落乱の男主攻め
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その日、タソガレドキ城内は不穏な空気に包まれていた。タソガレドキ城次期跡継ぎゆめおは広間にて数人の女中とくの一達を前に眉間に皺を寄せて大層複雑そうな表情を浮かべている。そんな彼の手には1冊の本があった。
「お前達、これはなんだ…?」
「…はっ、そちらは私めらが描いた写し絵の本でございます」
「まぁ、それは見れば分かるがこの絵の人物が私と昆奈門、そして尊奈門、高坂の様に見えるのだがこれは俺達を描いたもので相違ないか?」
「…はい、相違ございません」
「まじかよ」
ゆめおが手にしている本は一部の女中やくの一達が制作したものなのだが、その本の題名が「若様総攻めよろず本」というものであり中身はゆめおがタソガレドキの忍軍の者と恋愛をするという内容のいわば同人誌であるのだ。妻である昆奈門が相手の話から始まり尊奈門、高坂、架空のタソガレドキ城勤めの忍や女中との可愛らしい絡みからガッツリ閨でのやり取り等が描かかれている。
何故そんなものをゆめおが手にしているかと言うと、最近城内の女性達が怪しげな書物を人知れず手渡ししている様子が目撃されるようになったという報告を組頭でありゆめおの妻の昆奈門から報告を受けたことがきっかけであった。もしや敵国の間者と繋がっているではないかと疑ったゆめおは昆奈門にその書物を手に入れるように命じたのだが、手にしたそれを見た時驚きのあまり後ろにひっくり返ってしまうぐ、らいその内容があまりにも現実離れした内容であるが故に書物に製作者として名のあった者達を呼び出し事の経緯を確認することにしたのだ。
「これは何の目的があって制作したのだ?敵国へ忍軍の構成員の情報を漏らす為か?」
「いいえ、断じて違います。その書物を作った理由は我々にとっての癒しを得る為でございます」
「い、癒し?何故俺と皆との空想話が癒しになるのだ」
「はい、若様と皆様の空想上の恋にまつわる話について己の心赴くままに筆を走らせる事こそ、日々忍務や仕事に追われ乾いた私達の心を潤す手段にございます」
「…なら、それは俺達でなくてもいいだろう」
「美丈夫を前にしたら女子は心を奪われ、筆を執るものでございます」
「…如何されますか、若様」
山本からの言葉にゆめおはこの者達に対してどういった沙汰を下すか頭を抱えた。城内の風紀が乱れる事を理由に禁じる事は可能だが、それが彼女達の働きの励みになっていると知りながら禁じてしまえば反感を買うことは間違いない。現に彼女達の最近の働きっぷりには目を見張るものがあった。部下を含め民からの信頼を得られなければ安定した国の舵取り等不可能である事を知っているが為にどうしたものかと眉間に皺を寄せていた時1人の男が声を上げた。
「ねぇ、ここの頁の若様の写し絵を描いたのは誰?この若様本物に負けないぐらい男前だね」
声をした方に視線を送ると、そこには畳の上に足を揃えて座りながら彼女達が描いた書物を読む雑渡の姿があったのでゆめおはお決まりの効果音と共に後ろへひっくり返った。
「おい!お前何をしているんだ!」
「何って、この本を読んでみようかと思って。私以外の人間から若様はどの様に映っているのか気になりますし」
「はぁ?」
そう言って昆奈門は彼女達の描いた本のページを捲りはじめた。静かにページに目を通しながら時折感心するような声をあげるその姿にゆめおは溜息を吐き、女性達は顔を青褪めながら身を縮こませていた。
「尊奈門とは幼馴染設定、陣左とは私を巡っての好敵手設定、女中やくノ一は読み手の女の子が自己投影出来る様に想定して書いてるのかな?」
「は、はい……」
「結構内容は読み応えがあるね、けどもう少し手を加えるとより良くなるかもね。私でよければ若様の事教えてあげれるよ、例えば2人きりの若様とか閨事についてとか「余計な事を吹き込むな!!」…うーん、残念」
「…お前、何も思わないのか?仮にも俺が書物の中とはいえ他の男や女と仲睦まじく描かれていて」
ゆめおはジトリと雑渡を睨みつけると、当の本人は唯一見えている片方の目を丸くさせた後ゆっくりと弧を描いた。
「だって、ゆめお様のお嫁さんは私ですからね」
雑渡のその言葉を聞いた女子達は「これが正妻の余裕…っ!」「やっぱ若雑しか勝たん」と口々に黄色い声を上げるので、ゆめおはその日一番の溜息を吐いた後に女子達に対して書物作りを禁じない代わりに公の目に触れる事は避ける事を命じた。
「お前達、これはなんだ…?」
「…はっ、そちらは私めらが描いた写し絵の本でございます」
「まぁ、それは見れば分かるがこの絵の人物が私と昆奈門、そして尊奈門、高坂の様に見えるのだがこれは俺達を描いたもので相違ないか?」
「…はい、相違ございません」
「まじかよ」
ゆめおが手にしている本は一部の女中やくの一達が制作したものなのだが、その本の題名が「若様総攻めよろず本」というものであり中身はゆめおがタソガレドキの忍軍の者と恋愛をするという内容のいわば同人誌であるのだ。妻である昆奈門が相手の話から始まり尊奈門、高坂、架空のタソガレドキ城勤めの忍や女中との可愛らしい絡みからガッツリ閨でのやり取り等が描かかれている。
何故そんなものをゆめおが手にしているかと言うと、最近城内の女性達が怪しげな書物を人知れず手渡ししている様子が目撃されるようになったという報告を組頭でありゆめおの妻の昆奈門から報告を受けたことがきっかけであった。もしや敵国の間者と繋がっているではないかと疑ったゆめおは昆奈門にその書物を手に入れるように命じたのだが、手にしたそれを見た時驚きのあまり後ろにひっくり返ってしまうぐ、らいその内容があまりにも現実離れした内容であるが故に書物に製作者として名のあった者達を呼び出し事の経緯を確認することにしたのだ。
「これは何の目的があって制作したのだ?敵国へ忍軍の構成員の情報を漏らす為か?」
「いいえ、断じて違います。その書物を作った理由は我々にとっての癒しを得る為でございます」
「い、癒し?何故俺と皆との空想話が癒しになるのだ」
「はい、若様と皆様の空想上の恋にまつわる話について己の心赴くままに筆を走らせる事こそ、日々忍務や仕事に追われ乾いた私達の心を潤す手段にございます」
「…なら、それは俺達でなくてもいいだろう」
「美丈夫を前にしたら女子は心を奪われ、筆を執るものでございます」
「…如何されますか、若様」
山本からの言葉にゆめおはこの者達に対してどういった沙汰を下すか頭を抱えた。城内の風紀が乱れる事を理由に禁じる事は可能だが、それが彼女達の働きの励みになっていると知りながら禁じてしまえば反感を買うことは間違いない。現に彼女達の最近の働きっぷりには目を見張るものがあった。部下を含め民からの信頼を得られなければ安定した国の舵取り等不可能である事を知っているが為にどうしたものかと眉間に皺を寄せていた時1人の男が声を上げた。
「ねぇ、ここの頁の若様の写し絵を描いたのは誰?この若様本物に負けないぐらい男前だね」
声をした方に視線を送ると、そこには畳の上に足を揃えて座りながら彼女達が描いた書物を読む雑渡の姿があったのでゆめおはお決まりの効果音と共に後ろへひっくり返った。
「おい!お前何をしているんだ!」
「何って、この本を読んでみようかと思って。私以外の人間から若様はどの様に映っているのか気になりますし」
「はぁ?」
そう言って昆奈門は彼女達の描いた本のページを捲りはじめた。静かにページに目を通しながら時折感心するような声をあげるその姿にゆめおは溜息を吐き、女性達は顔を青褪めながら身を縮こませていた。
「尊奈門とは幼馴染設定、陣左とは私を巡っての好敵手設定、女中やくノ一は読み手の女の子が自己投影出来る様に想定して書いてるのかな?」
「は、はい……」
「結構内容は読み応えがあるね、けどもう少し手を加えるとより良くなるかもね。私でよければ若様の事教えてあげれるよ、例えば2人きりの若様とか閨事についてとか「余計な事を吹き込むな!!」…うーん、残念」
「…お前、何も思わないのか?仮にも俺が書物の中とはいえ他の男や女と仲睦まじく描かれていて」
ゆめおはジトリと雑渡を睨みつけると、当の本人は唯一見えている片方の目を丸くさせた後ゆっくりと弧を描いた。
「だって、ゆめお様のお嫁さんは私ですからね」
雑渡のその言葉を聞いた女子達は「これが正妻の余裕…っ!」「やっぱ若雑しか勝たん」と口々に黄色い声を上げるので、ゆめおはその日一番の溜息を吐いた後に女子達に対して書物作りを禁じない代わりに公の目に触れる事は避ける事を命じた。