落乱の男主攻め
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
俺は自分で言うのも何だが今まで適当な人生を送ってきた男だ。火器製品の製造及び売買を生業とする家の次男坊に生まれ余計なしがらみがない中ですくすくと成長していった。ある程度年数が経った頃家業は兄貴が継ぐ事になり、さて自分はどうするかと考えた時これと言ってやる事もないからという消極的な理由で親戚のツテを使い忍術学園に入学させてもらい気付けば6年間忍たまとしてこの学園で青春の日々を過ごしていた。優秀な先輩、同級生や後輩に囲まれていたので正直何度も退学をしようとした事があるが、その度に同じは組の伊作や食満に励ましてもらいながらどうにかここまで来れたのだが、ついに俺は人生最大の壁にぶち当たってしまった。それは卒業後の進路についてだ。
「ゆめお、お前は卒業後どうするつもりだ?」
ある日、俺の隣で団子を頬張りながら禁断の質問を投げかけてきたのはタソガレドキ忍軍の忍であり俺の年上の恋人である諸泉尊奈門さんだ。この人とは土井先生との決闘の場に運悪く俺が出くわしてしまった事がきっかけで出会った。いや〜今でも鮮明に思い出せる。ある時ぼんやりと食堂に向かって歩いていたら、土井先生が投擲した三角定規でふっ飛ばされた尊奈門さんの下敷きにされて気絶し、目を覚ますとそこには申し訳なさそうにこちらを覗き込む尊奈門さんとタソガレドキの面々の顔が視界いっぱいに広がっていたのだから。まぁ、それからなんやかんやあって尊奈門さんと交際する事になったというのはまた別の時に話すとして…何だっけ。あぁ、進路の話か。
「ん〜、そうっすね。まだ決めてないです」
「はぁ!?お前、もう少しで卒業だろう?」
「そうなんすけどね〜、何か良いところが見つからなくて」
尊奈門さんからの呆れが込められた視線が痛いが仕方ないだろう。何故なら俺が進路を考える上で俺が重視しているのは「俺でも務まる業務レベル」である事と「尊奈門さんとの関係を続ける上で支障が出ない職場」という事だからだ。
忍術学園の卒業生の大半はプロの忍になることが殆ど故に最初は俺もどこかしらの城勤めの忍になろうかと求人票を眺めていたが、この乱世にて直接敵対関係にある城でなくてもいつ尊奈門さんがいるタソガレドキといつ敵対関係になるか分からない事に気づいた。万が一そんな事になったら俺は尊奈門さんを手にかけなくてはいけない。まぁ実力差的に俺が尊奈門さんに殺される側なんだろうが…優しい尊奈門さんにそんな事をさせたくない。そもそも俺は「は組」の生徒である為プロの忍になっても直ぐに死ぬのがオチである事に気付いたので就職先からプロの忍という選択肢は消えた。次に考えたのは忍術学園の事務員であるが、こちらは既に手が足りているとのことで選択肢から消えた。そして最後に残ったのは
「まぁ、実家に帰って家業を手伝いますかね」
そう、家業の手伝いだ。これなら尊奈門さんと敵対関係になんてなる事はまずないし、忍務でヘマをして死ぬなんてこともない。一応、6年間忍としての訓練を受けてきたのだから使い勝手が良いと実家も受け入れてくれるだろう。跡取りではなくあくまで手伝いである点を気にする奴もいるだろうがこれも立派な職業だ。うん間違いない、俺の自尊心なんて尊奈門さんと比べれば安いもんだ。安すぎてお釣りが出るぐらいだ。
「…お前は、忍たまだろう。プロの忍になるのではないか」
「考えましたけど、俺には無理ですよ。直ぐに死ぬのがオチです」
「ならば私が訓練をつけてやる、どうだ?」
「有り難いですけど、尊奈門さんのお手を煩わせる訳にはいきませんよ」
湯呑みを手にして茶を啜りながら、のらりくらりと尊奈門さんからの質問に対して答えていたら突然俺の胸元を掴み上げてきた。何事かと思っていると尊奈門さんの玉のように丸い目が俺を見上げてきた。
「お前は、タソガレドキに来てくれないのか!?」
いやいやいやいや、尊奈門さんあんたって人は何を言うんですか。俺がタソガレドキ忍軍?冗談もよしこさんですよ、それは。タソガレドキなんてあんな精鋭ばかりの集団に入れる訳が無いし奇跡が起きて入れたとしても次の日には殺されるのがオチだろう。
「尊奈門さんには悪いですが、俺なんかが入れる訳ないですよ」
「…そ、う…か」
「尊奈門さん?」
「…すまん、今日は用事を思い出した」
俺の答えを聞いた尊奈門さんは俺の着物から手を離したかと思えば暫く俯いた後に用事があると一言残して足早に帰ってしまった。あー、やばい尊奈門さんを本気で呆れさせてしまったか?尊奈門さんは若手とは言えあの精鋭だらけのタソガレドキ忍軍に所属出来るだけの実力者だからこそ多分俺の適当な回答に呆れたに違いない。
だけどよ、こればかりは仕方なくないか?人間生まれ持っての才能というものがあるし、こればかりは努力だけでどうにか出来るものではない。だから、プロの忍になれなくても俺なりに考えたつもりだった。肩を並べて戦えないのなら、せめてあの人にとって一息つける場所であり続けようとしたつもりなんだけどな。
「…どうすりゃいいんですか、尊奈門さん」
尊奈門さんが残していった湯呑みと皿を片付けながら吐かれた俺の独り言は他の客や道行く人達の喧騒によりかき消された。
*******************************
「やぁ、曲者だよ」
「…雑渡さん、突然屋根裏から現れるのは止めてもらえませんか。そもそも貴方程の方が何の御用でしょうか」
尊奈門さんとの逢瀬から暫くが経ったが、あれから尊奈門さんから何の音沙汰もない。普段なら忍務で余程忙しくない限りは矢文が届いたり土井先生に決闘を申し込みにきたついでに俺の所へ来たり、夜忍務前に顔を覗かせに来るものだがそれが一切ない。最初こそ忍務で忙しいのだろうと考えていたが日が経つ毎に俺の中に焦りが生まれた。これはまさか自然消滅を狙っているのではないか、と。それはいけないと自室で尊奈門さんに対して手紙を書こうと紙を広げたのはいいが、何と書けばいいのかと悩んでいた時突然天上の屋根裏からタソガレドキ忍組頭の雑渡昆奈門様が現れた。
「うちの尊奈門から聞いたよ、君プロの忍にはならないんだって?」
「そうですが…」
藪から棒に何だろうか…あ、この流れはまさか。プロの忍にならない様な甘い男と尊奈門の交際は認められないから別れろと言われるやつか?尊奈門さんは雑渡様を始めとした忍軍の皆様に可愛がられていると聞くし…これ絶対そうだろ。
「てっきり君はうちに来るものだと思ってたんだけど」
「タソガレドキなんて精鋭揃いの城に俺が入れる訳ないですよ」
「まぁ、今の君の実力だとはっきり言って難しいね」
ほら見ろ、組頭直々にお断りされましたよ尊奈門さん。知ってたけど改めて言われると傷付くな、俺も一応6年生になるまで忍たまとして頑張っていたつもりなんだけどな!
「でもね、うちの尊奈門が私達に頭を下げてきたんだよ。君の事をタソガレドキに入れてほしいって」
「尊奈門さんが?」
「うん。実力が足りない分は卒業までの間に自分が稽古をつけるし君を入隊させる為ならって難しい忍務も率先して受けていてね、最近尊奈門からの手紙とかなかったでしょ?」
雑渡様の言葉に俺は唖然とした。てっきりあの日呆れられたものだとばかり思っていたが、まさか俺をタソガレドキに入れる為に手を回していたなんて。あの人はそこまで俺の事を考えてくれていたのか
「うちの尊奈門、あぁ見えて結構尽くすタイプだからいい姉さん女房になると思うんだよね」
「それは、尊奈門さんとの関係を認めてくれるということですか?」
「まぁ、そうとも言えるかな。君にはうちに入ってもらって尊奈門と一緒になってもらう方が都合がいいしね」
だってさ、尊奈門ってば君がタソガレドキに来ないって分かりやすいぐらい落ち込んでたんだよ。雑渡様の言葉を聞いた俺はとりあえずその日から自主稽古に取り組みつつ、時間がある時は尊奈門さんやタソガレドキ忍軍の皆様に地獄の様な稽古をつけてもらうことになり、その甲斐あって見事タソガレドキ忍軍への入隊が決まりました。毎日過酷な訓練と忍務の連続で身体が悲鳴をあげているけれども、尊奈門さんがガンバレガンバレしてくれるからこの人の為に頑張ろうかと思います
「ゆめお、お前は卒業後どうするつもりだ?」
ある日、俺の隣で団子を頬張りながら禁断の質問を投げかけてきたのはタソガレドキ忍軍の忍であり俺の年上の恋人である諸泉尊奈門さんだ。この人とは土井先生との決闘の場に運悪く俺が出くわしてしまった事がきっかけで出会った。いや〜今でも鮮明に思い出せる。ある時ぼんやりと食堂に向かって歩いていたら、土井先生が投擲した三角定規でふっ飛ばされた尊奈門さんの下敷きにされて気絶し、目を覚ますとそこには申し訳なさそうにこちらを覗き込む尊奈門さんとタソガレドキの面々の顔が視界いっぱいに広がっていたのだから。まぁ、それからなんやかんやあって尊奈門さんと交際する事になったというのはまた別の時に話すとして…何だっけ。あぁ、進路の話か。
「ん〜、そうっすね。まだ決めてないです」
「はぁ!?お前、もう少しで卒業だろう?」
「そうなんすけどね〜、何か良いところが見つからなくて」
尊奈門さんからの呆れが込められた視線が痛いが仕方ないだろう。何故なら俺が進路を考える上で俺が重視しているのは「俺でも務まる業務レベル」である事と「尊奈門さんとの関係を続ける上で支障が出ない職場」という事だからだ。
忍術学園の卒業生の大半はプロの忍になることが殆ど故に最初は俺もどこかしらの城勤めの忍になろうかと求人票を眺めていたが、この乱世にて直接敵対関係にある城でなくてもいつ尊奈門さんがいるタソガレドキといつ敵対関係になるか分からない事に気づいた。万が一そんな事になったら俺は尊奈門さんを手にかけなくてはいけない。まぁ実力差的に俺が尊奈門さんに殺される側なんだろうが…優しい尊奈門さんにそんな事をさせたくない。そもそも俺は「は組」の生徒である為プロの忍になっても直ぐに死ぬのがオチである事に気付いたので就職先からプロの忍という選択肢は消えた。次に考えたのは忍術学園の事務員であるが、こちらは既に手が足りているとのことで選択肢から消えた。そして最後に残ったのは
「まぁ、実家に帰って家業を手伝いますかね」
そう、家業の手伝いだ。これなら尊奈門さんと敵対関係になんてなる事はまずないし、忍務でヘマをして死ぬなんてこともない。一応、6年間忍としての訓練を受けてきたのだから使い勝手が良いと実家も受け入れてくれるだろう。跡取りではなくあくまで手伝いである点を気にする奴もいるだろうがこれも立派な職業だ。うん間違いない、俺の自尊心なんて尊奈門さんと比べれば安いもんだ。安すぎてお釣りが出るぐらいだ。
「…お前は、忍たまだろう。プロの忍になるのではないか」
「考えましたけど、俺には無理ですよ。直ぐに死ぬのがオチです」
「ならば私が訓練をつけてやる、どうだ?」
「有り難いですけど、尊奈門さんのお手を煩わせる訳にはいきませんよ」
湯呑みを手にして茶を啜りながら、のらりくらりと尊奈門さんからの質問に対して答えていたら突然俺の胸元を掴み上げてきた。何事かと思っていると尊奈門さんの玉のように丸い目が俺を見上げてきた。
「お前は、タソガレドキに来てくれないのか!?」
いやいやいやいや、尊奈門さんあんたって人は何を言うんですか。俺がタソガレドキ忍軍?冗談もよしこさんですよ、それは。タソガレドキなんてあんな精鋭ばかりの集団に入れる訳が無いし奇跡が起きて入れたとしても次の日には殺されるのがオチだろう。
「尊奈門さんには悪いですが、俺なんかが入れる訳ないですよ」
「…そ、う…か」
「尊奈門さん?」
「…すまん、今日は用事を思い出した」
俺の答えを聞いた尊奈門さんは俺の着物から手を離したかと思えば暫く俯いた後に用事があると一言残して足早に帰ってしまった。あー、やばい尊奈門さんを本気で呆れさせてしまったか?尊奈門さんは若手とは言えあの精鋭だらけのタソガレドキ忍軍に所属出来るだけの実力者だからこそ多分俺の適当な回答に呆れたに違いない。
だけどよ、こればかりは仕方なくないか?人間生まれ持っての才能というものがあるし、こればかりは努力だけでどうにか出来るものではない。だから、プロの忍になれなくても俺なりに考えたつもりだった。肩を並べて戦えないのなら、せめてあの人にとって一息つける場所であり続けようとしたつもりなんだけどな。
「…どうすりゃいいんですか、尊奈門さん」
尊奈門さんが残していった湯呑みと皿を片付けながら吐かれた俺の独り言は他の客や道行く人達の喧騒によりかき消された。
*******************************
「やぁ、曲者だよ」
「…雑渡さん、突然屋根裏から現れるのは止めてもらえませんか。そもそも貴方程の方が何の御用でしょうか」
尊奈門さんとの逢瀬から暫くが経ったが、あれから尊奈門さんから何の音沙汰もない。普段なら忍務で余程忙しくない限りは矢文が届いたり土井先生に決闘を申し込みにきたついでに俺の所へ来たり、夜忍務前に顔を覗かせに来るものだがそれが一切ない。最初こそ忍務で忙しいのだろうと考えていたが日が経つ毎に俺の中に焦りが生まれた。これはまさか自然消滅を狙っているのではないか、と。それはいけないと自室で尊奈門さんに対して手紙を書こうと紙を広げたのはいいが、何と書けばいいのかと悩んでいた時突然天上の屋根裏からタソガレドキ忍組頭の雑渡昆奈門様が現れた。
「うちの尊奈門から聞いたよ、君プロの忍にはならないんだって?」
「そうですが…」
藪から棒に何だろうか…あ、この流れはまさか。プロの忍にならない様な甘い男と尊奈門の交際は認められないから別れろと言われるやつか?尊奈門さんは雑渡様を始めとした忍軍の皆様に可愛がられていると聞くし…これ絶対そうだろ。
「てっきり君はうちに来るものだと思ってたんだけど」
「タソガレドキなんて精鋭揃いの城に俺が入れる訳ないですよ」
「まぁ、今の君の実力だとはっきり言って難しいね」
ほら見ろ、組頭直々にお断りされましたよ尊奈門さん。知ってたけど改めて言われると傷付くな、俺も一応6年生になるまで忍たまとして頑張っていたつもりなんだけどな!
「でもね、うちの尊奈門が私達に頭を下げてきたんだよ。君の事をタソガレドキに入れてほしいって」
「尊奈門さんが?」
「うん。実力が足りない分は卒業までの間に自分が稽古をつけるし君を入隊させる為ならって難しい忍務も率先して受けていてね、最近尊奈門からの手紙とかなかったでしょ?」
雑渡様の言葉に俺は唖然とした。てっきりあの日呆れられたものだとばかり思っていたが、まさか俺をタソガレドキに入れる為に手を回していたなんて。あの人はそこまで俺の事を考えてくれていたのか
「うちの尊奈門、あぁ見えて結構尽くすタイプだからいい姉さん女房になると思うんだよね」
「それは、尊奈門さんとの関係を認めてくれるということですか?」
「まぁ、そうとも言えるかな。君にはうちに入ってもらって尊奈門と一緒になってもらう方が都合がいいしね」
だってさ、尊奈門ってば君がタソガレドキに来ないって分かりやすいぐらい落ち込んでたんだよ。雑渡様の言葉を聞いた俺はとりあえずその日から自主稽古に取り組みつつ、時間がある時は尊奈門さんやタソガレドキ忍軍の皆様に地獄の様な稽古をつけてもらうことになり、その甲斐あって見事タソガレドキ忍軍への入隊が決まりました。毎日過酷な訓練と忍務の連続で身体が悲鳴をあげているけれども、尊奈門さんがガンバレガンバレしてくれるからこの人の為に頑張ろうかと思います
9/9ページ