見ないでほしい、と。しかし、ただのボランティアで来ていたゆめおと瀬人がいられる時間は僅か2週間程しかない。瀬人がゆめおへの想いを自覚したのは、ボランティアが終わる数日前の事であった。
瀬人は悩んだ末に最終日に、ゆめおに自身の想いを告げた。
それに対してゆめおは「大人になってもまだ好きでいてくれたのなら、改めて返事をする」とやや曖昧な返答をした。ゆめおの発言を、「チャンスを貰えたのだ」と解釈した瀬人は、その言葉を支えにその後の海馬家での辛く厳しい時間を耐え凌いだ。
それから、数年の月日が流れ2人は再会を果たし、紆余曲折を経て,
めでたく結ばれたのだが、ここである問題が生まれた。それは、長年ゆめおへの想いを募らせていた反動で瀬人の独占欲が強くなっていることだ。どれぐらい強いかというと、ゆめおが通りすがりの女性の事を無意識に少し見ただけで烈火の如く怒る程だ。その上、一度機嫌を損ねるとそう簡単に彼の機嫌は治らない。そして、今日ゆめおは付き合い始めてから何度目か分からない瀬人の怒りを買ってしまった。
**********
「瀬人ー…」
「うるさい、少し黙っていろ」
海馬コーポレーションの社長室にて、大きな背もたれの社長椅子の上にゆめおは座らせられているのだが、彼の膝の上に、瀬人は座りかれこれ1時間程この体勢で書類に目を通している。
「流石に足が痺れてきたんだけど」
「ふん、軟弱者が」
身長186cmの男を膝の上に座らせて根を上げない人間なんていないだろう、とゆめおは内心突っ込んだが、それを言葉にするとまた瀬人の怒りを買いかねないので大人しく自身の胸の内に秘めることにした。
「まだ機嫌直してくれないの?」
「これしきのことで、この俺が許すと思ったのか?」
「いや、でもアレは仕方ない事だし…」
「黙れ!ゆめお如き、この俺に楯突く等許さんぞ!」
なんという横暴さ、ゆめおは口元を引き攣らせることしか出来なかった。そんなゆめおを他所に瀬人は何食わぬ顔で、目線を再度手元の書類に落とした。事の発端は、数時間前のこと。ゆめおが仕事の合間に喫煙室に行こうとした時、廊下ですれ違った女性社員が目の前で転倒し、そのまま手にしていた荷物をばら撒いた。それを見たゆめおは、100%親切心から彼女を手伝ったのだが、それが瀬人の怒りを買ってしまった(ゆめおの行動は監視カメラで全て筒抜け)
ゆめおが良いことをしたと少し誇らしげな気持ちで社長室に戻ると、そこにはオベリスクの巨神兵も裸足で逃げるぐらい恐ろしい形相の瀬人がゆめおを待ち構えていた。ゆめおは、誠心誠意土下座をしながら、如何に自分が瀬人を愛しているかについて演説することで、何とか神の怒りを鎮める事は出来たのだが、罰として1日瀬人の側にいるように命じられた。
ゆめおの仕事は瀬人のSPとしての側面が強いので、近くにいること自体は問題ないのだが、社長室を訪れる他の社員の前でこの姿を晒さなければいけないので、来訪者にこの姿を見られる羞恥心に耐える必要がある。何故か瀬人自身は全く意に介してしないようだが。
「ゆめお、何を考えている」
「…瀬人の事だよ」
瀬人に声をかけられたので、ゆめおは、瀬人の栗毛色の髪を撫でながら、ほんの少しの皮肉も込めて瀬人の事を考えていたと伝えると、一瞬目を大きく見開いた後に、瀬人は目元を細めた。
「ふふ…はは、ははは!そうか、お前は俺のことを考えていたのか!それは、結構なことだ」
ゆめおの膝の上で、満足気にお得意の高笑いを浮かべた後に瀬人は、ゆめおのネクタイを徐に引っ張り自身の唇を重ねてからこう告げた。
「ならば、お前は、この先未来永劫俺の事だけを考えていろ、余所見する事など許さないぞ」